二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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[イナズマ]長編番外編更新[小説集] 
日時: 2015/01/19 04:17
名前: 伊莉寿(元・西木桜) (ID: bDH87B/N)

* I wish I could meet you again under the tree when the raspberry fruits... *

*♪*♪*♪*

こんにちは、もしくは初めまして。
小説をロックしたばかりの西木桜、現伊莉寿です。今回は色々なパターンの小説を書いて行きます。
タイトルにある通り、イナズマシリーズの創作短編や連載をメインにやっていきます。


※注意※
・亀更新。(超重要!!!)
・オリキャラinイナズマシリーズ。
・作者は甘が苦手で、苦手をなくすため甘に挑戦していきます。
・といいつつシリアス多めです;;
・荒らし等はご遠慮ください。
・駄文です。(超超重要!!!)

以上のことを許せる方はどうぞ、私の小説集をお開き下さい。
また、感想等頂けると嬉しいです。


♪Menu♪

*小説NO.1 悪魔のゲーム〜闇蝶と狂った少女のコンチェルト〜
プロローグ>>6 第1話>>7 オリキャラ紹介>>8 第2話>>23 第3話>>42 第4話>>55 最終話>>63
おさらいページ>>56 番外編>>700
※注意!ホラー、残酷なシーンが入っています。完結しました。

*小説NO.2 すまいるカノン〜ずっとずっと響き続けるメロディーを〜
プロローグ>>15 オリキャラ紹介>>19 第1話>>29 第2話>>35 第3話>>70 第4話>>102 第5話>>141
第6話>>218 第7話>>420 第8話>>645
※多分、甘に仕上がります。長編です。

*小説NO.3 悪魔のゲーム〜闇蝶と狂った少女のコンチェルト*second〜
第1話>>206 第2話>>235 第3話>>345 第4話>>661

*小説NO.4 カゲロウデイズ
設定&注意点等>>371 episode1>>372 episode2>>384 episode3>>448 episode4>>484 episode5,最終話>>576
*完結!もちろん残酷でもあります。

*小説NO.5 Bad World
設定等>>514 予告編>>524 first stage>>515 second stage>>520 third stage>>525 forth stage>>529 sixth stage>>539 seventh stage>>616
設定2>>535
*シリアス


*短編
よく使う[紙ほか]のオリキャラ紹介>>699
作者のきまぐれ*想いがいつしか歪んでしまう…その前に*>>99
作者のきまぐれ・Snowy recollections*雪の思い出*>>130
作者のきまぐれ・きっと、これは未来なの。*円秋*>>143
作者のきまぐれ・+月光の歌声>>167
気まぐれ*人間嫌いな子供のはなし。>>226
気まぐれ*とある英語と社会のテスト。>>242
気まぐれ*∮花占い<メッセージ∮>>259
The requiem.>>353(映画ネタバレ注意)
息抜き。王様ゲームしようぜッ!!>>410>>428
...Who are you?>>447>>451
強く想っていたのに、>>456 [鬼道SIDE]>>466 finale>>480
好意に甘えて(甘)>>489
暗殺少女はぬいぐるみを抱えて想う、>>495
気付いてしまった気がする。>>511
突発的イナクロ劇場>>536
作者の気まぐれ*人間嫌いな子供の話Ⅱ>>554
気まぐれ短編「「サヨナラ」」*天馬×葵*>>580
気まぐれ短編*花開かない私と、眩しすぎる君>>599-600>>606
紙ほか番外編的な*また、この木の下で>>681>>683>>687>>688
姉弟in名探偵コナン*ストレス発散シュート☆← >>691

