複雑・ファジー小説
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- コンプリヘンシブ
- 日時: 2025/03/01 03:53
- 名前: 梶原明生 (ID: BLmVP1GO)
あらすじ・・・混迷を極める昨今の社会情勢。この時代を国や政府が乗り切るためにある専門家によるアイデアが採用された。それが「コンプリヘンシブ プロジェクト」各省庁の専門家でチームを組み、あらゆる事態と事件に対処する。ここまでは従来通り。しかし、ここからが違った。「省庁に限らず、アトランダムに選出されたあらゆるエキスパートに、それぞれのパイプラインとなって心臓部になってもらう。」つまりは壁を開けてお互いを共有し合う前代未聞のチーム作りを許可したわけだ。しかし問題はその土台をどこにするか。最終的に防衛省と警視庁が揉めたが、「まだ国民の多くは警察手帳に重きを置く傾向にある。また、単調的に説明しやすい。」として、やむなく「警察庁、警視庁」に本部を置く事で決定した。かくして、あらゆるエキスパート8人が警視庁別室総合特別対応室に集められた。しかも初日から特別に警察手帳と特殊拳銃が支給された。それぞれクセのある8人だが、国と国民を守るため、日夜あらゆる事案、事態、事件に「コンプリヘンシブ」達が挑んでいく。・・・8人の所属組織は以下の通り。防衛省(特戦、別班?)、警視庁、消防庁、海保、医療機関、マル暴、文科省、芸能界。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.51 )
- 日時: 2025/11/17 18:27
- 名前: 梶原明生 (ID: 8GPKKkoN)
・・・「変ですね。こんな時期に台風なんか。」「ああ、そうだが、これが陰謀だろうが何だろうが、俺たちが駆り出されたと言うことは・・・」「国家の危機。ってわけですか。」「その通りだ。既に甚大な被害がモニターを見てもわかるように、かなり酷い。消防庁も自衛隊も手が足りない。」「だからって俺たちが出張るってことはただ単に人手不足解消のためじゃあないですよね。」藤崎が前のめりになる。「さすが藤崎。察しがいいな。実はアメリカ大統領の娘さんが、親日家でな。お忍びで九州地方のボランティアに参加していた。しかし、周辺は孤立した山村の中でな。身動きが取れない。」「で、俺たちに救助に行けと。」「ああ。だが行くのは俺たちだけじゃない。嗅ぎつけたハイエナ共もだ。」「嫌な予感当たった。」「こうしてる間にも、ハイエナ共が向かってるかも知れん。コンプリヘンシブっ、出動だ。」「了解。」全員答えて準備を始めた。準備室で藤崎が言う。「じゃ、元消防士さん、頼りにしてまっせ。」「何言ってるんです。山岳戦なら藤崎さんのような空挺レンジャーが一番じゃないっすか。」「まぁそう謙遜するな。」松下が不思議がる。「あれ、そう言えば愛ちゃんは。見かけませんけど。」「ああ、黒石か。あいつは待機だ。別に変装術は山岳地帯にいらないだろ。」「まぁ確かに。」「それじゃ20式とFSP9拳銃と装備品一式持ったな。行くぞっ。」「はい。」陸自迷彩服に身を包んだ六人がそれぞれの車両に乗ってCー2輸送機に向かった。飛び立った輸送機は、台風を迂回して、既に直撃後となった九州東部に向かった。藤崎がランプを見て立ち上がる。「降下地点まで2分だ。皆一回は空挺降下は経験したろ。大丈夫だ。台風はもう去ってる。着地点さえ気を付けてれば大丈夫だ。各自装備を点検しろ。」「了解。」藤崎の号令一下全員が立ち上がる。ドアが開いてグリーンライトが付く。「行け行け行けっ。」藤崎の号令一下次々に飛び降りていく。「お世話になりました。」「いえ、藤崎一尉こちらこそ。どうかご無事で。」「ありがとうございます。」敬礼して最後飛び降りる藤崎。九州東部I地区に降りる。ここは毎年のように久大線が水害で不通になる盆地近くであり、その市内都市の外れにある山村が目標地点だ。天川がパラシュートを畳みながら美山を気にかける。「大丈夫か。」「大丈夫じゃないですよもう。