二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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[イナズマ]長編番外編更新[小説集] 
日時: 2015/01/19 04:17
名前: 伊莉寿(元・西木桜) (ID: bDH87B/N)

* I wish I could meet you again under the tree when the raspberry fruits... *

*♪*♪*♪*

こんにちは、もしくは初めまして。
小説をロックしたばかりの西木桜、現伊莉寿です。今回は色々なパターンの小説を書いて行きます。
タイトルにある通り、イナズマシリーズの創作短編や連載をメインにやっていきます。


※注意※
・亀更新。(超重要!!!)
・オリキャラinイナズマシリーズ。
・作者は甘が苦手で、苦手をなくすため甘に挑戦していきます。
・といいつつシリアス多めです;;
・荒らし等はご遠慮ください。
・駄文です。(超超重要!!!)

以上のことを許せる方はどうぞ、私の小説集をお開き下さい。
また、感想等頂けると嬉しいです。


♪Menu♪

*小説NO.1 悪魔のゲーム〜闇蝶と狂った少女のコンチェルト〜
プロローグ>>6 第1話>>7 オリキャラ紹介>>8 第2話>>23 第3話>>42 第4話>>55 最終話>>63
おさらいページ>>56 番外編>>700
※注意!ホラー、残酷なシーンが入っています。完結しました。

*小説NO.2 すまいるカノン〜ずっとずっと響き続けるメロディーを〜
プロローグ>>15 オリキャラ紹介>>19 第1話>>29 第2話>>35 第3話>>70 第4話>>102 第5話>>141
第6話>>218 第7話>>420 第8話>>645
※多分、甘に仕上がります。長編です。

*小説NO.3 悪魔のゲーム〜闇蝶と狂った少女のコンチェルト*second〜
第1話>>206 第2話>>235 第3話>>345 第4話>>661

*小説NO.4 カゲロウデイズ
設定&注意点等>>371 episode1>>372 episode2>>384 episode3>>448 episode4>>484 episode5,最終話>>576
*完結!もちろん残酷でもあります。

*小説NO.5 Bad World
設定等>>514 予告編>>524 first stage>>515 second stage>>520 third stage>>525 forth stage>>529 sixth stage>>539 seventh stage>>616
設定2>>535
*シリアス


*短編
よく使う[紙ほか]のオリキャラ紹介>>699
作者のきまぐれ*想いがいつしか歪んでしまう…その前に*>>99
作者のきまぐれ・Snowy recollections*雪の思い出*>>130
作者のきまぐれ・きっと、これは未来なの。*円秋*>>143
作者のきまぐれ・+月光の歌声>>167
気まぐれ*人間嫌いな子供のはなし。>>226
気まぐれ*とある英語と社会のテスト。>>242
気まぐれ*∮花占い<メッセージ∮>>259
The requiem.>>353(映画ネタバレ注意)
息抜き。王様ゲームしようぜッ!!>>410>>428
...Who are you?>>447>>451
強く想っていたのに、>>456 [鬼道SIDE]>>466 finale>>480
好意に甘えて(甘)>>489
暗殺少女はぬいぐるみを抱えて想う、>>495
気付いてしまった気がする。>>511
突発的イナクロ劇場>>536
作者の気まぐれ*人間嫌いな子供の話Ⅱ>>554
気まぐれ短編「「サヨナラ」」*天馬×葵*>>580
気まぐれ短編*花開かない私と、眩しすぎる君>>599-600>>606
紙ほか番外編的な*また、この木の下で>>681>>683>>687>>688
姉弟in名探偵コナン*ストレス発散シュート☆← >>691

