複雑・ファジー小説
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- 愛と正義の交響曲(元わかりあうための闘い)
- 日時: 2014/10/03 21:08
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
第3話から、スクランブルエッグに改名しました(笑)
タイトルは狐さんのアイディアを参考にしました!
来てくださったお客様
Orfevre様 時計屋様
かぼちゃ様 さおりん様
腐葉土様 花梨様
夕陽様 みにょ様
狐様 もふもふ様
主要登場人物紹介>>43 サブキャラ紹介>>46
プロローグ>>12
第1話>>13 第10話>>22 第19話>>33
第2話>>14 第11話>>23 第20話>>44
第3話>>15 第12話>>24 第21話>>45
第4話>>16 第13話>>25 第22話>>47
第5話>>17 第14話>>26 第23話>>48
第6話>>18 第15話>>29 第24話>>51
第7話>>19 第16話>>30
第8話>>20 第17話>>31
第9話>>21 第18話>>32
- Re: 世界一を目指す闘い ( No.9 )
- 日時: 2014/09/17 17:18
- 名前: 時計屋 ◆3giuVGlVZY (ID: t7y4Iwob)
投稿お疲れ様です!
一通り見ましたが、とても面白そうなのでコメントさせてもらいました。
次回の投稿を楽しみにしています。頑張ってください(((o(*゜▽゜*)o)))
- Re:愛と正義の交響曲(元わかりあうための闘い) ( No.12 )
- 日時: 2014/09/24 11:11
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
カイザーside
この世には、人間の力の限界を超えた力を持つ人間たちが存在している。
彼らのことを我々は能力者と呼んでいる。
これは1年に1度、能力者の世界1を決める大会の物語。
果たして優勝するのは誰なのか—
☆
非檻side
ここは日本にあるとある島。
日本地図にも描かれていないほど小さな島だが、能力者たちのメッカとして名高い場所だ。
島には綺麗に整備された港や道路、果ては食堂や公園まである。
普段はひっそりとして島の住人以外人気のない島だが、この島が年に1度活気づく時がある。
それは、この島で、能力者の世界1を決める大会が行われる時だ。
主催はスターレスリングジムという、能力者の中では知らぬものがないほど謎が多く、桁違いの実力者を数限りなく輩出している伝説的なプロレスジムだ。
そしてこのジムが開催する年に1度の大会の優勝者には、世界一の能力者としての称号と賞金10億円、さらには何でも願いを叶えてもらえるらしい。
あたし、己鍵非檻も能力者の端くれとして、この大会に参戦した。
当然、出場するからには目指すは優勝。
心の中でそう決意して、開会式が開かれるスタジアムへと足を進めた。
この大会、必ず優勝してみせる!
- Re: 愛と正義の交響曲(元わかりあうための闘い) ( No.13 )
- 日時: 2014/09/24 11:12
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
雄介side
「上条雄介のガキ。お前はここで俺に敗れる」
スタジアムへ向かう俺の行く手を突然阻んだのは、長い長髪に猛禽類を彷彿とさせる殺気だった瞳、引き締まった半裸が特徴の若い男だった。
「お前が俺の相手か」
俺が訊ねると、男はニヤリと笑みを浮かべた。
「俺はこの大会の運営委員のひとり、不動仁王。とりあえず、予選通過おめでとう…と言っておくとしよう」
運営委員。それはこの大会の主催元であるスターレスリングジムのトップクラスの実力者たちで構成された、文字通りこの大会を運営する存在の者たちだ。
だが、なぜそんな奴のひとりが、わざわざ俺の目の前に現れたんだ?
「邪魔だから、どいてくれないか?」
「どけ…だと…?」
その刹那、不動と名乗る男の猛禽類のような茶色の瞳がギラつき、計り知れない威圧感を感じた。
「ガキ、お前はジャドウを知っているか」
聞きなれた名前を奴が口にしたので、警戒の色を強める。
「ジャドウの知り合いなのか?」
「奴は俺の親友だ。本来ならばこの役目は奴なのだが、奴が『上条雄介は俺と闘うのは飽きただろうから、代わりに闘ってきてほしい』という頼みでな…」
ジャドウ=グレイ。俺が闘ってきた能力者の中で、最も苦しめられた相手だ。
突如として連戦連勝をして調子づいている俺の前に現れ、人生で初めて手も足も出ない完敗を喫しさせたあの男。
まさか奴もスターレスリングジムの出身なのか?
