複雑・ファジー小説
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- 異能探偵社の日常と襲撃【3/24up】
- 日時: 2015/03/24 01:31
- 名前: るみね (ID: L1jL6eOs)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16823
【軍警】が闊歩し【マフィア】が暗躍する都市__【帝都】
ニ年前__【帝都】の裏街を支配していた組織【亡霊】
表向きは【軍警】によって 滅ぼされたその組織は実際には【帝都】のとある小さな探偵社によって潰された。
【異能探偵社】__
探偵社と名乗るものの彼らは普通の組織ではない。
全員が通常では説明する事の出来ない【異能】を有した武闘派集団。
今日も【探偵社】を尋ねて依頼人が事務所の扉を叩く……
∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞
いらっしゃいませ♪
不定期更新、長期逃亡の常習犯のるみねです。
前作【××異能探偵社××】の続編になりますので、登場人物や世界観に関して説明不足になるかもしれません。
そこで募集したオリキャラもまた使わせて頂くと思います。
今回は【短編集風】になると思われます。
×××注意事項×××
■更新不定期。続けるつもりですが保証出来ません。
■自己満足の塊。
■登場人物はかなり多い(予定)です。
■荒らし禁止!
■とある漫画の設定から触発されてやってます。
■こんな感じです。わかる人は元ネタ分かると思いますが、日本を舞台にした能力ファンタジー物を目指します!
オリキャラ募集用紙 >>006
頂いたキャラ
葛城響 >>007 隆崎天光 >>008
国見翼 >>012 小野寺鮮花 >>013
賢木蓮璃 >>017 一ノ瀬隼 >>020
オリキャラを下さった皆様ありがとうございました!
採用出来なかった皆様、申し訳ありません!
もうちょっと軌道に乗ってから二次募集も検討しておりますのでその時にでもお願いします。
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【資料】 >>005.>>024
月曜日【出会い】 >>002.>>004
日曜日【序章】 >>011
火曜日【日常A】 >>016
【日常B】 >>027 【襲撃B】>>028
【日常C】 >>029
【日常D】 >>030.>>031 【襲撃D】>>032
【日常E】 >>034.>>035
【日常B②】>>036.>>038
【間章】 >>039
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【お客様】
ブラッドオレンジ様、エルモ様、宇宙様、雨様、リグル様、蓮楓様、パーセンター様
夏希様、大関様、siyaruden様、カルム様
- Re: ×異能者の日常と襲撃× ( No.1 )
- 日時: 2014/11/18 21:55
- 名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)
【出会い 新人刑事と下っ端社員】
AM_1:54
煉瓦作りの洒落た屋敷が建ち並ぶ【帝都】の一等地、壱区。
【帝都】の中でも貴族や有力者が住む地域。普段ならば住民は寝静まっているはずの時間にも関わらず、その日は異様な空気が流れていた。
壱区の中でもひときわ目を引く屋敷の広間には異様な数の制服姿の人間が集まっていた。
多くが黒い詰め襟にエンブレムが刺繍した制服を着込んだ軍警の人間達。
彼らが取り囲むようにして守っているのは広間の中央に置かれたガラスケースの中身、ライトの光をあびて燦然と輝くダイアモンドやルビーで飾られた首飾りだった。
