複雑・ファジー小説
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- 奇想天外!プロレス物語【完結!】
- 日時: 2014/05/11 19:35
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
今回は笑いあり感動ありのプロレスをテーマにした小説です。楽しんで行ってもらえると嬉しいです。
第1話 変な転校生>>1 オリキャラ応募用紙>>60
第2話 井吹と大形>>2 オリキャラ人気投票開始>>58
第3話 無く子も黙る不動仁王>>3 第49話 ハニーの猛攻撃>>72
第4話 スターレスリングジム>>4 第50話 井吹VS怒雷氷>>76
第5話 新しい仲間!?>>5 第51話 サッカー部の友情>>77
第6話 暴走保安官ロディ参上!!>>10 第52話 新たなる助っ人参上!?>>78
第7話 助っ人・・・だといいな>>11 第53話 イルVS怒雷氷>>79
第8話 副会長カイザー登場!!>>14 第54話 試合の決着>>84
第9話 会長の出した条件>>15 第55話 ふたつの弱点>>85
第10話 軽井沢VS井吹>>17 第56話 カイザーの父登場!!>>89
第11話 意外な結末>>18 第57話 宇宙から来た救世主たち>>90
〜世界大会編〜
第12話 予選開幕!>>20 第58話 みんなで掴んだ勝利!!>>91
第13話 第1回戦開始!>>21 最終話 井吹の挑戦はどこまでも>>92
第14話 星野の実力>>22
第15話 星野の新必殺技>>23
第16話 星野の思い>>24
第17話 メープルの告白! >>25
第18話 勝負の結果は!?>>26
第19話 タッグマッチ>>27
第20話 お見舞い>>28
第21話 衝撃の対戦相手>>29
第22話 一筋の光>>30
第23話 準決勝開始!>>31
第24話 それぞれの思惑1>>32
第25話 それぞれの思惑2>>33
第26話 ジャドウの本心>>36
第27話 シーの疑問>>37
第28話 明王の怒り!!>>39
第29話 井吹勝利なるか!?>>40
第30話 ST8>>41
第31話 最強のニードロップ!!>>42
第32話 ヨハネスの動揺>>43
第33話 シーの強さ>>45
第34話 少年探偵の怒り>>46
第35話 カイザーの正夢>>47
第36話 不動の異変>>48
第37話 それぞれの価値観>>49
第38話 シーの正体!!>>50
第39話 一進一退の攻防!!>>51
第40話 ヨハネスの過去!>>52
第41話 大逆転の勝利!>>53
第42話 決勝の相手>>56
第43話 不動の弟子登場!!>>57
第44話 決勝戦開始!>>63
第45話 ヨハネスの秘密>>64
第46話 少女ヨハネス大激闘!!>>67
第47話 不屈のゲルマン魂!>>70
第48話 ヨハネスの涙>>71
来てくださった大切なお客様
みららさん、夕陽さん、 愛欄さん
驟雨さん、 まどかさん、 陽乃悠飛さん
狐さん、 みにょさん、菜の花さん、Suirenさん
- Re: 奇想天外!プロレス物語 ( No.1 )
- 日時: 2014/04/22 20:22
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「僕は愛の天使、大形愛。よろしくね」
そいつは突然俺の前に現れた。
いや、正確に書くと現れたというより転校してきたといったほうがいいだろう。
二学期の始業式。俺たちの前に突然現れた変な奴、大形愛。
名前からして女みたいだが歴然とした男。
そして大形という日本的な苗字とは裏腹にその容姿は外人のそれだった。
風に波打つサラサラした金髪のボブに切れ長の翡翠色の瞳。
肌は見るからに運動部に所属した経験がないといわんばかりの色白だ。
サッカー部で毎日汗を流して日焼けをしていた俺とは大違いだ。
そんなことを考えていると、
「じゃあ、大形くんは、井吹くんの隣の席ね」
は?
