複雑・ファジー小説

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ガルちゃん修羅ハウス
日時: 2020/08/26 18:38
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

お騒がせご意見番女優、遠藤奈美子と、ヘタレアイドルリーダー佐士原理央が女性専用書き込み掲示板「ガルちゃん」のファンだと公表したためテレビディレクターの星野が閃いた。「番組企画でガルちゃん書き込みユーザーを集めてシェアハウスに住まわせて日常を放送すると言うのは。」かくして、旧知の女優、遠藤を中心に続々都内某所のハウスにガルちゃん民が集まるのだが・・・事態は予想だにしなかった展開に・・・様々癖のあるワケアリ女性が一度に集い、笑いあり、涙あり、バトルあり、珍事ありのドタバタ活劇を繰り広げる。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.40 )
日時: 2022/05/08 19:38
名前: 梶原明生 (ID: eVM80Zyt)

・・・数時間後にリビングに顔を出すと、東出真由香と立川理絵との言い争う姿が。「あなたに何が分かるって言うんですか。指図される覚えはありません。」「東出さん、指図だなんて思ってません。ただ、子供を作り、家庭を築く素晴らしさを知ってもらいたいだけなのよ。」「それが余計なお世話なのよ。」不機嫌そうに席を立つ東出。「どうしたの。」佐士原に耳打ちする橋場。「いや、それが遠藤さんと話してた内容が立川さんの耳に入ってしまって。子供なんていらないよねとか言いだして意気投合しだして盛り上がってたんですよ。それで、我慢できなくなった立川さんが割り込んできて・・・」「ああ、なるほど。」納得しつつも不満気になる橋場
。リビングでの会が終わると、早速橋場がスレを立てた。「子を持つ者持たぬ者」と。「直球で聞くけど、東出さんて話しに聞くと結構モテてたそうね。真剣にお付き合いした男性は十人いたって。」「そうだけど何か。」「結婚しようと思わなかったの。」「またその話ですか。離婚した橋場さんからよくそんな話でるわね。」「ま、ついでだから書きますけど、そう言う男性はいました。でもどれも既婚者で。私、凄く年の離れた男性ばかりに縁があって、奥さんも子供もいる人を好きになってしまうんです。恋焦がれてでも別れを告げられたらいつの間にかこの年。こんな私を愛してくれる人なんてもういない。」「そんな事ない。」ダンマリを決め込んでいた小原が割り込んできた。「私だってあなたと同じだった。でもこうして幸せは身近にあると気付かされた。今の旦那様も、そうやって出会えたのよ。思い込まずにもう少し視野を広げたら。」目を泳がせてタイピングをやめる東出。橋場が締め括る。「私の知り合いの話よ。彼女は新進派で、旦那さんと結婚はしたけど、子供は作らないと決めてたの。でも彼女はふとこう思った。人として、女として、その摂理である妊娠も子育ても、豊満な母乳も、使い果たさず死んでいくのは反していないか。とね。以来40歳を過ぎて一念発起。無事二児のお母さんになった。」佐士原が慌てる。「ちょ、ちょっと不味いですよその話。」「何が。私はただ、知人の話をしたまでよ。どう、東出さん。小原さんと言う先例もあることだし、考えてみたら。」「ご忠告ありがとう。」それっきりレス書き込みは東出からなかった。彼女はただひたすらスマホ画面を見つめている。広告代理店勤務のとある男性の電話番号だ。彼女が付き合った男性で唯一独身者だった。「今更よね。」そっと画面をブラックアウトする東出。・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.41 )
日時: 2022/05/21 17:33
名前: 梶原明生 (ID: lCrRYYeA)

・・・なのにただの偶然か、その広告代理店勤務の男性から久々の電話があった。「何で・・・」彼女は思わず電話に出た。「やぁ、真由香。テレビ見たよ。最初人違いかと思ったんだけど、やっぱり君だったんだね。フラれたからてっきりもう出ないかと思ったんだが。」「そんなことないよ。ありがとう。私からフっといて電話してくれたなんて、正直嬉しかった。」「そう思ってくれたなら、こちらこそありがとう。君の久々のテレビ出演、キレイだよ。あの頃と変わらない。」「もし良かったら、あ、いや、虫が良すぎるか。」「何。」「彼女いたら会いたいなんて言えないよね。」「いや、あれっきり彼女なんていないけど。・・・そうか、じゃあ俺から誘わせてもらうよ。寄りを戻さないか。週末会えないかな。」「うん、いいよ。」こうして東出は身近な愛を手に入れることができた。盗聴器に耳を傾けてる橋場がほくそ笑む。「ほっとけない女子をまたもやお節介しちゃった。」呟きながら盗聴器を仕舞う彼女。立川からはこんなメッセージがガルちゃん内で綴られた。「子を憂う者、子を亡くす者。こうして出会えたのは奇跡としか言えません。どうかご自分の性をお大事に。・・・次回「ノイローゼと夫への不満と黒幕と」に続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.42 )
日時: 2022/06/11 23:00
名前: 梶原明生 (ID: Rzqqc.Qm)