そんな異様な広間と隣接する応接室には数人の軍警の人間と整った身なりの男女が向かい合うように座っていた。
「なんとしても守るのよ!ワタクシの大切なモノなんですからねっ!」
そう高飛車に懇願するのはふくよかな体躯の女性で、雰囲気や着ている衣服の質からもこの屋敷の住人である事は一目で分かった。
隣に座っている口ひげを蓄えた厳格そうな男性も何も言わないが失敗は許さないとばかりに前に座る軍警の三人を見据えていた。
「はっ、【ゴースト】の確保も含め全力で警備にあたります!」
その後も女性は口うるさく相手に文句を付けていたがそれらを流すように軍警の人間は部屋を出た。
「大貫さん、あんな対応で良いんですか。仮にも第壱区の貴族様ですよ」
「あんなのいちいちへこへこやってられねぇよ」
部屋を出て先頭を歩く大貫にそう聞いて返ってきた答えに、詩音は深くため息をついた。
「定年近い人はいいですねぇ。そういうとこ気楽で。俺はまだまだそういうお付き合い長いですから波風たてたくないんですけど…………ふあぁ」
そういいつつも詩音は抑えようともせずに大きくあくびをした。
「相沢先輩も大貫警部も緊張感足りないんじゃないですか」
二人に言ったのは小柄な少女だ。セミロングの黒髪に深い赤みを帯びた瞳を向け、小走りでついている。今年捜査課に配属されたばかりの新人だ。
「帯刀は真面目だな……」
詩音はぼそっといいつつまたあくびをかみ殺す。
「ったく、上も最後に厄介な仕事回してくれたもんだよ」
【ゴースト】__それが今【帝都】を騒がせてる人間の名前だった。
まるでハロウィンのジャック・オ・ランタンのような目のくり抜かれた巨大なカボチャを被り黒いスーツにマント姿というふざけた格好で現れる奴は、博物館や美術館、果ては貴族の屋敷にいたるまであらゆる場所に侵入しては盗みを働いていた。
その被害金額は日増しに増える一方で、【軍警】も一向に犯人を捕まえられていなかった。
理由はただ一つ。
、、、、、、、、、、、、
彼は実際にゴーストなのだ。
何度となく捜査員は【ゴースト】を追いつめ、逮捕まで後一歩というところまで追いつめてきた。しかし、【ゴースト】は捜査員に捕まる前に跡形もなく消え失せるのだ。
肝心の侵入経路に関してもどんなに厳重な警備を敷いてもまるで壁をすり抜けるように現れる。
それ故にいつの間にやら噂が巡り、彼は【ゴースト】と呼ばれるようになった。
__そして現在、【ゴースト】によって届けられた予告状によって再び軍警は動き出し、その上官として任命されたのが大貫というわけだ。
- Re: 異能者の日常と襲撃【11/18up!】オリキャラ募集予定。 ( No.2 )
- 日時: 2014/11/18 22:00
- 名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)
- 参照: すいません。↑は編集出来なくて途中で切れてます。
【出会い 新人刑事と下っ端社員】
AM_1:54
煉瓦作りの洒落た屋敷が建ち並ぶ【帝都】の一等地、壱区。
【帝都】の中でも貴族や有力者が住む地域。普段ならば住民は寝静まっているはずの時間にも関わらず、その日は異様な空気が流れていた。
壱区の中でもひときわ目を引く屋敷の広間には異様な数の制服姿の人間が集まっていた。
多くが黒い詰め襟にエンブレムが刺繍した制服を着込んだ軍警の人間達。
彼らが取り囲むようにして守っているのは広間の中央に置かれたガラスケースの中身、ライトの光をあびて燦然と輝くダイアモンドやルビーで飾られた首飾りだった。
そんな異様な広間と隣接する応接室には数人の軍警の人間と整った身なりの男女が向かい合うように座っていた。
「なんとしても守るのよ!ワタクシの大切なモノなんですからねっ!」
そう高飛車に懇願するのはふくよかな体躯の女性で、雰囲気や着ている衣服の質からもこの屋敷の住人である事は一目で分かった。
隣に座っている口ひげを蓄えた厳格そうな男性も何も言わないが失敗は許さないとばかりに前に座る軍警の三人を見据えていた。
