複雑・ファジー小説
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- 星憑のエルヒューガ
- 日時: 2018/02/21 02:56
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: OxIH1fPx)
星憑(ホシツキ)。
それはいわゆる「ヒーロー」のようなモノであり、この世界の子供の憧れである。
しかし誰一人としてその存在を見た人はいなく、架空の存在であると信じていた。
かくいう僕もその一人であったのだ。
————ついこの前までは。
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初めまして、夕暮れメランコリーです。
こちらで小説を書くのは初めてですので、仲良くして頂けたら幸いです。圧倒的不定期更新。
感想、批評大歓迎ですが、荒しが目的の人はお帰り下さい。
参照が恐ろしいことになっていて作者はとても混乱しております、とにかく亀更新なこの作品を読んで頂きありがとうございます……
※キャラ名色々変更しました。元ネタがわかるとクスリと出来るかもしれません。
【一話:箱庭ノ中】
>>1>>2>>5>>6>>7>>8>>9>>10>>11>>12>>13>>14>>15
【二話:蠍ノ少女】
>>16>>17>>18>>19>>20>>21>>22>>23>>24>>25>>30>>31>>32
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.23 )
- 日時: 2015/05/06 18:15
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: BJQqA4RR)
「とにかくその何だか凄いコンピュータのHALさん、僕が契約している星座について何かわかったりします……?」
『はい。新規契約者ヨダカの契約した星座についてですね。情報を公開可能と判断した範囲で開示致しますので少々お待ちください』
思わず条件反射で「お願いします」と返事をしてしまった。コンピュータに返事をするのはおかしい事なのかと思っていて、後ろの兄弟に笑われるのではないかとひやひやしていたが別にそんな事は無いようだ。
確かにこのコンピュータ、声だけならば人間と大差ない程だ。発言に人間の温かみが無いけれども。
そんな考え事と自分の契約したのが一体何の星座なのかという緊張感が心を埋め尽くしていた為、僕の耳にはシグナルさんの呟きが入ってこなかった。
「『公開可能と判断した範囲』、か……」
『お待たせしました。情報を開示致します』
音声と同時にHALの上に長方形をした何かが幾つか浮かび上がる。その長方形には文字が書いてあるようで、それを読むために僕は長方形の何かの一つへと近づいた。
そこには僕の名前と詳細なプロフィールが書いてあって、いつの間に調べられたのか大層驚いた。が、一番僕が驚いたのはそこじゃあない。名前の下に書いてあった契約星座の項目だ。
「……へっ?」
いやいや、まさか。もう一度よく見てみる。もしかしたら似たような名前の星座かもしれないじゃないか。しかし無慈悲にもその項目はきちんとその名前を示していた。
「どうしたヨダカ?」
「なになに、契約した星座がめっちゃ強くて手に負えない存在だったとか?それとも逆?」
興味深々といった様子でシグナルとシグナレスが僕の見ている長方形を覗き込んでくる。正直僕はこの長方形を隠したい気持ちでいっぱいだった。
「えっ」
「……マジ?」
二人同時に目線を長方形から僕の顔に移す。ああもう、穴があったら入りたい。
「まぁヨダカの顔なら確かにいけそうだけど……」
「性別関係ないもんな、契約する星座って。でも逸話的にどうよ?」
「諸説あるとは言え、あれはヨダカの性格じゃないよな」
『どうかしましたか。開示された情報に何か問題でも』
何も問題は無いし多分事実なんだろうけど、でも言わせてもらうなら顔を見てその星座だと納得するのはどうかと思う。
もう一度見間違いだったらいいな、と淡い希望を抱きながら長方形を見る。見間違いなんてそんな事は無かった。
『契約星座:カシオペア座』
きちんとそうやって記されていたから。
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.24 )
- 日時: 2015/05/07 19:31
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: BJQqA4RR)
「やあシグナレス待ちくたびれたわよ、新人の付き添いって事で今回は見逃してあげるけど——嗚呼私って優しい!——次は無いわよ覚悟なさい」
部屋から出た瞬間、赤いリボンが特徴的な謎の少女に突っかかられた。正確には僕ではなくてシグナレスが。そういえばシグナレスは誰かに呼ばれていたとかそうじゃなかったとか言われていたっけ、と唸っているとシグナルさんが親切にも教えてくれた。
「あいつは俺らと同じ星憑のホモイ。契約星座は蠍座。俺らよりも後に加入したにも関わらずめきめきと頭角を表し始めて、今や星憑の中じゃ十本の指に入るくらいの強さだ」
