複雑・ファジー小説
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- コンプリヘンシブ
- 日時: 2025/03/01 03:53
- 名前: 梶原明生 (ID: BLmVP1GO)
あらすじ・・・混迷を極める昨今の社会情勢。この時代を国や政府が乗り切るためにある専門家によるアイデアが採用された。それが「コンプリヘンシブ プロジェクト」各省庁の専門家でチームを組み、あらゆる事態と事件に対処する。ここまでは従来通り。しかし、ここからが違った。「省庁に限らず、アトランダムに選出されたあらゆるエキスパートに、それぞれのパイプラインとなって心臓部になってもらう。」つまりは壁を開けてお互いを共有し合う前代未聞のチーム作りを許可したわけだ。しかし問題はその土台をどこにするか。最終的に防衛省と警視庁が揉めたが、「まだ国民の多くは警察手帳に重きを置く傾向にある。また、単調的に説明しやすい。」として、やむなく「警察庁、警視庁」に本部を置く事で決定した。かくして、あらゆるエキスパート8人が警視庁別室総合特別対応室に集められた。しかも初日から特別に警察手帳と特殊拳銃が支給された。それぞれクセのある8人だが、国と国民を守るため、日夜あらゆる事案、事態、事件に「コンプリヘンシブ」達が挑んでいく。・・・8人の所属組織は以下の通り。防衛省(特戦、別班?)、警視庁、消防庁、海保、医療機関、マル暴、文科省、芸能界。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.66 )
- 日時: 2026/01/02 04:48
- 名前: 梶原明生 (ID: i8PH9kfP)
・・・撃っては撃たれてまた撃っての繰り返し。しかし、佐藤の一瞬の隙を突いて突進する藤崎。互いに格闘戦となる。その反動で須防の社長室に傾れ込む二人。天川がSFP-9拳銃を構えるも、揉み合ってる二人に標的を迷う。「何してんだイケメンさんよ。」ボディーガード兼殺し屋のボスが徐に拳銃を出す。「やめろ。」思わず天川は彼の腕を撃つ。「何しやがんだこのクソがっ・・・」落とした拳銃を見た須防はすかさず拾い上げ、佐藤に向けた瞬間、脚に隠していた拳銃を抜き、須防に向ける。「死ねー須防っ。」「パーンッ」乾いた銃声が響くや、その合間に藤崎が立っていた。両方の銃弾をうけるも、かろうじて防弾チョッキのおかげで死は免れた。「どっちも死なせないっ。」「どいてくれ藤崎曹長。そいつは仇なんだ。あんたにとってもだろ。」「こんなこと上原さんも、御上さんも、女優の竹田さんも、浅川さんも、望んではいない。復讐は何も生まない。」「詭弁だっ、俺はこの16年、復讐を願わなかった日はなかった。特戦のセレクションに落ちた時、彼女に出会えた。この国で何を守り、何と戦うのか分からなくなった時、テレビの彼女と出会った。あの笑顔に俺は救われた。なのに四年後のあの日、自殺の一報を受けた日には嘘だと信じたかった。だが、他殺と知った時、こいつが関わってた。だからこそ仇を討つために来た。」しかし、腕から血が。「佐藤お前、傷口が開いたんじゃないか。もうやめろ、十分だ。こいつは司法が裁く。」その時だった。撃たれた殺し屋が痛みに耐えながらナイフを脇から取り出し、佐藤を刺しに行く。「危ない佐藤っ。」殺し屋のナイフを止めに入った矢先、須防は再び引き金を引く。「パーンッ」銃声が何故か三つ聞こえた。「佐藤ーーーっ」思わず殺し屋を刺してしまう藤崎。佐藤と須防は相打ち。のはずなのだが。・・・「佐藤、佐藤っ、死ぬなっ。本部、至急、救急車を回してくれ。負傷者多数だ。早くっ。」遠藤達が入って来た時には既に時遅しだった。殺し屋達も逮捕案件なので、彼等の抵抗を抑えるのに必死で間に合わなかった。「こ、これでいいんです。藤崎曹長。ありがとう ござい ました。そして、す、すみませんでした。ふ、不甲斐ない部下で。」「何言ってる。お前は空挺団にいた時、最高の教え子だった。だからもう喋るな。」しかし、彼は藤崎の腕の中で息絶えた。。「佐藤ーーーっ。」救急車が到着したものの、三人共に助からなかった。こうして一連の復讐劇は終わったかに見えたのだが。・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.67 )