だが、奴は俺の問いに答えようとしなかった。
「ここを通り、スタジアムまで行きたければ、俺を倒してからいくがいい」
「そうかよ。お前にどんな理由があるかはしらねぇが、今は目の前にいるお前を倒すだけだ」
俺はホルダーからカードを引き抜いた。
「ドロー&コール!」
カードから思念体を飛ばして攻撃を開始する。
俺の能力は、様々な効力を持つカードを使うことだ。
「ジャドウが言うには、お前はかなりの危険人物らしいからな。お前がどれほどの危険人物なのか、判断させてもらう」
3の倍数のカードから『デルタレーザー』を発射する。
「…やはり、まだお前はガキのようだ」
彼はなんと俺の光線をいとも簡単に、素手で弾き返した。今までこの光線を弾き返した奴など、ひとりもいなかった。あのジャドウでさえ、瞬間移動で避けていたほどだ。
それなのに、奴は逃げるどころか真正面で弾き返しやがった。
「だったらこれでどうだ。『ワイルドドロー』!」
俺は毒、麻痺、衰弱のいずれかを敵に与えるカードを飛ばした。当たればかなりこちらが優勢になる。最も当たらなければ意味はないが、その心配はないだろうと思った。
だが、奴は驚くべきことに、ワイルドドローのカードを鷲掴みにし、やすやすと引きちぎった。
「これはただのまやかしだ。まさかこれが、お前の能力なのか?」
俺の能力を能力とさえ思っていないだと…!?
奴の全身から放たれる凄まじい闘気に、俺はかつてない戦慄を覚える。
「もしそうなら、残念だな…仮にも本戦第1回戦へ出場しようとしているガキとは思えん…」
彼は仁王立ちになり、さらに瞳を殺気立てて言った。
「ナチュラル!」
すると、信じがたいことに、俺のカードホルダーとカードが消滅したのだ。
武器がなくなったことに、俺は一気に目の前の人物に恐怖を覚える。
敵は引き締まりまったく無駄のない筋肉のついた屈強な体をした大男。
対する今の俺は、丸腰かつ格闘はあまり得意としていないため、敵に勝てる可能性は先ほどより、さらに低くなってしまった。
すると、俺がこうなることを見越していたのか、奴は不敵に笑み、口を開いた。
「俺の能力のひとつ目は、敵の武器を消滅させる能力…通称ナチュラル。武器を使うとは、自分の力に自信がないことの表れ。やはりお前はガキのようだな」
このおっさん…只者じゃねぇ!
「当たり前だ、ガキ。この俺、『明王』こと不動仁王が、お前を完璧に地獄へ往生させて殺る!」
- Re: 太陽天使隊 ( No.14 )
- 日時: 2014/09/23 21:08
- 名前: スクランブルエッグ(元モンブラン博士) (ID: EhAHi04g)
愁二side
「……」
予選を何事もなく通過し、本選の一回戦へコマを進めようとしていたこの俺、雲仙愁二に訪れた最大の危機。それは、目の前を塞ぐひとりの男。
「お主が、拙者の対戦相手でござるか?」
サラサラとした黒髪を後ろで束ね、白い肌に猫のようにくりくりとした黒い瞳、小柄で華奢な体格に昔のサムライが着ていそうな服に身を包んだ少年は、男なのに結構可愛い顔で俺を見ると、口を開いた。
俺は、ただ頷くことしかできない。
彼が腰にさげてある日本刀、それが今、俺を何より恐怖させていた。
すると彼は手をポンッ!と叩いて、恥ずかしそうに照れながら、
「そういえば、自己紹介がまだでござったな。拙者はこの大会の運営委員のひとり、川村猫衛門でござる。よろしく頼むでござるよ」
ニコニコ笑って手を差し伸べる彼を見て、俺は思案する。
この手は握るべきだろうか…
仮に握ってその隙をつかれ攻撃されないだろうか…
そんな心配をしていると、彼は俺の手を掴み、優しく握手をした。
「怖がることはないでござるよ。拙者は他の皆の衆より、最終予選の鬼ではない自信があるでござる」
最終予選?一体なんの話だ?