「はっ、【ゴースト】の確保も含め全力で警備にあたります!」
その後も女性は口うるさく相手に文句を付けていたがそれらを流すように軍警の人間は部屋を出た。
「大貫さん、あんな対応で良いんですか。仮にも第壱区の貴族様ですよ」
「あんなのいちいちへこへこやってられねぇよ」
部屋を出て先頭を歩く大貫にそう聞いて返ってきた答えに、詩音は深くため息をついた。
「定年近い人はいいですねぇ。そういうとこ気楽で。俺はまだまだそういうお付き合い長いですから波風たてたくないんですけど…………ふあぁ」
そういいつつも詩音は抑えようともせずに大きくあくびをした。
「相沢先輩も大貫警部も緊張感足りないんじゃないですか」
二人に言ったのは小柄な少女だ。セミロングの黒髪に深い赤みを帯びた瞳を向け、小走りでついている。今年捜査課に配属されたばかりの新人だ。
「帯刀は真面目だな……」
詩音はぼそっといいつつまたあくびをかみ殺す。
「ったく、上も最後に厄介な仕事回してくれたもんだよ」
【ゴースト】__それが今【帝都】を騒がせてる人間の名前だった。
まるでハロウィンのジャック・オ・ランタンのような目のくり抜かれた巨大なカボチャを被り黒いスーツにマント姿というふざけた格好で現れる奴は、博物館や美術館、果ては貴族の屋敷にいたるまであらゆる場所に侵入しては盗みを働いていた。
その被害金額は日増しに増える一方で、【軍警】も一向に犯人を捕まえられていなかった。
理由はただ一つ。
、、、、、、、、、、、、
彼は実際にゴーストなのだ。
何度となく捜査員は【ゴースト】を追いつめ、逮捕まで後一歩というところまで追いつめてきた。しかし、【ゴースト】は捜査員に捕まる前に跡形もなく消え失せるのだ。
肝心の侵入経路に関してもどんなに厳重な警備を敷いてもまるで壁をすり抜けるように現れる。
それ故にいつの間にやら噂が巡り、彼は【ゴースト】と呼ばれるようになった。
__そして現在、【ゴースト】によって届けられた予告状によって再び軍警は動き出し、その上官として任命されたのが大貫というわけだ。
「ったく、巫山戯た野郎だ」
数少ない【ゴースト】の写真を見た大貫は舌打ちをしながら言った。
「はぁ…………。上も他のお偉い様も失敗で貴族の皆様のご機嫌損ねるのを恐れて捜査やりたがらないし、そのせいで大貫さんがやらされて、ついでに俺まで……」
悲観する詩音にかまわず大貫はスーツのポケットから煙草を取り出した。
「失敗しなきゃ良いだけの話だろ」
「簡単に言いますね」
詩音は煙に隠れた大貫を恨めし気に見た。
「でも、これだけ包囲してるんだし……」
広間に入って周囲を警戒する捜査員の姿を見て新人の少女は呟いた。
しかし、二人は微妙な反応だった。
「なんですかその反応……」
「……帯刀、上がやりたがらない理由って何だと思う?」
「え、貴族の人がって訳じゃ」
「違うな」
新人の言葉に大貫は煙を吐きながら否定した。
「え、じゃあ……」
「相手が”異能者”だからさ」
”異能者”__少数の人間が有する常識でははかる事の出来ない能力を持った人間たち。
【帝都】全ての人口のなかで二割程。その能力の種類も威力も様々で【軍警】にも”異能者”は多数所属している。
そして、中にはその能力を利用して犯罪に手を染める者も後を立たず、治安を守る【軍警】にとっては特に厄介な存在だ。
黙った少女を気にせず大貫は腕時計の時間を確かめた。
丁度秒針が十二を指し、屋敷の時計の鐘が二回鳴り響いた。
「さって、時間だ。奴さんどこから来るかな」
大貫の言葉が終わると同時にガチャンと言うガラスの割れる派手な音が響いた。
「!?」
「ッ!!」
今まで、気配すらなかった。
捜査員達が取り囲む中心に唐突に現れたカボチャ頭の男はまるであざ笑うような顔で首飾りを 手に優雅に一礼してみせた。
捜査員が混乱したのは一瞬だった。
「ゴーストだぁあぁぁ!!」