+リクエスト作品+
姫佳様リク☆急上昇x急接近?!☆>>89 後篇>>95
おかゆ様リク☆イン・マインド☆>>120
姫佳様リク☆脚本・流星魁渡でハチャメチャ劇!!
 キャラ設定>>156 前編>>165 後篇>>173 後篇の続き>>200
Mr.りーとんしゃん’様リク・俺と君の恋心、>>186
雨音様リク☆木漏れ日の様な。
>>303 Ⅱ>>307 Ⅲ>>316 Ⅳ>>320 Finale>>328
姫佳様リク・ミッドナイト大作戦☆>>437
真由様リク・Sweet kiss is a chocolate tast>>454
蝋燭様リク・無邪気少年と雪の中>>503
姫佳様リク・みーつけたっ!!
前編>>537 2弾>>549 最終話>>563
姫佳様リク・江戸時代でも超次元?
キャラ紹介>>620 プロローグ>>623 第一章>>626 第二章>>629 第三章>>630 第四章>>633 最終章>>636
蒼炎様リク・Language of the flower is...>>657
姫佳様リク・Hanabi makes us happy?>>665
レッド様リク・I want to tell you...>>674-675

:お知らせ欄:
オリキャラリク受付開始>>110
参照500突破企画・クエスチョンっ!>>150 第1弾>>158 第2弾>>210
予告>>127
参照1000超えてました! 2011/11/30/Wednesday
カゲロウデイズ、短編扱いから長編物扱いに変更・メニュー模様替え/1月9日
冬の小説大会・二次小説金賞受賞!?
解説という名の言い訳>>358
参照3000突破!2012/02/20/Monday
参照2000突破記念アンケート!>>401
参照4500突破記念アンケート&オリキャラリク>>510
参照10000突破!2012/08/31/Friday
参照14000突破!2013/06/13/Thursday


*お客様*
・姫佳様…心友でお姉ちゃんです♪私と水蓮寺雨音さんと紙ほかでリレー小説を書いています。オリキャラ同士も仲は良いのです☆
・蒼炎(元・おかゆ)様…フレンドです♪オリキャラの皆さんが賑やかでコメントがいつも楽しみです(笑)紙ほかで書かれている小説で私のオリキャラ数人を出させてもらっています。
・Mr.りーとんしゃん’様…リア友です♪文武両道の素晴らしい方。本職の方にオリキャラを沢山いただきました☆テニスでダブルス組んでます☆
・奈流羽様…映像で小説を書かれている方です☆風丸君と羽流ちゃんのあのやり取りが笑えます(笑)1つしか年が違わないとは驚きです。
・しずく様…映像で神文小説を書かれている方で、小説大会で賞を取った事もある素晴らしい方です!!私しずく様の小説大好きです♪蓮君がおもしろい☆←
・真由様…書かれている小説の内容が凄いです!どうしてそんな話が思いつくんですか??!って位ネタが素晴らしいです。
・西木桜様…親戚です。風花とかは一緒に考えたんです♪
・蝋燭(元しろくろろ)様…映像で書いていた前の小説や本職の方に良く来て下さる優しい方です!!イラストが描けるとの事で、とても尊敬しています♪
・雪姫様…紙ほかで鋼の錬金術師の小説を書かれています。私のオリキャラもたくさん使って頂いて感謝と尊敬でいっぱいです!!
・水蓮寺雨音様…私の本職の方に、最初の頃から良くコメを頂いてます!小説も紙ほかで書かれているので、皆さん見に行ってみて下さい♪
・桜ノ姫華様…お友達です!映像で素晴らしい小説を書かれています。私が大好きな感じの小説です☆←
・もずく・様…映像で小説を書かれています!ジャンルが似たようなものかもしれませんが、もう私の小説とは比べ物にならないほど素晴らしいです!!
・ショコラ様…参照2000突破をお祝いして下さった方です♪
・些爾様…ダンボール戦記とイナイレのコラボ小説を書かれていた方です。前者も見るんです、私(笑)
・冬ノ華 神ノ音様…イナGO小説を書かれている方。とても素敵な文章です!!人の心の描写がとても素晴らしいと思いました!
・神丙様…参照6000突破を真っ先にお祝いして下さいました♪書かれているボカロ小説が、とてもおもしろいです!
・レッド様…紙ほかでダンボール戦機のお話を書かれています。皆さんっ、LBXは面白いですよ!←

*皆さん、コメントありがとうございます!!!*


最終更新
2013/06/13 悪魔のゲーム番外編>>700

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...Are you who? ( No.447 )
日時: 2012/02/09 18:21
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

