複雑・ファジー小説

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「私は去ります。さよなら。」 ——曖昧模糊な短編集
日時: 2012/02/09 23:45
名前: N.Clock ◆RWBTWxfCNc (ID: 5E9vSmKZ)

 おはようございます。こんにちは。或いは今晩は、はじめまして。

 N.Clockことトケイバリと申します。
 別名「雑踏(L.A.Bustle)」とも「サクシャ(SHAKUSYA)」とも言います。知ってるヒト多分居ないでしょうケド。


 さて、スランプに陥ってしまい小説が書けなくなりました。

 よってこのスレはまた短編熱気が再来するころにもう一度上げます。

 これまでのご支援及び御題・キャラクターの提供をしてくださった皆さん、ありがとうございました。


 

Thank you for watching my novels.

See you next time.

Bye-bye.

Re: 「さあ皆、鬱になれ」 ——曖昧模糊な短編集 ( No.28 )
日時: 2012/01/09 16:03
名前: N.Clock ◆RWBTWxfCNc (ID: 5E9vSmKZ)
参照: http://www3.atpaint.jp/kakiko/src/kakiko1326092362216.jpg/img/

ヘタくそですが、マウスでビワさんを描いてみました。URLから飛べます。
ビワさんはこんな猫です。こんなのを想像しながら物語をお楽しみください。

Re: 「さあ皆、鬱にな ( No.29 )
日時: 2012/01/11 16:16
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)

お題・キャラクター、使っていただきありがとうございました!

なにこれ素敵。竜胆と世界が、とても幸せそうでうれしいです。
と、いうか世界まで出していただいて…。
あああああっ!となりましたw歓喜あまって飛び降りそうw

素敵なおはなし、ありがとうございました!

Re: 「さあ皆、鬱になれ」 ——曖昧模糊な短編集 ( No.30 )
日時: 2012/01/15 21:44
名前: N.Clock ◆RWBTWxfCNc (ID: 5E9vSmKZ)

>>29
返信遅くなりました。お詫び申し上げます。

 此方こそ御題・キャラの提供ありがとう御座いましたm(_ _)m
 素敵とか……素敵とかマジ素敵……竜胆と世界をセットで出して良かったと今思えましたよ……うふふあははうふ(ry
 ワタクシにはどーしても竜胆と世界のペアを引き離すことが出来ませんでした。表面だけ取り繕ったものかもしれないけども、それでもあんな二人に「爆発しろww」とか言えないです私には。
 ギャー、飛び降りんといてください、後片付けが大変!((

 此方こそ、御題もキャラもありがとうございました!!!

Re: 「さあ皆、鬱になれ」 ——曖昧模糊な短編集 ( No.31 )
日時: 2012/01/16 01:08
名前: N.Clock ◆RWBTWxfCNc (ID: 5E9vSmKZ)
参照: 意外なほど早く書けた。

