BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- パラレルワールドへ【オリジナル/BL含/異能力】
- 日時: 2016/10/23 20:05
- 名前: 朝倉 (ID: m.NeDO8r)
簡単に説明します。
普通の日常に退屈を感じていた青年が、変な老人と知り合って、勧められた世界に好奇心を抱いて、二文字の返事によって、そこへいく。
もう一つの世界であるパラレルワールドへ着いた青年は能力を持っていて……というお話です。
よろしければ閲覧していってください。
2016.10.21 閲覧数200突破!ありがとうございます!
- Re: パラレルワールドへ【オリジナル/BL含/異能力】 ( No.23 )
- 日時: 2016/08/30 10:58
- 名前: 鈴木洋太 (ID: DVcR0E4k)
あの後、榊さんから場所の地図を書いたメモを渡され「赤い薔薇の花を一本買ってほしい」と言われた。ついでなのだろうと考えて、大吉と俺はメモに印された場所へ向かった。
「いきなり気づかれたり襲われたりしねーかなー?」
「敵だとしても、そんな早くに気づくわけないだろ…?」
俺が地図と周りの風景を確認するように交互に見ながら歩いていると、隣を歩く大吉は呑気に言う。それが呟きなのか俺に話しているのかは分からないが、返してやると「そーかー」と曖昧な返答には興味が無さそうに相槌された。
「……あそこだ」
「え?あれ普通の花屋じゃんヨータ間違えた?」
「いや、間違ってない。確かにあそこだ」
角を曲がれば向かい側にある花屋の看板を飾った建物。店の外にも中にも色とりどりの花が飾られて売られている。俺達はまともに職を持っていないらしいから、能力者はそんなものなのかとどこかで納得していたが、やはり働いている者もいるんだろうか。それとも、ここに来る客が能力者とかなのかと思いながら地図の書かれたメモ用紙を丸めてズボンのポケットに入れる。
大吉はもっと凄い建物に敵は居ると想像していたからか、花屋を見て納得がいかない様子で頬をふくらませている。そんな大吉を置いて花屋へと俺は歩いた。
- Re: パラレルワールドへ【オリジナル/BL含/異能力】 ( No.24 )
- 日時: 2016/09/13 23:55
- 名前: 鈴木洋太 (ID: jFu2moab)
「あの〜!すみませーん!」
花屋の前で店内へ声をかけると、奥から女性の「はーい」と間延びした返事が聞こえて、暫くして奥から駆け足できた女性を見てつい鼻を抑えて顔をそらしてしまった。
出てきた女性の容姿が良いものだから…。スタイル良くて、巨乳で、ロングの髪に、美人な顔、文句の言葉が出てこない。
エプロンは似合っているけれど、出来れば付けないでほしい。目に毒だ。俺が女性の方を見れずにいると、呆れた大吉は、棒読みで注文した。
「赤い薔薇一本ください」
「かしこまりました……はい、どうぞ。薔薇には棘がありますので気を付けて持ってくださいね」
どうにか慣れてきて薔薇を受け取るとニコッと笑う女性に、また鼻を抑えて上を向く。それに疑問を抱いた女性が心配の声をかけてくる。
「あっ、大丈夫かしら」
そんなお姉さん口調で心配されると、キャラが成立しちゃう、と俺の頭の中は狂っていた。女性に心配かけないように、と顔を女性に向けて笑顔で「大丈夫!」と伝えると、ふいに女性は俺が薔薇を持っていなかった手を自分の手で包み込んで、下記を述べる。
「こうすれば、少しは落ち着くでしょう?ふふっ」
俺は鼻血を我慢するために手に力を込めた。薔薇の棘が手に刺さるのと同時に我慢出来なかった鼻血がたらりと垂れるのがわかって、それを隠すように慌てて店を出る。店の中で1人の女性の肩と、店のすぐ外で男性と正面からぶつかってしまい、尻餅をつくと、先に立ち上がった目前の男が片手を出して来るものだから、何処か恥ずかしくなって、目前の男の顔も見ることなく、出された手を薔薇の持っていない手で叩くと走ってその場を後にした。