一人の言葉とともに捜査員たちの警棒が【ゴースト】を狙う。が、【ゴースト】はまるで警棒など存在しないように連続する攻撃をすり抜けると驚異的な跳躍力て広間の上の窓ガラスを突き破った。
【ゴースト】に気づいた屋敷の外に配備された捜査官が俄に騒ぎ立つが大貫と詩音は暢気な者で一緒にいる少女は焦った。
「ちょっと、警部!なに暢気に……!」
「まぁ、大丈夫だ」
「大丈夫って、煙草吸ってる暇なんてないですよ!」
そう言うと少女は【ゴースト】を追って飛び出した。
「新人は元気だなぁ」
感心して言う詩音に呆れつつも大貫は独り言のように愚痴った。
「ったく、安くなかったぞ。……あいつら、下手に出たら強気になりやがって」
【ゴースト】はいつものように華麗な身のこなしで屋敷の屋根を跳ねるように移動していた。
軍警の捜査員はサーチライトで【ゴースト】の姿を追い、銃弾が狙うが全て【ゴースト】に当たる事はない。
「ハッ!ハッ!ハァッ!そんなことではまた取り逃がしちゃいますよぉ」
癇に障る台詞に軍警達の怒号が大きくなるが【ゴースト】は余裕で手に持った首飾りをふってみせたのだが、
唐突に首筋の毛が逆立った。
「ッ!!!?」
背後を振り返るのと眼前をナイフが通り過ぎるのが同時だった。
「あらら、外れたか」
纏う殺気にそぐわない爽やかな声に困惑しつつも【ゴースト】は同じように目の前に立っている男を見た。
黒髪黒目、中肉中背の優男といった風の男だ。屋根を歩いているというのに全くぶれずに歩いている。
「なに、あんた……」
そう言って【ゴースト】は目の前の男が軍警の制服を着ていない事に気づく。
「ん〜、君を捕まえろって言われた一介の探偵?」
「あっそ」
警戒しつつも【ゴースト】は眼前の男が大した武器を持っていないのを確認する。
「じゃあ、それは失敗だな」
しかし、その余裕の言葉はすぐに困惑となって顔に表れた。
__なんで
「生憎、ずるはなしだ」
ニヤッと笑って言う男に【ゴースト】の心の中で警戒信号が鳴り響いた。
____ヤバい
「あと」
思い出したように男は微笑んだ。
「探偵は一人とは限らない」
「え————
【ゴースト】の言葉は死角から飛んできた激しい衝撃によって断絶された。
気づけば屋根から身体が飛ばされ、別の一段低い屋根でバウンドすると庭園の庭木に落下し、ちょうど屋敷から走り出た少女の前に落下した。
「ヒッ!!」
突然目の前に降ってきた物体に悲鳴を上げた少女だが、その人物の頭に見覚えのあるカボチャ頭を確認して悲鳴を飲み込んだ。
「ご、【ゴースト】!!!」
なんで、逃げたはずのゴーストがここに
などと混乱する新人の前に再び軽い衝撃音がして今度は二人の男が着地していた。
一人は ちょっと目を引くような優男、もう一人は細身で背の高い 青年だ。
「ちょっと、桃矢くん。手加減してやりなよ」
【ゴースト】が気絶しているのを確認しながら男が言った。もう一人の男はそれを聞くとあからさまに不服そうな顔を見せた。
「取り押さえろって言ったの鷹人さんだよね」
「取り押さえろって言って殴り飛ばせと入ってないよ」
「”異能”使われて逃げられたくなかったんで」
「なら……」
「アナタたち!!!」
「「!?」」
言い合いを始めそうだった二人はそこで初めて少女の事に気づいたようだ。
そして、少女の持った小振りの刀が向けられているのを見て、すぐさま手を挙げた。
「ちょ、誤解です!俺たちは……」
「帯刀、刀をおろせ」
そう言ったのは遅れて来た大貫だ。後ろからついて来た詩音は二人を見て軽く会釈する。
「警部……」
「ったく、殺してネェだろうな」
「それは大丈夫です」
「殺しかけましたけどね」
「うっさい」
男の言葉に噛み付く青年に大貫は苦笑した。
「あの……」
「あぁ、悪いな。こいつらは俺が【ゴースト】を捕まえるので依頼した」
「依頼?」
疑問の言葉に青年が微笑んだ。
「俺たちは荒事専門の探偵事務所__【異能探偵社】 そこの冬月桃矢って言います。よろしく」
