二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- [イナズマ]長編番外編更新[小説集]
- 日時: 2015/01/19 04:17
- 名前: 伊莉寿(元・西木桜) (ID: bDH87B/N)
* I wish I could meet you again under the tree when the raspberry fruits... *
*♪*♪*♪*
こんにちは、もしくは初めまして。
小説をロックしたばかりの西木桜、現伊莉寿です。今回は色々なパターンの小説を書いて行きます。
タイトルにある通り、イナズマシリーズの創作短編や連載をメインにやっていきます。
※注意※
・亀更新。(超重要!!!)
・オリキャラinイナズマシリーズ。
・作者は甘が苦手で、苦手をなくすため甘に挑戦していきます。
・といいつつシリアス多めです;;
・荒らし等はご遠慮ください。
・駄文です。(超超重要!!!)
以上のことを許せる方はどうぞ、私の小説集をお開き下さい。
また、感想等頂けると嬉しいです。
♪Menu♪
*小説NO.1 悪魔のゲーム〜闇蝶と狂った少女のコンチェルト〜
プロローグ>>6 第1話>>7 オリキャラ紹介>>8 第2話>>23 第3話>>42 第4話>>55 最終話>>63
おさらいページ>>56 番外編>>700
※注意!ホラー、残酷なシーンが入っています。完結しました。
*小説NO.2 すまいるカノン〜ずっとずっと響き続けるメロディーを〜
プロローグ>>15 オリキャラ紹介>>19 第1話>>29 第2話>>35 第3話>>70 第4話>>102 第5話>>141
第6話>>218 第7話>>420 第8話>>645
※多分、甘に仕上がります。長編です。
*小説NO.3 悪魔のゲーム〜闇蝶と狂った少女のコンチェルト*second〜
第1話>>206 第2話>>235 第3話>>345 第4話>>661
*小説NO.4 カゲロウデイズ
設定&注意点等>>371 episode1>>372 episode2>>384 episode3>>448 episode4>>484 episode5,最終話>>576
*完結!もちろん残酷でもあります。
*小説NO.5 Bad World
設定等>>514 予告編>>524 first stage>>515 second stage>>520 third stage>>525 forth stage>>529 sixth stage>>539 seventh stage>>616
設定2>>535
*シリアス
*短編
よく使う[紙ほか]のオリキャラ紹介>>699
作者のきまぐれ*想いがいつしか歪んでしまう…その前に*>>99
作者のきまぐれ・Snowy recollections*雪の思い出*>>130
作者のきまぐれ・きっと、これは未来なの。*円秋*>>143
作者のきまぐれ・+月光の歌声>>167
気まぐれ*人間嫌いな子供のはなし。>>226
気まぐれ*とある英語と社会のテスト。>>242
気まぐれ*∮花占い<メッセージ∮>>259
The requiem.>>353(映画ネタバレ注意)
息抜き。王様ゲームしようぜッ!!>>410>>428
...Who are you?>>447>>451
強く想っていたのに、>>456 [鬼道SIDE]>>466 finale>>480
好意に甘えて(甘)>>489
暗殺少女はぬいぐるみを抱えて想う、>>495
気付いてしまった気がする。>>511
突発的イナクロ劇場>>536
作者の気まぐれ*人間嫌いな子供の話Ⅱ>>554
気まぐれ短編「「サヨナラ」」*天馬×葵*>>580
気まぐれ短編*花開かない私と、眩しすぎる君>>599-600>>606
紙ほか番外編的な*また、この木の下で>>681>>683>>687>>688
姉弟in名探偵コナン*ストレス発散シュート☆← >>691
+リクエスト作品+
姫佳様リク☆急上昇x急接近?!☆>>89 後篇>>95
おかゆ様リク☆イン・マインド☆>>120
姫佳様リク☆脚本・流星魁渡でハチャメチャ劇!!