+リクエスト作品+
姫佳様リク☆急上昇x急接近?!☆>>89 後篇>>95
おかゆ様リク☆イン・マインド☆>>120
姫佳様リク☆脚本・流星魁渡でハチャメチャ劇!!
 キャラ設定>>156 前編>>165 後篇>>173 後篇の続き>>200
Mr.りーとんしゃん’様リク・俺と君の恋心、>>186
雨音様リク☆木漏れ日の様な。
>>303 Ⅱ>>307 Ⅲ>>316 Ⅳ>>320 Finale>>328
姫佳様リク・ミッドナイト大作戦☆>>437
真由様リク・Sweet kiss is a chocolate tast>>454
蝋燭様リク・無邪気少年と雪の中>>503
姫佳様リク・みーつけたっ!!
前編>>537 2弾>>549 最終話>>563
姫佳様リク・江戸時代でも超次元?
キャラ紹介>>620 プロローグ>>623 第一章>>626 第二章>>629 第三章>>630 第四章>>633 最終章>>636
蒼炎様リク・Language of the flower is...>>657
姫佳様リク・Hanabi makes us happy?>>665
レッド様リク・I want to tell you...>>674-675

:お知らせ欄:
オリキャラリク受付開始>>110
参照500突破企画・クエスチョンっ!>>150 第1弾>>158 第2弾>>210
予告>>127
参照1000超えてました! 2011/11/30/Wednesday
カゲロウデイズ、短編扱いから長編物扱いに変更・メニュー模様替え/1月9日
冬の小説大会・二次小説金賞受賞!?
解説という名の言い訳>>358
参照3000突破!2012/02/20/Monday
参照2000突破記念アンケート!>>401
参照4500突破記念アンケート&オリキャラリク>>510
参照10000突破!2012/08/31/Friday
参照14000突破!2013/06/13/Thursday


*お客様*
・姫佳様…心友でお姉ちゃんです♪私と水蓮寺雨音さんと紙ほかでリレー小説を書いています。オリキャラ同士も仲は良いのです☆
・蒼炎(元・おかゆ)様…フレンドです♪オリキャラの皆さんが賑やかでコメントがいつも楽しみです(笑)紙ほかで書かれている小説で私のオリキャラ数人を出させてもらっています。
・Mr.りーとんしゃん’様…リア友です♪文武両道の素晴らしい方。本職の方にオリキャラを沢山いただきました☆テニスでダブルス組んでます☆
・奈流羽様…映像で小説を書かれている方です☆風丸君と羽流ちゃんのあのやり取りが笑えます(笑)1つしか年が違わないとは驚きです。
・しずく様…映像で神文小説を書かれている方で、小説大会で賞を取った事もある素晴らしい方です!!私しずく様の小説大好きです♪蓮君がおもしろい☆←
・真由様…書かれている小説の内容が凄いです!どうしてそんな話が思いつくんですか??!って位ネタが素晴らしいです。
・西木桜様…親戚です。風花とかは一緒に考えたんです♪
・蝋燭(元しろくろろ)様…映像で書いていた前の小説や本職の方に良く来て下さる優しい方です!!イラストが描けるとの事で、とても尊敬しています♪
・雪姫様…紙ほかで鋼の錬金術師の小説を書かれています。私のオリキャラもたくさん使って頂いて感謝と尊敬でいっぱいです!!
・水蓮寺雨音様…私の本職の方に、最初の頃から良くコメを頂いてます!小説も紙ほかで書かれているので、皆さん見に行ってみて下さい♪
・桜ノ姫華様…お友達です!映像で素晴らしい小説を書かれています。私が大好きな感じの小説です☆←
・もずく・様…映像で小説を書かれています!ジャンルが似たようなものかもしれませんが、もう私の小説とは比べ物にならないほど素晴らしいです!!
・ショコラ様…参照2000突破をお祝いして下さった方です♪
・些爾様…ダンボール戦記とイナイレのコラボ小説を書かれていた方です。前者も見るんです、私(笑)
・冬ノ華 神ノ音様…イナGO小説を書かれている方。とても素敵な文章です!!人の心の描写がとても素晴らしいと思いました!
・神丙様…参照6000突破を真っ先にお祝いして下さいました♪書かれているボカロ小説が、とてもおもしろいです!
・レッド様…紙ほかでダンボール戦機のお話を書かれています。皆さんっ、LBXは面白いですよ!←