私はデスクワークなんですよ。こんなの二度とごめんですよ。」笑いながら手をとり立ち上がらせる天川。「仕方ないさ。it専門もいないとな。」「全てに備えよ。ですか。」「まぁな。さ、皆と合流するぞ。」こうして藤崎はじめ、コンプリヘンシブは一列縦隊で歩き始めた。「こりゃひでーな。」先頭を歩いていた遠藤がつい言葉を漏らした。辺りは台風の惨状を物語るように藪や木々が薙ぎ倒されて行く手を阻んでいた。「ああ、まさに進撃の小人だな俺達は。毎年こんな形だこの地区は。全くどこの誰がこんな時期にボランティアに来るかね。台風は予報出てたのに。」藤崎も木々をより分けながら呟く。「私が先頭に立ちます。」さすがは元消防庁特殊救難隊。災害現場には手慣れている。・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.52 )
- 日時: 2025/12/07 09:53
- 名前: 梶原明生 (ID: 3T3.DwMQ)
・・・」藤崎が言うも、不満そうに藪をより分けていく斎賀。藤崎は何かを悟った。やがて道なき道を進むと、目的地である集落にたどり着いた。公民館に皆避難していたが、その中に目立つ金髪に白肌の女性がいた。「ターゲット発見。」そう呟いたが、勘違いした町内会長らしき老紳士が立ち上がった。「自衛隊さんですね。いやー助かった。救援に来てくれたんですか。」藤崎が答える。「ええ。我々は西部方面隊水陸機動団の警務隊ですが、今普通科部隊はあちこちに駆り出されてまして。こちらへは我々警務隊が支援物資を届けに来ました。」少ないながら天川と遠藤がグリーンベレーみたいにコンテナボックスで運んできていた。中には水、食料、衛生用品などが入っている。「これはこれは助かります。」「何が支援だこの人殺し集団が。」眼鏡に白髪の老人が捲し立てる。老婦人が間に入る。「白川さん、何言っちょんの。失礼ばい。」「知るか。」臍を曲げたまま不貞腐れる白川。町内会長が間に入る。「まぁ、気にせんでください。ばさろご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」「いえ、こちらこそ。」そう答える間もなく天川が公民館の避難民の診察をしていた。「あー、風邪ですね。何かアレルギーは・・・ないですか。ならこのお薬で様子を見ましょう。」藤崎は目線を金髪女性に向けた。彼女もまた、介護のような真似をしている。「excuse me your mis Catherine,」「ここでは英語はやめてください。日本語は大丈夫ですから。」「これは失礼しました。」「確かに私はキャサリンです。どうして私のことを。」「かねてより存じ上げておりますので。」「あー、そういうことね。もしかして、目的は私の護送。」「は、はぁ。見抜かれておりましたか。」「全くダディったら。私なら心配いらないって言ったのに。言っときますが、まだ帰るつもりはありません。」聞かれないように小声で話す藤崎。「ですが我々の任務はあなたを無事に福岡空港まで送り、特別チャーター便でアメリカにお帰りいただくことです。ヘリ地点までご同行頂かないと困ります。」間にシークレットサービスらしき女性が入る。見た目は日本人だが、日系3世なのは目に見えてわかる。「ちょっと。私は護衛隊長を任されているエリース駿河です。彼女の意向を尊重してあげてください。」「そうは言われましても、我々もバラント大統領からの要請で動いてるんです。」正式な書面を見せる藤崎。「だとしても。・・・」エリースとキャサリンが後ろを見た先に、三人の女の子がいた。年恰好からして最高でも高校生くらいだ。半泣きになって何かに耐えている表情から、特に藤崎、斎賀、天川、美山が悟った。キャサリンは語る。「この子達を辱めた犯人を捕えるまでは。・・・」 続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.53 )
- 日時: 2025/12/02 04:25
- 名前: 梶原明生 (ID: mKkzEdnm)