 俺の同級生には、不思議な奴がいる。

「佐久間君、おはよう!」

女子らしいハイトーンの声。噂をすれば、だ。振り返ると、水色の髪をツインテールにした少女———清羅セイラがいた。サッカー部のマネージャーをしっかりとこなす、素直だけど……不思議な奴。誰も教えていないのに帝国の事情を知っていたり、自己紹介もしていないのに会った瞬間にサッカー部員の名前を言ったり。ぼーっとして意味不明なことをつぶやいていた時は宇宙人と交信しているのかと本気で思った。

「佐久間、どうかしたか。兎河トカワの事ばかり見て…」
「あっ、いや考え事をしてたんだ。」

清羅の名字は兎河という。一番初めに来たのに、ふと我に返るともう全員揃っていた。朝練が始まる。
声を掛けてきた鬼道は、俺から離れると集合をかけた。FF本戦へいくために次の雷門戦は負けられない。今までとは違う緊張感が、帝国イレブンの間に漂っている。初めは相手にもならなかった雷門が、確実に強さを身につけ地区予選を勝ち上がってきている事はプレッシャーだ。帝国の頂点の座が揺らいでいると俺は思う。
 今日も、いつも通りの練習をこなす。FWの休憩の間、鬼道たちMFの練習をフィールドの外から見学する。隣では清羅が、食い入るように見ていた。こいつは恐らく、鬼道が好きなんだろう。だからじっと見ている————と、清羅が落ちたペンを拾うためにしゃがみこんだ。何も言わずにそれを見つめる横顔には、陰りが見える。拗ねたような表情だ。

「…何かひどい。」
「何がだ?」
「!?さ、佐久間君…」

聞いてた?、と恐る恐る清羅が尋ねる。何がひどいんだ、と質問の正確な答えではなく詰問してみた。

「今のは忘れて?」
「…努力はしてみよう。」

少しだけ。

「…忘れるつもりないでしょ。」
「なら教えろ、何がひどいんだ。」

さっきと同じことの繰り返し。清羅は顔をしかめると、観念したように口を開いた。

「運命が、ってこと。」
「…は?」
「佐久間君、休憩は終わりみたい。」

バイバイ、と言いながらドリンクをひったくる清羅。意味不明な言葉と彼女らしくない行動に呆然としていると、背後から源田が呼んでいる声が聞こえた。ハッと我に返り、練習に合流する。途中で清羅を振り返ると、いつも通りの彼女だった。

運命がひどい?

あれは、その場を乗り切るための嘘だったのだろうか。考えて、そうとは思えない瞳を思い出す。
ベンチの清羅を見ていると、ふと俯いて何か呟いた。聞き取れない。
あの調子で、大丈夫なのか…?

















「こんなに、がんばってるのに……。






















                             何で鬼道君は怪我するの、何で佐久間君と源田君は…。」



思いつめた、表情だった。



続く、けど次で終わり。

Re: [イナズマ]参照2500越え!?[小説集]  ( No.448 )
日時: 2012/02/10 15:11
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)












壊れた〝音〟。



耳に聞こえる、高い悲鳴。
耳に聞こえる、近くの家の風鈴の音色。



陽炎は、青い木々を背に嗤っている。夢じゃない、これは現実、と。
現実?そんなはず、無い…なぜ、月宮が?認めたくない、だからこそだった。俺は背後の鉄柱に視線を向ける。歩道に突き刺さる鈍い色の大きな鉄柱、その下にいる彼女。服には、その鉄柱が作った大きな血のシミ。月宮の指は、血の海の中でわずかに動く。

「ッ…!!!」

右手で口を押さえ、不快感を殺そうとした。
突きつけられた〝現実〟に、足がすくむ。そして、霞みだす視界。月宮の顔が、ぼやけた。サイレンの音が鳴り響く、それは別の世界での出来事の様にしか思えなかった。体が重くなって、ほんの薄い膜の向こうに見える月宮に手をのばして、届かなくて、声も発せられない。