*皆さん、コメントありがとうございます!!!*


最終更新
2013/06/13 悪魔のゲーム番外編>>700

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雨音様リク☆木漏れ日の様な。Ⅲ ( No.316 )
日時: 2011/12/16 19:23
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

      私の宝物。

いっぱいあって、どれも思い入れがあって、全部全部とっても大切。

家の中で家族全員で撮った写真、離れた友達に貰った手紙、初めて見つけた四葉のクローバーの押し花…。
そういう物は失くしたくなくて、箱にしまってしまう。

けれど、ずっと身に付けていたいと思えた物が、1つだけ…。





『瑠璃花。』




——————————————あれは、17歳の冬でした。




*木漏れ日の様な。Ⅲ——+Un obstacle de l'hiver、冬のハードル+——*



「鬼道有人の嫁だな。」

 男がそう言った瞬間、目の前に居た瑠璃花の表情が険しくなった。何もついていない左手を強く握りしめる。背中の壁の冷たさで、ほてりを冷ましたかった。自らへの怒りから来る熱で、顔が熱い。
辺りを見渡しても何も無い。カフェの後ろの道、誰もいない、何も無い通路。狭くて暗い、怪しい男と2人の空間。

 瑠璃花が黙っていると、男が笑みを浮かべた。

「目的が分かってるなら、大人しくついて来てもらおうか。」
「…えして下さい。」
「あ゛?」
「返して下さいっ!!」

強く訴える目で相手を見据え、瑠璃花が言った。———狭い空間にこだました高い声が、消える。

「これか?」

男の右手でつまむように持たれた小さな物に、彼女は目を見開く。それは指輪だった。
そもそも瑠璃花がこんな所に男と2人でいるのは、洗面所で左手につけていた指輪が無い事に気付いたからだ。そして体は勝手に動いて、ハッと我に返ると薄暗く狭い路地に来ていた。
その指輪を物珍しそうに見る男に見覚えは無く、だからこそ瑠璃花には大体の目的は分かっている。
それでも、何より指輪を取り返したいと思っていた。

「かえ…(「それならさっさと車に乗れ…」
「!!」

背筋を、何か冷たいものが走った。




「こっ、これヤバイですよ…」

サッカー部員の速水と浜野は、偶然にもその現場を見てしまった。
3年の三国達が行くと言っていたから、サッカー用品を見に行ったついでに興味本位でカフェに向かって見つけてしまった。女子高生にしか見えない瑠璃花が、男と、そして今さっき出て来た大勢の柄の悪そうな男に囲まれている。遠目だから何を話しているのかなどは良く聞こえないが、危ない状況なのは分かった。

「…速水、今来た道ダッシュで引き返して。」

ひそひそと、浜野が話す。その言葉に驚いて声をあげそうになった速水の口を、右手で塞いだ。

「さっき来る途中に、円堂監督と鬼道コーチが服の店に居たの見つけた、だから…」

浜野の言葉を遮ったのは、木刀で瑠璃花の顔のすぐ近くの壁を叩いた、大きな音。
その瞬間、ばびゅん、という効果音が出そうなほどの速さで、速水はその場から居なくなった。流石、と言葉を漏らしながら浜野は音を立てない様に携帯電話を取り出し、ボタンを押した。




「瑠璃花は『恋』を知らない代わりに、本当に真っ直ぐなんだ。」

紙袋を右手に持って、鬼道が言った。

「俺をなんだと思ってるのか分からない。自分のしたいと思ったことを正直に言ったって良いのに、考え込むんだ。」
「でも、鬼道は気付いたんだろ?」

ああ、と短く答えて、顔をあげた。冷たい冬の風が、鬼道の頬を撫でていく。

「…もう5年も経ってるんだぜ?」
「ハッキリ言おう。今まで生きた自分を褒め称えたい位だ。」

その言葉に軽く笑いながらも、円堂は隣に居る『友』をみつめた。円堂自身、鬼道を凄いと思っている。

6年前の事だ。

瑠璃花がコトアールに行きたいと、否コトアールの復興事業を手伝いたいと鬼道に告げたのは。フェニックス島の件もあるが、それ以外にもアフリカ大陸の環境の悪さを想っての事だろう。
ただ、鬼道としてはタイミングが悪かった。鬼道が18になった数日後で、彼としては…。


