BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- ここの生活
- 日時: 2016/08/16 13:37
- 名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)
適当に自己満に近いオリジナルBL小説載せたいと思います。
気が向いた時に閲覧していってください。
- Re: ここの生活 ( No.9 )
- 日時: 2016/08/17 08:24
- 名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)
その男はリキを見てリキと話をする。
よく見れば彼は少し華奢な体型だ。男性にしては小柄な方で童顔でもあるのにあの人を寄せ付けないオーラは何なんだろうかと、思いながら様子を伺う。
「あ?別にビビらせちゃいねぇよ。それよりまた太ったのか?デブ」
口角を上げて笑うのは同じだが、先程とは少し違う悪戯心のある笑みを浮かべる彼。リキは「ハヤト、喧嘩売ってんなら買うぞ?おお?」と楽しそうに好戦的な声を返している。俺はその話を遮るように声をかける。
「あ!あの、もしかして…ハヤトさんって…」
「あぁ、そうだ。真二、ここでNo.2って呼ばれてる。アイツが長島隼人。隼人ォ、コイツが昨日来た真二だ」
「…そんな雑魚に興味は無ぇ。」
俺が問うとリキが丁寧に紹介してくれた。男は俺をチラリと見た後、さも面倒くさそうに告げて後頭部を片手でかく。雑魚と言われるといい気分にはなれずムッとしてしまう。リキは男の返事がわかっていたからか苦笑している声がする。
男は俺の隣の部屋を見る。リキの方ではなく、もう一方のリキの言っていたヤグモと呼ばれる人物がいる部屋だ、と俺は思う。
「…なんだ、ヤグモは、また食ってねぇのか」
「俺がヤグモと同じ部屋なら飯が2倍食える」
「そういうことを聞きたいんじゃねぇよデブ」
「おい、ハヤト、それ二度目だぞ?今度言ったら…」
「あ?俺に勝てると思ってんのか?その体、鏡で見てから言えよ」
また悪戯心のある笑みを浮かべてはリキと話し始める男。だが、先程ヤグモと言われる人物の話をする時、赤服の男の表情が少し心配しているような、寂しげや悲しみを感じさせていたから気になった。
- Re: ここの生活 ( No.10 )
- 日時: 2016/08/20 23:33
- 名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)
赤服の男の挑発的な口調に、リキがどんな表情をしているかは分からないが、喧嘩でも起こったら厄介だと思っていた時、非常ベルのような音が大きく響き渡った。
「!?っなんだ!?」
俺は火災でも発生したのかという驚きと、非常ベルのような音の大きさに驚き、慌ててまた立ち上がり鉄格子から距離を置くと、同時に自分の室内の鉄格子以外の周りの部屋の鉄格子が下から上へ上がり開いていく。
重い鎖が持ち上がる音。一つの音だけではないからこそ、大きく響き渡り、音が止んでも耳には少し残った状態が続いた。
暫くして、心臓が落ち着いたのを確認すると、周りの様子を見ようと鉄格子に近付く。
ここは、掃除がしっかりされているからか、新しく建てられたばかりだからなのか、鉄格子が上がっても埃が舞って周りが見えなくなるなんてことは無かった。
けれど、自分だけの鉄格子が上がらなかったのか確認したかったのかもしれない。鉄格子に近付くと、俺の向かい側の部屋に居た赤服の男は、部屋から出てきては居なく、先程リキと話していた場所から一歩も動いていないように見えた。
そこで、俺は赤服の彼の姿がハッキリ見えたところである事に気づいた。
彼は自分と同じように首には鉄のような灰色の首輪のような物が付けられていて、似たような物が両足首にも付けられていた。要は足枷だ。左足首の方だけに鎖が付いていて、その鎖は長く大きくベッドの下まで続いていた。
