BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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ここの生活
日時: 2016/08/16 13:37
名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)

適当に自己満に近いオリジナルBL小説載せたいと思います。

気が向いた時に閲覧していってください。

Re: ここの生活 ( No.14 )
日時: 2016/08/23 05:03
名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)

俺が少し握手する事に躊躇っていると、横からリキが声をかけてくる。

「真二ぃ、ソイツがヤグモだ」
「あ…どうも」
「名乗る程の者ではない」

リキの言葉にヤグモと呼ばれる彼に軽く頭を下げて挨拶を交わすとそれをスルーするかのように彼は上記を告げて、先程まで握手する予定だった手を降ろす。彼の手枷は、両足首を拘束する物の間の鎖が15cmぐらいの長さで、手枷の割にはゆとりのあるものだった。

「おいヤグモ、さっきそこのデブがお前の飯、狙ってたぞ?」
「ヤグモが食わねぇならって話だったろ!?」
「別にいいぞ。食べたいなら食べても。俺は構わない」
「そんなんだから痩せるんだろ、貧弱野郎」

赤服のハヤトが楽しそうに悪戯心のある笑みを浮かべて、ヤグモに声をかけると、リキが慌てて否定する。その様子を顔を向けて無表情でやんわり言うヤグモが気に食わなかったのかハヤトは舌打ちをして暴言を振るう。それにヤグモは少し眉を顰めた。

Re: ここの生活 ( No.15 )
日時: 2016/08/23 18:43
名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)

ふと、ヤグモ…さん?が、俺の名前を教えてもいないのに知っていた事に疑問を抱いたが、きっと、隣の部屋だから俺とリキの昼にやった会話が聞こえてしまっていたのだろうと思うことにした。

「と、ところで…服の色によって違う罪って」
「それより隼人、すまないが茶番に付き合ってる暇がなくなった」
「…あ゛?」

俺が知りたかったことに話を戻すと、近くに立っていたヤグモが言葉が俺と被らない程度に赤服の男に顔を向けて告げた。その言葉にニヤリと笑みを浮かべていた赤服のハヤトも肩眉を上げて「どういうことだ」と顔で云う。

「明後日にでもここを出る。…家族が心配だ」
「何かあんのか?」
「何かあるのは今からだ。俺達がここにいるとまずい」
「のぉ、そいつぁ、脱獄するってことか?」

俺は彼等の会話を聞いて状況を頭の中で整理しようとするが、あまりにも展開が急過ぎてついていけない。窓も換気扇も無い天井を見上げてスラスラ話を進めるヤグモの話に唯一ついていけているであろうハヤトが深刻そうな表情をする。話を何となく理解している様子のリキは簡潔に聞きたいことだけを聞いているようで……。
リキの脱獄するつもりかという問いにヤグモは天井からリキへ顔を向けると相変わらず無表情のまま、そうだ、と短く肯定の言葉を述べた。
俺は少し頭の中を整理させてほしい想いで、ついていけない状況に頭を抱えた。

Re: ここの生活 ( No.16 )
日時: 2016/08/26 08:31
名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)


「ちょちょ、ちょっと待ってくれ!」

この状況に居た堪れなくなり、両手を前に伸ばして声をかけると三人の視線が集まった。眉を寄せたハヤト。「どうした」と問いかけてくるリキを見て、口を開く。

「脱獄って……そんな簡単にいかないだろ?」

「簡単だ。来たルートを戻ればいい話だ」

遠慮がちに聞いた俺の問いかけにスラッと無表情のまま応えるヤグモ。“来たルート”を戻る。そんなの覚えているはずがない。第一、どうやって出るのだと俺は、ここからは出られないだろうという諦めの思いが強く、ヤケで行って重い処罰を受けたくはない。俺はまだ生きたいからだ。

「ポンコツには何言っても理解出来ねぇかぁ?」

ハヤトは俺を見て小馬鹿にしたようにクスクス笑う。それを黙って見るヤグモ。リキは一度ハヤトを見た後、俺に寄ってきては、複雑といった表情をしながら、真っ直ぐ言葉を静かに呟くように述べた。

「真二、行きたいか行きたくねぇかは自分で決めろ、俺達はお前の意思に反対はしねぇからな…」

Re: ここの生活 ( No.17 )
日時: 2016/08/26 21:24
名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)

あれから3人はハヤトの一言で風呂へ行った。
俺は鉄格子が上がらないから出られず、一緒には行けなかった。でも心のどこかでは少し安心した。3人の背中を見送る。3人の纏うオーラは周りの囚人達とは違って見えた。けれど、きっと同じようなものなのかもしれないとも思った。
3人が見えなくなって疲労か安堵かわからないため息をついて、俺は鉄格子を背に重い腰を下ろして座る。

「行きたいか行きたくないか……脱獄するかしないか…重い処罰受けるか受けないか…」

俺は汚れ一つない自室の白い床を呆然と見つめながら呟き考える。すると、後ろから声をかけられた。気力は無かったが、用は何か気になりはした為顔だけ肩越しに振り返ると、無精髭を生やして、言っては悪いが少し小汚い感じの叔父さんが2人。悪い顔をした鼻にピアスをしている20代ぐらいの男1人の計3人が俺と目線を合わせるようにしゃがみ込んでヒソヒソと話すぐらいの声量で口を開く。

「新入り、アイツらに目をつけられたのか?」

Re: ここの生活 ( No.18 )
日時: 2016/08/27 19:32
名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)

中央にいた銀髪の叔父さんが聞いてきて、初めは誰のことを言っているのか分からなかったが、先ほど自分と話していたのは、リキ、ハヤト、そしてヤグモの3人だった為、目の前の男の言う“アイツら”はもしかしてと、思い問いかける。

「え?…アイツら…?あ、リキ達のことか?」
「アイツらとは関わらない方がいいぞ」
「……なんでだ?」

リキ達のことか問いかけると3人は頷いて、次は銀髪の叔父さんの右にいる白髪の叔父さんが真剣な表情になって忠告のように俺に言う。俺はそれが何故か分からず、少し考えたがやっぱり分からなかった為3人に体を向けて聞く。

「アイツらはここらでは有名な悪人だぞ?それに、アイツらに関われば例えここから出られて警察にも捕まることはなくなった自由の身はアイツらによって消される運命だからさ。」
「……え?そ、れは…どういう?」
「要は、アイツらがお前に声をかけた理由は、ただ外に出る為に利用する人材が欲しかったってわけだ」

白髪の叔父さんが真顔で俺に言ってくる。俺は彼らの名前を今日知り、彼らの姿を今日見て、彼らとは今日話した。たった15分程度の会話だっただろう。彼らの事を知らな過ぎるが故に、少し信じ難かったことにも鼻にピアスをしている男がハッキリとあの3人は自分を利用する為に話しかけたと告げられたことに信じてしまう。


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