『…さようならっ!!』







「…良く考えるとさ、鬼道と瑠璃花って婚約止まりなんだな。」

旅立つ前夜に、鬼道は瑠璃花に指輪を渡した。そして、帰って来た時の結婚を2人で約束した。
春奈達は鬼道の指輪の存在を知り、勘違いしていただけだ。

「海外で活動をする前に結婚をしてしまうと、鬼道家と瑠璃花の方で色々やる事が出来てしまい、結局、瑠璃花はしたい事が出来なくなる。」
「でも今日『嫁』って宣げ…」
「今日付けで籍を入れた。」
「!!???」

硬直する円堂、を置いて鬼道はスタスタと歩く。ハッと我に返った円堂は鬼道に追いついて、ポン、と肩に手を置いた。

「…鬼道、お前やっぱスゲ・・・って、じゃあ瑠璃花が帰って来ること知ってたのか?!」
「否、知らされていなかった。だからさっき、お前がトイレに行っている間に俺の代理に婚姻届を提出するよう連絡して、今さっき俺と瑠璃花は結婚したことになる。」
「え。」

また置いて行かれそうになる円堂の腕をひいて歩き続けた。

「でも練習の時は嘘…」
「1時間位気にするな。」
「…」

無言。は、直ぐに破られた。
鬼道が顔をしかめて立ち止まると、円堂がその視線の先に速水を捕える。額を汗が伝い、見るからに走って来たのだと分かった。円堂がどうしたんだ、と声をかけるより先に速水が混乱した様子で口を開く。

「瑠璃花さんがっ、男…に、」
「!速水、場所を教えろ!!」
「あ、はいぃぃ!!!」

走るのは疲れた、と顔に書かれているのを円堂は読みとったが、鬼道は読みとれなかったらしい。真剣な表情に速水は何も言えず、また走りだした。恐らく、真剣というより恐ろしい顔をしていたのだろう。

「男…?」

残された円堂は、そのワードに違和感を感じた。指輪を付けている瑠璃花が、簡単に男関係の問題を作りはしない。
そう考えれば、嫌な回答だが円堂でも答えを導き出せた。と、同時に速水が走って来た事も、鬼道があれだけ真剣な声で直ぐに走り出したことにも納得がいく。


「妻子、か…。まあ鬼道が行けば多分大丈夫、だろうな…」



「っ、これって…」

浜野の頬を、冷や汗が伝う。がくがくと足が震えて、体を支えるのさえ難しい。

「早く乗れ!!」



黒い車が視界に入った。
囲まれた瑠璃花は、武器ボールとかを見つける事が出来ず下唇を噛んでいる。





「ゆ、誘拐…?!」




*to be continued...*
お、終わらなかったぁぁ!!!!!!←

Re: [イナズマ] 参照1200突破?!! [小説集]  ( No.317 )
日時: 2011/12/16 21:32
名前: 姫佳 (ID: vCVXFNgF)

瑠璃花ちゃあ((ry

ラティア「誘拐ね、間違いなく。」

ティアラ「うん、誘拐だね。」

そこの2人!!なんでそんなに冷静なんですか?!

ラティア・ティアラ「「され慣れてるから。」」

おい;;

…じゃなくて!!おい!!そこの男!!瑠璃花様に手を出すとはいい度胸だな!!←

ティアラ「そこの男、地獄の太陽で焼け殺してあげようか?^言^」

…うん、恐いね;;

ラティア「身代金ならあるわよ?」

スゲぇ!!一兆円あるよ?!

