複雑・ファジー小説
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- コンプリヘンシブ
- 日時: 2025/03/01 03:53
- 名前: 梶原明生 (ID: BLmVP1GO)
あらすじ・・・混迷を極める昨今の社会情勢。この時代を国や政府が乗り切るためにある専門家によるアイデアが採用された。それが「コンプリヘンシブ プロジェクト」各省庁の専門家でチームを組み、あらゆる事態と事件に対処する。ここまでは従来通り。しかし、ここからが違った。「省庁に限らず、アトランダムに選出されたあらゆるエキスパートに、それぞれのパイプラインとなって心臓部になってもらう。」つまりは壁を開けてお互いを共有し合う前代未聞のチーム作りを許可したわけだ。しかし問題はその土台をどこにするか。最終的に防衛省と警視庁が揉めたが、「まだ国民の多くは警察手帳に重きを置く傾向にある。また、単調的に説明しやすい。」として、やむなく「警察庁、警視庁」に本部を置く事で決定した。かくして、あらゆるエキスパート8人が警視庁別室総合特別対応室に集められた。しかも初日から特別に警察手帳と特殊拳銃が支給された。それぞれクセのある8人だが、国と国民を守るため、日夜あらゆる事案、事態、事件に「コンプリヘンシブ」達が挑んでいく。・・・8人の所属組織は以下の通り。防衛省(特戦、別班?)、警視庁、消防庁、海保、医療機関、マル暴、文科省、芸能界。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.16 )
- 日時: 2025/06/22 19:16
- 名前: 梶原明生 (ID: 5xmy6iiG)
・・・「説明は後だ。とにかく厚い壁のある部屋はどこだい。そこに隠れよう。」「なら、聴音室が。あそこなら壁は厚いです。ドアも頑丈ですし。」「よし、私が先導する。皆さんもついてきてください。」開いたドアにつく藤崎。クイックピースしながら銃を構えて左右を確認する。「よしいない。今のうちだ、さ、早く。私の後ろについてきて。」「はい。」杏珠をはじめ、患者達はついていった。銃を構えながら歩く藤崎。不利と見るや、スイッチして20式からシグ226拳銃に切り替えてとまる。拳をあげるが杏珠が進もうとすると平良が引っ張る。「杏珠ちゃん。それ止まれって意味。」「えっ、そうだったんですか。平良さん詳しい。」「まぁ、プレデター見てるからね。」藤崎はしまったとばかりにバツが悪くなる。「すみませんね、つい癖で。」言った瞬間廊下の角から銃を持った男が。「キャーーーッ」杏珠の悲鳴で振り向くことなく、何と脇の下から藤崎がいきなり発砲。CQB射撃ではよくある撃ち方だが、素人には何がなんだかだろう。そして振り返って彼は更に発砲。瞬時に後二人の脅威を排除した。「な、なんて事を。直ぐに手当てを。」杏珠が手を差し伸べようとしたらそれを掴む藤崎。「必要ない。彼らはテロリスト同然だ。さぁ、見てないで早く患者達と避難を。」それまでの柔らかい表情は消え、手厳しい表情のギャップに困惑する杏珠。進みつつ関心する平良。「これが現実だよ杏珠ちゃん。行こう。それともここの患者さんを見捨てる気かい。」何も言えなくなる杏珠。藤崎が無線連絡する。「奴らの斥候が上がって来てた。どこかに抜け穴でもあるのか。」「そんなはずは・・・待ってください。図面上ではありませんが、監視カメラを使った周囲四方の画像から、死角となる位置から小児科に伸びた非常梯子が。」「なるほど。小杉め、二重スパイだったか。とにかくこちらは病院関係者を安全な部屋に移動させる。新田主任はどうだ。」「只今交戦中で、何も言えません。」「わかった。引き続き何かあったら連絡を。交信終了。」また構直して聴音室を目指す。「東山さん、平良さん。患者さん達とここに暫く隠れてて。俺は残りがいないか確かめてくる。」シグ226拳銃の空弾倉をゴトンと落として、弾倉を差し込むと引かれたスライド止めを押し下げて遊底を前進させ、新しい弾を送る。そしてダブルアクションのデコッキングを押し下げて撃鉄を収める。平良が興奮してる。「いや、さすがプロっすね藤崎さん。俺ただのおっさんかと思ってた。」「最後の一言は余計ですがね。」患者達に笑いが起きる。しかし杏珠は浮かない顔。「すまないね東山さん。俺のこんな姿を見せたくなかった。だが、これが俺なんでね。」颯爽と聴音室を出る藤崎・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.17 )
- 日時: 2025/06/29 17:56
- 名前: 梶原明生 (ID: EabzOxcq)
