複雑・ファジー小説

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ガルちゃん修羅ハウス
日時: 2020/08/26 18:38
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

お騒がせご意見番女優、遠藤奈美子と、ヘタレアイドルリーダー佐士原理央が女性専用書き込み掲示板「ガルちゃん」のファンだと公表したためテレビディレクターの星野が閃いた。「番組企画でガルちゃん書き込みユーザーを集めてシェアハウスに住まわせて日常を放送すると言うのは。」かくして、旧知の女優、遠藤を中心に続々都内某所のハウスにガルちゃん民が集まるのだが・・・事態は予想だにしなかった展開に・・・様々癖のあるワケアリ女性が一度に集い、笑いあり、涙あり、バトルあり、珍事ありのドタバタ活劇を繰り広げる。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.25 )
日時: 2021/01/23 20:34
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

・・・三輪は早速動いた。翌日、学校帰りの有希とスターは、放課後近所の猫に夢中になっていた。「かわいい。」そこへ車を寄せて近付く男の姿が。「井上有希ちゃんにスター君だね。」「どうして私の名前を。」「うん。俺はね、赤沼社長の部下で、君たちを迎えにきたんだ。君たちをおいしいケーキ屋さんに連れていきたいって。」「ケーキ、いくいく。」偽の社員証に赤沼との写真を見せる三輪。スターは踊りまくってノリノリだが、姉の有希は渋る。「でも、ダメだよスター。今日はお母さんのお手伝いでしょ。」「ああ、それなら大丈夫。お母さんにも連絡してるから。」仕方なく釣られて乗り込む有希。そこにたまたま居合わせた新山はスーパーと「ファッションのしまむら」の袋を下げて帰宅途中だった。「あれ、井上さんちの子供・・・」それを尻目に発進する三輪。しかし、マンションに接近した途端、男の本性が表れて恐怖に震える二人。「いいか。お前らは5時の船に乗せるんだ。大人しくしてねーとぶっ殺すぞ。」車から降りて部屋に向かう有希達。「ああ、奥さん。俺たち旦那と大事な打ち合わせがあるんだ。しばらく開けるからくれぐれも子供に逃げられんなよ。」「わ、わかってますよ。」渋々ひきうける姉のエリカ。男達が出ていくと、緊張のせいか、スターが催し始める。「おばちゃん、おしっこ漏れる。」「行ってくればいいじゃない。知ってるでしょ。」「でも・・・ここのトイレしずらくって。」「しょうがない子だね。」面倒くさがりながらも勝手知ったる二人の子供を育てた母親。手際よく抱えて用を足させる。「もう出た。」「うん、出た。ありがとうおばちゃん。」「そういや、うちの子供もこうやってよく一人でトイレ行けるまで抱えてやったっ・・・」急に嗚咽しはじめるエリカ。「おばちゃんどうしたの。」キョトンとするスター。「私・・・私子供を・・・なんてことを。うう」エリカは口を押えた。「どうして泣くの。船に乗って、ケーキ食べたらおばちゃんとお母さんお金持ちになれるんでしょ。」それが更に嗚咽を加速させる。スターを抱きしめた。「ごめんね、ごめんね。おばちゃん間違ってた。子供を売り飛ばすだなんて。・・・」有希もその様子を見に来ていた。「やっぱり私にはできない。もういい、二人とも一緒に警察に行こう。」二人の手を連れてマンションの地下駐車場に向かった。一方橋場は貝原の呼びつけから帰ってきていた。新山と鉢合わせになる橋場。「あれ、新山さん。またしまむら。値札ついたままよ。ダイエット進んでないんでしょ。」「あ、本当。大きなお世話よ。・・・そう言えば、さっき井上さんちの子供がガラの悪い男の車に乗っていったわよ。きっとデリヘル関係者ね。」「何ですって・・・」「ちょっとどうしたのよ。」急に眼光鋭くなる橋場。疾走しはじめた彼女に不思議がる新山だった。・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.26 )
日時: 2021/01/31 16:14
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

