複雑・ファジー小説
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- ガルちゃん修羅ハウス
- 日時: 2020/08/26 18:38
- 名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)
お騒がせご意見番女優、遠藤奈美子と、ヘタレアイドルリーダー佐士原理央が女性専用書き込み掲示板「ガルちゃん」のファンだと公表したためテレビディレクターの星野が閃いた。「番組企画でガルちゃん書き込みユーザーを集めてシェアハウスに住まわせて日常を放送すると言うのは。」かくして、旧知の女優、遠藤を中心に続々都内某所のハウスにガルちゃん民が集まるのだが・・・事態は予想だにしなかった展開に・・・様々癖のあるワケアリ女性が一度に集い、笑いあり、涙あり、バトルあり、珍事ありのドタバタ活劇を繰り広げる。
- Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.30 )
- 日時: 2021/03/28 17:27
- 名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)
「子をなくす者 子を憂う者」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ネットが重い。ガルちゃんシェアハウスの住民は誰もが思っていた。「ちょっと、星野さん何とかしてよ。」遠藤が電話越しにディレクターの星野をたしなめる。「いや、そう言われてもね。この間の橋場さんのお手柄のせいでネット回線がパンクスレスレなんだよ。多少反映が遅れても我慢してよ。」とかかんとか言いつつ、星野にとってはしめしめな展開だった。まさかこんなに視聴率やネットでの騒ぎになるとは思ってもいなかったからだ。「特番に本出版。講演会に引っ張りだこ。こりゃたまらんわい。ヒヒ・・・」にんまりが止まらない星野であった。それはさておき、ガルちゃんの書き込みが思わぬ展開を見せた。橋場「ちょっと、私の知らない間に何よろしくやってたのよ。」やりとりが煮詰まってきたので葉山に話題をふった。葉山「な、な、何のことでしょうか。」アニメフィギュアを抱きしめながらドキッとした。橋場「てか、知ってるよ。あんた彼氏できたでしょ。」「かーーーーーーーーーーれーーーーーーーしっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」ガルちゃん民に言ってはいけないワード。住民全員が先の言葉を物凄い鬼の形相で叫んだ。マンションの外ですらその大合唱は聞こえた。「仕事は、年収は、どこ出身、お里が知れるわよ、性格は、そもそもイケメンなの・・・」質問の嵐がやまない。「そ、その、私にファンレター、出してくれた方で・・・」「ファンレターっ。」文字がそのままデカくマンションの外へ飛び出したかのような大声で捲し立てた。葉山「はい。私の地元の方で、転勤でこっちに来てるとのことでして・・・まさか自分でも、こんなことになるとは思っていませんでした。」湯楽「湯楽と申します。彼女とは、真剣にお付き合いさせていただいております。」「男キターーーーーーっ」遠藤「電車男かあんたら。古っ。」皆に少し呆れ気味に書き込んだ。橋場がつい余計なことを口走る「あーっ、もしかして今夜、二人はこの後チョメチョメなことしちゃう~。」ビクッとする葉山。それは湯楽も同じだった。言葉の意味はわからんが、とにかく凄い「アレ」の話であることぐらい大方察しは付く。遠藤「あんたチョメチョメって・・・30歳よね。私の大先輩俳優さんの名言まねるのやめてよ。」橋場「はいはい。で、どうなの。」葉山、湯楽「ど、どうって・・・」橋場「童貞って・・・」葉山「ち、違います。そんな、私・・・」橋場「あー、こりゃどっちもまだ初体験してないね。」佐士原「うわーっ、超剛速球。恥ずかしい。」新山「あんたが言ってどうすんの。どうせ元彼とウハウハやってたくせに。」佐士原「ち、違います。」一瞬皆に笑いが押し寄せた。その後二人は重苦しい空気に包まれて、湯楽は早朝に帰ってしまった。遠藤のアナウンスが流れる。「聞こえてるガルちゃん民諸君。今日も又新しい住人のご挨拶だよ。早くリビングに集合しな。」気怠く集まる面々。「こちらが坂畑亜津美さん、そしてこっちが東出真由香さんとタッチンこと立川理絵さん。」・・・続く。
- Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.31 )
- 日時: 2021/04/17 23:35
- 名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)
・・・「タタタ、タッチンっ。」多くのガル民が反応した。それもそのはず。立川はあることをきっかけに女優を辞めた人物だったからだ。10年前までは数々のヒットドラマに顔を連ねており、美人でないが、愛嬌あるその姿に男性のみならず女性ファンも魅了した人気女優だった。さて、そのあることなのだが・・・新山が目を潤ませて握手を求める。「あらーっ、タッチン、いえ、立川さんの大ファンです私。」「ああ、それはありがとうございます。」「大変でしたよね、娘さんが・・・」「んんんっうんっ。」遠藤が咳払い風に割り込む。「タブーでしょ。」「ああ、そうだった。」「いえ、そんな。いいんですよ。もう克服してますし。」橋場が佐士原に耳打ちする。「ねぇ、娘さんって何のこと。」「はあ、知らないんですか。10年前、二人目の娘さんを事故で亡くしたんですよ100%運転手が悪くて。酒気帯び運転だったそうですよ。なのに自分が悪いって落ち込んでて。でも無理ですよ。後ろから親子で歩いているところを突っ込まれたんですもの。幸い長女と本人は軽いケガだったらしんですが、次女の真奈ちゃんは直撃されて・・・」「そんなことがあったの。」面持ち重苦しくなる橋場。その後阪畑と東出の自己紹介があった。坂畑はこれまたインテリア家具の女社長。小原の伝手でこのシェアハウスを紹介されたんだとか。3人の子持ち。今はほぼ長男に仕事を任せてる。東出は某大手企業のOLだったが今は芸能人目指してフリーターをしていた。このガルちゃんを踏み台にする気だ。・・・続く。
- Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.32 )
- 日時: 2021/05/05 18:10
- 名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)
・・・「以上が今回新入居されるお仲間よ。」一応自己紹介が終わると、遠藤が総括するものの。「て、コラ、あんたら聞いてないんかいっ。」皆バラバラでお菓子とおしゃべりに夢中になっていた。まるでカラオケ女子会の様そのもの。「ん~っ、何か言った?」ポテチ咥えた新山が振り返った。「ああもういい。めんどくさい。はい、さっさと解散解散。」両掌で下から押しやるような仕草で払う遠藤。しかし、その帰るグループも際立っていた。小原、酒井、高島、はじめ、新人の坂畑、立川はいわゆる「セレブ組」として固まって帰り、その他一般民衆とばかりに新人の東出をはじめ、橋場、新山組ができて帰っていった。その夜、貝原主任にリモートで報告している橋場がいた。「今回もスカですかね。女社長に元OL。それに元人気女優ですか。どれもそれらしい人物はいません。私が餌になって糸垂れてるんですがね。いまいちかかりが悪いみたいです。」「そのようだな。だが油断するな。相手は潜入のプロだ。その世界が何であれ、その世界の人間になりきれる奴だ。カメレオン顔負けの擬態で監視網をすり抜けてる。ひょっとしたら唯一まともなやつほどわからんぞ。例の黒蠍かもな。引き続き警戒を怠らないように。」「了解しました。」リモートを終えてマットレスに寝転がる橋場。「黒蠍」呟いてる時、何かが激しく割れる音が聞こえた。「何、方向からして新人さんの立川さん。」ベランダに出てみると、上階で男女が激しく口論になってる様子。「お前に俺の辛さわかるか。」「何よ、私のほうが何倍も苦しんでるわよ。」どうやら夫婦喧嘩のようだ。「とにかく、お前とはもう終わりだな。」ドアを開けて出ていくご主人。彼は一般男性だ。「何か。」「いえ、声が聞こえたもので何事かと。」「なんでもありませんよ。あとは妻に聞いてください。」冷たく立ち去るご主人。「ごめんくださーいい。あがりますよ。」中へと入る橋場。「どこが何でもないだよ。あらあらカメラも機材もぐちゃぐちゃじゃない。立川さん大丈夫。」「大丈夫です。気にかけてくれてありがとう。」打撲していた立川を治療し、野次馬のガルちゃん民を帰した後、ようやく自室に戻った橋場。「今日は散々だな。」呟きながらベッドにつくと照明を落として就寝に就いたのだが・・・異様な気配に目が覚めてしまった。「来たか。」紛れもなく侵入者。・・・続く。
- Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.33 )
- 日時: 2021/05/24 09:54
- 名前: 梶原明生 (ID: lgNgJHs5)
・・・橋場は寝たフリを決め込んだ。覆面の侵入者達はギャロットと呼ばれる絞首具を取り出して静かに首に巻こうとしていた。その刹那、目をカッと見開いた橋場は掛け布団から出していた両手で侵入者の両耳を手のひらで叩き、悶絶させた。もう1人には掛け布団をくれてやり,払ったら最後、彼女の高速パンチが炸裂。そいつを盾にして他3人に回し蹴りだの、フックアッパーだのぶちかまして悶絶させた。「引け。」リーダーらしき男の号令一下で走り逃げる侵入者達。入れ違いで旦那と特殊作戦群の隊員が何名か入ってきた。「大丈夫か、怪我はないか。」「ええ、心配ないわ。でも、敵さんいよいよご挨拶に来てくれたようね。」「ああ、本格的に敵と認識してくれたようだ。」思案に暮れる中、ガルちゃんの野次馬が
が集る。・・・続く
- Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.34 )
- 日時: 2021/08/09 16:57
- 名前: 梶原明生 (ID: mKkzEdnm)
・・・「何何何なの。」橋場が対応する。「あー、お騒がせしました。空き巣が入ってきて鉢合わせたもんで。この刑事さん達のおかげで助かりました。」いきなり刑事にされる旦那さん達。「キャーッ空き巣なんて怖ーい、刑事さん私守って下さる。」どさくさ紛れに旦那さんにしがみつく新山。「ちょっとあんた殺されても死なない雰囲気あるのに、人の旦那に何してくれてんの。」「はぁ、旦那・・・」「いや、刑事さんだって奥さんいるでしょ、わ、悪いわよそんな。あ、ほら指輪してるし。」「あ、・・・」それで何とか誤魔化せたものの、顔を全員見られるハメになった。立川は最後まで心配してくれた。「今夜よかったらうちの部屋に泊られたら。心配でしょうし。」「いえ、お心遣いだけ頂いておきます。」こうして立川も帰った。「娘さん亡くされて大変なのにね、私の心配まで。根っからいい人なんだろうな。あんな人が黒蠍なはずないわね。」「ああ、俺もそんな気がしてきたよ。」そう呟きながらひとまずお開きにしてマンションを後にする特殊作戦群一行。翌朝、坂畑がリビングで・・・続く。