複雑・ファジー小説

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プリンセスは突然に
日時: 2017/10/14 00:45
名前: 梶原明生 (ID: SKF4GgT1)  

あらすじ

イギリスのケンブリッジ大学に通うジョージ。彼はテレビカメラの前で大変不思議な体験を語っていた。「私は凄く日本に興味がありまして、いえ大好きといっても過言ではありません。しかし私は貧乏学生で、とても日本には行けない有り様でした。しかし、ある人物が声をかけてきて、日本に行かないか。費用は全部こちらが出すからと言われました。すると私は何故かいきなり、憧れの日本に、いえ東京にいたんです。途方に暮れていた私を助けてくれたのが、知也と美子でした。しかし美子は何と、この国のプリンセスだったのです。正式には園部宮美子と言う名前で、天皇陛下の次男のお嬢さんになります。知也は全くの一般青年でした。これからお話しするのは、この二人の不思議な不思議な美しい叶わぬ恋の物語です。」旧知の親友を思い出すかのようにジョージは優しい目をしていた。果たして彼が体験した世界はパラレルワールドなのか現実なのか。憧れの美しき国「日本」のプリンセスを語った御伽噺は今始まる。

Re: プリンセスは突然に ( No.20 )
日時: 2018/04/05 00:24
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

…「お前なっ。」父親はとめどなく説教したが、やがて美子様が現れた。「お父さんお母さん、どうかあまり叱りつけないでください。何も悪いことはしていないようですし。」その気品と清楚に満ち溢れた姿に唖然とした。「嘘、誰あんた。」美佐恵が説明する。「ああ、こちらね、知也の大学にいる彼女さん。」「えーっ、あのお兄ちゃんが彼女…しかもこんな可愛い…ありえない。」頭を抱えて驚愕する久美。「こら、それどういう意味だ。」「え、お兄ちゃんまで、大学はどうしたの。」「あ、その、は、早い正月休みだよ。もう今年の単位は全部取ったし。」「へー、そうだったんだ。…にしてもお兄ちゃんがねーっ。あ、申し遅れました。しがない兄貴の妹で久美といいます。」「こちらこそ。園部み…いや、園田よしこといいます。」二人に割って入る知也。「しがないは余計だろ。」美佐恵はクスクス笑った。その頃青木一尉は電話越しに叱責を受けていた。「どういうことだ青木。今日の朝にはチームで皇居にお連れする予定だったろ。お前ともあろうものが飛んだ大失態だな。」「申し訳ありません。中国の国家安全部に邪魔されまして…」「言い訳をするな。国家安全部の連中は公安に引き渡した。問題は美子殿下だ。なんとしても一般参賀までには連れ戻さなければ、外交スキャンダルに利用されかねん。わかっているのか青木。」「わかっています。逐次追跡しますのでいましばらく猶予を。」「なら30時間だ。それ以上は待てん。いいな。」「はっ、了解しました。」福岡が尋ねる。「どうします。美子殿下は工作員並みにキレるお方ですよ。我々の追跡をかわしてます。」「いや、灯台下暗しっていうこともあるぞ。大学生の実家の情報出せ。」「まさか、そんなわかりやすいところに逃げますかね。」「時に考え過ぎは真意を見抜けずってよく言うだろ。」「なるほど。」早速日産Xトレイルのパソコンで検索し始めた。…続く。

Re: プリンセスは突然に ( No.21 )
日時: 2018/04/13 14:23
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

…「千葉県で食堂を両親が開いているみたいですね。」「そこだな。当たってみる価値はある。」早速車を走らせる青木一尉。翌日は美子様も自主的に店を手伝うようになり、久美と比較されたため、彼女は気に食わないといったふてくされになるしかなかった。知也はジョージと建築談義と設計に余念がない。として

Re: プリンセスは突然に ( No.22 )
日時: 2018/04/13 15:37
名前: 梶原明生 (ID: 0Q45BTb3)  

…「千葉県で食堂を両親が開いているみたいですね。」「そこだな。当たってみる価値はある。」早速車を走らせる青木一尉。翌日は美子様も自主的に店を手伝うようになり、久美と比較されたため、彼女は気に食わないとふてくされるしかなかった。知也はジョージと建築談義に設計にと余念がない。「いらっしゃい。」父の雅也はいつも通りのお客さんかと思い声をかけた。体格のいい男二人組の客。美佐恵はお冷やを出す。「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか。」「そうですね。皇室定食でも頂きましょうか。」「はい…」不思議がる美佐恵。しかしその声に緊張が走る美子様。奥の厨房から覗いて見たら、そこには招きたくない客が座っている。心拍数が上がってしまうものの、ここで事を起こせば知也の両親や店の看板に関わる。どうしようかと躊躇していたら雅也が不思議がった。「どうしたんだい。」「いえ、その…定食でしたね。運びます。」慌てた美子様は仕方なく手伝うことに。「と、豚カツ定食です。」「これはこれは。まさか一生のうちにこんな奇跡に出会うとは思ってませんでしたよ。末代までの果報者とはこのことでしょうな。」「いえ、そんな…どうぞごゆっくり。」「ええ、ゆっくりどころか、お帰り頂くまでゆっくりしますよ。しかしせっかくの食事だ。朝から何も食べてないもんで昼休憩させてもらいますよ。ほら、他のお客さんが待ってますよ。」「え、あ、はい。」しどろもどろになる美子様。隙を突いて離れに向かった。「大変です知也さん。青木一尉が食堂に来てます。」「何ですって。そんな…すぐにここを。」「待って下さい。それではご両親に悪いですし、妹さんのことも。」ジョージは二人のやりとりに悟るものがあった。「よしこ、さん。あなたもしかして、ソーノベミヤミコさん 違いますか。」驚愕してジョージを見る美子様。「間違いない。誰か 似てる 思いました。思い出せなかった。あなた日本のプリンセス。アメージング まさか 会う 思ってなかた。それで 追われる ですか。」知也が説明する。「そうなんだジョージ。彼女はお忍びで皇室を出てきたんだ。」「ならすぐ出た方がいい ありますね。」ジョージの言葉にまた荷物を持つ知也。しかし時すでに遅しだった。「おっと、今度ばかりはそうはいかないんだな知也君。ゲームオーバーだ。」青木、福岡両名がドアを開けて入ってきた。…続く。