キャラ設定>>156 前編>>165 後篇>>173 後篇の続き>>200
Mr.りーとんしゃん’様リク・俺と君の恋心、>>186
雨音様リク☆木漏れ日の様な。
>>303 Ⅱ>>307 Ⅲ>>316 Ⅳ>>320 Finale>>328
姫佳様リク・ミッドナイト大作戦☆>>437
真由様リク・Sweet kiss is a chocolate tast>>454
蝋燭様リク・無邪気少年と雪の中>>503
姫佳様リク・みーつけたっ!!
前編>>537 2弾>>549 最終話>>563
姫佳様リク・江戸時代でも超次元?
キャラ紹介>>620 プロローグ>>623 第一章>>626 第二章>>629 第三章>>630 第四章>>633 最終章>>636
蒼炎様リク・Language of the flower is...>>657
姫佳様リク・Hanabi makes us happy?>>665
レッド様リク・I want to tell you...>>674-675
:お知らせ欄:
オリキャラリク受付開始>>110
参照500突破企画・クエスチョンっ!>>150 第1弾>>158 第2弾>>210
予告>>127
参照1000超えてました! 2011/11/30/Wednesday
カゲロウデイズ、短編扱いから長編物扱いに変更・メニュー模様替え/1月9日
冬の小説大会・二次小説金賞受賞!?
解説という名の言い訳>>358
参照3000突破!2012/02/20/Monday
参照2000突破記念アンケート!>>401
参照4500突破記念アンケート&オリキャラリク>>510
参照10000突破!2012/08/31/Friday
参照14000突破!2013/06/13/Thursday
*お客様*
・姫佳様…心友でお姉ちゃんです♪私と水蓮寺雨音さんと紙ほかでリレー小説を書いています。オリキャラ同士も仲は良いのです☆
・蒼炎(元・おかゆ)様…フレンドです♪オリキャラの皆さんが賑やかでコメントがいつも楽しみです(笑)紙ほかで書かれている小説で私のオリキャラ数人を出させてもらっています。
・Mr.りーとんしゃん’様…リア友です♪文武両道の素晴らしい方。本職の方にオリキャラを沢山いただきました☆テニスでダブルス組んでます☆
・奈流羽様…映像で小説を書かれている方です☆風丸君と羽流ちゃんのあのやり取りが笑えます(笑)1つしか年が違わないとは驚きです。
・しずく様…映像で神文小説を書かれている方で、小説大会で賞を取った事もある素晴らしい方です!!私しずく様の小説大好きです♪蓮君がおもしろい☆←
・真由様…書かれている小説の内容が凄いです!どうしてそんな話が思いつくんですか??!って位ネタが素晴らしいです。
・西木桜様…親戚です。風花とかは一緒に考えたんです♪
・蝋燭(元しろくろろ)様…映像で書いていた前の小説や本職の方に良く来て下さる優しい方です!!イラストが描けるとの事で、とても尊敬しています♪
・雪姫様…紙ほかで鋼の錬金術師の小説を書かれています。私のオリキャラもたくさん使って頂いて感謝と尊敬でいっぱいです!!
・水蓮寺雨音様…私の本職の方に、最初の頃から良くコメを頂いてます!小説も紙ほかで書かれているので、皆さん見に行ってみて下さい♪
・桜ノ姫華様…お友達です!映像で素晴らしい小説を書かれています。私が大好きな感じの小説です☆←
・もずく・様…映像で小説を書かれています!ジャンルが似たようなものかもしれませんが、もう私の小説とは比べ物にならないほど素晴らしいです!!
・ショコラ様…参照2000突破をお祝いして下さった方です♪
・些爾様…ダンボール戦記とイナイレのコラボ小説を書かれていた方です。前者も見るんです、私(笑)
・冬ノ華 神ノ音様…イナGO小説を書かれている方。とても素敵な文章です!!人の心の描写がとても素晴らしいと思いました!