「ノイローゼと夫への不満と黒幕と」・・・珍しく新山が玄関先で叫んでる。「だから、あんたの顔なんて見たくないって言ってるでしょ。」「そう言うなよ、考え直してくれよ。」「そうだよ母ちゃん。家に帰ってきてよ。」下は小学一年生から上は中学生までの子供と共に、口髭の中年男性が声をあげていた。「親戚中に豚呼ばわりされて、お義母さんからも嫌味言われたのにダイエットしろだ、家事しっかりやれだ。ふざけんなって。どうせ私はぐうたらの嫁ですよ。」ガチャンと荒々しく扉を閉める。橋場が声をかけた。「あのー、よかったら事情お聞かせ願えませんか。」「ああいや、その。私は薫の夫でして。本当は、このテレビ企画は最初反対だったんです。」遠慮がちな旦那さんを他所目に橋場に誘われるままリビングに入り込む子供達。夫がまた話し始める。「早く帰ってきてほしいんですよ本当。家内がいなくなってからと言うもの、家のなかはスッチャカメッチャカでして。改めて薫の有り難さに気づいたんです。」「そうだったんですか。」橋場が納得するも、中学生の子供達はいきなり立ち上がってキレる。「もう嫌だ。こんな所で恥晒すなら帰ってこなくていい。」「こら、お前たち。」「他の小さいお子さんまで連れて帰るのは大変でしょう。良かったらうちでしばらく預かりましょうか。お母さんも(新山)すぐ近くですし、ひょっとしたらお子さん見てたら里心つくかも。」「ありがたい。そうして頂けたら助かります。」小さい子供を引き受けた橋場は自分も実家に預けてきた息子、保(たもつ)のことを思い出していた。母からはなじられた。「あなたね、自衛隊の仕事はわかるけど、母親でもあるのよ。もう少し保のことかまってあげなさいよ。」そんな記憶を脳裏に浮かべながら、彼女はガルちゃんに自らスレを立てた。「夫への不満と子育てと・・・」早速反応がある。「何何、何だか初めて橋場さんがスレ立てたよ。」新山がレスした。「不満なんかございませんわ。良き夫良き妻の夫婦ですもの。」「よく言うよ。旦那の浮気が原因で逃げてきたんじゃないの。」「まっ、何てこと言うんですか。うちは円満です、」「うそー、小原さんが言ってたよ。」「小原さん、あなた」「すみません、つい酔いしれてた時に。」橋場「もういいから、とにかく旦那への不満は。」・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.43 )
日時: 2022/06/20 19:26
名前: 梶原明生 (ID: kaDNG7L3)