Re: プリンセスは突然に ( No.23 )
日時: 2018/04/18 07:28
名前: 梶原明生 (ID: JnkKI7QF)  

…「そんな、あ、青木さん、もう少し待って下さい。彼女がお忍びで皇居を出たのは、広い世間を見たかっただけじゃないんです。」「鎹君、事情が何であれ、これ以上美子様を皇居にお返ししないわけにはいかないんだ。さ、美子様行きましょう。我々も上官から与えられたタイムリミットを20時間切ってるんですよ。」「わかりました。ごめんなさい知也さん、ジョージさん。ここまでのようです。いいんですよ。これ以上知也さんやご家族に迷惑をかけるわけにはいきません。私、皇居に戻ります。短い間でしたが、知也さんの御恩は忘れません。クリスマスケーキの思い出も。」最後は少し涙ぐむ美子様。次の瞬間、ガタガタっと外で音が聞こえる。「誰かっ。」福岡がドアを開けると尻餅ついた久美が腰を抜かしていた。「美、美、美子様が家に〜っ。」「久美、お前話聞いてたのか。」知也が冷や汗もので声をかけるものの、青木は久美を見た瞬間何かを閃いた。「こりゃ…見方によっては美子様にそっくりだな。ようし、美子様、事情を詳しく明かしてもらえませんかね。話によっては願いを叶えないでもないですよ。」「え、本当ですか。」美子様もまた驚愕する。「はい、その代わり知也君。君達家族の協力が必要だ。」「へっ…」首を傾げる知也。その頃、朝鮮施設に第8特殊軍団工作員が集結していた。「中国国家安全部がやられたって本当か。」「ああ。相手は素人じゃなかったらしい。公安に拘束されたらしいぜ。」「公安が後で拘束したなら公安じゃないな。恐らくは特殊作戦群だ。」「バカな。たかが自衛隊の素人集団だろ。平和ボケの自衛隊がまさかこんな実力だったとは。…少し侮りすぎたようだ。あいつを使うか。」「あいつってまさか祖国の…」「もはや呼び寄せるしかあるまい。」トッポギを口にしながら男は思案にくれた。またもや不穏な空気流れる。…次回「鏡映し」に続く。

Re: プリンセスは突然に ( No.24 )
日時: 2018/05/04 15:48
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

「鏡映し」

侍従長、河原正成は皇宮護衛署長の第一報を聞いて安心した。「そうですか。美子殿下が…何よりです。」それは美子殿下が見つかり、確保された上でもうすぐ極秘で赤坂御所へ護送されるという内容だった。安堵はしたものの、その手柄が忌み嫌うべき軍人によるものだということに嫌悪感を隠せなかった。戦後日本はGHQの影響で陸軍省と皇室の繋がりが悪しき太平洋戦争の根源だったと喧伝したため、以来皇室は自衛隊が発足しても60年以上に渡り一切関わりを絶ってきた。一国の皇室が国軍を蔑ろにしなければならないとは…ちなみに日本版エアフォース1は航空自衛隊運用機であり、それにご搭乗頂いているのは皇室の方々だが。世の中を歪めているのは誰か。さて、美子殿下とおぼしき方が青木一尉や福岡一曹の乗る日産Xトレイルに乗せられて一路皇居を目指していた。途中サービスエリアにて休憩を入れたが、黒のシーマに運転手付きで、隣に停める人物がいた。助手席から降りてくる青木一尉。「宗方一佐、30時間以内の身柄確保、完遂しました。」「そうか。遂にか。これで一安心だな。あれが美子殿下か。ん、違うような。」内心ビクッとする青木一尉。「気のせいでしょう。彼女も一般人になりすますのは上手いですし、何よりここ数日間は一般社会に溶け込んでたんですから。」「そうだな。確かによく見れば美子殿下だな。まぁいい。とりあえず皇居まで無事お連れするのが我々の任務だ。引き続き頼んだぞ。」「了解しました。」敬礼すると車に乗り込み、東京方面に向けて車を走らせた。「あの…」「ん、何だい久美…じゃなかった美子殿下。」「私、大丈夫ですか。もしバレたら…」「大丈夫。しかし馬子にも衣装だな。鬘に化粧に服装を交換するだけでこうも美しくなるとはね。」「馬子には余計ですが。」「あれ、突っ込むとこそこ。まぁとりあえずお淑やかに堂々としてればバレないよ。俄かなレクチャーしたろ。それを守ってれば大丈夫。後は姫川由実って人と黒宮に繋ぎを取ってあるから心配ない。」ひとまず安心する久美。そう、美子殿下と鎹久美は入れ替わっていたのだ。…続く。


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