眩む。眩しい。光の中で、月宮と引き離される。



「月…宮ッ!!」

その声が届いたのかは分からない。ただ、意識が途切れる直前に見えた彼女の顔は、笑っているように見えた。




気付いた。この世界は繰り返しているのではないか、と。また目を覚まして見えた、8月14日の日付で確信した。
何度も、俺は病院に向かった。何度も、月宮が死なないようにした。けれど、何度も彼女が死ぬ様子を見た。

タクシーに乗れば、乗用車の事故に巻き込まれる。
歩道橋を使えば、足を踏み外して転落死。
横断歩道を歩けば、通り魔に刺殺されて。
電車のホームにいれば、背中を押されて。

何度も、何度も、何度も、彼女が死なない未来を見るまで…。この日が繰り返される事を願い、そして今度こそと。だが毎回、その思いは打ち砕かれる。どの道を選んでも、月宮が死ぬ未来に変わりはないのか?どうしたら、2人のいる明日は来る。月宮、お前だって同じ日の繰り返しだと気付いているはずだ。引き裂かれるような痛みは、もうお互いに嫌だろう?
嗤った陽炎の表情を最後に途切れる〝夢〟の様な〝現実〟。8月14日を何十年も繰り返した結果、俺はとうとう簡単な答えを見つけた。



これで、この夏を終りに出来るかもしれない。

月宮が死ぬ事で成り立っているのなら、それを阻止出来れば………。




 今回、修也君は特に出来事を避けようとしていないみたいだった。となると、猫が私の帽子をくわえて交差点に飛び出す…。早く終われば良いのに、全部。もやもやしてスッキリしない気持ちも、もうじき来るかもしれない死に怯える自分も、全て断ち切りたい。出来るなら、どうなったって構わないと思った。
猫の鳴き声で、現実に引き戻される。私の帽子をくわえた猫、を追いかけて道路へ飛び出す。信号機は点滅して、私が横断歩道に足を踏み入れた瞬間に赤に変わって。やってきた大型トラックは、私を轢く————はず、だったのに。



「っ!」


視界には、映ってほしくない後ろ姿。名前を呼ぶ、その時間さえなかった。バッ、と強引に、けれど転ばないように私を後ろに押しのけて、修也君は、トラックの前に飛び出す。いやだ、何回見ても頭は真っ白に、視界は真っ赤に染まる…。心が壊れそうな衝撃を受けて、涙を流して少しでも和らげようと努力して。
トラックが修也君を轢いて、ブレーキの音を甲高く上げる。
修也君は笑った。きっと陽炎が見えたんだ…。やめて、何に対してなのかは知らない、ただこの人生を否定したくなった。
何で私をかばうの、何で…私をかばっても何にもならないのに。

「…もう一度、」

やり直す。

陽炎が唇を噛んだ。何、今の表情?
けれど考える間もなく、光に包まれた。何度も繰り返してきたから慣れっこ。目を閉じて、意識を手放す。
今度こそ、私が望む世界に。












「修也くっ…!!??!」

 たたらを踏む。バランスを取ったものの、あまりの衝撃と目の前の光景に、体が震えた。大型トラックが、また彼を轢く。それは彼、豪炎寺修也が月宮をかばったからだ。彼女が驚いているのは、彼が轢かれたからだ。早すぎる、と頭の中で咄嗟に思う。まだ繰り返して1週間しか経っていない。何十年も月宮が死んで、それから豪炎寺が彼女をかばう。今まではそうだった。確かに何度も繰り返すごとに、彼がかばう行動に出る間の期間は短くなってきていた。ただ、まだ1週間だ。
ブレーキの甲高い音と、通行人の悲鳴。笑う豪炎寺。——それは何度も経験してきた事。

「何でっ…」

もう1回、と呟く。声が震えて、涙がにじんだ。
ぼやける視界と陽炎の気配。顔を上げると、自分そっくりの陽炎が見下している。また繰り返すの、という陽炎の言葉に、目を見開いた。そんな言葉を陽炎が言ったのは、初めてだった。しばらく陽炎を見ていると、俯いて指を鳴らした。瞬間、光に包まれる。












目を覚ませば、もう何度も見た病室にいた。



* to be continued... *

Re: [イナズマ]参照2500越え!?[小説集]  ( No.449 )
日時: 2012/02/10 16:00
名前: 姫佳 ◆MWOkRuxz12 (ID: vCVXFNgF)

わお!!私の知らない間に小説が2つも更新されているとは!!
うん、相変わらず神だね!!新キャラの清羅ちゃんもカワユス^p^←

あと、私も自分用のメルアドゲットできたんだ!!伊莉寿と同じYAhooメールだよん♪
良かったら、メール送ってくれないかな?