これが、探偵社の下っ端__冬月桃矢と軍警の新米__帯刀千鶴の出会いだった。
そして、
この出会いが【異能探偵社】の日常を変容させていく。
- Re: 異能者の日常と襲撃【11/18up!】オリキャラ募集予定。 ( No.4 )
- 日時: 2014/11/22 21:57
- 名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)
【出会い+】
【帝都】参区に存在する威圧感を放つ重厚な建物。
黒煉瓦で建てられ、【帝都】のマフィアが距離を置くその場所こそが【軍警】の本部だ。
大貫と詩音、千鶴と共に付き添われ、緊張しながらその後ろを歩く桃矢と、全く緊張感を感じさせない鷹人は取調室のような一室に連れて行かれた。
「遅い!!!」
扉を開けたとたんにそんな怒号が響いた。
「いやぁ、ごめんね紅魅ちゃん」
鷹人がヘラッと謝る先にはテーブルと椅子が一組ある以外には何もない簡素な部屋に拘束された人物がいた。
両手に手錠をかけられイライラとした表情を向ける紅魅はその顔を見てさらに青筋を浮かべた。
「しかもなんでバカヒトなの?修兵先輩は?」
「修ちゃんは軍警なんて古巣、いずらくて来たくないみたいよ」
「依頼したのがこいつなんだよ。面倒な異能者相手じゃこいつの異能無効はかなり役に立つ」
鷹人の巫山戯たような台詞に大貫が追加で説明するが紅魅はまだ納得いかないようだ。
「で。捕まえたんだね?」
「もちろん」
鷹人が頷くと紅魅の手元からがしゃんという金属音がした。驚いてみれば紅魅の両手にあったはずの手錠が外れていた。
「!?」
何が起きたかわからずに混乱する千鶴のよこで大貫と詩音は挑発的な態度に顔をしかめた。
「てめぇ……」
「あ、ごめんなさぁい。うっかりしてた」
まるで悪いとも思ってない声で言うと紅魅は大きく伸びをした。
軽く手を振って外れた手錠を詩音に渡す。
「じゃ、帰りますね 」
鷹人はそう言うといつものヘラッとした笑みを見せたのだが、唐突に響いた甲高い声でその笑みが固まった。
「あらぁ、鷹人ちゃん!?」
その声に驚いて桃矢と紅魅が振り返ると、きちんとした身なりのふくよかな女性がこちらを驚いたように見て立っていた。その顔をみて呼ばれた鷹人の表情が明らかに一瞬動揺したように見えたがすぐにその緊張は消え失せ、いつもの笑みを見せた。
「何を言ってるんですか、奥様。人違いですよ」
「え、だって……」
「じゃあ、大貫さん。依頼料は銀行振込でいいので」
訳が分からない桃矢と紅魅の背中を押すとその場から逃げるように鷹人は足早に進んだ。
後ろでは相変わらず女性の呼び止める声が聞こえたが鷹人は振り返りもしなかった。
「いいんですか、ってか。知り合いなんじゃないんですか」
「うっさい」
どうやら訳ありらしい気がしたが、いつもと違うトーンでそう言った鷹人の圧力に負けて桃矢と紅魅は去っていった。
女性はあっけにとられたようだが不満そうな顔をしながらも出口の方へ歩いていった。
残された大貫達三人はその姿が見えなくなると軽くため息をついた。
「なんであんな人たちに頼んだんですか」
非難めいた口調の千鶴に大貫も苦笑した。
「まぁ、今回は上の連中があいつらの身内に手ぇ出したからな。知り合いとしてほっとけなかっただけだ」
「ちゃっかり依頼料とられてんじゃ全くかっこつきませんよ」
詩音の言葉で大貫は逃げるように歩き出したので千鶴たちも追った。
「相沢、このあと予定あるか?」
「八千草さんに呼ばれてます。昨日の【拾壱区】の殺人事件で」
「じゃあ、帯刀。【ゴースト】の取り調べお前やれ」
「はい……って、え!?」
軽く言われた言葉に千鶴は頷きかけて立ち止まった。
「え、と、取り調べなんて。しかも、まだ所属三ヶ月も立ってませんよ!?」
「ちょうどニヶ月と二十二日だな」
「なおさら!【ゴースト】なんて世間騒がせた人の取り調べなんて!」