・・・その頃、地下駐車場から車で出るエリカ。「あれは、優奈が関わってる赤沼エリカか。」何故か張っていた橋場の旦那が、様子を見てすべて悟った。「一目を憚ってまで、わざわざ売り飛ばす子供を車で連れ出す無駄なことをするはずはない。さては良心に目覚めたか・・・」早速橋場に電話する旦那さん。「・・・つまりは母親として子供を見て見ぬふりできなかったんだろうな。多分なりふり構わず警察に自首する気だ。お前サポートしてやれ。」「了解。・・・え、何であなたが協力してくれるの。」「勘違いするな。お前の行動を監視する任務中にたまたまだよ。さ、早く言ってやれ。」「りょ、了解。」不思議に思いながら車を飛ばした。エリカも心臓バクバクになりながら後数十メートルで警察署と言う矢先に安堵したのも束の間。三輪達の車がギリギリセーフでエリカの車の前に止まった。「奥さん、困りますね何の真似ですかこれは。まさかいまさら仏心とかですか。」ナイフをちらつかせながら丁寧に喋る三輪の言葉は返って恐怖を煽った。「お願い、お金はいらないから子供たちは見逃してやって。」「ほらほらやっぱり。いいから助手席に座れ。」車から降りたエリカをナイフを腰に突き立てて助手席側に座らせる。「いまさら抜け駆けは許しませんよー。」車を運転して一路三輪達は港に向かった。「しまった。」橋場が到着した時は、既に三輪達に拉致され数十メートル先を走り去るところだった。・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.27 )
日時: 2021/02/06 21:12
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

・・・「逃がしてたまるか。」橋場はアクセルを思いっきり踏んだ。港の駐車場で仲間と落合い、船に乗せる準備を始める三輪。赤沼はたしなめる「何てことしてくれたんだ。金と信用がパーになるところだったんだぞ。俺を殺す気か。」「あなたお願い、目を覚まして。こんなこと貧乏になるより辛いことよ。」「何言ってる今更後に引けるか。」三輪が徐に割り込む。「いや、何なら引いてもらっても結構ですよ。あの世まで・・・」「な、何をする。」「悪いですね。念のためお二人には姪っ子甥っ子道連れに海に車ごと突っ込んで無理心中ってことで方をつけてもらいましょう。そうすりゃ取り分は多くなるしね。」「な、何だと、話が違うじゃないか。」そう言っても後の祭り。三輪の部下達は無理やり車に押し込もうとしていた。「ほらね。何が大事か、はき違えるとこうなるって教訓だね。」あらぬ方向から女の声が聞こえた。「何だテメーは。」後ろから現れたのは小原が思わず言った通り、アベンジャーズの女スパイを思わせるようなデザインのライダースーツ。そして長い黒髪の出で立ち。橋場優奈の登場だ。、「子供は国の宝。なんて昔の言葉があったけど。いつから子供の命を平気で金に換えようとするバカが増えたんだか。」「ああん、何だそりゃ。まあいい。誰か知らねーが、見られた以上オメ~にも死んでもらうよ。おい・・・」目配せする三輪。部下二人が両肩両腕掴んで拉致ろうとしたのだが、肩と背中と腰を巧みに動かしていつの間にか部下二人が伸されていた。「気をつけろ、こいつ何かやってるぞ。」部下に注意を促しながらまたもや飛び掛からせる。しかし結果は言うまでもなく。「おっと美人さん、そこまでだ。」背中にコルト拳銃を向ける三輪。「チャカは使いたくなかったが仕方ねえ。こんなんじゃなけりゃ、いい女として抱いてやったのによ全く惜しいぜ。」「ならもっと惜しんでよ。」言ってる間に自衛隊格闘術よろしく体を反転して射線を逸らし、コルトをつかみ取った。、「た、頼む、撃つな。」「あら、自分になるとそんな感じ。安心して、撃たないけど打つよ。」「へ・・・」言ってる間に弾倉を抜いて投げ飛ばし、スライドを引いて薬室から弾を抜いて顔面に投げつけると同時に金的を蹴り上げた。悶絶して倒れこむ三輪。赤沼は驚愕している。「あ、あんたは一体誰なんだ。」「ただのガルちゃん民よ。」「え・・・」ロープをほどいてる間に一部始終を見ていた紳士が言い寄ってくる。「大丈夫ですか。今警察に通報しました。全く船で外国に売り飛ばすなんて最低ですね。」「ありがとうございます。」いいながらもこの紳士の乗っていた車を見た。「なるほど。不妊治療の先生ね。お聞きしますが、何故外国に売り飛ばすって知ってるんですか。」「あ・・・」・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.28 )
日時: 2021/02/21 16:29
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

