複雑・ファジー小説
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- 【第4話】変革のアコンプリス【オリキャラ募集中】
- 日時: 2014/06/04 14:35
- 名前: 壱路 ◆NNJiXONKZo (ID: Rn9Xbmu5)
壱路と言います。前作を放置しながら懲りずに第2作です。
今作の舞台は「某クエのようなRPGのような、武器はあり魔法もあり、魔族も魔物も獣人も人間もいる世界」の予定です。
変なことを言いますが、真剣な話を書く気はないです。自分なりの適当な話を書くつもりです。
真剣な話でも真剣になりすぎないというか……そう出来るかどうかは別として。
変革のaccomplice。意味は「共犯者」ですね、変革の共犯者。
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登場人物 >>1
その他設定 >>2
目次 >>3
オリキャラ用テンプレ >>4
プロローグ >>5
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※ 4/3 見切り発車開始。
※ 4/14 "ラナ・カプリース"の落書き投下。見苦しいですがこちらに >>21
※ 5/3 ようやく第3話に終わりが見えてきた。長かった…
※ 5/9 図書館に掲載してみたテスト。
※ 5/11 "テオドール"の落書き投下。(>>34) iPhoneで適当に殴り描いてます。
※ 6/4 作者のやる気低下により更新をローペースに。今に始まった話ではないですが。 月2,3回くらいの予定です。
- 変革のアコンプリス ( No.16 )
- 日時: 2014/04/06 20:34
- 名前: 壱路 ◆NNJiXONKZo (ID: HC9Ij0EE)
- 参照: 第2話「王子は憂う」−③
「……少し唐突だけどよ、なんで剣は、剣術ってのはまだこの世に残ってんだ?」
不遜な態度を取っている時点で今更だが、何を言っているんだといった言葉をアクストは喉の奥に押し殺した。当然、これも十年で培った経験則によるものだ。
「魔王は倒された。魔王が束ねていた魔族だって、大戦以前程の勢力は存在しないと聞いた。となると、もうこの世には剣術なんて……武力なんて必要ない筈じゃないのか?剣を向ける相手なんて、もういないじゃねえか。貴族の嗜みだとでも言うのか?」
テオドールは視線の先に置いていた剣を拾い、訝しげにそれを見回す。
イデアールは武力によって成り上がった国だ。だが、その国の王子である彼がそれを知らず、武力など必要ないとまで言う。その理由はーーー
「王子がそう言えるのは、王子が何も知らないからですよ」
一見、侮辱とも取れる言葉をアクストはさらりと言い放つ。だが、彼にはテオドールへの悪意も、咎める気持ちもない。それに、これは事実なのだ。
「……無知は自覚しているが、他人に言われると腹が立つな」
「いや、悪いことばかりじゃないですよ。無知が故に、物事に対して余計な先入観や、偏見と言う眼鏡を持たずに真っ直ぐ向き合える。いいことじゃないですか」
「無知が過ぎると思うんだがな。外交だとか、他所の国への謁見だとかの王子っぽい仕事は全部、親父や兄貴達任せだ。俺はこの国から出たことがないし、この国自体のこともよく知らない。世界の情勢も、平和なくせに武力が残る世界の成り立ちなんて知る由もねえ」
「ホント捻くれてますね。ここまで来ると、ただの怠慢が原因にも思えてきましたが」
「やかましい」
再度、捻くれ者の称号を与えられ、苦虫を噛み潰した顔になる。
手を差し出され、剣を彼に受け渡す。それと同時にアクストは立ち上がり、先程テオドールが放り投げた剣の元へと向かいだす。
ただ座って待つのもなんだったのか遅れて立ち上がり、テオドールもアクストに続く。
「武力が何故残っているのか。それは俺にも分かりませんし、分かっていても教えられません。せっかく王子は何も知らないんだ、自分の目と耳と、脚でその答えを見つけた方がいいんじゃないですかね」
「俺、そんな簡単に動ける身分じゃねえし、動ける権限もねえんだけど」
屈んで剣を拾い、片手で二本の剣を担ぎ振り返る。