- 日時: 2026/01/09 06:16
- 名前: 梶原明生 (ID: M.fbnnZK)
・・・「待ってください。これ、簡単なのに気付くの遅かったかもしれません。」新田が聞いてくる。「どうした、何かわかったか。」「女優の竹田美湖と浅川悠の兄弟や旦那さんはいずれも警視庁警備課警備部の刑事です。」「何だって。」「襲撃に成功したところは彼らが警備を担当していました。今は岩狩大臣と引退した須防の父親の警備に着いてるはず。」「不味い、直ぐに警備部に連絡を。」事情を知った藤崎達は早速急行しようとしたのだが。「何、消えただと。本当か美山。」「はい。問い合わせたら、安全を期してセイフハウスに向かったと。警護を担当してるspごと連絡が途絶えているそうです。」「ヤバいぞ。やつらグルだったか。・・・待てよ。竹田さんと浅川さんの共通する場所はどこだ。」「どうしてそんな所を。まさか。」「そのまさかだ。確か、竹田さんも浅川さんも、夕食の用意中に自殺したんだよな。」「ええ。二人共夕方16:48分ごろに。」「後一時間。急ごう。」車に乗り込む藤崎達。場所は千葉県勝浦にあるプライベートコテージ。岩狩がイライラし始める。「一体いつまでここに閉じ込める気かね。ああ、私は忙しいんだ。副総理としての立ち位置なんか君達にはわからんだろ。あ、安全のためとか言うなよ。もういい、電話する。」いきなりスマホを取り上げるsp。「電話されたら困るんでね。岩狩大臣。」「な、何だ貴様っ、私を誰だと思ってるんだっ。」「よく存じ上げておりますよ。私の妹をよくも殺してくれましたね。」「な、何だと。ま、まさか、お前たちは・・・」「さすが大臣様だ、お察しが早い。私は早々養子に出されたから気づかなかったんでしょう。妹は兄である私を昔から慕ってくれた。芸能界に入ってからも交流は途絶えなかったくらいにね。なのに貴様らは、この国を蝕むどころか、邪魔な人間を容赦なく暗殺しやがって。お前はどこの国の大臣だ。」「いや待て、早まるな。何かの誤解だ。私は関わってない。」「岩狩大臣の言う通りだ。君達は何か誤解している。」「ライライ支援募金機構。この機構の帳簿に貴方達の名前が載ってる。甘い汁を吸ってた証拠だ。須防会長、あんたも息子と共謀して雇い上げた殺し屋集団に妹を殺させた。そうだろ。」「いやいや、違う。誤解だよ君。」「じゃあこれは何だ。」spが一個のボイスレコーダーを取り出した。それは岩狩が須防に電話している会話だった。「こ、これは、その・・・」岩狩と須防は冷や汗をかき始める。「一体どこでこれを・・・」「どこからだってどうでもいいっ。とにかくあんたらは仇だったことに変わりはない。」浅川悠の夫もまた叫ぶ。「そうだ。このゲス野郎っ。よくも妻を。・・・後三分で16:48分だ。二人共処刑してやる。妻が亡くなった時間に死なせてやるんだ。ありがたく思えっー。」逃げられないよう足元に銃弾を一発発射するsp。急行している藤崎は車の中で叫ぶ。「何だと、あんたらそれでも千葉県警か。俺たちはコンプリヘンシブだ。架空の組織じゃないんだぞ。だから、spの真山は竹田さんの兄。小松は浅川さんの夫だ。・・・ああもういい、話にならん。」スマホをダッシュボードに投げ置く藤崎。「どうしましたチーフ。」「無駄だ。千葉県警はすっかり奴らの偽情報を信じ切ってる。俺たちで何とかするしかない。急げ。」「了解。」天川がアクセルを吹かす。・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.68 )