「はい、わかりました」
ちょっと待て。
なぜに俺の隣にこいつが・・・・・
「井吹くん、よろしく」
先生に抗議する間もなく有無を言わさずとなりの席になってしまった。まったく、風変わりな奴が転校してきたもんだな。
- Re: 奇想天外!プロレス物語 ( No.2 )
- 日時: 2014/04/22 19:47
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
昼休み、俺は特にすることもなく、ただぼんやりと窓の外を眺めていた。
どこまでも続く青い空。悪い景色ではないだろう。
「井吹くん、僕と一緒にプロレスしない?」
・・・・・・・コイツが隣で話しかけさえしなければ。
第一なんだよプロレスって。
俺は元サッカー部。それにGKだった男だ。その噂は俺の聞いた情報によると日本全国に知れ渡っているはずだ。
「じゃ、始めようか」
待て!なんで話が勝手に進んでいるんだ!
「ダイジョーブだよ、井吹宗一郎くん。サッカーもプロレスも似たようなもんだから」
全然違うぞ!?そして何気にフルネームで呼ぶな。
「・・・・井吹くん、もしかして弱いの?」
「フン。お前みたいな奴と俺が勝負になるかよ」
大形はどっからどうみても160センチぐらいしかない。対する俺は177センチ。身長差は歴然だ。
「キミもバカだね。プロレスは伸長差より体重が重視されるんだよ」
もしそうだったとしても俺はこいつに十分勝てる自信があった。
☆
俺たちの通う学園はスポーツの名門だけあって、設備が万全だ。
グラウンドも他の学校の5倍の広さはあるだろう。体育館は10倍ぐらいありそうだ。
その広い体育館の隅にプロレスのリングがある。
しかし、噂には聞いていたが、まさか本当にリングがあるとは思っても見なかった。今まではあまりにも隅にあったため気づかなかったのだ。
「さ、始めようか」
そう言って、ひょいとロープを軽々と飛び越えリングに着地する大形。
今の身軽さには一瞬驚いたが大したことはないだろう。
俺も奴に続いてリングに入った。
「じゃあルールを説明するね。反則自由。制限時間10分。先に相手の両肩をマットにつけて3秒間フォールしたほうの勝ちだよ」
「反則?例えばどんなのが反則なんだ?」
正直な話、俺はプロレスを知らない。だからどんな行為が反則と呼ばれるのか分からなかった。
「目潰し、金的攻撃、凶器攻撃。大きく分けるとこんな感じかな。
細かいルールは気にせずに今は思いっきり楽しもうよ!」
「お・・・おう!」
カーン!
どこから取り出したのか、奴がゴングを鳴らす。
「来い!」
「行くよ」
大形の目は先ほどまでの優しげな目つきとは打って変わって氷のように冷たく、真剣だ。その目を垣間見た瞬間、俺は一瞬怯んでしまった。
その隙をつかれ腕を掴まれロープに放り投げられてしまう。
このチビ、こんな華奢な体躯でなんてバカ力だ・・・・!
ロープを握って反動を防ぐことも出来ず、そのまま跳ね返る。
そこを待っていましたかといわんばかりに奴は俺の体を捕らえ、そのまま後方に反り返ったかと思うと俺の頭部を思いっきりマットに叩き付けた。
「ワン・・・・・ツー・・・・スリー・・・!僕の勝ちだね」
頭部の痛みと呆気にとられるあまり呆然とし、ただマットに大の字になっている俺を見て、奴は満面の笑みを浮かべた。
な、なんなんだコイツは・・・・一体!?
「言ったでしょ。僕は愛の天使、大形愛だよ」
- Re: 奇想天外!プロレス物語 ( No.3 )
- 日時: 2014/04/22 19:59
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
くそっ・・・・!なんで俺があんな奴に負けなきゃならんのだ!!
