複雑・ファジー小説
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- 世界と一緒だから。
- 日時: 2012/08/19 10:58
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17934
「世界、愛してるよ」
こんにちは、こんばんは、おはようございます。
この作品は、シリアス・ダーク板で連載させていただいていた作品のリメイク+続編となっています。
旧作『世界と一緒。』のURLは参照にあります。
☆目次
>>5
★人物紹介
久谷竜胆 >>26
代沢世界 >>29
時野始 >>36
☆経歴
08/01 参照300突破
08/04 旧作『世界と一緒。』 参照1500突破
08/10 参照400突破
★更新情報
08/19 四話め。 愛情と狂気は紙一重 5 >>37
☆Thanks!!
揶揄菟唖様 『コドクビワ、キミイゾン。』などを書いていらっしゃいます。
クリスタル様 『鏡の国の君を捜して……』を書いていらっしゃいます。
その他、読んでくださっているみなさま。
では、ごゆるりと
- Re: 世界と一緒だから ( No.33 )
- 日時: 2012/08/08 14:17
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
- 参照: 久々の更新
【四話め。 愛情と狂気は紙一重 2】
黒谷の言葉に若干疑いながらも星野が調べると、ぼろぼろと情報が出てくる。湯本有香というクラスの女子のボスが去年からの兎崎イジメの主犯であること、未だに虫の入った手作り弁当を兎崎に食わせていたこと、事件当日の五限目は「旧校舎でサボる」と言っていたこと。次々と明らかになる情報に、星野も僕も違和感を覚えていた。彼女が一年かけても見つからなかった情報が、ほんの数日で明らかになる。おかしいと思わない方がおかしい。
「多分全部、黒谷が糸を引いてるよ」
先週の金曜日、僕らの知らない間に退学になった湯本の席を見つめながら、星野が呟いた言葉。結局、誰が兎崎を殺した犯人なのかはっきり知らないままに、湯本が犯人となって消えた。でもきっと、黒谷が関わってきていなければ、湯本が犯人だと突き止めるまでに至らなかった。アイツが、全てを知っていてもなんらおかしくないと思うのは不思議じゃない。それでも、黒谷を問いつめて敵を増やすような行動をしないのが、星野の賢さの現れだった。
僕が聞けば何か教えてくれるかな。そう思いながらも、黒谷といると世界が拗ねるし、そもそも僕は情報云々に興味がない。
- Re: 世界と一緒だから ( No.34 )
- 日時: 2012/08/09 20:35
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
【四話め。 愛情と狂気は紙一重 3】
「く、久谷くん!」
なんか、なんでもいいやー、と自分も眠りにつこうとするといきなり声をかけられた。寝ようとしたところを邪魔され、イラッとして顔をあげるとそこには、学年内でも人気の高い(と星野が言っていた)女子が立っていた。何故か世界をチラチラと見ながら、何か言いたげに口を開いたり閉じたりしていた。……言いたいことがあるなら、さっさと言ってくれないかなうざったい。
「久谷くんはその……、白沢さんと、付き合ってるの……?」
消えそうな声で、女子が言う。他にも何人かが、こちらの様子をチラチラと見ているのがわかる。告白でもする気なんだろうかと思いながら、目を細めて目の前の少女を見る。名前すら覚えられていない相手に、それを知らないとしても恋心なんて抱けるのか。馬鹿みたいだ。
「付き合ってなかったとしたら、どうすんの?」
首を傾げ、薄ら笑いを浮かべながら問いかけると女子は、頬を薄桃色に染めてうつむいた。あぁ、なんだ。この子も見た目ばっかの、中身スッカラカンか。くっだんねぇ、と笑みをうかべると女子は益々頬を赤くした。……ばっかみてー。
- Re: 世界と一緒だから ( No.35 )
- 日時: 2012/08/14 09:45
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
- 参照: 久々の更新で申し訳ないです。
【四話め。 愛情と狂気は紙一重 4】
「なあんて、残念だったね。もし仮に世界が恋人じゃなかったとしても、他の子と付き合う気なんて微塵もないから。世界以外を愛すなんて有り得ないね」