- 日時: 2026/01/05 02:55
- 名前: 梶原明生 (ID: i7z/PvOJ)
・・・「後二分しかないぞ。」「わかってます。あと少しなんで、捕まっててください。」更に加速する天川。見えてきたコテージに車ごと突っ込む。「ガシャーン」と轟音を立てて無茶な突入を敢行した。「何だっ、お前ら。」SIG230拳銃を構える真山、小松。藤崎のSIG226が火を吹く。わざと防弾チョッキに当てていたが、まだ動こうとしている小松。「動くな。頼むから銃を取るな。」しかし、銃を向けてくる彼に、藤崎の銃弾が貫く。「馬鹿やろう。」その隙に真山は岩狩を人質に取る。「動くな。銃を捨てろ。さもないとこいつが死ぬぞ。」「構わんよ。殺してくれたら万歳してやるからさ。」「何っ。」この意外なギャップに気が抜けたが、それも気を逸らす作戦だった。後ろから近づく天川と遠藤。彼から拳銃を取り上げて、遠藤が取り押さえる。「こいつを殺させろ。頼むから・・・クソーッ。」拘束されながらも涙ながらに叫ぶ真山。「このゲスが。私を誰だと思ってるんだ。必ず極刑にしてやるからな。」殴ろうとした岩狩を止める遠藤。「あんたが元起こしだろうが。篠崎の分もたっぷり敵討ちさせてもらうからな。」須防に歩み寄る藤崎。「あんたが芸能界を汚した。その罪は重い。」「それよりなぁ、息子はどうなんだ。無事か。」「残念ながら。息子さんは助からなかったよ。」「そ、そ、そんな、そんなーっ。忍ーっ、私の一人息子がーっ。」「おいどうした須防、おーい。・・・直ぐに救急車っ。」持病の心臓病が悪化し、倒れる須藤。心臓マッサージを施すも、既に手遅れだった。別のsp班と共に麻田総理が現れる。岩狩が前に出る。「ああよかった、総理。私は無実で殺されるところでした。」「無実ならね。悪いがそうとはならない。あなたを副総理の座に就かせたのも、尻尾を掴むため。才覚を見込んでじゃない。悪いけど、内調は始めから私の味方でね。」「このクソがーっ。」「おやおや、副総理とも、あろうお方が下品な。連行しろ。」「はっ。」spに指示して連れ出す。救急車が到着し、小松の容体を診る救急隊員。「大丈夫です。これなら病院で助かる可能性があります。」「良かった。すぐに運んでください。」「わかりました。」小松はストレッチャーに乗せられていく。「コンプリヘンシブ。ご苦労さん。貴方達のおかげで無事事件は解決と言ったところか。」「麻田総理、一つ聞きたいことがあります。」藤崎が真剣な眼差しで聞く。「何かな。」「これだけの証拠、篠崎と言う一ヤクザが集められますかね。リーク元をご存知じゃないですか。」「何のことか私にはさっぱりだが。」「惚けないでください。私から言いましょうか。・・・リーク元は、アメリカのCIAからじゃないですか。」「何をばかな。」「そう考えると辻褄が合うんです。篠崎に渡していたのも、彼が被害者家族に近しい人物だったから。須防が雇ってる暴力団の殺し屋に見つかったのは誤算でしょうけど、ゆくゆくは暗殺を実行させ、中国への資金援助を断つのが狙いだった。そうですよね。」・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.69 )
- 日時: 2026/01/08 18:19
- 名前: 梶原明生 (ID: 6/JY12oM)