・・・言葉が急に詰まる男性。「いや、その、何となくそんな気がしたものだから。」「そうかな。あんた、さっきから車の中で赤沼達を見てたろ。それに女との逢引きにわざわざこんな港の駐車場なんて選ぶ。あんたが児童売買の黒幕だろ。産婦人科医師なら子供の情報取りやすいものな。」「な、何を証拠にそんなことを。言いがかりもいいところだ。」そう言ったところで無言のまま三輪をまた蹴っ飛ばし、ジャケットのポケットからスマホを取り出した。どこかに電話する橋場。するとその医師のスマホが鳴り出した。「出たらどうです。あんたと三輪が繋がってなければね。」「クソ・・・」医師は助手席にいた女性を人質にして拳銃を首元に突きつける。「動くな。こいつが死ぬぞ。」「高島さん・・・」驚いた。逢引きしていたのはガルちゃんシェアハウスの新規住人、元女子アナの高島美弥子だったのだ。「どけ。」車の運転席に移動して、高島を突き飛ばして乗ろうとしたのだが。「グワッ・・・」橋場の投げた特殊警棒に当たり、右腕の骨が折れる。「あんただけは許さないよ。女性が最も頼りにする産婦人科。今頃女性の体や不妊治療に頭を悩ませ疲弊して真面目に仕事してる産婦人科医師が仕事に取り組んでいると言うのに、あんたはその産婦人科の顔に泥を塗るまねして。それでもテメーは医者か。」「クソ・・・・」何も言えずサイドドアに崩れ落ちる男。パトカーのサイレンが鳴り響いてきた。「あんたには一つ聞きたいことがある。」再度胸倉を掴んで睨む。「黒蠍はどこだ。」「あんた何で黒蠍を知ってんだ。」「いいから。何か知ってるんだろ大山園秋。」「さあな。奴とはメールでのやり取りだけだ。」そこへタイミング悪く警察官がやってくる。橋場はスマホをすり取って隠した。・・・続く。

Re: ガルちゃん修羅ハウス ( No.29 )
日時: 2021/03/06 18:42
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

・・・「幼児誘拐の通報があったものですから。あなた確かテレビに出てる橋場さん。」「ええ、そうですが、よく知ってますね。」「まぁ、この前の事件もありましたし、署内でもかなり話題で持ち切りですからね。・・・で、こいつらが例の人身売買の犯人ですね。」「はい」「了解しました。現行犯逮捕します。子供達も我々が保護しますので、署までご同行願えますか。」「喜んで。」「で、あちらの男女3人も・・・」「違います。」共犯者と言われるのを覚悟していたエリカ。意外な証言に耳を疑った。「あの人たちは大山や三輪達に脅迫されて手伝わされていただけです。特に女性二人は。」警察官に見えない角度で振り向き、ウインクする橋場。「そうよね、エリカさんに高島さん。」二人は苦笑いで答える。「え・・・ええ、まぁ・・・」すると三輪が暴れたので警察官は気を取られた。「おい・・すみません、ここでしばらく待っててください。すぐパトカー回してきますから。」警察官等が離れたところで、エリカ達に歩み寄る彼女。「ま、運悪くても執行猶予ね。」「どうして、なんで嘘を。・・・」「聞いたわ。あなた、一度は自首してあの子たち守ろうとしたんでしょ。母性が蘇った証拠よ。その良心に免じて特別に。もう二度とあんな馬鹿なマネしないように。大学も会社もダメになるかもしれない。でも人はまた人生やり直せる。でもやり直せないのは、子供を売り飛ばすことよ。例え貧しくても、清く生きてれば必ず人間らしく生きられる。でも金のために人の道踏み外したら一生心に地獄を抱えて生きることになる。どっちがいい。」再び泣き腫らすエリカ。かくして、大山達と橋場をはじめとする6人は警察署で事情聴取を受けた。無事解放となって署の正面ドア前で背伸びする橋場。「有希、スター、」走って我が子を両手に抱きしめる井上。「よかった。本当によかった無事で。」釈放されたエリカも出てきてから鬼の形相になる井上。「姉ちゃん、あんたなっよくも騙して・・・」「人のこと責められるのかあんた。」橋場の怒号が飛んでビクリとする。「元はといえば、あんたが欲に駆られて子供を疎遠にしようと画策したのが始まりだろうが。夢を見るのはいいよ。欲にたまに駆られるのもいいよ。でもな、あんたにとって本当に大事なものは何だよ。その子たちじゃないのか。
有名人や女である前に、あんたは母親だってこと忘れるな。後はどうすべきかわかるよね。」押し黙る井上を背に、警察署の正門を後にする橋場。その正門に背中を預けて腕組してる一人の男。「あなた。何でここへ。」「何でって、警察はやたら身元保証人なしに帰らせてくれないだろ。だから」「は・・・身元って。私に必要。」「何だよ。一応お前の夫だぞ。それに・・・アレ、押収したろ。はい。」頂戴と言わんばかり手を差し出す男。「察しのいいこと。はい、黒蠍の手がかりになればいいけど。」「足がかりにはなるさ。黑蠍、別名ブラックスコーピオン。なかなか尻尾を掴ませない工作員の親玉だ。」「今日は無性にしたくなっちゃった。ねぇ寄ってく。」意味深に小指を横にする。「ああ、ご褒美だっ、て・・・」またタイミング悪くスマホの呼び出し。「またーーーっ。」不貞腐れる橋場。「悪い。出動要請だ。」足早に立ち去る男。橋場は夜空を仰ぐのであった。・・・次回「子をなくす者 子を憂う者」に続く。


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