・・・「ですが、何が何でもあなたをアメリカまで護送できるようにしなければなりません。」エリースが反応する。「それはどういう意味ですか。」腰に手を回しはじめた。その様子から、極秘で拳銃を持ち込んだなと悟る藤崎。しばし睨み合いになるも、意外な人物がこの緊張を解く。「待ってください。藤崎チーフ、あなたは本当に彼女達を見捨てられますか。チーフだって、レイプ被害者家族じゃないですか。娘さんいますよね。」「え、・・・」四人は一瞬何のことかわからなかった。松下が聞く。「藤崎チーフ、娘さん居たんですか。」「ああ。」「そんな話聞いたことありませんが。」「そりゃ、聞かれなかったからな。」「いや、そうですけど。」美山が続ける。「3.11の時、藤崎チーフの娘さんは友達の家に遊びに行っていた。そして被災。幸い高台に逃げていた娘さんと友達は助かったけど、道路は寸断され、交通網もなく、避難場所の体育館で寝泊まりするしかなかった。それが運命の分かれ道だった。」「もうその辺にしとけ。お前、極秘ファイル見たな。規律違反だぞ不正アクセスは。」「それをわかった上で話してるんですよ。でも論点すり替えないでください。我々なら探し出すのは朝飯前のはず。先ずは犯人を探し出して・・・」「いい加減にしろっ。」いつになく激しい激昂がコダマする。「チーフ・・・」「人の過去晒して何が楽しい美山。」「私はそう言うつもりでは・・」「遠藤さん、説得を代わってください。」「は、はい。しかしチーフ。」言う間もなく立ち去る藤崎。天川がため息を吐きつつ美山に言う。「美山さん、彼女達を診てあげて。」「え、私が。」「知ってますよ。あなたのご両親医師ですよね。」「あまりそれ言わないでくださいよ。」軽く笑いながら公民館の外へ藤崎を追った天川。「どうしました。いつもの藤崎さんらしくない。」「そうかよ。」「お辛かったでしょうね。」「辛かったのは俺じゃない。あの子だ。」「お子さんはお一人で。」「いや、6人だ。」「ろ、6人っ。」「何だ、昔だったらたいして珍しくないぞ。だいたい産まない夫婦が多すぎるんだよ。」「今は少子化対策の話じゃないでしょ。」「言えてる。だがよく言うだろ。特殊作戦群は、国は救えても家族は救えないって。わかっていたんだがな。」一呼吸置いてから静かに問う天川。「で、どうします。首に縄かけて運ぶわけにもいかないでしょ。」「要は犯人が見つかりさえすれば良いんだな。よし。」スックと立ち上がる藤崎。・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.54 )
- 日時: 2025/12/03 20:47
- 名前: 梶原明生 (ID: 0LPJk3K6)
・・・再びキャサリンの前に立つ。「犯人を逮捕すれば良いんですね。」「ええ。さっきも言いましたよミスター藤崎。」「わかりました。美山、ここ数日前からこの町を出入りした人間を防犯カメラから洗い出せ。」「了解。都会よりは楽勝かも。林道含めてこの町に入れる道はおよそ五つ。そこから町に住む人々の車両ナンバー以外で割り出すと、・・・凡そ四台。うち、男性かそのグループがいそうな車両はと、・・・二台。その中でこの荒れた地区から抜け出していない車両は、この黒のSUV。」「よし、そのSUVの持ち主を洗おう。」「待ってください。この持ち主。・・・赤井教育組織、つまり赤教組の教師で、他二人の同乗者も同じく教師仲間です。」「何だと。また教育委員会かよ。しつこく絡むな。」「まだしつこいかもですよ。持ち主の名前は白川雄二。」「えっ。」先程、人殺し呼ばわりした白髪の男の息子だった。早速、避難していないSUVの持ち主を藤崎、松下、斎賀で探しに行った。被害に遭いそうにないコンクリート製の頑丈な豪邸が見えた。中で三人のエセ教師がワインで宴状態だ。「裏ネットで知り合った我々の武勲を祝って、乾杯。」「白川さん、もうそれ三回目ですよ。」「いいじゃないか。可愛い田舎の少女を皆でレイプできたんだ。台風様々だよ。ハハハっ。はぁっ・・・」迷彩服姿の藤崎が突然部屋に入り込んできたら、それは恐怖以外何ものでもない。首根っこを掴んで壁に押し付ける藤崎。