「いずれ時が来ますよ。俺がアイツ……勇者のパーティに選ばれた時のように。どうせなら武力云々なんかじゃなくて、今のこの世界を見て回りましょうや。曇りのないその目でね」
「世間知らずのやることにしてはスケールでか過ぎないか?見て回った上で、何かしろってんだろ」
「いいじゃないですか、ビッグで。何かするつもりなら言ってください。俺は腕っぷししか取り柄がないけれど、力になりますよ」
空いた手で自身の胸板を叩く姿と、自分の元からの去り際に見つめた後ろ姿に、テオドールはどこか頼もしさを覚えた。
すっかり紅に染まった空を見上げ、ぽつりと呟く。
「自分の目と脚で、世界を、か」
この同じ空を見ている筈の国民の生活のことすら知らない見識の狭さはどうにか打破したい。が、今は叶わない話だ、と見上げるのを止め、彼も庭を後にする。
今夜の晩飯はなんだろうな、と自由だが自由の無い身と己の無知から目を逸らしながら。
だが、意外にもアクストの言った"その時"は迫っていた。
"その時"をもたらす黒い影が彼に迫るのは、この日の夜のこと。
- Re: 【第2話】変革のアコンプリス【オリキャラ募集中】 ( No.17 )
- 日時: 2014/04/06 20:40
- 名前: 壱路 ◆NNJiXONKZo (ID: HC9Ij0EE)
- 参照: 第2話後記
息抜きのあとがき。いつしか意味不明に過剰なまでに気が抜けた話も書いてみたいですねえ。
第1話と第2話は主要人物であるテオドールとリーゼロッテの顔出し回のつもりです。にしても、互いに不遜な付き人がいるってどうなんだ。アクストは付き人ではなく、ただの剣術指南役ですが。
第2話書いてて「憂うってなんだろうな」って思ったのは秘密。
それでは第3話でお会いしましょう。
- 変革のアコンプリス ( No.18 )
- 日時: 2014/04/08 00:34
- 名前: 壱路 ◆NNJiXONKZo (ID: HC9Ij0EE)
- 参照: 第3話「Raid of Black rose」−①
「毎度の事じゃが、帰りは楽じゃと言うのに行きは骨が折れるのう……」
「黙ってくださいよお嬢、人目のつかない場所を選んでると言っても、ミアリーとメアリーに見つかるかも知れないんですから」
「何者じゃ、名のあるガードマンコンビか?」
「壁にミアリー引き戸にメアリーって言うでしょ」
「……壁に耳あり引き戸に目ありじゃろ」
そうとも言います、黒いフード付きのマントで身を覆っている女は小声で言い切る。彼女は土の上に二、三人が乗れるくらいの奇妙な紋様付きの円を筆で描いていた。
広大な敷地を持つイデアール宮殿のとある一角、武器庫の裏に当たるそこに、黒いフードで身を包む二人組を月明かりが照らす。屈んで筆を動かす方をもう一人の小柄な方は、退屈そうにくあ、と欠伸をした。
この国の王やその親族、もしくはそれに近しい者達が住まう宮廷、宮殿内に内設された国営の国軍兵士が衣食住を過ごす国軍寮、来客が泊まる為の館や、国民にも解放されている図書館、それらをぐるりと覆う防壁。
他にも様々な建築物が建つ中で、武器庫の裏は夜勤の巡回兵からも完全な死角となっている。
死角のある巡視など…と思われるが、九メートル、また十メートルはあろうかという防壁への信頼が確固たるものなのか、今こうして侵入を許しているにも拘らず外部からの侵入への警戒が甘いのだ。
「へっへっへ、まさかやっこさんらも壁をよじ登って侵入してるとは思いませんて」
「それが一番疲れるんじゃがな……と言うか、静かにしろと言うたのはお主じゃろ、黙って仕事せんか」
おそらくはイタズラを企てた子供のような無邪気に邪悪な笑みを浮かべたであろう女を、もう一人がピシャリと制する。へーい、と気の抜けた返事を返すと再び作業を開始する。
その様子をしばらく見ていた小柄な方は、描き上げられつつある奇妙な円を見てふむ、と呟き、小声で語りかける。
「お主、よくもこのような複雑怪奇なものが描けるな」
「魔術教本見ながらッスけどね。私がもう少し魔法に精通してりゃあもう少し簡単になるんですけど」
「余はそんな物読んでもちんぷんかんぷんよ。理論じゃとか魔力の運用効率じゃとか言われてもさっぱりじゃ」