・神丙様…参照6000突破を真っ先にお祝いして下さいました♪書かれているボカロ小説が、とてもおもしろいです!
・レッド様…紙ほかでダンボール戦機のお話を書かれています。皆さんっ、LBXは面白いですよ!←
*皆さん、コメントありがとうございます!!!*
最終更新
2013/06/13 悪魔のゲーム番外編>>700
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137
- Re: [イナズマ]参照3000感謝!![小説集] ( No.477 )
- 日時: 2012/02/24 21:17
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
もう皆さんからのコメントが嬉しすぎて泣いても良いで…ダメだっ!時間が無くなってしまう!!
伊莉寿デス♪気付けば4日も来れてなかったんですね、ずいぶん辛かったです。今日から平日は30分、休日は2時間という約束でカキコに来れることになりました。更新は明日からにしたいと思います^^
そして気付けば参照3200こえていたと…見て下さる皆さん、本当にありがとうございます!!!
*
姫佳さん
5教科で2日だと、よく勉強が出来ますね!
私の学校は月曜日の5時間で一気に片付けますから…。そしてまだテストが残っている私。卒業式の次の日って気持ちを切り替えるのが辛そうです…。理科の苦手な分野が出るんです、気が重い‥。
いっぱい更新したいっ!私の気力を消費するには2時間じゃ足りないっ!!!!←
詩麗奈「そんな贅沢も言えない状態な気がします。」
…イエス。
コメありがとうございましたっ♪
桜ノ姫華さん
実は、ブログの説明の入力方法も分からないんです☆←
最近は本当ライフばっかりでブログは気が向いたときに書いてただけで…。私の中ではカキコの壁で…。
でも他の人のブログを見るのは楽しい(^^)また行くねっ♪
こちらこそよろしくデス♪
蒼炎さん
うん、実はいざとなったらやめようかと思ってたんだアメーバは。
…あめんばーですと?
詩麗奈「その反応は失礼かもしれませんが、」
初めてで知らないのです。←
……アメンバー!?
詩麗奈「…収拾がつかなくなったらソフィアさんに連絡…。」
さっき拘束具で危ない状態にっ;;
こんな私のですか?!ありがとうございますっ、あわわ(・_・;)どうやって落ち着けばいいんだっけ!!!??
詩麗奈「…私が涼野さんを呼んで北方の衝撃を…」
ノーザンインパクトって言いましょう。
アメンバーぜひぜひよろしくお願いします!コメントありがとうございました♪
奈流羽さん
久しぶりですっ!
小説をいっぱい書けるのは奈流羽さんをはじめ皆さんのおかげです!感謝してもしきれないほど感謝しています。
…風花を!?
風花「私!?えっ、きっと私が行ったらお家が大変騒がしい事n(手に握っているのは剥きかけのエビかな?
羽流ちゃん応援ありがとうっ!!更新ペース落ちると思うけど、精一杯書いていきたいと思います!!
参照4000…出来る、かな?でも目標にはしたい!羽流ちゃんが応援してくれたらきっと行けるね☆…がんばります!
お祝いありがとうございましたっ♪
- Re: [イナズマ]参照3000感謝!![小説集] ( No.478 )
- 日時: 2012/02/24 22:01
- 名前: 永夢 雪華 (ID: W5kIcvv2)
お久しぶりです伊莉寿さん!!
あ、ええと真由です、ね←
しばらく来ない間に3000・・・すごすぎます!!
これからも応援しているのでかんばってくださいです(#^.^#)
真翔「おめでとうございますだよ!(^^)!」
緋零「その文末は余計なんだよ、おまえ。」
失礼します(^^♪
- Re: [イナズマ]参照3000感謝!![小説集] ( No.479 )
- 日時: 2012/02/24 22:03
- 名前: 蒼炎 (ID: hj9a4sJB)
アメンバーっていうのは、特定の人に限定後悔した記事、動画、写真を見せる事が出来る機能だよ!
