複雑・ファジー小説

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星憑のエルヒューガ
日時: 2018/02/21 02:56
名前: 夕暮れメランコリー (ID: OxIH1fPx)

星憑(ホシツキ)。
それはいわゆる「ヒーロー」のようなモノであり、この世界の子供の憧れである。
しかし誰一人としてその存在を見た人はいなく、架空の存在であると信じていた。
かくいう僕もその一人であったのだ。
————ついこの前までは。









*********************
初めまして、夕暮れメランコリーです。
こちらで小説を書くのは初めてですので、仲良くして頂けたら幸いです。圧倒的不定期更新。
感想、批評大歓迎ですが、荒しが目的の人はお帰り下さい。

参照が恐ろしいことになっていて作者はとても混乱しております、とにかく亀更新なこの作品を読んで頂きありがとうございます……

※キャラ名色々変更しました。元ネタがわかるとクスリと出来るかもしれません。

【一話:箱庭ノ中】
>>1>>2>>5>>6>>7>>8>>9>>10>>11>>12>>13>>14>>15

【二話:蠍ノ少女】
>>16>>17>>18>>19>>20>>21>>22>>23>>24>>25>>30>>31>>32

Re: 星憑のエルヒューガ ( No.3 )
日時: 2013/08/11 17:03
名前: 石焼いも ◆ns5PzeHZB. (ID: hPHSBn6i)

初めまして。石焼という者です。タイトルに惹かれて閲覧させていただきました。

光景がすぐ思い浮かぶような描写と魅力的なキャラクターに心打たれました。ツボにドストライクといいますか。世界観がとても好きです。
箱庭の王国。ロマンチックで胸躍ります。
そして主人公のヨダカくんと少年のこれからがとても気になります。特に豚(というとアレですが)くんのどうしようもなさが(笑)。

猛暑が続きますが執筆頑張って下さい。陰ながら応援しております。
短文失礼しました。

Re: 星憑のエルヒューガ ( No.4 )
日時: 2013/08/11 17:58
名前: 夕暮れメランコリー (ID: hMEf4cCY)

石焼いも様

こ、こんな駄作にもったいなきお言葉ありがとうございます……!
いやホントに自分で書いていてアイツこと豚は「ああこいつ実際いなくて良かった」と思いましたね……

どうか最後までご愛読のほどお願いします。

Re: 星憑のエルヒューガ ( No.5 )
日時: 2013/08/11 18:40
名前: 夕暮れメランコリー (ID: hMEf4cCY)

「いや、えと、あの、改名って色々面倒な手続きとかあるんじゃないですかね……?」
 と言うかこの国で改名って認められているのかどうかが心配だ。法律とか政治に関しては僕、そんなに詳しくないし。
「そんなものは後ですればいい」
 いやいやいやいや。
「そうだな、じゃあ特別にこの俺が名前をつけてやる」
 うわー、超いらねーよその親切心。
 ……もちろん口になんて出していないけど。
「×××なんてのはどうだ?」
 肝心の名前の部分が伏字になっているのは、大体アイツの顔を表現しないのと同じ理由で、単純にその名前が嫌だから。屈辱的に。
「————っあ」
 なのに、なにもいえない。
 反論だって出来ない。
 僕の人生はこいつに左右されてしまうのか。自分の名前すら決められてしまうのか。
 この国の科学技術は他国に比べてかなり劣っていることを言えず、大人になるだけなのか。だって未だに蝋燭とかありえないし。
 よく新聞(この国には当然、旅人から聞いた「テレビ」なんて言う素晴らしいものはない)とかで「王政反対派のデモ鎮圧」と言う記事があるけれど、僕は母親みたいに反対派に憤りを感じず、むしろ尊敬していた。

 ————自分の人生投げ打ってでも信念を貫き通したのか。

 じゃあ僕にはそんなことが出来るか?答えは即答でノーだ。前にも言った通り僕は面倒くさいことに首を突っ込まない主義の人間なので無理だ。いや、面倒くさいことに首を突っ込まない主義に見せかけた弱虫かもしれない。
 そして、心の片隅でずっと変えたいと思っていた。この国じゃなくて、もちろん自分自身を。
 今が好奇かもしれない。
 さぁ、言うんだ僕。たった三文字で良いんだ。「嫌だ」、その単語を言うんだ。息を吸い込んで————





 結論からすると息を吸い込んで、吐きでた言葉はなにもない。代わりと言ってはあれだが、足は動いてくれた。
 全速力で駆け出す、いや「逃げ出す」。僕は何で外に出たんだっけ、そうだ卵を買わなくては。
 商店街へ差し掛かった時、涙が出ていることにやっと気がついた。アイツの改名宣言に今更ながら悲しくなったのか、それともまた逃げてしまった自分が情けなくてなのか。
「とりあえず、卵————」
 まず当初の目的を果たさなくては。僕は商店街の、目的の店へと向かおうとしたその時。
 いや、あれは時なんてものではない。「刹那」が相応しい————