「テメーっ、ぶっ殺してやる。自分が殺られるのは嫌か。あーっ。」「ち、チーフやり過ぎですよ。」松下が彼を止める。斎賀は逃げ出す二人を捕まえる。「どこへ逃げるお前らっ。」藤崎は正気を取り戻す。「ああわかった。わかったから。」「ゲホッゲホ」首を抑えながらひざまづく白川。斎賀が述べる。「お前の先ほどの証言は盗聴記録してある。言い逃れはできないぞ。」藤崎も便乗する。「テメーらそれでも教師か。この人間のクズが。」「何言ってる。僕達はFランじゃないぞ。一流大学を卒業してるんだ。田舎の少女を犯したくらいで何の罪になる。」ぶん殴る藤崎。「くだらねークズの御託は警察署で並べろ。」連行する藤崎達。キャサリンの前に差し出す。「これでいいですか。証拠のテープもある。」「ま、まさかこんなに早く来るとは思ってなかった。」「ええ。でも解決した。福岡県警に知り合いがいますので、こいつらの身柄は県警に引き渡します。いいですね。」「わ、わかったわ。」解答した後、女の子達とハグし合うキャサリン。白川が驚愕した。「バカな、うちの息子が何をしたと言うんだ。」「彼女達に対する強姦・・いや、不同意性交罪等で逮捕しました。」「そんなはずはない。うちの息子に限って・・・」・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.55 )
- 日時: 2025/12/03 20:36
- 名前: 梶原明生 (ID: djZseB/4)
・・・「何と言われようとも事実に変わりない。我々は警察手帳も所持しています。したがって逮捕権もあるんです。このまま福岡県警に引き渡します。」「そんなーっ、たかがレイプくらいで、この台風の大事な時期にそれどころじゃないだろ。」いきなり白川の首根っこを掴んで、女の子達の前に連れて行く。「この子と親御さんの前で同じこと言えるのかっ。あーっ。」恐怖に固まる白川。それ以上の恐怖は地元住民だ。「あんたんとこの息子はそげんやつばい。許さんばい。」「良かったな。優しいご近所さんばかりで。」皮肉を言いつつ、キャサリン一行と立ち去る藤崎達。チヌークが待機していた。自衛隊の双発翼機の大型ヘリだ。辺りを警戒しながら無事乗り込む藤崎達。飛び立つチヌーク。20式小銃を握りしめながら天川が言う。「結局これ、いらなかったすね藤崎チーフ。」「いらないならいらなかったで良かったじゃねーか。前みたいにドンパチある方が嫌だろ。」「そりゃそうですけど。・・」「言いたいことはわかるさ。でも。」「全てに備えよ。ですか。」「俺の十八番奪うなよ。てか、知ってるならわざわざ言う必要あるか。」「ただの愚痴っすよ。今日ぐらい言ってもバチは当たらないでしょ。」「わがままなお嬢さんのせいかな。」藤崎も愚痴りながら斎賀の隣りに座る。「どうした斎賀。お前も愚痴りたいのか。」「いえ、そうではありません。」「人命救助と今の仕事。そして彼女のことだろ。」「お見通しなんですね。」「そりゃ、一応チーフだしな。そう悩むな。は、解決にならんか。でもな、結局割り切るしかないんだよ俺達の仕事は。お前が守りたいものはなんだ。」「はっ、・・」何かを悟ったような顔になる斎賀。彼の肩を叩く藤崎。 数日後、斎賀は彼女に会いに行った。白い小さな箱を手に持って。・・・おしゃれなカフェに座る美咲。「み、美咲。」「ボンド。会いたかった。」「遅くなってごめん。」「まだ約束の時間の五分前だよ。」「そうじゃなくて。これ。」彼女の前に先ほどの白い箱を置く。「これもしかして。」「うん。こんな俺で良かったら。これから俺と共に歩んでくれないか。」パカっとあけたその先にシルバーリングが輝いていた。「ボンド、そんな急に・・・」「ダメか。」「いえ、何も聞いてなかったから。・・・勿論よ。謹んでお受けします。」いつになく彼女の手を強く握る斎賀だった。フッと笑う藤崎は物陰から立ち去るのだった。・・・「災害の傷」終わり。 次回「スキャンダルラブ(芸能界の闇)」に続く。
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