その日の放課後、俺は激しい屈辱感で絶対に奴を倒してやるとひとりで胸の内で宣言していた。
たぶん、そのときの俺の目は昔のスポ根アニメのように炎が宿っていたと思う。
俺は人に負けることがなにより嫌いだ。
勉強でも、スポーツでも、自分より強い奴に会うと野性の闘争本能というやつがむき出しになってくる。
われながらまだまだガキだと思うが、相手を倒し、俺の実力を認めさせた爽快感には変えられないものがある。
だからこうして、俺は下校する途中その足で本屋まで向かったのだが・・・・・
「クソッ、頭が痛ぇ・・・」
普段から頭を使う勉強よりもスポーツが好きな俺にとって、本屋はなじみがない場所だといっていい。
静かな空気や文字ばかりならぶ本を見ているとクラクラしてくるというのが正直な感想だ。
頭痛をこらえながら、スポーツ雑誌のコーナーに行き、本棚においてあるプロレス誌を読んでみたのだが、内容がさっぱり頭に入ってこない。
「ほう。ガキがプロレス誌を読むなんて珍しいな」
突然後ろから声がしたので振り向くと、長い茶色の長髪に猛禽類のように鋭い目、迷彩色のズボンを着た、引き締まった体格の若い男がいた。
「お前、プロレスに興味があるのか?」
「いや・・・あんまし・・・・」
「そうか。その割には一心不乱に読みふけっているのはなぜだ」
男に言われて気づいたのだが、雑誌の巻数を見ると20号と書いている。
ということは俺はもう19冊もパラ見したのか、我ながら結構読んだほうだと思う。
男はそんな俺の様子を見て鼻で笑うと、口を開いた。
「・・・・・キミ、才能がありそうだな。ひとつ俺が鍛えてやろう」
何?鍛えるだと?
「ああ、そうだ。きょうから君はこの俺、不動仁王の地獄の特訓で強くなるのだ」
ちょっと待て。なんであんたが勝手に決めるんだ!俺はプロレスに興味など・・・・
「あの大形に勝ちたくはないのか?」
「何!?どうしてそれを・・・・」
「どうやらお前はあいつのことについて何も知らないらしい。あいつが何者なのか教えてやるから、俺について来い」
男はニヤリと笑みを浮かべ、ついて来るように促した。
- Re: 奇想天外!プロレス物語 ( No.4 )
- 日時: 2014/04/22 20:26
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ついた場所は一等地にあるデカいビルだった。
少なくとも15階まではありそうだ。
『世界プロレス協会所属スター流レスリングジム 会長スター=アーナツメルツ』と看板が立っている。
待て待て待て!こんなでかいビルがジムだっていうのか!?
普通ジムっていうのはもっと小さいものだろ!?
「それはお前の中にあるくだらん常識だ。ついて来い」
言われるがままについて行くと、練習場らしき部屋についた。
「みんな喜べ、新入りだ」
不動がドアを開けると驚愕の光景が目に飛び込んできた。
出しっぱなしになった遊具、アンパ○マンの壁紙、どこからどうみても幼稚園児が来そうな場所にしか見えなかった。
「わーい!僕たちの新しい仲間だねー?」
ミツバチの格好をした5歳ぐらいの金髪にでかい緑の瞳の少年がぴょこんと不動に抱きついてきた。なんだ、この変な生き物は?
「僕はハニー=ブレッド!ブレッド三兄弟の末っ子で、このジムでは一番の年下だよ。よろしくねー?」
このハニーとかいう甘ったるい話し方をする奴は不動だけではなく、無関係であるはずの俺にまでベタベタしてくる。
そしてなんだかこいつからハチミツのにおいがするのは気のせいか?
「ハニーくんはハチミツの味がするんですよ」
意味不明な声が上からしたので見上げるとなんと、ひとりの少年が浮遊していた。
トロンとした半開きの瞳に色白の肌、ふわふわの茶色の髪、こいつは所謂、不思議少年という奴だろう。
第一どうやって空中に浮かんでいるんだ?
「僕は天使ですから、それぐらいわけはありません。自己紹介が遅れましたね、僕は星野天使。その名の通り本物の天使です。大形先輩のお友達の方ですね。どうぞよろしく」
天使!?天使って名前を子どもにつける親がいるのかよ!?
それに大形が先輩ってどういうことだ?
「そう言われましても僕は本物の天使ですから。大形先輩のことはこの物語を読み進めればわかるはずです」
・・・・コイツ所謂中二病じゃないのか。あと、勝手に予告するな。
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