「誰が一人にやらせるって言った」
慌てる千鶴の様子をニヤニヤしてみながら大貫は言った。
「俺も一緒だ。心配するな」
「伊達に年取って定年間近なだけじゃないから」
「 一言余計だ、相沢」
軽口を叩く二人の前で千鶴は緊張をおちつけるように深呼吸していた。
「親父さんみたいな刑事になるんだろ?」
そう言って軽く肩を叩いた。
「……はい」
その言葉で迷いが消えたように叫ぶと千鶴は敬礼した。
「今のセクハラですね」
「だ、黙れ!相沢!!!」
巫山戯た詩音の言葉と応酬する大貫の姿に千鶴は思わず吹き出した。
「早く片付けて飯でも行くか」
「あ、おごりですか。俺も是非」
「お前は八千草と仲良くやってろ」
「八千草さん怖いんですよ」
「こっちは結城警視殿に報告しに行くんだ、忙しいぞ。帯刀」
「はい!」
いつもの賑やかな光景に吹き出しながら千鶴は二人の背中を追いかけた。
________
____
__
翌日__
赤煉瓦の街並が特徴の【帝都】拾区。
美人のウエイターがいるため密かに人気がある喫茶店【猫の目】。その隣の古風なビルの三階が【異能探偵社】の事務所だ。
訳ありのため社員はタダで借りられる部屋から事務所に向かった桃矢はいつものように事務所のドアを開けた。
「おはよう、桃矢」
「おはようございます」
挨拶を返したのは 修兵だ。少し離れた場所のアパートを借りているらしいが、すんでる桃矢よりも来るのが速い。
「昨日はお疲れ、依頼料貰ったか?」
「鷹人さんが銀行振り込んでって催促してました」
「まぁ、大貫さんだから大丈夫だろうけど。あとで確認な」
「はい。まだ修兵さんだけですか?」
「そこで死んでる」
修兵が指差した方を見るとお客用のソファを寝床にして創平が爆睡していた。創平もこのビルに部屋を借りているが、先週また物騒な訪問者が来て創平の部屋は今修理中なのだ。
「あぁ……」
納得する桃矢と同時に再びドアがあいて紅魅が入って来た。
「おはよう。あと昨日までお疲れ、紅魅」
「おはようです。……全く。なんであたしが【ゴースト】だって疑われなきゃいけないんだよ」
まだ【ゴースト】の能力も正体も分かっていなかった頃、なまじ能力が断片的に知られているせいで物理攻撃や空間を煙に変わる事ですり抜けられる紅魅は真っ先に疑われたのだ。
今回探偵社が依頼を受けたのはそうした事情が会ったからとも言える。
「で、どんな奴だったの?」
簡易的な台所から珈琲を持ってきながら修兵が聞いた。ついでに寝ている創平の頭を叩いて起こす。
「多分瞬間移動系の異能だと思います。ちょっと自信過剰な兄ちゃんでした」
珈琲をありがたく受け取りながら桃矢が説明した。
「犯人が女でもないのに間違えられたとか余計にムカつく」
さらにイライラを募らせる紅魅をなだめるように彼女にも珈琲を差し出した。
「おぉはようございます」
あくびまじりで鷹人が入って来た。
「おはよう。報酬確認したか?」
「はい。けど入ってませんでした」
「え、逃げられたんじゃなっすか」
驚いたような創平の声に鷹人も肩をすくめた。
「大貫さんに確認します」
「その必要はありません」
バンというドアを叩き付ける音と一緒にそんな声が事務所内に響いた。
驚いて桃矢たちが振り返ると小脇に封筒を抱えた少女がいた。
「あれ、君……」
少女の顔に見覚えがあって、桃矢は不思議そうな顔をした。
その質問には答えず少女は探偵社の面々の顔をぐるっと見渡した。
「あの、狗木さんは」
「……俺だけど」
鷹人が手を挙げた。すると少女は歩いていって
持っていた封筒を手渡した。
「これ、大貫警部から預かりました。今回の依頼金です」
「あ、手渡しなんだ」
受けとるが少女は立ち去ろうとしなかった。
「……?」
「それと……」
なんとも言いづらそうな少女、千鶴はスッと顔を上げると大きく息を吸った。
「帯刀千鶴と言います。…………ここで働かせてください!!」