最終予選ということなど、今はじめて聞くために俺は面食らってしまった。
俺の顔を覗き込んだ彼は少し不思議そうな顔をすると、急に何かを理解したかのような顔になり、丁寧に説明を始めた。
「拙者がお主の前に現れたのは、お主が本選の第1回戦に出場できる資格があるかどうか、試すためでござる。拙者を退け、無事本選会場までたどり着くことができれば、クリアでござるよ」
なるほど、彼の説明で大体の事は把握できた。
少し怖いけど、俺には銃がある。これがあればどんな敵も怖くはねぇ。
そう確信した俺は、キッと彼を睨みつける。
「お主、どうやら、やる気になったようでござるな。拙者は嬉しいでござる。では、最終予選の開始でござる。お主、どこからでもかかってくるでござる」
彼は可愛らしい顔で微笑む。
少し気の毒だと思ったが、俺は優勝して賞金10億円が欲しい。
それでゲームとか漫画とか、欲しいものを好きなだけ買いたい…悪いが俺の欲望の犠牲になってくれ、川村猫衛門…!
俺は腰のホルスターに手を伸ばし、銃を引き抜くと、引き金を引いた。
けれど、彼は血を噴き出してもいなければ、倒れてもいない。相変わらず飄々とした雰囲気で俺を見つめている。
よく見てみると、俺の手はかすかに震えていた。
恐らく初めて殺人を犯すという恐怖が、無意識のうちに狙いを外しているのだろう。
実は、この大会は殺人も認められている。
だから、殺しても罪には問われない。
そのため、殺人を犯す輩がいるという噂を聞いたときは驚きを隠せなかった。
だが、欲望が殺人衝動を引き起こすのだろう、今の俺には欲望にかられ、予選で殺人を犯したくなる人の気持ちがよく分かった。
「どうしたでござるか?撃ってきてもいいでござるよ」
俺は正直、欲望のためとはいえ、殺人を犯すことが耐えられなかった。
だが、背に腹は代えられない。許せ、川村!
パン、パン、パン!
確実に命中したはずの、3発の銃弾。
けれど、それは全て命中してはいなかった。
なぜだ、こんな至近距離で撃って命中しないはずが…
「普通の人間ならそうでござるよ。でも拙者はそうならないのでござる」
彼は胸を張り、所謂ドヤ顔をした。
クソッ…何がどうなってやがる。
自分の体の耐久性を上げる能力か?
すると、彼は少しいたずらっぽい子猫のような笑みを浮かべ、俺に銃を撃つように催促した。
コイツ、アホじゃないのか?
この時、俺はそう直感した。
この発言は、まるで自分から殺してくれと言っているようなものじゃないか。
しかし、こいつがどのように銃弾の攻撃を受けずにすんでいるのか気になって仕方がなかったので、俺は彼に言われた通り、弾を込め直して引き金を引いた。
だが、彼は先ほどと同じように、無事だ。
「拙者の足元を見るでござる」
彼の足元を見て、俺は息を飲んだ。
なんと、彼の足元には、綺麗に真っ二つに切断された銃弾が彼に撃ちこんだ分だけ落ちていたのだ。
この光景を見て、導き出された答えはひとつ。
彼は全ての銃弾を、目に見えない速さで一刀両断にしていたのだ。
- Re: 太陽天使隊 ( No.15 )
- 日時: 2014/09/23 20:30
- 名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)
雄介side
「お前の力はその程度の軟弱なものだったという訳か。俺の足元にも及ばん」
俺は今、不動と名乗る男と交戦しているが、大苦戦を強いられている。
何しろ、能力が使えない。
奴が俺の能力の源であるカードを、自身の能力で消滅させてしまったからだ。
カードがない俺は丸腰。当然のことながら、戦闘能力も大幅に減少する。
「ガキは俺が殲滅する!」
剛腕を振るい、その拳の威力を持って地面に亀裂を発生させる、不動仁王。
ちなみにこれは能力ではなく、修行をすればこれぐらい簡単にできるようになるというが、俺からしてみればたとえ100年修行しても不可能な技に見える。
コイツは本当に人間なのかという疑問が俺の頭を掠める。
勝てない、そう判断した俺は、力の限り走った。
足がもげそうなほどの激痛に耐え、走り続ける。
肺が破裂しそうなほど苦しくても、走るのをやめることはできない。
なぜなら、もし今ここで走るのをやめてしまえば、般若のような恐怖の顔を持つおっかない不動の拳の前に、俺は確実にハエのように叩き潰されてしまうだろうから。
走り続けるうちに息が乱れ、汗が噴き出し、俺の体は限界に達しそうだった。
だが、そんな俺とは正反対に、かなりの距離を走っているというにも関わらず、彼は息ひとつ乱していない。
コイツは、化け物か。
「走るがいい、この俺に往生されたくなかったらな!」
国語の授業で習った、『走れメロス』の主人公メロスの境地が少しだけわりかけたとき、俺の目の前に、天国かとも思える光景—すなわち開会式が行われるスタジアムが見えた。
野生的に吠え、全身の力を振り絞り、試合会場に入った。
床に手を突き、ふと後ろを振り返ると、奴の姿はなかった。
これはあくまで俺の推測だが、たとえ運営委員であっても、1歩でもこのスタジアムに入ったら、出場選手に手を出すことは禁止されているのだろう。
九死に一生を得た俺が、他の運営委員の導きでホールに行くと、そこにはもう既に10人ほどの能力者たちが到着していた。
なるほど…こいつらがライバルってわけか…
さっきの疲れはどこに行ったのか、これから死闘を繰り広げるライバルたちの顔を見るうちにアッという間に吹き飛んでしまった。俺はライバルたちの気迫に飲まれてはならないと、闘志を燃やす。
優勝して、世界一の能力者の称号と、賞金の10億を手に入れるのは、この俺、上条雄介だ!