・・・窓外を,見ながら呟く麻田総理。「政治とは一枚岩で行くような単純なものではないのだよ藤崎君。ここからは私の一人言だよ。アメリカから方針転換の一報があった。今までは見て見ぬふりだったはずの不正にも目を瞑れなくなったとね。それでもアメリカが直接手を汚せば中国と全面戦争になる。それだけは避けたいと、あるシナリオを提供された。後は知っての通り。被害者家族による単なる復讐劇となれば、中国も国家レベルで非難はできない。とね。ああ、あくまで一人言だよ。」拳を握りしめる藤崎。「そのために被害者は、更なる被害を被ったわけですか。」「あくまで一人言だよ君。怒り心頭なのは分かるがね。君も青二才じゃないだろ。紛いなりにも特殊作戦群だ。国家のためだ、聞き分けたまえ。」肩を軽く叩いて立ち去る麻田総理。その背中を睨む以外何も出来なかった。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.70 )
- 日時: 2026/01/10 05:18
- 名前: 梶原明生 (ID: jAa55n87)
・・・その後マスコミやSNSなどはこの大事件に釘付けとなり、総理官邸では異例の「遺憾記者会見」が開かれた。中国大使館職員。実際は工作員だろうが、その方の遺族や中国政府に深く謝罪の意を示し、暗殺計画関係者を極刑に処すことを表して幕引きを測ろうとした。しかし翌日舌の根も乾かないうちに一転、ライライ募金機構の不正利用とマネーロンダリングに中国が関わっていたとして、強く抗議。これに反発する中国だったが、首脳部の一人、李紫龍氏が黒幕と突き止め、互いに痛み分けとして幕を閉じた。その日の夜、遠藤が通うバーに藤崎が現れた。「チーフ。」「すまん、俺も一杯やっていいですか。」「勿論。今日は誰かと飲みたいと思ってましたよ。」日本酒ハイボールを頼む藤崎。誰かがマスターにテレビつけてよと頼む。「はいよ。」丁度ニュース時間だったらしい。「かねてより政府がアメリカ政府に要求していて反故にされていた、関税引き下げと防衛費強化に対する承認。日米安保の役割明確化がここにきて通る事になりました。」舌打ちする藤崎。「結局麻田総理の狙いはこれか。それと引き換えに佐藤は死んだのか。」「篠崎もですよ。あいつ、ヤクザだったけど、根はいい奴だった。あいつが裏社会に手回して銃と弾薬調達したなんてありえねー。いくらヤクザでも一人であれだけ大量のブツ捌けるわけないのに。」「結局真相は闇から闇か。俺たちは何のために、この国の政府に尽くしてるんだろうな。」「チーフ、それを俺たちが考えたらおしまいだ。」「確かに。勿論国を裏切る気は毛頭ありませんよ。ただ。気が咎めないかと言われたら、・・・ノーとは言えないかな。」天を仰ぐように顔を上げる遠藤。「篠崎に。」「佐藤と夭折された被害者に。」偲んでグラスを合わせる二人。一気に飲み干す。「二人共こんないい店を紹介せずに二人占めですか。」現れたのは天川はじめ、コンプリヘンシブのいつものメンバー。「二人占めって何だよ。そんな言葉お前ぐらいじゃないか。」「ほーら。いつものチーフが帰ってきた。それはそうと、俺たちにも追悼の盃交わさせてもらえませんか。」「いいだろう。座れよ皆。」新田が景気いい発言する。「よし、藤崎。今日は俺の奢りだ。皆も好きなだけ飲め。」「あざーすっ、ご馳走様です。」景気良く松下が叫ぶ。黒石も。「私も飲んじゃお。オレンジカシスお願いします。」藤崎が頭を叩くフリ。「バーカ、お前まだ未成年だろ。マスター、この子にはオレンジジュースを」「やーっ、子供扱いしてー。私は立派に18の成人ですーーっ。」「酒は飲めないんだよ知らねーのか。」「えーそんなー。」不貞腐れる黒石。彼女の両頬を触る美山。「そんな不貞腐れた愛ちゃん可愛い。」「えーそうですか。」「てなわけで、もったいないからこのカシスは私が頂くわ。」「あーずるーい。」渋々オレンジジュースを飲む黒石。・・・続く。
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