複雑・ファジー小説
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- 【坂の街:更新】カタテマ【短編集】
- 日時: 2019/03/22 00:42
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: W7Can3CF)
どうも、初めましての方は初めましてRと申します。
今回は短編集に手を出してみました。
というのも只の現実逃避なだけなんですが。
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【お知らせ】
書き溜めはないので自分の調子で投稿スピードは異なります。
ご了承ください。
随分と久しぶりの活動になります。どうもこんにちは。
未完成の作品も多くあって申し訳ないのですが作者のやる気が維持しないのです(;・∀・)
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【作品一覧】
透明人間 >>1
星降る >>2
自由落下 ふりーふぉーる >>3
ウサギの田中君 >>4 >>14 >>18
天の声 >>5
リリアの目 >>11 >>12 >>13
カコノヒト>>16 >>17
客観的であり主観的見解 >>21
夜明けに沈む >>22 >>23
風の吹く街 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
この世界 >>31
手と手とて >>32
ペットボトルロケット >>35
以下、めんどくさいので略
- Re: 【ウサギの田中君参:更新】カタテマ【短編集】 ( No.20 )
- 日時: 2015/05/21 01:09
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
>>19
橘ゆづさん
夜遅くにいらっしゃいませ。
滅多に来ないお客様に若干テンションが上がっているRです。
ありがとうございます!
余談ですが不思議な世界観は自分も好きです。
地に足がついていないというかフワフワした雰囲気を楽しんで頂けたらと思います。
失礼ながら自分は久しぶりにここに来たので橘さんの作品に目を通したことがありません(汗)
読ませて頂いた時には感想の方を書かせてもらいますね。
自由落下ですか。自分としては少し意外なところでした( ´▽`)
お互い短編書きとして頑張って行きましょう。
くれぐれも無理はせず。
- Re: 【ウサギの田中君参:更新】カタテマ【短編集】 ( No.21 )
- 日時: 2015/05/22 01:14
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
【客観的であり主観的見解】
ひとまず自分の行く末、辿ってきた過去を客観的及び主観的に見てみよう。
まず成功した未来の自分。
彼は自分のやりたい事をしただけで成功者になった。
そんな彼の過去は決して失敗なんてしなかった。いや、厳密に言えば失敗を失敗と捉えなかった。
そうすれば彼の人生から失敗の二文字が生まれることはなくなるわけだ。
そうやって彼は成功を手に入れた。
そして、もう一人の自分。つまり失敗した未来の自分。
彼は自分のやりたいことをした結果失敗した。
そんな彼の過去は失敗だらけだった。しかもその失敗を彼は自分で認め反省してしまった。
反省して次に活かそうとする。それによって彼は自分の身を滅ぼすことになった。
こうやって二者(正確には僕一人)を比較してみたわけだがどうだろうか。
同じような人生を送ったとしてもそれが最高の展開になるか最悪の事態に陥るかはわからない。
例えば今日君がお昼に食べたもの。
パンを食べたかご飯を食べたかの違いだけで世界は大きく反転するというものである。
極論を言うと全て運だ。
不幸な人の口からよく聞く神様の気まぐれ、そしていたずら。
もちろん僕が転がるのはこの二つのパターンだけではない。
もしかしたら特に好きでもないことで大成功を収めるかもしれないし努力の末の失敗だってありえる。
それに成功も失敗もない未来だってあるかもしれない。
そもそも生まれてくるかどうかだって運だ。
僕の人生は僕が生まれるのよりも遥か遠い過去が果てしなく分岐していった結果だ。
誰にも想像はつかないしそんな空想の話想像しようとも思わない。
それに想像したって無駄だ。
さて、明日の朝ごはんは何を食べようかな。
完
- Re: 【ウサギの田中君参:更新】カタテマ【短編集】 ( No.22 )
- 日時: 2015/05/23 13:35
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
夜明けに沈む
「やぁ、こんばんわ」
時刻は深夜一時を回った頃、男は店に現れた。
見たところ齢は二十代前半というところか。
「あぁ、お客さん。そろそろ店を締めようかと思ってたんですよ」