後から大吉が走ってついてきてくれているのがわかって安堵しながらも、店が完全に見えなくなってから足を止めた。
その時、俺は走ったから息は荒れてるけど、頭は有り得ないくらい落ち着いていて、棘が刺さったはずの手には痛みすら残っていなかった。
- Re: パラレルワールドへ【オリジナル/BL含/異能力】 ( No.25 )
- 日時: 2016/09/21 00:23
- 名前: 鈴木洋太 (ID: aW5Ed34M)
後ろから追いかけてきていた大吉が俺の隣に立つと息を整えながら先程の態度は何だと講義の声を上げる。
「ちょっと、ちょっと!ヨータ!何なのさ!さっきの!思いっきり鼻の下伸ばしちゃって!」
でも俺は今、それどころじゃなかった。大分整ってきた息をしながら、薔薇を持っていた手から持っていなかった手へ移動させ、刺が刺さっていたはずの手から痛みがなかった疑問を解くためにじっくり手の平、手の甲をゆっくり交互に裏返し見ると、薔薇の茎にも手の平にもしっかり血は付いているのに手の平には傷一つ付いていなかったからだ。
「なぁ、大吉……確か、あの店には敵が居るんだよな?」
「人の話を…え?うん、まぁ、そうだな。榊さんが言ってたし。店の人か客かは知らねぇけど」
「……これって…いや、そんな…まさか」
俺が手の平を見つめたまま声を漏らしていると不思議に思ったのか大吉が横から顔を出して俺の手の平を見て、驚いた声を上げる。
「ええー!?ちょ、それって、傷が塞がってるってことは…もしかしてヨータは不死身!?」
「違うだろ、馬鹿!…敵には、治癒能力者がいるってことだろ」
俺は自分の血のついた無傷の手に力を込めて拳を作った。
- Re: パラレルワールドへ【オリジナル/BL含/異能力】 ( No.26 )
- 日時: 2016/09/23 23:21
- 名前: 鈴木洋太 (ID: aQG7fWp7)
「あぁ〜!!もう!まずいよ、まずいよ!」
俺達の基地へ向かってる途中、大吉が頭を両手でかきながら大声をあげる。「煩いよ」と言いたいのは山々だったけれど、声を出したくなるのもわかる。それ程、外には出さないが、内側は動揺してる。
なぜなら俺達は榊さんに“見るだけ”を条件に敵に会うことを許可してもらったから。
公園の水で洗ったら血は落ちたから大丈夫だとは思うけど、バレたら怖い。その思いが強くて俺らは動揺して焦っている。
基地について、広間のような部屋で椅子に腰掛ける。
敵の治癒能力者に遭遇したと正直に話すべきなんだろうか、それとも嘘を貫き通すか?この馬鹿な大吉と一緒に?出来るのか?無理だろ…なんて、心の中で葛藤する。
大吉は、ただ焦りしか目の前に見えていないようで、どうしようどうしようと繰り返しながら部屋の中を円を描くように歩き回っている。
それが余計俺の集中を切らして、苛立ちすら感じてくる。
すると、部屋の扉がノック無しに開いた。
俺は思わず顔を上げて見る。大吉も足を止めて、そちらへ勢い良く顔を向けた。
- Re: パラレルワールドへ【オリジナル/BL含/異能力】 ( No.27 )
- 日時: 2016/10/11 12:25
- 名前: 朝倉 (ID: j1BtfBJW)
入って来たのは榊さんだった。
慌てて薔薇を渡しに行く。
「あ、榊さん……頼まれた、薔薇です」
「あぁ、助かる。……ところで、薔薇の棘には刺さらなかったかい?」
俺も大吉も肩を上げる。榊さんは薔薇で起こりうることをただ単に言っているだけだ、と思う事にして、俺が「大丈夫でした」と告げる前に大吉が大声で言った。
「大丈夫でっす!薔薇の棘なんかにヨータは刺さってないし、血なんか出てないし、それが店出た後、傷が消えてたなんてこと絶対無かったから!」
大吉の言ったことは、ネタバレに近く、きっとそのものだった。嘘がつけないのが取り柄でもあり、呆れ果て俺は頭を片手で抱えた。
「そうですか…では、遭ったんですね?治癒能力者に」
「「……え?」」
榊さんは何度か相槌をうったあと、目を細めて笑うと確信をついてきた。けれど、怒っている様子でもなく、何か楽しんでいるような笑みに俺も大吉も疑問符が出た。