つまり、伊莉寿が描いたアメンバー限定記事を、俺が見れるって事!
あ、伝説の北方の衝撃かww
調べてみると、エタブリは『永遠の吹雪』だったよ!
ありがとう!><
じゃあ、今から申込みます!
- 強く想っていたのに、{finale} ( No.480 )
- 日時: 2012/02/25 22:36
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
**
走り続けても、泣いているせいで上手く出来ない呼吸がさらに苦しくなるだけだった。何もかも風に飛んで行ってしまえばいいのに、自分の思い通りにはなかなかならない。足を止めたのは、明かりの少ない通りだった。辺りを見ようとして顔を上げると、視界をぼやけさせる水滴のせいで状況をなかなか理解できない。何も出来ない。大して走っていないはずなのに、脚が悲鳴を上げる。体の要求に従ってしゃがみこむと、寒さが身にしみた。それでもゆっくり深呼吸は出来て、走り続けるよりずいぶん楽だと思った。
「っ、う…」
誰だったんだろう、あの男の子は…。すごく衝撃を受けていたようだった。
抜け出したあの家について考えていると、足音と複数の気配が後ろから近づいてきた。立ち上がって水滴を拭いたばかりの目を凝らすと、柄の悪そうな男の人が数人私を見ていた。あの男の子とは随分違う、つまり通りすがりの人なんだろう。無言で私に近づいてくる。なぁ、と低い声が降ってきた瞬間、頭の中で警報が鳴りだした。この人たちはダメだ、誰かにそう教わった気がしなくもない。
「君、」
気を取られている間に、男と私の距離はすごく縮まっていた。ダメって、どうしたら良い…?考えるだけ無駄、すぐに流されてしまう。何も覚えていない、使い物にならない私の頭。本能が働いているのか後ずさっているものの、背中が冷たい壁に当たった。背後はもう無い。
危機を感じ取った時、大声が響いた。るりねえ、と誰かが誰かを呼ぶ声。
「何してんだよッ!!」
「チ…何だこの餓鬼」
「テメーが俺を餓鬼呼ばわりするなッ!!俺の姉ちゃんに手出しするんじゃねえ!!」
…あ、
私のこと?橙色の短髪の少年は、さっき通りかかった店の、きれいに磨かれたガラスに映っていた私と似ているような気がした。男の人達は、私から少し離れて少年を恨めしそうに見ている。すっかり怒っている少年を見ると、複雑な感情が渦巻いて行くのが分かった。心から溢れ出す感覚は、あの家で泣いたときと似ている。泣きたくなかった。
「…」
「…?瑠璃姉…?」
顔をしかめて訝しげ(イブカシゲ)に少年は私を見る。ごめんね、と気付けば呟いていた。
ワタシハキミヲシラナイ。
「餓鬼を餓鬼呼ばわりして何が悪いっ!!」
男が少年に拳を振り上げた。けれど彼は気にせず、蹴りを男のみぞおちに食らわせる。ミシミシ、と効果音が聞こえそうだった。そして男が私の後ろまで飛んでいく。少年はさみしそうな、翡翠色の瞳でどこかを見つめていた。
「…えれよ。」
それは私に対して言ったんだと、とっさに悟っていた。…まるで、意思の疎通が出来ているみたいに。
「…早く帰れよ、この男共にマナーを教えるには、道が狭すぎるんだ。」
カエルッテ、ドコニイケバイイノ。
…私は、道の奥めがけて走りだしていた。どこに行くのかなんて、分からなかった—————ただ、脚が動くから走るんだ。
**
死屍累々。そんな状況に出くわしたのは、初めてだった。その状況を作ったのは魁渡だ。小学4年で背が低い、元気な少年…のはず。
「…どうしたんだ、魁渡。」
追わない訳にはいかなかった。家を飛び出した瑠璃花を。