・・・新山「話聞いてくれない。何聞いても話しても、あー、とか、うん、とか、そう、てこれだけ。ありえる。」井上「わかるーっ。うちのも適当にあしらおうとするんだよね。」橋場「私もね、旦那が肩持ってくれないから姑とやり辛いんだよね。」こんな感じで旦那のいるガルちゃん民は大いに盛り上がりながら夜は更けていく。翌日、新山がリビングで小さい子供達連れて宣言した。「今度の日曜日、私新山薫は、この子達と里帰りすることにしました。勿論旦那のいる家に。」橋場は思わずガッツポーズを小さく取った。遠藤が茶茶を入れる。「そんなに嬉しい。仲悪かったこともある新山が。あんたの仕事に関係ないでしょ。」「はー、何の仕事よ。別にいいじゃん。救いたい人を救える。ただそれだけで。」怪訝そうな面持ちで腕を組んだ。橋場はまた言う。「ただのガルちゃん民よ。」その夜、日曜日キッカリに黒ずくめのグループが新山の部屋に集まっていた。「あの女で間違いないが、奴らの考えがわからん。何でわざわざ女空挺隊員をこんな企画に参加させてる。しかもあの女、普通に人助けしているし、全く意図が読めん。何なんだあいつは。」「もしや、我々を撹乱させてるのかもしれん。或いは何かの陽動か?」「いずれにせよ、計画はぬかりない。このままガルちゃんの板を経由して各工作員に伝えるぞ。次の計画は128563455だ。直ぐに流せ。」「了解した。」黒覆面のボスらしき人物は中年女性のようだ。解散した彼等は素早くその場から立ち去った。その頃橋場は奇妙な通信信号を自室で傍受していた。「間違いない、このガルちゃんシェアハウスから出てる。普通なら見落とすガルちゃんへのスレ投稿だけど。料理に関するスレだな。トッポギ美味いよね、か。」しかしあることに気づいた。「ん、砂糖大さじ12g、みりん8gって・・・まさかこれって。」早速一弥に連絡をいれた橋場。「貝原主任も来てる。俺達のバンまでこい。」「了解。」彼女は一目を忍び、一路バンに向かった。道路脇の駐車スペースに一台の大型バンが停まっている。中はさながら秘密基地並みである。橋場が入ってくる。「で、発信元は突き止められたか。」「それが、どの部屋かは見当がつきません。」「クソ、そこまで掴んだと思ったんだがな。とにかく今すぐ各部屋をクリアリングしていくか。」「ダメです。そんなことしたら絶対気づかれて逃げ出します。とにかく今は泳がせるしかありません」「だな。しかし調味料や材料のグラム数字を暗号にしてたとはな。」「こんな時男じゃ気付きませんものねー。」少々嫌味っぽく言う橋場。「悪かったな。しかし収穫だ。奴さんやはりガルちゃんシェアハウスに食いついた。後は怪しい人物を絞り込むだけだな。」・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.44 )
日時: 2022/06/22 20:59
名前: 梶原明生 (ID: KNMXbe0/)

・・・一弥が割り込む。「星野ってことはないのか。この企画を持ち出したのはやつだしな。」「いやーないない。あの人は野心しか頭にないテレビマンだよ。」貝原は少し呆れ顔。「夫婦水入らずを邪魔していつも悪いな、二人共。」「いやー別にその。」気まずい空気になる二人。通信員が何か情報を掴んだ。「動きがありました。各企業に脅迫メールが送り付けられ、3日以内に南米の銀行に10億振り込まないとサーバーにウィルス攻撃を仕掛けると。それから。」「それから何だ。」「医療用トラックが大量発注されています。」「それがどうした。」「ええ、ただ、朝鮮系企業のトラックばかりなんです。」一弥が気付く。「もしかしたら、大量に医療用麻薬を取り引きする気か。」「つまりは金を一斉にかき集めて本国に送金する気だな。」「にしては短絡的じゃないですか。わざわざ資金集めのために黒蠍がガルちゃんシェアハウス企画に乗ってきたんでしょうか。」「しかしだとしたら黒蠍は・・・」通信員が叫ぶ。「出ました。やはり発信源は最上階のテレビクルー専用室からです。あ、今星野が出てきました。」「星野ーっ、やっぱりお前か。奴を追うぞ。」「了解」全員色めき立ち、星野の車を追った。数キロ走った後、とあるビルの地下駐に入る。黒覆面にした数名が車から降り、待ち合わせていた数人の北朝鮮工作員と会う。「首尾はどうだ。」「は。仰せのままに。」中年女性らしいシェアハウスからきた工作員が答える。「金はいくらか送金され始めております。」「そうか。でかしたぞ。最近じゃ資金集めにも苦労する。ん・・・なんだこれは。我々の口座に振り込まれていないではないか、どういうことだ。」「こういうことさ。」隠し持っていたマカロフ拳銃で黒蠍のメンバー以外を射殺する。「貴様・・祖国を裏切ったな。」「いいえ。裏切ったのは祖国よ。これが祖国のため。」最後の虫の息だった男に更に銃弾を撃ち込む。「これはほんの手始めよ。」女ボスはまたもや車で走り去る。「突入。」特殊作戦群の隊員がスタングネードを投げ込んで突入する。「な、な、何です何ですこれは。私何も犯罪おかしてないですよ。」「嘘をつけ。お前が黒蠍なのはわかっている。」・・・続く。


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