複雑・ファジー小説
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- ふたり 《コメントください!》
- 日時: 2012/08/11 13:10
- 名前: きなこうどん (ID: FLOPlHzm)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11247
こんばんは。
そして、お久しぶりです、という人もいますか?
初めまして、というべき人もいるでしょう。
「この世界で」のきなこうどんです。(上のURLで行けます。)
新たな作品を書き始めたいと思います。
きなこうどんに初めて会う、という方がいれば、前作から読んでいただけるとありがたいです。
できれば感想もお願いします。(図々しいですが。)
前作から引き続きの方、どうもありがとうございます。
個々でいろいろ感じたことはあると思います。
その思いも引きずったままでこの作品を見てください。
もしかしたら、きなこうどんも成長しているかもしれませんね。
身勝手ながら、この頃は忙しいので、更新は遅くなってしまうかと思いますが、温かい目で見ていただけるとありがたいです。
コメントをする方は遠慮せずに、「本音」で!!!
敬語でなくても大丈夫です。いきなり友達感覚でも。
今回もよろしくお願いします。
- Re: ふたり ( No.10 )
- 日時: 2011/10/25 19:56
- 名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: 7BFkVMAM)
ふたりとも病気持ちですか・・・。切ない恋ですね。。。自分が何時死ぬかわからないから。。。ってトコですか??
あぁ、どうなるものやら・・・☆
- Re: ふたり ( No.11 )
- 日時: 2011/11/08 22:01
- 名前: きなこうどん (ID: QGQgEihT)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi
遥の何回目かの、起きろで、もうひとりの同部屋の患者がむっくりと起き上がった。そして、しわくちゃの顔を歪ませて、うるさいよ、もぉ、と言った。その言葉で愁もようやく起き上がる。
遥はいつものように声を上げて笑った。その声が心地良くカラカラと響く。
すると、それにつられて「ヨネ子」も枯れた声を立てて静かに笑う。
カーテンがひるがえっているのも、愁の寝癖も、ヨネ子の機嫌もいつもと同じ。
ふたりは既にお互いを好きなのに、そして、相手が自分のことを好きならいいのに、と思っているのに、未だにふたりは思いを抱え続けていた。
そうしながら、毎日やってくる何でもない朝に喜びを感じていた。昨日と何も変わらない朝。
起きて、食べて、検査をして、たいして遊べるわけでもなく、学校に行くこともなく……。
そして、それになぜ耐えていられるのか、と思うと、やはり相手の存在を意識せずにはいられない。
ふたりはずっと昔から一緒にいたのに、一番近くの存在の心には踏み込めてはいない。
そんなふたりはそれでもとても幸せだった。しかし、ふたりが病気を嫌だ、と思っているのもまた事実。だから、病気を持って生まれたことが実はふたりを幸福にしていた、とは気付いていない。
ふたりの恋は大した進展もないのに、静かにゆっくりと息づいていた。
そしてふたりともその気持ちを大切にしていた。
- Re: ふたり ( No.12 )
- 日時: 2011/12/17 00:01
- 名前: きなこうどん (ID: QGQgEihT)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi
「今日はいい天気だよ」
「さっきも聞いた」
「愁、寝てたじゃん」
「起きてた。さっき聞いたよ、それ」
ヨネ子は八十を過ぎた老人だ。不真面目に並んだ歯が覗く。
「愁坊ちゃん相変わらずだわね」
まだ眠そうな愁の顔をベッド越しにまじまじと見つめる。クマみたい
だ、と昔から遥は思っていた。
ふたりが出会ったのはふたりが九歳になったばかりのときだった。遥が元々いた部屋に愁が入ってきたのだった。ふたりは同じ病気で同じ年頃の小学生だったせいか、すぐに仲良くなった。そして、いつの頃からか、ほぼ同じ時期にふたりは本当に自分が抱いている感情に気づいたのだ。
恥ずかしくて誰にも言えない気持ち。
これまでずっと一緒に過ごしてきた人にさえ言えない気持ち。
そして、ふたりは個々で、隠していよう、と思った。
無理なことだから。
将来のことなど、考えられるほど長生きできないから。
ふたりを取り巻く環境がふたりの心を閉ざそうとしていた。今はこうして顔を合わせられるだけでいい、と満足させていた。だからこそ、隠していようとした。心の奥がうずいても、それをとっさに止めようとする自分がいた。
でも、実際のところ大人たちは、他では見られないようなふたりの雰囲気を何となくではあるが、感じ取っていた。「直子」や「ヨネ子」でさえ、だ。
そして、素直になれないふたりを見て、切ない、と感じながらも、こんなものかな、と思っていた。ふたりの恋は周りからの栄養をもらって育ったものでもある。
そんなふたりは、ひとつだけ約束をしていた。もともとふたりは約束なんか嫌いだった。遥も愁も。約束をしても、大抵破ってしまうからだ。
来週はみんなで海に行こう——。明日は外食しよう——。買い物に、勉強を一緒に……。家族や友達とそんな約束をしても、体調が悪ければ中止される。だから、普通の友達は離れていったし、家族はいつも自分たちの体調を気にした。
それが嫌でふたりは約束をしないようにしていた。
しかし、好きな人と一緒にいるために、この約束をふたりで誓ったのだ。好きだ、という気持ちを明かせない代わりに、この約束に全ての思いをのせた。
もし——。
この存在だけは大人たちは気付いていない。ふたりの恋の結末がもう決まってしまったかのようなこの約束だけは……誰も知らない。でも、知らなくてもいいのだ。むしろ知らない方がいい。こんな薄汚れた約束な
んか知らなくてもいいのだ。
——大切にしよう。ずっと一緒にいよう。
- Re: ふたり ( No.13 )
- 日時: 2011/12/17 00:03
- 名前: きなこうどん (ID: QGQgEihT)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi
何日も空けていてすみませんでした。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
- Re: ふたり ( No.14 )
- 日時: 2011/12/18 16:25
- 名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: zr1kEil0)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?mode
2人はどんな約束をしたんでしょうねぇ・・・。 何か切ないです・・・。病は気からだよ2人とも!!w
もう来ないのかと思っていたのでまたお話が読めて嬉しいです。
更新、頑張って下さい!!