彼女は廊下を一直線に走って行った。走る気力の無い足を強引に動かし庭に出ると、丁度道路を走っていく彼女の後ろ姿が遠くに見えた。行かなければいけないと思った、責任は俺にあるのだから…。少し迷った後——この事をサッカー部に伝えるかどうか、結果近くにいた執事に外出すると伝言を頼んだ——で、俺は瑠璃花の通った道と思われる道を走りぬけた。
すると、彼女を見失った近くで何か物音が聞こえた。見てみると魁渡が居て、周りには動けなくなった男数人が転がっている。正しく死屍累々。魁渡も家から走り去る瑠璃花を見て追いかけてきたのだろう。
俺の気配に気づいたのか、背中を向けたまま魁渡は俯いて何かを呟いた。聞き取れなかった、と途端に声を大きくして俺に言い放った。
「瑠璃姉に何があった!!」
「っ!」
背を向けたまま怒りをにじませ、魁渡は言った。会ったのか、と思うと右手を握りしめずにはいられなかった。すまない、と口から言葉が出ていた。
「俺の…責任だ。」
「……それは答えになってねーぞ。」
「…」
今度は俺が黙る番だった。
と、男共が立ち上がる。魁渡を睨むようにしてみると次々に立ち去って行った。お前こそ何があった、と尋ねると瑠璃姉が囲まれてた、とぶっきらぼうな答えが返ってくる。
「状況を分かっていても、それが危険だってこと判断出来てなかった。…鬼道に言われてたことだろ、ああいうのには気をつけろ、って。」
なのに何で、と言いながらも、呼吸を落ち着かせようとしているのが分かった。深呼吸して胸元に手を当て、翡翠色の瞳で俺を見つめる。
言葉がさらりと漏れそうになって、一旦静止した。そんな簡単に言っていいものか、と不安になったのだ。言葉を飲み込んだ俺に、魁渡が疑うような視線を向ける。言いたくない、そう思っている俺が居た。…現実を受け止めたくないと、今更駄々をこねているなんてな。
と、視線を感じて道の奥を見つめた。その視線の先、遠くに見えるのはさっき魁渡に倒されていた男の1人。不敵な笑みを見せて、暗い道の闇へと消えていく。弱い男の気味の悪い笑みだ。…ただそれだけのはず、だ。
何なんだ、この胸のざわつきは…?
**
「…出来れば、ここを通りたいんですけど。」
「無理、だって俺たちお前に用があるからさ、行かれると困るんだよ。」
作り笑いだって事はすぐ見破れる。だから余計に嫌な予感がして、イラつきと不安が募る。この男の人達は何をしたいんだろう、さっきあの少年にやられたのに懲りずにまた私に絡んでくる位だから、よほど重要な…。
「…用っていった、い…!!っ!?」
「お礼参りだよ、お譲ちゃん…」
背後に来ていた新しい男、それはこの人たちの中で地位があるらしかった。
態度が変わったということもあるけど、さらに彼等には無い物を持っている———武器を。
「さっき何人動けなくなったっけ、いーち、にーい…4人か。」
じゃあ撃ったあと何回痛めつけてやろうか、というのは良く分からなかったけど、とりあえず物騒な人たちだと理解する。ドアにぶつけた個所に、丁度銃口が…意識をそこに集中させてしまい、あの時のジンジンとした痛みが蘇る。痛かった、そう振り返るのと同時に何でぶつけてしまったんだろう、という後悔も生まれた。ぶつけなければ苦しくならなかったと思うし、こんな風に走り回る事も、男の人達と絡む事もなかった。全て全て私の責任…。
そう考えると、自然と口から言葉がこぼれる。
「…ごめんなさい。」
私の言葉に、男たちが戸惑ったのが見て取れた。
**
私を知っている人は、悲しそうな目をするんだ。
私を知らない人は、良い思いをしないんだ。
不幸を運ぶことしか出来ない私なんて、私の命なんて、大事にする価値もないでしょう…?
