複雑・ファジー小説

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紫の瞳 祝 第一部完結&参照500!
日時: 2015/06/10 18:02
名前: リリィ (ID: 9nquTbLL)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/data/img/4555.jpg

少女はは幼いころの記憶を失い、ずっと牢獄の中で育ってきた。
ある日、とあるメイドに出会い、少女の運命の歯車は動き始めた———

これは、私の自伝のようなものだ。
今思えば、なかなか面白い一生だったと思う。
それをここに書き記しておこうと思い立ったのだ。
さあ、皆さん。ちょいとでもお暇があれば立ち寄ってくださいな。
長い長い話だけどね…



〜ご挨拶〜
初めましての方は初めまして!


そうでない方はこんにちは!
リリィです。
初心者のくせして小説を書き始めました。
物凄くグダグダしたへんてこりんな話ができてしまうのでは!?なんて心配しています。そんなんでも読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。

コメをいただくと、リリィはブリッジして喜びます!!
どうぞ、私への文句でもいいのでコメントよろしくお願いします。
アドバイスをもらえるとうれしいです。

〜お知らせ欄〜
5/27
ページの編集をさせていただきました。なんだか変な所にキャラ紹介が来たりしてしまっていましたので、ちょっと整理しました。前々から読んでくださっていた方々、いきなりすみません。自分の書いた、小説にいきなり割り込んだようなコメントも消しました。
ちなみに、参照が500にとどいたら、なにか番外編を書こうかなと思います。「このキャラの過去について書いて!」とか、「○○と○○の関係について掘り下げて!」や、オリキャラ自身に対する質問などを考えていますが、どのキャラにするかや、どんなコーナーにするかは考え中です。ここに例として載せていないアイデアでももちろん大丈夫です。ご意見よろしくお願いします!


5/26
三日月様!五月中旬とか言いながらローザちゃんの登場が今頃になってしまい申し訳ありません。中間テストが想像以上に忙しくて…
なんて言い訳するわけでもないですが、本当に予定がうまくいきませんでした。キャラ紹介なんかを書いていたのも原因の一つでしたね…
本当にすみませんでした。せっかくご意見をいただいたのに…
なにとぞお許しを…

6/7
リク依頼・相談掲示板にて、茉莉様にイラストを描いていただきました!URLを貼っておきます。

6/10
祝 第一部完結&参照500!

紫の瞳 ( No.18 )
日時: 2015/05/23 22:18
名前: リリィ (ID: 9nquTbLL)

「ふーん。
おじいさまってなかなかすごいひとだったのねぇ」

そういうとまたバーチェリカはお茶を一口飲んだ。

「はい。
ロミアル様はとても素晴らしい方でございました。
…ただ、お嬢様がお生まれになってすぐにこの世を去られてしまいましたが。」

え、吸血鬼って死ぬの!?

バーチェリカはそんな私の表情を読み取ったようで、さらっと答えてくれた。

「あら、あなた知らないの?
吸血鬼ってちょっと命が永めなだけでちゃんと永眠もするのよ。
天上人だって同じでしょ?」


「・・・・・・・」

私は黙ってしまった。
なぜって、私は「普通」な天上人を知らないからだ。
私は確かに天上人がいるところから来たわけなのだが、どう考えたってあの「メイド」は普通じゃないだろう。


「私は物心ついた時からずーっと牢屋にいるから…」

バーチェリカは驚いたようだ。
そしてすぐ申し訳なさそうな顔つきになった。

「あらごめんなさい。
私以外にもそんな人がいるとは思わなかったから」

「え、あなたもそんな風にして育ったの?」


無礼だとかなんだとか、考えるよりも先に口が動いた。
だって驚いたから。
こんなに表情豊かで口達者な人が、私と同じようにして育ったとは思えなかったから。

「ええ、そうよ。
私は三つのころからこの図書館にずーっといるわ」

バーチェリカは思い出すのも苦痛だとでもいうように顔をしかめた。

「いやなドロドロとした跡継ぎ争いに巻き込まれてね。
今、地上ではバーチェリカ・レッドピジョンは死んだことにされているわ。」

そんな…
かわいそう。
この子は地上での居場所を奪われたんだ。

「でもまだ生きているんだからいいほうじゃない?
爺やがかばってくれなかったらわたくしは今頃殺されていたわ」

「これこれ、お嬢様。
お客様の前でそんな話をするものではありませんよ」

レーニ—とワディルがどこからともなくあらわれた。
やっぱりワディルにはお客様として椅子に座っているのは無理な話だったようだ。
二人のティーカップにお茶を注ぐ仕事に取り掛かっている。