・・・一方、一階では既に交戦が始まっていた。最初はお決まりの「警察だっ、銃を捨てろっ。」の叫び声を上げるが、「待てーっ」と叫んで待つ奴がどこにいるで、結局撃ってきた。新田が叫ぶ。「発砲確認っ、正当防衛だっ、発砲許可。」新田が撃つも、斎藤と松下が撃たない。「どうしたっ、撃たなければ撃たれるだけだ。命令だっ撃てっ。」ようやく我に帰った二人は発砲するも、盲滅法な撃ち方になる。ほとんど新田一人の独壇場で撃ち倒す。「新田主任、右側通路から三人っ」監視カメラを使って新田の目となる柊子の指示のお陰で敵の先の先に行ける。しかし。・・・「こら動くな。ガキが死んでもいいのか。」逃げ遅れた小学生の女の子を人質に取る半グレ。「先ずは道を開けろ。それからこのガキは俺が無事に逃げるまでの人質だっ。」「わかった。道は開ける。ただし、病院を出るまでだ。人質を解放してくれ。」「できない相談だな警察さんよ。の、割に軍隊並みの武器持ってんじゃねーか。お前ら本当に警察か。」ジリジリ動く半グレ。その時一発の銃声が鳴り響いた。斎藤である。正確に頭を撃ち抜いていた。驚愕して銃を下げる彼。「おい、斎藤、大丈夫か?」「へ、あ、あの、大丈夫です。」ようやく戦いは終わったが、新田は斎藤がPTSDにかかっていたのは目に見えていた。そんな時ようやく防弾ベストにニューナンブ拳銃を携えた十和田達とSATの隊員が到着していた。「こ、これは一体。」場所はさながら戦場後である。「これはこれは十和田主任、ご苦労様です。」「悠長にご苦労様と言ってる場合ですか。何ですかその格好は。それに死体だらけ。場合によってはあなた方も。」「逮捕する。ですか。それはやめといた方がいい。それに麻薬王の男は4階に確保してあります。その上この病院を守った手柄と功績はそっくりそのまま警視庁に・・つまりはあなたの手柄になる。」「う、くっ、」功名心をくすぐられる十和田。塩谷が若さに任せて言う。「言うこと聞くまでもなく、こんな違反、直ぐに摘発すべきです。」竹中が間に入る。「まあまあそんなに血の気を撒き散らすな。で、十和田主任。どうするおつもりで。」「現場検証だ。」「はぁ・・・」「だから鑑識呼んでくれ。」「ちょ、十和田主任。」何も言わず荒々しく立ち去る十和田。ニヤリと笑う新田だった。そんな時、梯子からラスボスならぬ、城西会会長が何人か配下を連れて現れた。白髪混じりだが、どこか厳つい顔つきで、喉から響いて鳴らすようなドスの効いた声で部下に命じる。「あのアホンダラ、早う仕留めてこんかい。」「はいっ。」勢いよく返事する厳つい部下達。「ぽっと出のボンボンが、ワシに楯突いた代償や。キッチリ払ってもらうからな。」怖い目つきで睨む城西会会長。しかし、間を入れる隙もなく銃声が鳴り響く。「やったか。」・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.18 )
- 日時: 2025/07/05 15:43
- 名前: 梶原明生 (ID: KACJfN4D)
・・・喜びも束の間。倒れているのは北田ではなく自分の部下だ。その先に銃を構える遠藤と藤崎の姿が。「なんじゃお前ら、ワシを誰と思っとるんじゃいっ。」遠藤が20式を構えながら言う。「よく存じ上げておりますよ。城西会会長の須藤帯刀、でしょ。残念ながらこちらが先に構えてる。撃ち合いになればあなた方が死ぬことになる。それでもよろしいので。」煮湯を飲まされる顔になる須藤。部下の一人が銃口を挙げた瞬間、藤崎の20式が火を吹いた。それを見たら本気だと言わざるおえない。「さぁ、お次はどちらが銃口を挙げますか。」須藤と側近は直ぐに銃を捨てて手を挙げた。「賢明な判断だ。」その頃ようやく十和田率いるSAT隊員が押し寄せてきて、須藤達を逮捕した。SATが黒づくめで押し寄せる中、任を解かれた天川が杏珠を抱きしめる。「良かった。俺にはお前が必要だ。もうこんな目に2度と合わせない。愛してる。」「私も。もう会えないかと思った。愛してます。でも大事なお仕事なんでしょ。理解できなくても愛があれば乗り越えられる。」「杏珠・・・」互いにキスを交わす天川と杏珠。ほっとした表情になる藤崎。その先に西野の姿を見た気がした。「もう重荷は降ろしてください。」そう言われた気がした。新田が上がってきていた。「これは新田主任。」「こんな話は聞いてないんだが。」「まぁ、いいじゃありませんか。事件も解決したことですし。」「だな。後片付けはまだ残っているがな。ちょっと来い。」藤崎と遠藤は不思議がって小児科病棟までついていった。「見ろ。」ナイフを取り出した新田は小児科ベッドを切り裂いた。「ああ、なんてこと・・・んっ」一瞬何のことかとおもったが、下から粉や錠剤が落ちていって納得だ。末端価格にして数億円の麻薬が隠されていたのだ。「改めて小杉の野郎が腹立たしいですな。麻薬ベッドに寝かされてた子供達を思うと。」「もっと腹立たしくなるぞ藤崎。小杉のやつが一番食わせ物かもな。須藤帯刀は小杉からこの麻薬の隠し場所を知らされてなかったそうだ。