「…お前、今、何て…」
気のせい?ううん、きっと気のせいじゃない。私に突き付けられた銃に入っている男の力が、少し弱まった。そんなに驚く事?やっぱり、記憶が無いと気持ちを読み取るのも難しいのかな。呑気かもしれない、ゆっくり考えていると男の子がまた動けずに私を見ていた。私が気付いた時もそうしてた。誰、と尋ねたら驚いて…。
「…ハハッ、そういうことだが…そうあっさりやるのもつまらねーな。」
優柔不断なの、この人?
タバコの匂いが染みついたジャケットを身に付けた男の左腕に力がこめられ、私は咳きこんだ。男の右手には銃、銃口は私の頭に。さっきやってきた男の子は携帯電話を男に見せつけるようにしていた。警察に電話をかける、と脅していたらしい。対して男の人は、警察に電話をすれば私を銃で撃ちぬくつもりだと脅す。男の子は電話できないでいて、駆け引きが続いていた。
この男の人たちは、人を殺した前科があるらしい。殺人を依頼されたら報酬を受け取りその依頼された人を殺す。私は誘拐が目的だったと男は吐き捨てるように言った。話を聞いていると、この人たちは悪い人。人を殺めてしまう、だから警察に捕まるべき人。なのに男の子が電話できないのは、何で?男の子を見ようとすると、視線が合った。私を見ていた。1秒くらい経つと、男の子は顔をそらす。
…私が居るから?
君も少年も、悲しそうな瞳をした。
『…私なんて、』
胸が痛い。苦しいを通り越して、痛い。私が足枷になっているなんて、やっぱり分からない。
『どうなっても良いから、もう…』
痛いよ、でも、沢山の人が殺される時に感じる痛みに比べたら全然だと思う。
『…お前、今、何て…』
「…だから、電話して。私には価値が無いから。」
気付いたら、笑っていた。初めて笑った気がする。頬が緩むのを感じながら、私は男の子に向かってそう言った。
男の子は両手を強く握りしめていた。俯いて、だから表情は見えない。
「…るな、」
?男の子が顔を上げた。私を見据える。心なしか、男の締め付けが強くなった。
男の子の口が動く。声は無く、口の形で私は読み取れた。
「……ぇ、」
刹那、通りにサイレンの音が鳴り響いた。男が携帯を持っている男の子を見る、けれど彼じゃない。電話をかけた様子など見せなかったのだから。
「…の餓鬼ッ…!!」
憎しみのこもった声とともに、引き金がひかれる。直後、誰かが誰かを呼ぶ大きな声が、通りに響いた。
***
「…消音器か、本当に恐ろしい奴だなコイツ。」
触れようとして、慌てて魁渡は手を引っ込めていた。警察関係者以外が手を触れるのはまずい事だと理解しているからだろう。それにしても消音器…つまり銃声を抑える機械だが、それを持っているとは流石殺人の前科があるやつだな。
「鬼道、警察の人が話を聞かせてほしいって。」
「!分かった。」
円堂が伝達した通り、まだ若い刑事が俺の方を見ていた。その後ろには、連行される犯人達が見える。あれは下っ端の方だ、服が少し焦げている…そう思うと、思わず笑みがこぼれた。自業自得だ。悪事を働いていた方が悪い。
男が銃を撃ったのとほぼ同時に、魁渡が呼びに行っていた円堂達が駆け付けた。瑠璃花は俺の指示通り腰を銃弾をかわし、その主犯格の男へ円堂が正義の鉄拳を食らわした。男に見事ヒット、ぶっ飛ばされたその男に驚いている他の下っ端数人には、豪炎寺の真ファイアトルネードがプレゼントされていた。だから今連行されている男の服は少し焦げている。豪炎寺の恐ろしさと強さを、改めて認識させられた。
「…」
視線を感じる。