「それは聞き捨てならねーぞ、その十本にはきっちりしっかりこの俺シグナレスも入っているんだからなっ、こいつより上位で」
「いーや、私の方が上よ。私だったらアンタが討伐しに行ったホシクイくらい十分もかからずにフルボッコしちゃうんだから!」
途端、シグナレスが意地悪そうに笑った。ホモイと呼ばれた少女はその笑顔に「な、何よ気持ち悪い」と後ずさりする。
「へぇ〜十分ねぇ!十分!遅い遅い遅すぎる!俺は五分で相手の体力を半分以下にまで削ってました倒せましたぁ〜!……多分」
しかしそこでシグナルさんはシグナレスの言葉を遮った。一部おかしい所があるぞと言わんばかりに。
「シグナレス、お前が体力を削ったかもしれないがトドメはヨダカだろう。ヨダカがあの場で契約しなかったら今頃どうなっていたか」
うぐっ、と追い詰められた犯人のように顔面蒼白になるシグナレス。僕個人としてはそのまま手柄をシグナレスのものにしても良かったんだけれども、シグナルさんはどうやらそうもいかないらしい。
ホモイはホモイで戸惑ったように僕の顔とシグナレスの顔を交互に見ている。なんだかシグナレスがいたたまれなくなって僕は咄嗟に「ごめんなさい!」と謝っていた。僕が謝る場面ではないのに。
「……この、新人が?」
「ああ」
「情報じゃかなりの大型ホシクイだったわよね?それを新人が?」
シグナルさんは頷く。シグナレスも渋々だが頷く。手柄を横取りしようとした手前気恥ずかしいのかもしれない。というか十中八九そうだ。
「————これは、レオーノ以来の大型新人かもしれないわよ」
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.25 )
- 日時: 2015/08/01 22:41
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: 5dLFZzqu)
「んで、そのあんた————ヨダカだっけ?は何の星座と契約してるの?」
「え、ええっと、それは」
どうしよう、僕自身もまだあまり受け入れられていない事実を問いただされた。今言うのもあれだけどもうちょっと格好いい星座と契約したかった。オリオン座とか。ああでもそうなるとホモイさんと対立することになるか。星座的に。
「あーこいつの契約星座!?聞いて驚け男でこんな気弱で到底『自分が一番綺麗』とか言いそうにもないくせにカシオペア座だ!」
うじうじ僕が悩んでいるとシグナレスがホモイの問いに答えた。答えてしまった。正直僕はもう穴があったら入りたい気分だ。シグナルさんが申し訳なさそうな、僕の心中を察したような微妙な顔をしてこっちを見てきた。
「か、カシオペアぁ!?」
なんだかぎょっとしたような顔をしてホモイが僕を見る。やっぱり男がカシオペア座って相当な違和感でもあるのだろうか。カシオペア自体の伝承と僕の性格の食い違いという面もあるのだろうが。
「カシオペアって、あのカシオペア?Wの形してるアレ?」
「まあ、そうなります、かね?」
それ以外のカシオペア座ってむしろあるのか、と思ったけれど黙っておいた。僕だって疑問符で返しちゃったわけだし。
「……どうしたホモイ。そんな考え込んで。いつものお前なら「まあいいかそれよりシグナレス倒す」みたいな感じだったじゃないか」
「シグナルあんたも大概酷いわよね」
ホモイは「シグナレスよりはいいけど」と付け加えてから僕に向き直った。
「ヨダカ、あんた今度私の任務に付いてきて。期待の大型新人の実力も推し量りたいし」
世界が固まった気がした。
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.26 )
- 日時: 2015/08/03 09:20
- 名前: 佐渡林檎 (ID: Xr21cKIW)
お初におめにかかります、佐渡林檎という者です。
題名から惹かれて見ていたら、ノンストップで読み終わりました。
宮沢賢治さんの世界観を開拓されているようで、見ていてニヤニヤしていました。気持ちが悪いですね。すみません。
普段自分は、登場人物が多いとギブアップするのですが……スラスラ読めました。一人一人個性があって凄いと思います。
最初の部分でまさか豚野郎が死ぬとは思ってはいませんでした……、それなりに予想していたのですが。
一番好きだったのは『星に願いを』と云うヨダカ君ですね。鳥肌ものでした本当に。間の取り方とか自分の好きなやつでして。
急に物語の途中でコメントすみませんでした、本当に面白かったもので……。
またうざいかもですがこれからも感想をぶつぶつ言う心算ですので……宜しくお願いします。
- Re: 星憑のエルヒューガ ( No.27 )
- 日時: 2015/08/23 16:37
- 名前: 夕暮れメランコリー (ID: 5dLFZzqu)
佐渡林檎様
まずは拝読頂きありがとうございます。正直言って滅茶苦茶嬉しいです。奇声上げました。
個人的にも「星に願いを」の場面は良く書けたかなと思っていましたので気に入って頂けて嬉しいです。
これからも読んで頂けるよう不定期ではありますが更新の方頑張りますのでどうぞ完結まで見捨てないで下さい。