俺には首につけられているものだけだった。
- Re: ここの生活 ( No.11 )
- 日時: 2016/08/21 12:43
- 名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)
俺の左部屋からは黒服で少し大柄な男が出てきて、赤服の男に話しかけながら寄るのに気づく。俺は、またしても驚いた。その少し大柄な男がリキの声である事に気づいたからだ。少し横に広い体は赤服の男ハヤトがデブと言うだけのことに理解出来た。
リキの姿を見て、ここにいる者は全員首には首輪のような物が付けられていることを知った。
リキはそれ以外には右手首に手枷が付けられていただけだった。
「やっと開いたな〜」
リキが両手を広げて伸びをする。それを黙って見ている赤服の男ハヤトに俺は声をかけてみた。
「は、ハヤトっさん?…は、そ、そこから出られないんですか?」
「…あ?俺の事は名前で呼ぶんじゃねぇ。ここから出られないならこの鎖の意味はねぇだろ馬鹿」
俺が勇気を振り絞って聞いた質問に、また睨まれた。俺が足枷に繋がる鎖を見て言ったのだと理解してか、それを見ながら冷たく言い放った。
黙った俺に舌打ちをして、右手で後頭部を掻くと、自室から出て鎖を引き摺りながらゆったりと彼は歩き出した。
- Re: ここの生活 ( No.12 )
- 日時: 2016/08/22 08:23
- 名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)
部屋から出てきた人達が灰色の床を歩いて通る。俺と同じ白い服を着ている人の数が多いけれど、赤服の人も何人か居て、時折黒服の人がいる。
服の色が違うことに意味があるのかと首を傾げる。
それを見たらしいリキが俺の元へ近づいて来て、話し始める。
「真二ぃ、服の色の意味が知りてぇか?」
「……え?」
「ここは監獄だっていうのは教えたよなぁ?」
「…あ、ああ」
「罪を犯した奴らの集まり。その罪によって服の色が決められてんだ」
「罪を犯してない奴も此処にはいるけどな?」
真剣な顔つきで話すリキの話に付け足すように赤服の男が入ってくる。
彼の目線と体は、ヤグモと呼ばれる人物のいる檻の中へと向けられたままだが。俺はリキを見て、もしかしてそれが俺達かと問うために開いた口は隣の部屋の鉄格子の開く音にかき消された。
俺は鉄格子に近づいて、隣を見る。
ずっと隣を見ていた赤服の男は少し意外だったが、どこか嬉しそうな笑みを浮かべて、隣の部屋の人物に声をかけた。
「よぉ、また痩せたな」
- Re: ここの生活 ( No.13 )
- 日時: 2016/08/23 01:03
- 名前: 朝倉 (ID: DVcR0E4k)
隣の部屋から出てきたのは上下深緑色の服を着た青年。といっても、赤服の男と歳はそれ程変わらなそうだが。黒髪は、軽くウェーブがかかった、ふわふわした感じで、前髪は目を隠すぐらい長い。でも目は若干見える。細身で弱々しく見える程、肌の色も白い。だから普通のサイズの服だとしても少しダボッとしている。小顔だからか、首の首枷も、少し大きく見える。でも、頭を通って外すことは難しそう。
彼は両手を前で拘束された、手枷を付けられていた。静かに無表情で現れた彼に周りも少し静かになる。(何故かはわからない。)
手枷にも赤服の男の片足に付けられたものと同様の鎖が付いていて、部屋に繋がっているよえに見えた。
「痩せてない」
静かに細身の青年から告げられた言葉は、消えそうで、少し掠れていたが、何故か耳に届く、よく通る声だった。男にしては高いけれど女にしては低い声。彼は赤服の男を見て応えていた。
ふと流れるようにこちらを向くと歩み寄って来た。
「よろしく真二」
彼は右手を俺の前に出してきた。顔を見ると、無表情。だけれど、随分と整った顔立ちで、美を飾っているようだった。無表情でこんなに綺麗な男を見たのは初めてで、少し慌てふためく。