振り向くと、処置をしてもらった様子の瑠璃花が立っていた。大きな外傷は無いらしいが、額の位置で包帯を巻いている。銃弾がかすめたのだろうか。
と、瑠璃花が俯き視線をそらす。何か…考え込んでいる様だ。見ていてふと思い出したのは、犯人が瑠璃花を囮にしていた時の事。彼女は映画のヒロインの様に、ただ自虐的な笑みをたたえて俺に言った。自分はどうなっても良い、価値が無いから、と。
「…」
あの時、伝えたかった言葉があった。全てが声にならなった、短い言葉が。
「…ふざけるな、」
「?」
俯いていた瑠璃花が、顔を上げた。視線が合う。必死に何かを読み取ろうとしている、瑠璃色の瞳。記憶が無い彼女は、以前よりも単純なように思えた。逃げたい自分と立ち向かいたい自分が2人いて、どちらか勝った方の要求に従っている。自分の周りに誰もいない事によって、後の事を考える事が出来なくなる。一直線に進んでもめ事に絡んでしまう。
そんな彼女を守る義務が、俺にはあったというのに。近くにいれば、あんな事に巻き込まれることも無かった、巻き込まれても怪我を負わせることは無かっただろう。それなのに、記憶が失われたのは俺のせいだというのに、怪我ひとつない俺は怪我をした彼女と向き合っている。
「……ごめんなさ(「お前に価値が無いなど、そんな事は決してない。」
「…!」
ふざけるな———それは、俺が自分自身に向けて強く言いたい事でもあった。
「俺はお前を知っている。弟と仲の良い、まじめな姉だ。チームメイトと連携がとれる、強いプレイヤーだ。そして優しい、俺の義妹だ。」
だんだんと彼女の目が見開かれていく。一度深呼吸をすると、俺の言葉をかみしめるように断片的に繰り返していた。自信なさげに道路を見ながら、ゆっくりと。
辛そうで、弱くて、脆くて、今にも彼女が消えてしまいそうな…そう見えてならない。腕を掴んで手繰り寄せて、自分よりも冷たい瑠璃花がそこにはあった。顔を上げた彼女と目が合う。不安げに揺れる瞳には、雫が光っていた。
「私は…そんな人、知らないっ…!!」
「だが、お前は変わっていない。」
知らないはずの自分を、他の人が知っている。それは恐怖を感じ、独り取り残されたように感じる事だろう。反論しようと開かれた口から言葉が出て、それが今の彼女を支えることになれば、周りとの関係を断ち切ろうとするだろう。記憶を取り戻すより、記憶をなくした事を責めて…。だから俺は何も言わせないようにと———その目をじっと見据えて言う。
…記憶があったころの瑠璃花と違くとも、今の彼女は周りとの絆を断ち切った瑠璃花自身だ。
「…っ!?」
「……大丈夫だ。」
支えよう、彼女の記憶が戻る様に。辛い思いをしないように。
**
「鬼道ッ!」
顔を少し上げると、バンダナを巻いた人が駆け寄ってきた。男の子が振り向く。鬼道っていうんだ…。
そのバンダナの人の周りには、数人の男子が居る。特徴のある人ばかり。水色のポニーテールの人が私に気づいたらしく、近くに来て心配そうな声で言った。
「瑠璃花、怪我…大丈夫か?」
…返事に詰まる。ただこの人の優しさがパズルみたいに心にしっくりと来ていて、逆に怖くなった。どうしてこの人は、この人たちは、私が心の隅の隅で思っていた〝してほしい事〟をしてくるの?鬼道っていう男の子にしても、少年にしても、この水色の髪の男子も…。
「っ…」
「…?」
いつだろう…、脳裏に浮かんだ景色に懐かしさを覚える。サッカーボールを持って笑顔を浮かべるバンダナの男子と、振り返って笑う鬼道という男の子、ポニーテールの男子や炎の必殺技を繰り出した男子…バンダナの男子と一緒にいる人たち。その映像を見て笑いかけてくる少年。———これが、記憶?