ラティア「大丈夫よ。これぐらいなら。」

…日本の国家予算超えてるんじゃないか←

Re: [イナズマ] 参照1200突破?!! [小説集]  ( No.318 )
日時: 2011/12/17 10:02
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

読み返して思う。

……誰か文才下さい。


姫佳さん

ティアラちゃん、恋愛は鋭いんだ(笑)
うん、鬼道さん=エビフリャーなんだよ☆←
身代金で一兆円!?マジで!!!?否、まだ大丈夫だよ、犯人はまだ身代金要求してないしその前に鬼道さんが黒い笑みを浮かべて犯人を(魁「長いな、少し黙れ★」)すいません…。
ティアラちゃんの決め台詞カッコいい!それにしても最近、太陽といわれると効果音様が出て来る私の脳内。←
詩「…効果音様?」
瑠「多分晴矢君の事かと…」
詩「南雲さん?!!(何故効果音!?)」
エイリア時代を知らない詩麗奈ちゃんでした。
コメントありがとうございましたっ♪


水蓮寺雨音さん

え、そうかな?!
とりあえず、もう少し夫婦らしい場面を書きたいと思う私。
文才、下さい…(泣)もう本当に最近自分の文才の無さをしみじみと実感して悲しくなる…。
瑠「沈んでる!!」
魁「深海○女?」
瑠(?)
何で魁渡君知ってるのー。
瑠「コメントありがとうございました♪」

Re: [イナズマ] 参照1200突破?!! [小説集]  ( No.319 )
日時: 2011/12/17 14:44
名前: 姫佳 (ID: vCVXFNgF)

あっ、その前に鬼道さんが黒い笑みを浮かべて犯人をボッコボコにしちゃいますかw

シレーナちゃん、エイリア学園のことは知らないんだね。うん、世の中には知らない方が幸せなこともあるものだよ。((誰だよ

雨音様リク☆木漏れ日の様な。Ⅳ ( No.320 )
日時: 2011/12/18 07:01
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)


*木漏れ日の様な。Ⅳ——+Le printemps du coeur、心の春+——*


警察に連絡を入れた浜野は、ホッと一息ついていた。後は、警察が到着するまで気付かれない様に見ていて、それでもし危ない状況になったら…、と頭の中で考えていた時だった。聞き慣れた声がすぐ傍でしたのは。

「何してんだ、浜野。」
「「!」」

今まで自分が一方的に見ていた犯人が、浜野を振り返る。
浜野が後ろを見ると、今声をかけたのは三国だった。三国だけではなく他の3年生もいる。そして全員が今の状況を何となく察知したらしく冷や汗を浮かべた。瑠璃花は驚いて目を開けたり開いたり、犯人は気味の悪い笑みを浮かべる。
そして、瑠璃花が焦った表情で口を開いた。

「皆、逃げっ…」
「そいつ等も潰せっ!!」

瑠璃花を掴んでいる男の声に、ほかの数人が返事をした。途端に浜野達の方向へ走って来る。
3年生達に次いで、浜野も逃げだそうと走った。

「うわぁ…っ…〈ごつんっ〉!!?」
「痛たたた…って浜野君!」
「ここか…、」

速水が浜野とぶつかった衝撃で座り込み、疲れと安心感の為か涙をこぼす。3年生達は速水が案内して来た鬼道に驚き、そして木刀を所持している犯人たちにも驚いた。
鬼道はその犯人達の男の後ろで瑠璃花が車に押し込められたところを目撃し、やはり、と小さく呟く。鬼道財閥の身内で女、となれば誘拐して身代金を欲しがる奴等がいるというのは当たり前で、その事は瑠璃花にも話していた。もちろん、10年前、瑠璃花が鬼道財閥の養子になった時から。ただあの頃は瑠璃花も魁渡も基本『流星』の名字を使っていたが。