「あら、別にいいじゃない。
同じ境遇なのよ。
話したって地上に知られるわけでもないし」

そういってバーチェリカはフンと鼻を鳴らした。

「あの、そのお話もっと聞かせて、バーチェリカ」

「お嬢様!そんなこと聞くもんじゃありませんわ!」
ワディルが慌てていった。

「いいわよ、話してあげる」

「ほんと?」

「嘘つく気なんてさらさらないわよ」

そう言うとバーチェリカはにっこりと笑った。

紫の瞳 ( No.19 )
日時: 2015/05/08 21:32
名前: リリィ (ID: 9nquTbLL)

—バーチェリカの語りー

まず説明しておきたいのは、レッドピジョン家の跡継ぎの決め方ね。
レッドピジョン家では主と配偶者との間に四人の子供を産むの。
なぜか四人なのよねえ。それ以上でもそれ以下でもダメなのよ。
それで、一番下の子が3歳になったらある儀式を行うの。
子どもたちにそれぞれ使い魔を出現させる儀式よ。
その中で、家の名前にもなっている、赤い鳩を出現させることができた子が、次代の主になるのよ。
たいてい一番上か2番めの子が跡継ぎになるケースが多いみたいね。

私は、一番下の子として生まれたわ。
んでもって、私が3歳になった日にその儀式が行われたわ。


…あの日のことは忘れもしないわ。
なんだかいやに冷たい風の吹く夜のことだったわ。

二番目のお姉さまはもともと病弱で、跡継ぎにはなれないだろうと予想されていたわ。
三番目のお兄様は家のことに全くと言っていいほど無関心で、あんなひとが主になるなんてありえないってみんなが思っていたわ。
だから、跡継ぎはきっと一番上のお兄様だと誰もが思っていた。
…もちろん私もよ。
だからお兄様は早くから英才教育を受け、みんなからちやほやされ、常にエリートとされていたわ。
そう、あの日までは。


あの日、一番上のお兄様は、さらっと赤い鳩を出したわ。
普通の鳩とほぼ変わらないようなサイズのやつを、ね。
そこで誰もが歓声を上げた。
「新しい主様だ!」ってね。
お姉さまはせっかく出した赤い靄をご自分の咳で散らしてしまう有様だったし、三番目のお兄様の使い魔は、形を保っていられないほど弱いものだった。

そして、ついにわたしの番になったわ。
私的には、結構どうでもよかったからゆっくりと力を出しただけだったのよ。
そしたら…!
おっきな鳩が、真っ赤な鳩がぶわぁって舞出たのよ!


つづく

紫の瞳 ( No.20 )
日時: 2015/05/09 21:58
名前: リリィ (ID: 9nquTbLL)

もうそのあとの我が家の混乱ぶりはあなたたちにも容易に想像できるでしょう?

主であったお父様も、いつも威厳に満ちていたお母様も、メイドも召使もみんなで騒ぎまくったわ。
だって跡継ぎ候補が二人も出て来たのよ?
こんなことはレッドピジョン家始まって以来…いえ、始まりの四家始まって以来のことだったそうよ。

至急家の者がすべて集まっての会議が行われたわ。
すべてよ。下仕えの者から家の主に至るまですべてのひとがあつまったわ。


私はその時まだまだ幼いただの小娘に過ぎなかった。
お兄様のように賢くもなかったし、世間のことに関しては家の中の誰よりも無知だった。
お父様はかなりご高齢になられていたから、もう明日にでも主の勤まるような子供を必要としていたの。
それなのに皆がわたくしを主になんて選ぶと思う?
わずか3つの私に?
そんなわけないでしょう。