「私もッス。応用は出来ないけど、こうすりゃこうなるってんだから、これとこれ足せば行けんだろって感じと後、気合で」
「毎度毎度、よくそれで上手く行ったものじゃのう……急に不安になってきたわ」
「だいじょぶッス、私職人なんで。自称」
彼女の描いているものは魔法陣だ。様々な命令を模様として円に描く、魔法補助の技術の内の一つである。
彼女はそんな魔法陣を、宮殿に侵入してからこれまでの時間を全てそれを描く事に割いている。上がり切っていなかった月は既に頂点を過ぎていた。
「……毎度の事じゃったから言わなかったが、あらかじめ大きな紙に描いたりして、それを持ち込めば良いのではないか?楽じゃろ、その方が」
小柄な方がふと思った疑問を口に出す。確かに、あらかじめ用意が出来るのであれば一々魔法陣を描く必要はなくなる。
が、魔法陣職人(自称)は振り返らず手も止めず、それがねー、と良い答えが期待出来そうにない言葉で切り出した。
「それくらい私も試しましたよ、めんどっちいもん。確かに一回、二回くらい畳んだ紙程度なら問題なく機能しましたよ」
「あー……もうよい、予想はついたから作業に集中せい」
後が分かる話は続けるだけ不毛である。だが、話す側からすれば一度蓋を開けた以上、垂れ流さなければ気が済まないのだ。
「勝手に続けてやる、今描いてるこのサイズの魔法陣を紙に描くならそれなりの大きさの紙が必要だし、持ち運ぶなら何度も折り畳まないと目立つし、紙に魔法陣描いてたくさん折り目つけてみたら機能しなかったしで!っざっけんじゃねーぞチクショー!」
垂れ流され始めた愚痴と憤りを、職人(自称)は天に向かって吠える。
この時、武器庫の前を巡回していた兵がいたのだが、幸いにも彼は意中の女性にどうアタックしたものかと悩みながら見回っていたので、武器庫裏からの咆哮は聞こえなかったようだ。
ある意味職務怠慢である。
「静かにせんか馬鹿者!」
「あ、つーわけで出来ましたよ姫様」
「出来たんかい!」
出来る限りの小声で叫び咎めるも、つい今までの怒りっぷりは何処へやら、職人(自称)は振り返るとけろりとした顔で作業完了の旨を伝える。
地面に描かれた魔法陣は、妙な感性を持った人であればアートとも受け取れるようだ。雑多に描かれているように見えて、落書きと評するには余りにも緻密。描かれている線の一つ一つに意味があるように感じられる。
「……何か釈然とせんが、働きぶりに免じて黙っておいてやろう」
「ははー、ありがたきしあわせー」
此奴には振り回されてばかりじゃ、とカクンと首をうなだれる。小言免除となった職人(自称)は取ってつけた台詞を言い、フードの下で笑って見せる。
「それじゃ、ぼちぼちやらかしましょうか」
「そうじゃな。では、手筈通りに頼むぞ」
「姫様こそ、迷子にならないでくださいよ」
「その言葉、そっくり返そう」
うなだれていた顔を上げ、互いに拳を合わせる。そして身を翻し、たたた、と軽快に走って行く背中を職人(自称)は見送ると、ん、と身体を伸ばす。長い間しゃがみっぱなしだったからか、パキパキと音が鳴る。
「さあて、一丁暴れますかね」
誰に宛てるわけでもなくそう言うと、魔術教本を肩掛けカバンにしまい、眼鏡とフライパンを取り出す。
小柄な方はお腹を空かせる為のジョギングに、そして自分は描いた魔法陣を使ってレッツクッキング!眼鏡は跳ねる油から目を守るためなのだ!ーーーということはない。
だが、そういうふざけたことを考えていそうな、瞳の奥に無邪気を潜めた悪意ある笑みで言い放ったのだ。そして、ゆったりとした歩みで明かりのある方へと向かいだす。
- 変革のアコンプリス ( No.19 )
- 日時: 2014/04/10 23:37
- 名前: 壱路 ◆NNJiXONKZo (ID: HC9Ij0EE)
- 参照: 第3話「Raid of Black rose」−②
"イデアール創立伝"、"「最後の勇者」の轍"、"マル秘!旅行ガイドブック イデアール編"などといった本を雑多に並べ、テオドールは本を読み耽っていた。
アクストの言った、いずれ時が来るという言葉が耳から離れなかった彼は、傍から見ればうわの空な様子で夕食などの団欒の時を過ごしていた。
だが実際は、ただただ思いを馳せていたのだ。雛鳥が大空を羽ばたくことを夢見るように、自分が国という巣から飛び立ち世界を見て回ることを。尤も、立場上やすやすと国を出奔することも出来ず、ただの妄想でしかないのだが。