☆
「それではこれより、第20回能力者バトルトーナメント本選を開催したいと思います!」
バトルトーナメントの本選に出場できたのは、俺を含めわずか16人。
だが、1000人いた予選を勝ち残った16人なのだから、みな強豪であることは間違いない。
そして、何より嬉しかったことと言えば、あの不動やジャドウが選手として参加していないことだろう。
あいつら2人が参加していたら、俺の勝率が間違いなく低下していたところだった。
主催者による開会宣言が終わり、いよいよ待ちに待ったトーナメント表が発表された。
第1回戦Aブロック第1試合は、なんと俺とベリー=クラウンという少女との試合だった。
大勢の観客(軽く1万人は入っている)が見ている中で闘うという経験は初めてだったが、プレッシャーに飲み込まれてしまっては、もし仮にここで勝ち上がったとしても、これ以上勝ちあがることはできないだろう。
俺はステージに上がり、敵である、小学生かと思えるほど小柄で青い瞳、金髪を二つに結っており、黒のフリルドレスを着た少女と向き合った。
彼女は可愛いものが好きなのか、背中に大きなピンクのウサギのぬいぐるみを背負っている。
「あたし…ベリー…これ、うさぎちゃん」
「ああ、そうかよ。悪いが俺はぬいぐるみなんて興味はねぇからな。とっとと片をつけてやるぜ!」
すると彼女は少し黒い笑みを浮かべてつぶやいた。
「そう…あたしに勝てたらいいわね…」
そしてついに、俺と彼女の、試合開始を告げるゴングが会場に鳴り響いた。
☆
「……行くよ、うさぎちゃん」
彼女は試合開始のゴングが鳴った刹那、いきなり俺に大鎌を振り回してきた。
巨大な鎌は空気を切り裂き、俺の頬を風圧が掠める。
「あんた、おっかねぇ武器持ってんだな」
「……あなたの武器はなに?」
「俺の武器はこのカードだ」
ホルスターからカードを展開し、バリアを作り出して、彼女の攻撃を防ぐ。
しかし、彼女の得物である大鎌の威力は相当なもので、いとも容易くバリアを破壊した。
「……あたしは、何がなんでも、10億円が欲しい…そのために優勝するの…」
「それは俺も同じだ」
答えると、彼女の顔に少し影がかかった。
「…あたしがお金が欲しい理由も知らないくせに…同じだなんて言わないで…!」
ドォン!
小柄の体のどこに、それだけの力があるのかと思えるほどの斬撃を繰り出し、彼女は俺を圧倒し始める。
あの鎌の攻撃を防ぐのに、かなりの回数を使いこなしてしまった。
カードには回数制限があり、回数を過ぎてしまうと、能力を発動できない。
このまま試合が進んでしまい、カードを何枚も使用してしまえば回数制限をオーバーし、能力を発動できなくなってしまうだろう。
そうなれば、俺に勝ち目はない。
その時、彼女の大鎌が俺の体を斜めに斬りつけた。
斬られたところからは、まるで映画のグロイシーンのように、大量の血が噴き出す。
斜めに斬られた傷の血は止まることを知らずドクドクと流れていく、恐らくこのまま何も対策を取らずに放っておけば、俺は間違いなく、死ぬ。
嫌だ、俺はまだ、生きたい!
極限の精神状態の中、ついに俺の心の中のタガが外れてしまった。
「ヒャハハハハハハハ!」