複雑・ファジー小説
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- 世界と一緒だから。
- 日時: 2012/08/19 10:58
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17934
「世界、愛してるよ」
こんにちは、こんばんは、おはようございます。
この作品は、シリアス・ダーク板で連載させていただいていた作品のリメイク+続編となっています。
旧作『世界と一緒。』のURLは参照にあります。
☆目次
>>5
★人物紹介
久谷竜胆 >>26
代沢世界 >>29
時野始 >>36
☆経歴
08/01 参照300突破
08/04 旧作『世界と一緒。』 参照1500突破
08/10 参照400突破
★更新情報
08/19 四話め。 愛情と狂気は紙一重 5 >>37
☆Thanks!!
揶揄菟唖様 『コドクビワ、キミイゾン。』などを書いていらっしゃいます。
クリスタル様 『鏡の国の君を捜して……』を書いていらっしゃいます。
その他、読んでくださっているみなさま。
では、ごゆるりと
- Re: 僕の世界と愛情と ( No.1 )
- 日時: 2012/07/29 06:24
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【零話め。 昔の話を少しだけ 1】
窓越しに見える雲一つない青空に浮かぶ真夏の太陽を、頬杖をつきながらぼんやりと眺める。じりじりとした日差しに目を細める。変わり映えのない外の景色にも飽きてしまって教室を見回した。授業中のせいで、ほとんどの奴が下を向いている。隣の席の世界も、一生懸命に黒板を写している。やっぱり、学年で下から数えた方が早いような成績からは脱出したいらしい。世界が頭を動かすたびにさらさらと揺れる茶髪が、日差しに照らされ艶やかに光る。綺麗だ。
少し熱くなった頬をごまかすかのように、前の席へと視線を移す。普段はうるさい星野も、普段も静かな時野も、お互いにアホ面を晒すように眠っている。寝息をたてるたびに、時野のパーカーの猫耳が揺れる。ふわり、と欠伸をもらした。
こつん、と生温い机に額を当てて目を閉じる。暑いせいで、体力を奪われているらしい。うつらうつらと、すぐに睡魔が襲ってくる。行ったり来たりを繰り返す意識の中、遠くの蝉の声が鮮明に聞こえてくる。
じりじりと首筋を焼く太陽と、やかましいくらいの蝉の声。こんな日は必ず、僕らが少しだけ非日常に踏み込んでしまった、“あの日”の出来事を思い出す。
- Re: 僕の世界と愛情と ( No.2 )
- 日時: 2012/07/15 13:41
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【零話め。 昔の話を少しだけ 2】
あの日も、やっぱりじりじりと太陽が照りつけていた。蝉もミンミンミンミン鳴いていて、お前ら気合い入りすぎだろうと悪態をついた記憶がある。未だに、夏になるとあいつらがハッスルし始める理由が僕には理解できずにいる。
そんな中僕が連れて行かれたのは、山奥のプレハブ小屋もとい生き地獄だった。ああ、そうだよ。地獄以外に、あれを形容する言葉は僕の少ない語彙じゃ見つからない。当時8・9歳だった僕には、あまりにも残酷であまりにもグロテスクで。世界と手を繋ぐのすら恥ずかしがるような僕が歪むのは、簡単だった。
扉の先にあったのは、無数の真っ白な死体。どれもこれも、当時の僕と同じくらいの女の子だった。みんな、足をぐったりと投げ出した体制だった。彼女たちにこびりついていた白い何かの正体は、今ならイヤでもわかってしまうだろう。小屋中に充ちた、鼻をつくような生臭い香りと腐臭も、そうだ。
僕の最愛の世界は、その奥の奥のテーブルの上にいた。縛られ、目隠しをされて。実の父親に体をまさぐられて。イヤでも漏れてしまう声を、幼なじみに聞かれて。見つめられて。彼女は、何を思っていたのだろうか?