病棟の地下室にあるとかぬかしてたらしい。両者が戦ってる間に自分は悠々自適に麻薬を奪って高跳びする予定だったんだ。」「医師のくせにそこまで・・」辟易しながら錠剤と白い粉を見つめる三人。・・・数日後、例の地下施設の取調べ室に北田が手錠された状態で座っていた。天川と藤崎が入ってきた。「さて、あんたには裁判にかかる前に聞きたいことがある。ま、小杉の手引きはあったとしても、謎なのはあんたの病気だ。あんた都合よくステージ2の癌患者のままだったんだな。どうしてだ。」「見返りは何だ。」「情状酌量。」「ふん、まぁいい。一応命は助かったんだしな。種明かしと行こうか。お抱えの闇医者がな、ある一定の死なない程度にわざと病気になれるウイルスを開発してたのさ。だからプロの医師が見ても作られた病気だとは見抜けない。」・・・続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.19 )
- 日時: 2025/07/06 19:22
- 名前: 梶原明生 (ID: tY8TK.KA)
・・・天川と藤崎は渋く目を見合わせる。「で、治りもしないが、死なない程度に長く入院できるって寸法さ。麻薬王がまさか病院が根城なんて誰も思いつかないしな。」天川が目を細めて言う。「なるほどな。納得だ。」「なぁ、刑事さん。いや・・・何とお呼びするべきか。俺を逮捕して優越感に浸っているつもりだろうが、俺の構築した麻薬ビジネスのネットワークはかなり強固だぞ。俺の支持者は沢山いる。そういつまで俺を犯罪者呼ばわりできるかな。大麻の合法化は既に海外で進んでいる。あんたらの正義なんか脆く崩れる日がくるだろうな。ハハハハハハッ」高笑いする北田を更に細い目で見る藤崎、天川、新田。取り調べ室を出ると、通路で天川は呟いた。「揺らぐわけがない。俺たちと俺の信念が。・・・」同調するようにほくそ笑む藤崎であった。・・・終わり。 次回「海に囲まれた国」に続く。
- Re: コンプリヘンシブ ( No.20 )
- 日時: 2025/07/07 19:43
- 名前: 梶原明生 (ID: /p7kMAYY)
「海に囲まれた国」・・・・・「今からお前らは最終試験に臨むことになる。ここは水深50メートルの海上だ。この下に沈む船から遺体に扮した人形を救い出せたら合格だ。それができない者は落第。わかったかっ。」「はいっ」海上保安庁所属の訓練艇で、特殊救難潜水士の教官から厳しい檄が飛ぶ。その中に唯一紅一点の海上保安官がいた。松下愛菜である。彼女は同時に横に並ぶ背の高いイケメン潜水士とアイコンタクトを取る。幸せそうだった。女性が潜水士になるのはかなりハードルが高かった。泣きながら訓練を去る女性海保官を何人も見てきた。それでも歯を食いしばり、彼女は数少ない女性潜水士になり、更なる厳しい世界。「特殊救難潜水士」への道に踏み出したのだ。更に教官の叫びは続く。「いいか。お前らのその酸素ボンベはもって50分。つまり40分以内に任務を達成できなければ命はない。そのことを肝に銘じとけ。お前らはカッコ悪い。だが、遭難者にとって唯一の希望だ。それを忘れるなっ。」「はい。」早速ダイバースーツと装備を身にまとい、潜水の準備に取り掛かる。「第一班前へっ。第二班前へ。」次々と海に入る生徒たち。海は人類の母と言うが、時として悪魔にもなりうる。救難潜水士はそのどちらにも対抗できなければならない。松下はギリギリで合格した。バディのイケメン彼氏の助けがなければ合格しなかっただろう。以後、松下は特殊救難潜水士として活躍した。しかし忘れもしない一年前。国籍不明船からの救難信号を受け、人道的配慮から特殊救難隊が出動した。松下とイケメン彼氏、大志田廉も含まれていた。辺りは既に台風の余波が接近していて、かなり危険だった。ヘリからワイヤーで降りることを志願した大志田は勇気を胸に降りて行ったのだが。・・・そのまま帰らね人に。「れーんっ。」松下も降りようとしたためヘリパイロットから制止された。結果不審船の乗組員は全員助からず。悲しみと虚しさだけが残った。検死が終わると、霊安室で大志田と御対面。その時泣き叫びながら松下はある部分を見逃さなかった。銃傷である。胸に一発。心臓部を狙い撃ちされていた。しかも胸の穴は小さく、背中にかけてが穴が広がっている。真正面から誰かに撃たれていたのは明らか。「班長、これは間違いなく殺人・・・」「黙れ。」その表情から触れてはいけないオーラが出ているのは明白だった。以後、この件はただの水難事故として処理された。松下はこの日以来、海上保安庁の体制に疑問を抱き、海保官を辞めてでも真実を突き止めようとしていた矢先、新田が現れた。・・・続く。
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