くつくつと馬鹿にしたように笑うと、女子は益々顔を赤くする。もちろん、怒りで。下唇を噛みしめて、睨みつけてくるその仕草はまるで赤鬼みたいで。怖いなぁなんて思っていると、女子が口を開いた。
「な、んで……、なんでよっ! 私の方がずっと可愛いじゃない! 頭も良ければ料理もできて……あんな“落ちこぼれ”のどこがいいのよ! 私の方がっ」
がんっ、という鈍い音で女子が口を閉じた。何の音だろうかと思っていたけれど、足に伝わる痛みから無意識に机を蹴っていたことに気づく。女子が黙ったのはチャンスなので、そのまま言葉を続ける。もちろん、僕を見つめるおびえたような目には気がつかないフリをして。
「たとえ世界がいなくて、君が見た目だけは可愛かったとしよう。それでも付き合うわけないだろ。なんで、人を貶めるような発言が平気で出来る性格ブスと付き合わなきゃならないわけ? 今周りで見てる子たちもそうだ。人に好かれたいなら、性格には気をつけてよ」
- Re: 世界と一緒だから ( No.36 )
- 日時: 2012/08/15 08:51
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
【今更ながら 人物紹介 3】
名前:時野 始(トキノ ハジマリ)
性別:男
身長・体重:176cm/60kg。BMIは19。
誕生日・年齢:2月25日生まれの16歳。誕生花はカランコエ
性格:物静かだがわりと毒舌。思慮深い。仲間に対する思いやりが深い。
星野や友人を傷つけられることを極度に嫌う。が、基本的には全てに無頓着。
容姿:灰色の柔らかい髪に、やや猫目気味の深緑の瞳。
服装:星野からのプレゼントの猫耳パーカー。色は毎日変わる。
下は細身のジーンズやカーゴパンツが多く、基本的にはハイカットのスニーカーを好んではいている。
休日もその格好だが、フードを脱いでいることも多い。
趣味:近所の猫と戯れること。昼寝。
好きな食べ物・嫌いな食べ物:好きなのは、竜胆のご飯と鶉の卵とチュッパチャップス。
嫌いなのは、ドクターペッパーと母親の料理と人参。
特技:どこでも寝れる。パッと見ただけで物事をだいたい覚える。
好きな人・嫌いな人:星野と竜胆と世界は好き。母親、光、神代は嫌い。
- Re: 世界と一緒だから。 ( No.37 )
- 日時: 2012/08/19 10:46
- 名前: 山田威刻 ◆YyoUezf27o (ID: 49KdC02.)
- 参照: 代理投稿です。
【四話め。 愛情と狂気は紙一重 5】
いつもなら出さない、自分でも驚くほどの冷たい声。自分が怒っているのが、いやでもわかる。どうでもいい奴に時間をとられただけではく、そんな羽虫同然の奴が世界を侮辱したんだ。身の程知らずに甘い態度をとってやるほど、僕は優しい人間じゃない。
「ねぇ、まだ何か用?」
信じられないというような表情で僕を見つめている女子に、笑顔で問いかける。僕の笑顔を見て、女子は弾かれたように走り去って行った。そんなに怖い顔をしたつもりはなかったのに、なんて思ってもない冗談を心の中で呟いた。……あ、でもこれって思ってるのか。
どうでもいいことを考えていると、世界が小さく身じろぎした。ぼんやりと開かれた鳶色の瞳は、僕をじっと見つめている。「世界」と小さく声をかけると、まだ寝惚けているのかだらしなく、へにゃりと笑った。
「うにゃ……、りん、どー?」
寝起きのどこか掠れた声で、世界が僕を呼ぶ。それがひどく幸せそうで、思わず立ち上がって、世界を強く抱きしめた。あぁ、もう。なんて可愛い人なんだろう、貴女は。愛しい愛しい世界は、抱きしめられたことで目が覚めたらしく、腕の中でなにかごちゃごちゃ言いながら暴れていたけれど、それでも抱きしめ続けると、諦めたらしく大人しくなった。
とくん、とくん。腕に、世界の鼓動が伝わってくる。暴れていたわりには落ち着いた鼓動に、僕といて安心してくれているのかなぁ、と自惚れてみる。あながち、自惚れでもないのだろうけど。
「あぁ、もう。大好き、世界。さらさらの髪の毛も、まあるい瞳も、小さな鼻も、柔らかい唇も、細くて折れちゃいそうな首と腕も、桜色の爪も、なめらかで長い足も、少し子供っぽい舌たらずな声と喋り方も、優しい性格も。何もかもが、愛しくて大切で。食べちゃいたいくらい大好き。愛してるよ。」
ぎゅう、と抱きしめたまま囁くように告げると、少しだけ世界の鼓動が速くなったのがわかった。恥ずかしいのか、胸元に顔を埋めてくる。くすぐったいのと、それ以上に世界が愛しくて、胸の辺りがきゅうと苦しくなった。
世界の鼓動が伝わるように、僕の鼓動も彼女に伝わっているだろうか。