そう言って私はノレンを外した。
「いや、いいんですよ。店を閉めるんなら一人の大人として酒の席に付き合ってもらえませんかね」
男は屈託のない笑顔を浮かべグイグイと店の中へ入ろうとする。
「いやいや、何言ってるんですかお客さん」
このお客、酔っているんだろうか。
それにしては、酒臭い匂いがしないな。
「変な話ですがね、大将。僕は今日の夜明けには消えて無くなってしまうんですよ。一人寂しく消えるのもあれなんで相手が欲しかったんです」
なんだやっぱり酔ってるんだな。
まぁ悪い人ではなさそうだし、こういう出会いを楽しむのもいいか。
「いいでしょう、お客さん。たまにはこういうのもいいですね」
そう言ってお客さんを店の中へ招き入れた。
続く
- Re: 【夜明けに沈む:更新】カタテマ【短編集】 ( No.23 )
- 日時: 2015/05/23 23:17
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
「どうぞ、こちらへ」
そう言って私はお客さんをカウンターに座らせた。
「いい日本酒が入ってるんですよ。辛口でキリッとした飲み口で。酒の肴の方は何を作りましょう?」
残っている食材を確認してみる。ちら、とお客さんの方を見てみるとニコニコと微笑みながらこちらを見ている。
「大将のお任せで。いやぁ、それにしても愉快だ。愉快愉快」
お客さんが浮かべる笑顔はまるでこれから消えてしまうような人間のものとは思えなかった。
これからの人生に幸せそのものが待っているかのような。
「お客さん、もう幾つばかりか時針が進めば消えてしまうというのに、まるで幸せそうじゃないですか」
人の心からの笑顔を見ていると自分にもそれが伝染するというものだ。
私も理由こそないが自然と口角が上がっていた。
たとえ酔いどれの戯言といえど馬鹿にはできないものだ。
「いやね、大将。人というものは新しいモノを見ると少なからず心は踊るというもんですよ。本能には逆らえませんね。消えてしまうというのも同じです。消えたあとは僕はどこに行くんでしょうか?誰にもわかりませんよね。誰にもわからないものを想像するから、その機会を得ているから僕はこんなにも清々しく笑えるんですよ」
お客さんはそう言ったあと少し照れたように頭をポリポリと掻いた。
私は単純にこの人が素敵な人だと思ったし、羨ましいとも思った。
「そうですか。出来る事なら私も行ってみたいです。消えたあとの世界。しかしながらこの世に嫁と子供たちを残していくこともできませんから。それとは違う方法で探してみようと思います」
私は簡単なツマミを作りながらそう答えた。
相変わらずお客さんは暖かい眼差しで私を見守ってくれている。
「それこそ人それぞれというやつですね。世界はいつも広がり続けてるんですよ」
あぁ確かにそうだ。もっと言えば広がるなんて言葉じゃ足りないのかもしれない。
「これ、オツマミです。それと、隣いいですか?」
私は酒の瓶片手にお客さんの隣の席に座った。
「是非、どうぞ」
こうして私たちは潰れるまで持論をぶつけ合った。
気づけばお客さんは寝て、私も眠りについていた。
目が覚めたのは窓から差し込む日差しのせいだろうか。
外からは小鳥のさえずりが聞こえ暖かい春の匂いが感じられる。
隣の席を見てみれば残されていたのは飲みきった酒の瓶と一枚の紙切れ。
お客さんの姿は微塵もなくなっていた。
あぁ、もう行ってしまったんだ、と机の上にある紙切れを拾い上げてみた。
そこに書いてあったことは、私の記憶に刻むだけにしておきます。
おしまい
- Re: 【夜明けに沈む:更新】カタテマ【短編集】 ( No.24 )
- 日時: 2015/05/26 01:53
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
風の吹く街
僕たちの街は「風の吹く街」って呼ばれている。
風なんかどこにでも吹くじゃないかって思うだろう?
そう、そのとおり。みんな知っての通り風は年がら年中あらゆる場所に吹いている。
そんなこと常識だよね。もちろんこれを読んでいる君たちもわかるよね。
だけど君は人を運んでくる風を知ってるかい?
どこから吹いてくるのかいつ吹いてきているのかもわからない、そんな風を聞いたことがあるかい?
ないだろうね。僕だってこの街に生まれなければそんな話を聞くこともなければ信じることもなかったと思うよ。
この風について少しばかり説明しようと思う。
と言っても、この街に住んでいる僕らも大したことはわかっていないんんだ。
わかっているのはこの風が吹いたときにどこかの誰かさんが街へやってくるということ。
誰かが来たから吹くんじゃなくて、風が吹くから誰かが来るってところがまた面白い。
ということで説明はこれくらいかな。
うん我ながら上出来だ。
一応注意しておくけど、ここから先の物語は少しずつ紐解いていくつもりだから。
あ、そうそう。そういえばこの風、人もちゃんと連れてくるけど誰かを飛ばすのも得意だそうだ。