「!!!鬼道さっ…(「お、まさか来るとは…」

バタン、という音がして車の扉が閉まった。瑠璃花の声も遮られたが、鬼道としては自分の存在に気付いただけでOKなのだ。天才ゲームメイカーとして活躍していた中学時代、その頃の頭の回転の早さは今も健在である。

「三国、準備していろ。」
「え…」
「お前の力が必要だ。」

三国が不安そうな表情で仲間を見ると、全員、何がなんなのか分からない、という顔で見返している。一方、鬼道は向かって来る男たちに苦戦していた。内心、中学時代の円堂がいたら便利なのにとか思っている。イジゲン・ザ・ハンドをやってほしい位だ。
取りあえず、三国は一歩出よう、と想い鬼道に近付き、彼に腕をひかれすぐ後ろに立たされた。

「!」

その瞬間、風が僅かに起こった気がした。
そして鬼道は何かに気付いたかのような表情で、男を突き飛ばす。

「三国、俺の前にフェンス・オブ・ガイアだ!」
「っ、はいっ!!」
「「!」」

浜野が驚いて声を漏らす。けれど三国は構わず技を繰り出した。隕石の衝撃でわずかに周辺が揺れる。そして鬼道と犯人達の間に壁が出来、狭い通路が塞がれ犯人達の困惑の声が聞こえた。
そして丁度、パトカーの音が全員の耳に届く。————高い、まだ少し子供の様な声も。

「きど、さんっ…」
「良くやったな、俺の予定通りだ。」

気付けば、瑠璃花は鬼道にぴったりくっついて彼の服に顔をうずめていた。

「瑠璃花さん!!?」
「いつの間に…?!」
「三国がフェンス・オブ・ガイアをやる直前だ。」

彼女は車から脱出してこちらに全力で走っただけだ、と簡潔に鬼道が説明する。しかし、そう言われても見えなかったのだから直ぐに飲み込めるはずもない。ポカン、とした表情に鬼道は僅かに笑みを浮かべた。

「警察です、退いて下さ…ええ!!?」
「必殺技の正しい使い方だ。」←
「必殺技…ってそれはフィールドの上でやって下さい!!犯人逮捕にどれだけ時間かかるんですかコレ!!!」
「人の命が無事だった、という風に考えれば妥当でしょう。」(by三国)

警察官、激怒。

パトカーから降りてきた気の弱そうな人が、声を発する。

「…誰か事情の分かる人…」
「あ、はい俺ずっと見てました!」
「そういう場合は危ないから逃げて下さい!!」




「…」

瑠璃花がずっと鬼道にくっ付いて、僅かに体を震わせていた。鬼道は小さな子をあやす様に、背中を撫でる。

「瑠璃花、」

呼びかける言葉に、彼女は顔をあげた。目が潤んで赤くなっている。

「日本は冬が近いというのに、薄着だな。」
「…アフリ、カは…」

その言葉が終わらない内に、鬼道は自分の直ぐ隣にあった紙袋から何かを取り出す。
そして次の瞬間、瑠璃花の首に深い蒼のマフラーが巻かれた。鬼道が優しく微笑んで、それを見て瑠璃花の口からまた嗚咽が漏れる。その優しい温もりは、本当に久し振りで。こんな温もりだけは。アフリカで何をしたって得られるものでは無かった。

「鬼道、さん…っ!!」
「お帰り、瑠璃花。」

ぎゅ、と強く抱きしめられて、瑠璃花は思う。

ようやく、夢見心地から覚められた、と。
カフェまでの道のりはたくさんの物が変わり過ぎていて、まだ日本に居る感じがしなかった。
けれど今、強く鬼道を感じて本当に帰って来たのだと実感している。


「…あれ、浜野先輩。」
「三国さんも、どうしたんですか?」
「あ、ああ瑠璃花さんが誘拐にあって…」

天馬と神童の声。
鬼道が瑠璃花をはなし、先に家に帰る様にと言った。事情聴取は代わりに俺が受けるから、と。
その言葉に、瑠璃花は頷いた。



次で終わり!!


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