【闇夜、裏口とカーテン。】(世梨果様より)
 ちょっと息を吐くだけでも蹲ってしまいたいほどの激痛が脇腹に走る。それでも走らないわけにはいかなかった。
 何しろ俺はカシラの頭を吹き飛ばされたヤクザの三下や幹部連を背後に連れまわし、銃弾と罵声怒声が雨霰と降ってくるような逃げ道の真っ只中に居るのだ。ヘタに倒れたり座り込んだりなどして弱みを見せたら、俺は来月くらいになってコンクリ詰めにされた腐乱死体になって発見されること請け合い。そんな状況で止まる奴のほうがどうかしている。
 銃弾は脇腹を掠っただけだが、ずっと走り続けている所為で傷口は開きっぱなし。血はタオルで押さえても止まらない。走りながら、畜生、と叫んでも何も変わらない。そうしている間にも血の気が引き、朦朧としてくる意識を舌を思いっきり噛んで覚ましながら、俺は縺れる足で路地裏へと駆け込む。俺よりも重症の柳が先に逃げ切れたことが何よりだった。
 ヤクザ共が俺を追いかけて路地裏へと駆け込むが、元々二人横に並んで通ることすら難しい狭い道だ。当然のように入り口に人は殺到し、その結果思いっきり閊え、退けだの邪魔だのチンピラ同士で喧嘩が始まった。俺はその間に大急ぎでもう一本路地を入り込み、生ゴミや回収されない粗大ゴミが散乱する中を駆ける。
 刹那。
 「うづッ!?」
 冷や汗も引くほどの激痛に思わず足が止まる。
 振り返って見れば、張られていた柵が破れて金網の一部がトゲのように飛び出しており、そこで銃創をまた掠ったらしい。心の中で金網に罵声を浴びせながら、俺はふと頭上から視線を感じ、直ぐ真横に立っている煤けたアパートを見上げる。同時に、三階の一番右端の部屋のカーテンが閉まった。一瞬だが髪の長い男の横顔が見えた。
 クソったれ……見られたか。
 俺は毒づきながらまだヤクザの声が遠くにあるのを確認し、迷わず直ぐ近くにあったアパートの裏口らしき扉の鍵をピッキングして抉じ開け、中に入って再び鍵を閉める。ここまで来るのに随分と血を流してしまった。立っているだけでもふら付く有様だが、それでも何とかして俺の顔を見た奴だけはどうにかしないといけない。
 途端に重くなった足を引き摺って古いコンクリの階段を上がり、薄汚れた廊下を右折して、「珊瑚」とネームプレートの掛かった一番右端の部屋の扉を叩く。あまり時を置かずしてドアは静かに開き、脇にノートパソコンを抱え不機嫌そうな顔をした碧眼の青年がぬっと隙間から顔を覗かせた。
 誰、と言わせる前に俺は銃を引き抜き眉間に突き付ける。しかし青年は誰だよ、と取り乱した風もなく尋ね、俺から返答がない事を知ると不機嫌そうに眉を顰めたまま、至極冷静に両手を挙げてくるりと踵を返した。見た限りじゃ別に俺達のような人間でもなさそうなのに、妙に手馴れている。気色悪い応対だ。
 「ったく……夜中に何なんだよ」
 そう言ってさっさと部屋に上がろうとする彼の頭に俺は銃を押し付ける。立ち止まった奴は振り返ってもう一度体を相対し、何の前触れもなくパソコンを持っていない左手で眉間に突きつけた回転式拳銃のシリンダーを手で掴んだ。驚愕で一瞬固まった隙にソイツは手にしたパソコンで俺の手を力任せに引っ叩き、素早く銃を引っこ抜いて遠くに投げ捨てる。
 得物は何もなくなった。途方に暮れてとりあえず血の溢れる脇腹を押えた俺に、ソイツは哀れみも侮蔑も含まない、只管不機嫌そうな視線を向け、やはり不機嫌な色しか含まない、ただただ苛立った声を上げた。
 「とりあえず、上がれば?」
 「ははっ、良いのか? あんなことをした奴を入れるんだぜ……」
 素直に驚きつつ、無理に笑い飛ばす。だが、奴は当たり前のように続けた。
 「命が惜しくなけりゃいいんだぜ、オレは別に」
 「ッ——ちくしょッ……分かった、従えばいいんだろ?」
 俺の返事を聞き、初めてソイツがふっと微かに笑みを零した。
 途端、心の中で何か張り詰めていたものが瓦解し、言い知れぬ安堵が水の中に落とした絵の具のように広がる。それと同時に急速に視界が暗くなっていき、膝の笑っていた足からも一気に力が抜けて、立てなくなった俺はその場に膝を落とした。ぎょっとしたような顔が視界の端を掠める。
 「おい……」
 遠くから聞こえてきた声に、答える気力は既に無い。

Re: 「さあ皆、鬱になれ」 ——曖昧模糊な短編集 ( No.32 )
日時: 2012/01/16 01:17
名前: N.Clock ◆RWBTWxfCNc (ID: 5E9vSmKZ)
参照: 「俺」のほうが少し口が悪い。