- Re: 異能者の日常と襲撃【11/22up!】オリキャラ募集予定。 ( No.5 )
- 日時: 2015/01/19 13:35
- 名前: るみね (ID: fYloRGSl)
- 参照: 前作未読の人はネタバレ注意。
×××設定&用語×××
【世界観】
雰囲気的には明治、大正時代の東京をイメージ。
文明はある程度の電子機器は発達してるがあまり一般的ではない。
■【帝都/テイト】
日本に存在する都市。13区に分割されそれぞれの治安にも差がある。数字が小さい程治安は安定している傾向にある。
■【軍警/グンケイ】
軍直轄の警察組織。【帝都】の治安維持にあたっている。
■【異能者/イノウシャ】
人間の常識では考えられない能力を持った人々の事。
数は少なく、その多くは【軍警】や様々な組織に所属している。
■【異能探偵社/イノウタンテイシャ】
荒事専門の何でも屋。社員の多くは異能者。
■【亡霊/レムレース】
【帝都】で暗躍するマフィア。二年前に壊滅した。
×××登場人物×××
■帯刀 千鶴/タテワキ チヅル 【♀/18】
今年軍警に配属された新米。が、訳合って異能探偵社で働く事になった。
とあるきっかけで正義の味方に憧れ、父と同じように軍警を目指していた。
正義感に溢れるが、多少思考がネガティブ。
年齢にしては小柄で、黒いセミロングに深い赤色の瞳の可愛い少女。
桃矢たち探偵社と出会う事でとある事件に巻き込まれていく。
■冬月 桃矢/フユツキ トウヤ 【♂/20】
二年前にあるきっかけで探偵社で働く事になった。
肩程の黒髪、黒い瞳。体格はいわゆる中肉中背だがどちらかと言えばひょろっとしている方。仲間思いの優しい性格。自分でなんでも解決しようとする正義感が強い。
ひょろっとした体型の割に動きは素早く運動神経はいい。
幼少期の虐待経験から二重人格者で、精神内に別人格が存在している。
【君子豹変/クンシヒヨウヘン】
人格を入れ替える事で能力が変わる。桃矢は獣並の身体能力。
■狗木 鷹人/クギ タカヒト 【♂/26】
”異能探偵社”に所属している”異能者”
黒髪に灰色の目。身長もそこそこあり、笑顔が爽やかな優男。
飄々としていて食えない男で、ちょっと空気がよめなかったり。人をからかうのが好き。
かなり身体能力が高く、異能を利用した戦闘を得意とする。
【治外法権/チガイウケン】
自分の一定領内を支配し、外部からの武器や異能の攻撃を不能にする。
■園村 修兵/ソノムラ シュウヘイ 【男/28】
”異能探偵社”に所属する”異能者”。元軍警所属。
長身。深緑色の目で長い黒髪を一つに結っている。整った顔立ちだが目つきが悪い。
熱血漢でかなり短気。いつもイライラしているか怒っている事が多く、喧嘩っ早い。
高い対人格闘術を持ち、銃器の扱いにも長けている。自分の”異能”が嫌い。
【男耕女織/ダンコウジョショク】
自身の性別を入れ替える。
■東郷 大地/トウゴウ ダイチ 【男/28】
”異能探偵社”に所属する”異能者”
黒の短髪に黒い目。長身でがっしりした体格。
真面目で実直。周囲から慕われる仲間思いの兄貴分。怒ると怖い。
格闘術にすぐれ力も強い。過去のとある事件から拳銃嫌い。
【国士無双/コクシムソウ】
限定時間内に人外的な身体能力と 再生能力を得る。
■縁 牡丹/エニシ ボタン 【女/31】
”異能探偵社”に所属する”異能者”
黒のセミロングに色白の美人。黒を基調にした服を好む。
強気で容赦ない。はきはきした姉御肌でちょっとS。
華奢な体格に似合わない怪力。格闘術よりも直線的な力技が多い。三十路をすぎてちょっと結婚とかに敏感。
【烏合之衆/ウゴウノシュウ】
自分の身体を烏に変化させる。
■社長/シャチョウ 【不明/不明】
異能探偵社の社長。
出張が多く、あまり事務所にはいない。異能者なのかどうかも不明だが、軍警から裏社会まであらゆる場所に通じているらしい。
■当麻 清子/トウマ キヨコ 【女/22】