主としては一番上のお兄様がえらばれたわ。

私は家の掟の書にあるとおり、どこかの家にお嫁に行くか、ただの悪魔族の女として気ままに一生を終えるのだろうなとばかり思っていたわ。

でも、それは違った。

お父様は、きっと「災いの芽となりかねるものは若いうちに摘まねば」
なんて思われたんでしょうね。
私を殺してしまおうとなさったのよ。

儀式の翌日、私は屋敷の裏を散歩していたわ。

そしたら突然黒い刃が私にとびかかってきたのよ。
私は悲鳴を上げたわ。
この世で一番邪悪でおぞましいものを見たような気さえしたわ。

そんな時、その刃を叩き落としてくれたのがレーニ—だったのよ。
あんときのレーニ—はまだ若くてカッコよかったわねえ…

レーニ—と私はこの時はまだそこまで親しくはなかったわ。
だからどうして助けてくれるのか全く分からなかった。
だって、私に刃を投げつけた刺客はお父様とお兄様の雇った奴だったはずよ。
そいつの邪魔をしたんだから、レーニ—は反逆罪で殺されてもおかしくなかったはずなのよ。

何がともあれ命が助かった私はレーニ—にすがることにしたのよ。

その後、何度も何度も命を狙われたわ。
でもそのたびにレーニ—が助けてくれたの。
家の中に居場所をなくしていた私に付き添ってくれたのも、レーニ—だったわ。

私はどうして助けてくれるの?ってレーニ—に聞いたわ。
そしたらあいつはね、
「今は亡き我の中で唯一の主、ロミアル様にあなた様を守るよう言われたのです。
今思えばお嬢様はロミアル様に生き写しなまっすぐな瞳を持っていらっしゃる…
ロミアル様の言伝の意味が何となく分かる気がしてきました」
って言ったのよ。

つづく


紫の瞳 ( No.21 )
日時: 2015/05/08 22:02
名前: リリィ (ID: 9nquTbLL)

私の命がひそかに狙われ始めて一週間くらいたったある日、レーニ—に、「主様に直談判しにまいりましょう」っていわれたの。

私は言われるがままにレーニ—に従っていったわ。

レーニ—はお父様に全く恐れを見せなかった。
「もう金輪際お嬢様の命を狙うのはやめていただきたい」
って堂々と言ってのけたのよ。
そしたらお父様も言い返されたわ。
「いくらお主が父上の愛弟子だったとしても、これ以上の勝手は許せん」
とおっしゃって、レーニ—の片羽へ鞭をうったわ。
…この時は悪魔族らしく羽があったのよ。

「さあまだ口答えするか。
もう片方の羽もへし折ってやろうか?」
こんなセリフを吐いたお父様のお顔には残忍な笑いしか含まれていなかったわ。
もともと気がふれたような方だったけど、まさかあそこまでとは、ね。

「この程度で我はあきらめません。
亡きロミアル様の遺言でもあります。
バーチェリカお嬢様を生かせ、と」

お父様はお顔を真っ赤にされて怒ったわ。
「ええぃ黙れ!!!!」
と叫んでレーニーを鞭で打ちのめしたわ。
時たまその鞭は私にもとんだ。
レーニ—のシャツのせなかは血がにじんでいた。
…あの情景だけははっきりと覚えているわ。
今もレーニ—の背中には生々しい傷跡が残っているし、羽も両方もげた跡があるわ。

そこに澄んだ声が入ってきたの。

「おやめください!旦那様!」
ってね。


つづく

Re: 紫の瞳 ( No.22 )
日時: 2015/05/11 21:19
名前: リリィ (ID: 9nquTbLL)

ふっと声のしたほうを見ると、そこにはお母様が立っていらしたわ。
レッドピジョン家では、母親が子育てに参加することはあまりなかったから、私としては、しばらくぶりの母の顔だった。
お母様のお顔は、最後に見た時よりもずっとやつれていたわ。

お母様の瞳には強い決意がにじみ出ていたわ。

「もうやめてください、旦那様。」

「ええいどけぇい!!」

お父様はお母様にも鞭をふるったわ。
だけれどお母様は倒れずに踏ん張った。
そして前にもまして強い口調で、こうおっしゃった。


「確かにこの子は、近い将来、この家に災いをもたらしかねませんわ。
でも、落ち着いてよく考えてみてくださいませ。
この子は、魔界の最高レベルの教育を受けていた一番上の子、ディアガスよりもはるかに大きい、真紅の鳩を生み出したのですよ?
そんなこの子が老い先短いあなた様の力で死ぬとお思いになりますか?
よく考えてくださいませ」

お父様は鞭を動かす手を止めて、

「ならばお主はどうせよというのじゃ。
この老い先短い老人に、どうせよと」

つづく


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