「!瑠璃花!?」
何かを掴んでいないと不安で怖くて、そして鮮やかになっていく景色を受け入れる時の苦しさを和らげようとポニーテールの男子の服を握りしめた。ふっ、と支えが無くなったように一瞬倒れる感覚がしたけど、ポニーテールの男子が道路に手をついて支える。突然前かがみになったから後ろに尻もちをついてしまったらしい。こんな事で迷惑をかけられない、と思っていても崩れそうな自分を抑えることに精一杯になっていた。
「風丸っ、瑠璃花は今…」
「…魁渡が言ってた事、本当だったのか…」
痛い、痛い、頭の中がいっぱいで…
滞り(トドコオリ)なく溢れる映像が頭の中を占拠して、服を握りしめる手からも力が抜けていく。顔を上げても涙でぼやけて…何も見えない。
「っおい!」
「!?瑠璃花!!?」
ようやく、〝瑠璃花〟が私の名前だと理解したのに……。
**
「瑠璃姉、大丈夫なのか?!」
「ああ、魁渡…すまないな、警察への説明を押しつけて…」
「そんな事は気にするなって!それよりっ…」
「大丈夫だ、気を失っているだけで問題は無いらしい。」
安堵した様子を見せる魁渡。視線は壁にもたれる形で目を閉じる、彼の姉に向けられていた。
突然気を失った瑠璃花は、その場にいた警察関係者に容体を見てもらい問題は無いと診断された。犯人も問題なく捕まり、俺達は帰れる事になった。だから俺の代わりに知りえる事情を説明してくれた魁渡を待っていたのだ。…夕焼け時、カラスの鳴き声が街に響く。
「…そっか。じゃあ帰ろうぜ。」
そう言って瑠璃花に背を向けて魁渡はしゃがんで…え?
「いや、魁渡何をしようと…」
「?おぶって帰ろうと思って(「出来るのか?」
小柄な魁渡が瑠璃花をおんぶできるか、というのは傍から見ると絶対に無理だと思う。そもそもおぶる事が出来たとして安全に運べるか…。
「…した事無いから分からない。」
「代わろう、魁渡。」
目が覚めて傷が出来ていたら悲しいだろう。魁渡に手伝ってもらい、瑠璃花を背負う。思っていたより軽い。落ちないように気を遣いながら家への道を一歩ずつ歩いていく。ここから家までの道を頭の中で思い出し、その道のりの長さに少しキツイのではないかと感じた。さすがに長すぎる。途中に車で迎えに来てもらった方が安全だ。魁渡に連絡してもらおう、と携帯電話を探ると、瑠璃花の表情を窺い(ウカガイ)ながら隣を歩いていた彼が、ふ、と笑った。何だ、と短く尋ねるとさっきより優しい声が返ってくる。
「瑠璃姉…泣いた跡あんのにスッゲー穏やかな顔してるからさ、」
良い夢でも見ているのだろうか。
そんな事が出来るのなら、彼女はきっと大丈夫だろう。
+*+FIN+*+
(手探りで探り当てた、パズルのピース。まだまだ周りにたくさん落ちていそうな気がする)
- Re: [イナズマ]参照3000感謝!![小説集] ( No.481 )
- 日時: 2012/02/27 07:29
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
永夢 雪華さん
元・真由さんですね!参照3000超えには私もびっくりしました!
新しいオリキャラさん達…後で小説見に行きますっ!!来てくれてありがとうございます☆彡
応援ありがとうございましたっ♪コメサンクス☆
蒼炎さん
アメンバー限定記事…は無いです;;
でも認定はしたので(^^)カキコの皆さんがアメンバーになってくださって嬉しいです♪
エターナルって永遠って意味だったんだ!怖い技だなぁ、エターナルブリザード…;
コメントありがとうございました♪
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137
この掲示板は過去ログ化されています。