喫茶店”猫の目”のウエイトレス。軍刀の妻。
華奢な美人。元は探偵社員で、異能探偵社の人間とも仲がいい。
■つるこ/ツルコ 【女/28】
喫茶店”猫の目”のウエイトレス。
眼鏡に泣きぼくろ、黒髪の女性。大人しめの性格。探偵社の人間と仲がいい。
■当麻 軍刀/トウマ グント 【男/38】
【亡霊】の幹部だったが、今は【帝都拾区】の闇医者。
無精髭に白衣で終止気だるそう。腕はいいが性格に多少難ありで、女性には優しいが、男性に対して当たりが強い。清子の事を溺愛してる。
【万死一生/バンシイッショウ】
物理攻撃による外傷をすべて治癒する。
■黒尾 禅十郎/クロオ ゼンジュウロウ 【男/30】
【帝都】で暗躍する組織【亡霊】のボス。
殺人に特化した能力の持ち主であり、裏社会を仕切る危険な存在。
二年前に【亡霊】が壊滅して以来逃亡中で、現在は消息不明。
【百鬼夜行/ヒャッキヤコウ】
自身の影、周囲の踏んだ影を使役し操る。
■花/ハナ 【女/12】
【亡霊】の構成員。禅十郎に懐いている少女。
現在は【軍警】の地下牢の最下層に収監されている。
【雨降小僧/アメフリコゾウ】
一定領域に雨を降らせ、その空間内の物体全てを感知する。
■大貫/オオヌキ 【男/60】
軍警の警部。異能探偵社とは昔から関わっており、嫌がりつつも捜査依頼や協力をしている。
上層部に反抗したりとあまり出世とは縁がない。
今年でとうとう定年であり、探偵社への引き継ぎに悩み中。
ちょっとだけ出る人たち。
■結城/ユウキ 【男/不明】
軍警の警視。大貫の上司。(日常Aより)
■日向/ヒュウガ 【男/不明】
【猫の目】の常連の老紳士。(日常Bより)
■創/ソウ 【男/不明】
【猫の目】の常連の男。(日常Bより)
■冬峰麻里子/フユミネ マリコ 【女/21】
鷹人の許嫁。帝都でも有数の家のお嬢様。
鷹人の事が大好き。感情が高ぶると抑えがきかない。(日常Cより)
【怪力乱心/カイリキランシン】
感情が高ぶることで怪力を発揮する。
■赤西燐太郎/アカニシ リンタロウ 【男/28】
地下闘技場【煉獄】のチャンピオンでありオーナー。
見た目は厳ついが面倒見はいい。大地とは腐れ縁。(日常Dより)
【__/__】
不明。
■侑斗/ユキト 【男/17】
地下闘技場【煉獄】で働いている青年。
千鶴曰く吹いたら飛びそうな人。(日常Dより)
- Re: 異能者の日常と襲撃【11/22up!】オリキャラ募集予定。 ( No.6 )
- 日時: 2014/12/06 12:49
- 名前: るみね (ID: kzWZEwhS)
オリキャラ募集を開始します。
更新は遅いしいつ登場させられるかもわかりませんが、
先着かつ選考もあると思うので不採用になったらごめんなさい!
登場は【帝都】の地下闘技場の闘士とかになりそうなので、そんな感じのキャラ(←)だと嬉しいです。
××オリキャラ募集用紙××
■名前/フリガナ 日本人で
■性別/年齢
■容姿
■性格 出来るだけ詳しく
■一人称/二人称
■異能名 四字熟語でお願いします。出来るだけ実際の奴がいいです
■異能 能力の内容です。出来たらサポート系よりも直接攻撃、物理的なものとか、肉弾戦で使えるような能力嬉しいです。
■代償 使いすぎる、またはより強力な力を使うとおこる副作用のような感じです。弱点とか(例:全身の痛み等
■人物関係
■その他 過去とかその他好きな設定
■SV
「」
「」
「」
「」
■死傷表現がありますが…… [ ]
■作者の勝手でモブになる可能性が…… [ ]
■不採用の可能性も…… [ ]
やたらと注文多くて申し訳ありません!
送ってくださったキャラは出来るだけ採用したいですが、
世界観と合わなかったり、作者が使いこなせないようなキャラは設定の変更or不採用にしてしまうかもしれません。
ここまで呼んでくれて更に送ってくださった方はありがとうございました!!!
今後とも宜しくお願いします。