 数十メートル先に“何かが”現れたのは確認できた。

Re: 星憑のエルヒューガ ( No.6 )
日時: 2013/08/12 19:47
名前: 夕暮れメランコリー (ID: hMEf4cCY)

 何が起きたのか理解出来ないし、理解したくない僕は咄嗟に近くの路地裏へと逃げた。
 ……また逃げてるじゃん。情けない。
 しかしながらこれは逃げて正解かもしれないな、と思ったのは、“何か”が暴れ初めてからだった。
 何かは、見た目こそ沼から這い出てきたかのような、泥色のヌメヌメしていそうな(それこそ泥のような)液体をまとっている。大きさはだいたい3メートルくらいで、結構デカい。
 だからこそ、暴れた時はもう大損害だ。
 先ずは不運な事に、何かの近くに店を構えていた八百屋が被害にあった。
 にゅ、と何かの3メートル程の巨大から触手のようなものが出てきたと思うと、それで八百屋をピンポイントで壊し始めた。八百屋はあっと言う間に木材をのぞかせ、もう八百屋があったのかどうかさえわからなくなってしまった。
「ひっ………………!」
 僕は路地裏からそれを見ていたが、八百屋の主人などがどうなったかなど知りたくない。見たくもない。しかし家を一叩きで壊滅状態においやるのだ。人間などきっとミンチになってしまっている。内臓撒き散らし、脳みその破片があちこちに跳んでいて、きっと人間は潰れたトマトの如くぐっちゃぐちゃだ。嗚呼想像しただけで吐き気がしてしまう。現に昼食べたオムライスが喉元まで出かけていたので、口を押さえてぐっと飲み込む。気持ち悪。
 飲み込んだところで、何処からかカチカチと鳴っていることに気付く。


 カチカチカチ。
 カチカチカチカチカチ。


 規則的に鳴っているそれが、自分の口から鳴っていることにようやく気付いた頃には、もう商店街は壊滅的状況になっていた。
「はは……卵は無理かな……」
 恐怖心により鳥肌まで立ってきたじゃないか。どうしてくれようこの心。
 恐怖心に支配されたせいでもう、僕は正面を向けなくなってしまった。なるべく体を丸めて、無駄だろうけど何かに気付かれないように。

 だから僕は、アイツがああなった瞬間を見ることが出来なかった。

Re: 星憑のエルヒューガ ( No.7 )
日時: 2014/03/01 19:58
名前: 夕暮れメランコリー (ID: vwUf/eNi)

「おかしーだろ普通にさ、今日休みだったって言うのにさ」
 ぶつぶつと文句を垂れる少年。頭にまるでカチューシャのように、バンダナのようなものを巻いていて、まるで夜空のような色をした群青色の半袖の上着を着ている。
 それだけならただのお洒落な少年だが、はっきり言うと普通ではない状況だ。パラグライダーのような何かで風に乗っているが、そのパラグライダーは手元にコントローラーが備わっていて、どうやら自由に操縦できるようだ。背中には弓を背負っている所も、また普通ではない。
「我慢しろシグナレス。「ホシクイ」が出たんだから俺ら「星憑」が出動しなきゃいけないんだ」
 少年の隣にいた青年がそれを制す。頭に少年と同じバンダナを鉢巻のように巻いていて、長袖の上着を着ている。顔付きなどから察するに、二人は兄弟なのだろうか。しかしこちらも改造パラグライダーに乗っているかと問われればそうではない。
 こちらは“飛んでいる”のだ。背中からまるで天使のように翼が生えていて、自由に飛べているところから察するに飾りでは無いようだ。
「あーめんどくさ」
「仕方ないだろ、非番で暇だった奴って俺らだけだったし」
「嘘つけ!クラムボンだって非番だったし暇人だったよ!?」
「……あいつはお得意の巧妙な言い訳でどうにかしたんだろ……」
 はぁ、と青年が溜め息をついて、先程「シグナレス」と呼ばれた少年が舌打ちする。
「おい見えたぞ。あそこが現場の「箱庭」だ」










 ぐちゃ。
 何かが落ちる音————まるで生肉か何がが落ちたような音がして、しばらく丸まっていた僕は顔を挙げた。
 挙げてしまった。



 そこにあったのは、人の腕。
 切断部分がそんなに綺麗じゃないから、例の何かにやられたんだろう。
 ぐちゃぐちゃになった切断部分からどくどくと流れ出る赤黒い液体は、つまり。
 つまり——————————————


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