そこで彼は、国から自由に出られないのなら、知ればいいじゃないか、と歴史書からガイドブックまで、様々な本を読むことにした。
あらかじめ知ってしまったらアクストの言っていた曇りのない目で見ることは叶わないだろうが、妄想だけでは収まらない好奇心を抑えることは出来なかったようだ。
そして今は、自分の住む国も知らないようでは、と思い、主に自国についての書物を読み漁っている。
紙がめくられ、紙同士が擦れ合う音のみの静寂で満たされた部屋に、扉を軽く叩く音が響き渡る。
その音に反応し、彼はイデアールの観光スポットが書かれたページから、扉へと視線を向ける。
「誰だ?こんな時間に」
ふと思ったままにぼそりと出た言葉だが、そう自分が言ったことに気付き窓の外を見る。本を読み始めた時と比べ、明らかに闇が深くなっているように感じた。 そうか、もうこんな時間か。
そんなことを思う間も無く、自室の扉が開かれる。返事がないのに痺れを切らしたのか、元々返事を待つ気が無かったのか。おそらくは後者だろう。
「あ、起きてる……こんな時間まで何をされているのですか、兄上」
開いた扉の向こうから、金髪にショートボブの青年が顔を覗かせる。端正な顔立ちは中性的で、白く裾の長いワンピースのような寝巻きからしても、初対面であれば男女のどちらなのか判断に迷わされる。
その彼は不思議そうにしているが、それ以上部屋の中に入ろうとはしないようだ。
「何、ってお前こそ何してんだ、こんな時間に起きてる物好きは見回りか今の俺くらいなもんだろうに」
「散歩ですよ。何故か寝付けなくて、気晴らしにでもと」
「はあ……とりあえず中に入れよ、突っ立ってないでよ」
ではお言葉に甘えさせて貰います、と彼は軽く一礼し、部屋に入ってから後ろ手で扉を閉める。
だが、入ってから気付いたのか、部屋の中は本のごった煮になっていた。凄惨な散らかりぶりに目を見開き、うわあ、と驚嘆の言葉を漏らす。
「本当に……何をやってるんですか貴方は。王子たる者として少しはーーー」
「さっきから思っていたが口調が硬いぞ、ルドルフ。普段から言ってるだろうが、堅苦しい場面じゃないなら気ぃ抜けっての」
ルドルフと呼ばれた彼の小言を遮り、テオドールは呆れかえる。昔はもう少し可愛げのある、本当の弟のような奴だったのだが。
それを受けたルドルフは困り顔だ。
「……常日頃から公私共々使い分けるような真似はせず、自分を律しているのです。一日でも早く兄上や、大兄様達に追い付きたいと思っておりますので」
「馬鹿かお前?俺がいつ、そんな堅苦しくなったよ」
「それは、その」
その通りなのだが、面と向かっては言えないのだろう。ルドルフの視線が部屋の中を泳ぎ始める。
泳ぎ着く岸を差し出すように、テオドールは彼に指を指す。
「だったら命令だ、気軽にしろ」
「……何か矛盾していませんか、それ」
「返事は」
「はあ……分かりました、分かったよ、兄さん」
彼の硬い面を削ぎ落とさせたテオドールはそれでいい、とご満悦だ。ルドルフも満更ではないのだろう、眉はハの字だが柔らかい笑みを浮かべている。
誰に対しても態度を変えないのは不遜、不躾だとも取れるけれど、誰とだって平等だと考えているのだろうな。そういうところを見習えるといいのだけど。
憧れを口にすることなく、密かに思うルドルフであった。
- Re: 【第3話】変革のアコンプリス【オリキャラ募集中】 ( No.20 )
- 日時: 2014/04/10 23:54
- 名前: 壱路 ◆NNJiXONKZo (ID: HC9Ij0EE)
- 参照: 謝辞&絶賛言い訳コーナー
参照が200越えしました。自分自身の閲覧分を引くと200以下でしょうけども、感謝の限りです。
これから先も気を入れ過ぎない程度にやっていこうかな、と。
ここからどうでもいい言い訳コーナーです。
単に、学業が始まったから更新頻度が落ちるというだけの話です。
他にも、文を選びすぎて結果文が浮かばなかったり、ですね。陳腐な内容にならないよう必死なのですが、ボキャブラリー不足のせいで陳腐にならざるを得ないという気すらしてます。
それでもどうにか、足掻いていこうかと思っています。