 椅子か何かが軋む小さな音を耳に捉えた瞬間、僅かに残っていた眠気が吹っ飛んだ。そして俺は掛けられた布団を撥ね退けて飛び起きたが、その途端脇腹にバットか何かで殴られたような激しい衝撃と目の前が一瞬暗くなって脳裏に火花が散る程の激痛が走り、声も無く背を丸めた。
 余りの激痛に飛び出した乾いた咳を無理に抑え、状況を把握するために少し辺りを見回す。
 茶の系統色で纏められた、狭いが落ち着いていて中々雰囲気のある一人用の部屋で、俺はその部屋の三分の一を占めているベッドの上に寝ているらしい。音の原因を探ろうとしてもう少し首を回すと、本棚の直ぐ近くに置かれた机の傍、二脚並べた椅子の上でタオルケット一枚を布団の代わりにし、救急箱を足元に転がして寝転がっている昨日の奴が。
 まさか、と思って昨日の傷を探ってみると、僅かな疼痛と包帯の感触が感じ取れた。
 やはりアイツがやったらしい。余計な真似をしやがって、とまで言う気は流石にないが、見ず知らずの上自分を生命の危機に晒したような奴を何故彼は助けたのか。昨日の妙に慣れた手付きといい、ヤクザが銃撃戦をぶちかましてるような所に住む根性といい、また何といい、どうも不気味な奴だ。
 「おい、お前」
 「碧だ……代名詞で呼ぶんじゃない」
 お前、と呼んだ瞬間、向けられる不機嫌さを隠しもしない顔。光が見えない碧眼は平生から薄っすらと殺意を帯び、その心の奥まで貫き通してしまうような鋭い眼に知らぬうちに身震いする。俺はそんな身の震えを奥底に押し殺し、脇にズキズキと来る疼痛を堪えて空笑いをしてみせた。
 「良いのかよ? 素性の分からん奴にホイホイ名前を教えて」
 「良いんだぜ? 出て行ってもらってもオレは一向に構わない」
 言いながら、碧は見せ付けるように、慣れた手付きで銃から銃弾を引っこ抜く。そして黙り込む俺にその銃弾を抜いた銃を投げ、椅子から起き上がって足元に蹴飛ばした救急箱を拾い上げると、四発分の銃弾を玩びながら別の部屋に去っていった。一人部屋に取り残された俺は、見るともなしに少しだけ開いたカーテンの隙間から外を覗き込んでみる。
 乾いた鳴き声が窓越しにも良く聞こえた。
 鳴き声の主はゴミ漁りの達人ことカラス。そいつ等が数十羽も、昨日俺が脇を引っ掛けたフェンスの近くに群がっている。その真黒い姿と砂のように乾いた、姿の厳つさには似つかわしくない高い鳴き声に妙な悪寒が背に走るのを感じつつ、少し視線を移動させると——見えた。
 黒いスーツに、目印と言っても過言でない鳳凰のペンダント、
 昨日俺に手傷を負わせた、あのヤクザの幹部。
 ……誰が一体。あんな奴の頭を狙って打てる奴なんかそうそう居ないハズなのに。

 「——ヤクザが五月蠅かったんで一発借りただけだ」
 戦慄する俺の背後から、何の衒いもない声が肩越しに飛び込んでくる。振り返ると、何時の間にか部屋に入ってきた碧が二人分のカップを持って、並べた二脚の椅子のうち一脚に座りかけるところだった。その端整な横顔には相変わらず自慢たらしさも衒気もなく、ただ事実を告げる真顔だけがあった。
 まさか彼が奴を撃ったのか。しかも一発で、頭を。
 「あのなあ、そんないきなり言われても信じられねえこと、唐突に言ってくれるなよ……アイツはプロの殺し屋が銃と丸腰の三対一で返り討ちに遭うような奴なんだぜ。しかも素人が銃なんかそうそう簡単に撃てるとでも思ってるのかよ? ヘタに撃ったら反動で肩の外れるような代物をさ……」
 「っせえな……事実だよ。でなきゃ誰がアレを始末するってんだ」
 平然と返して碧は手の内に握りこんでいた銃弾を一個ずつ、何かを慈しむように机の上の写真立ての前に並べ、そして並べ終わったところで白黒二つあるカップのうちの白い方を徐に手に取って此方に歩いてくる。反射的に身構えた俺に碧はふっと面白そうに、少しだけ自嘲気味に笑いかけ、声を投げた。
 「あんた、オレを殺すか?」
 「……あんたじゃない。榊だ」
 友人が柳以外に出来そうだ。

<fin>

 え、えーと……
 凄まじくキャラ崩壊が起こっちゃってますね。珊瑚さん、ひたすら口が悪いだけで全然無口じゃなかったです。しかも設定の大部分を生かしきれてないというこの酷さっ……!!
 裏通り関連の話は割と荒削りで男臭い描写も多く、をなごの身としては中々楽しく書いてるのですが、今回ばかりは色々と反省です。ううう…orz

 全くもってキャラの特性を生かせなかったこと、深くお詫び申し上げます。


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