Re: [イナズマ]参照2500越え!?[小説集]  ( No.450 )
日時: 2012/02/11 00:53
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

姫佳さん

学級閉鎖なのにパソ禁された(泣)仕方なくダーク進めてたけど、相手チームのロココの強さに泣いた私…。
はい、親が寝ている間にPCしてます深夜伊莉寿デス♪メアドだっ!!メールするするっ!!コメ返したらすぐに((しつこいって
清羅は短編限定です☆彡本当は佐久間の妹設定の上すごい大人しい性格だったんだけど、元々出してるキャラだと先入観があって短編の話に上手く入れないかなぁ、と思ったので。私らしく突拍子もない終わり方をするのでご注意を☆←
神?変換ミスです、私は味を加えすぎてダメにする加味ですからね!
コメありがとうございました♪+

Are you who? ‐2‐ ( No.451 )
日時: 2012/02/11 03:34
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

「うわぁっ、円堂君!!!」
「「「「!!??」」」」

…あ、やってしまった…。慌てて口を押さえる、けど時すでに遅し。帝国の皆と雷門の皆が目を丸くして振り返った。当たり前、私は雷門の皆とは面識がないんだから。でも、本物を見たら叫ばずにはいられないっ…!!

「…円堂、知り合いか?」
「いや…」
「ごめんね、私が一方的に知ってるだけだからっ;;」

風丸君だぁ…!!って天国みたいな脳内に居続けるわけにもいかない。否定して謝る。驚かせてごめんなさい…。大丈夫、と笑顔で返してくれる風丸君をみて夢心地になった。ダメっ、また脳内に花園が広がったらこれから試合が始まるのにマネージャーとして働けないっ!!!!!
試合は帝国が負けるけど、お互い全力を出すいい試合になる。その様子をこれから見られるなんて嬉しいことだけど、私がしっかりしなかったら変わってしまうかもしれない。はしゃぎすぎるのは良くないと自分に言い聞かせるけど…。無理かも。
そう思っていたら、突然めまいに襲われ壁に上半身を預ける形になった。どうしたのか良く分からずにいると、頭の中に声が響く。
聞き覚えのある声…。

「!」
『0時に迎えに行くから…』

言葉が終ると、めまいもすっかり治まった。やっと…やっと、迎えに来てくれるの?それなのに、どうして嬉しくないのかな。どうして寂しいなんて思ってるのかな。喜ばないと。…どうして?

「…清羅?」
「!佐久間君っ…何?」
「さっき体調悪かったんじゃないか?」

…見てた?

「心配してくれてありがと。」

本当は私も心配してるし、それに本当に信じられないんだけど…。こんなことなら、影山から皇帝ペンギン1号の秘伝書とか(あれってそもそも秘伝書だったっけ)奪って破り捨てておけばよかったのかな。そうしたらどうなるんだろう。佐久間君は苦しまない?それとも変わらない?

「大丈夫か?」
「うん、」
「何かあったら相談しろよ。仲間なんだから。」

仲間。さらりと言われた言葉に、改めて自分がここにいるのは夢ではないと実感させられた。

「…うん、分かった。」

嬉しかった。
もう忘れ去られる存在である私が仲間でいた証を、残してみたいと思った。残念ながらそんな時間はないと思うけれど。
でも、証なんて残せなくても、全てを打ち明けてみたい。どんな顔をするかな、信じてくれないだろうな。



雷門と帝国の戦いに感動して忘れそうだったから、私はフィールドに向かおうとする佐久間君の腕を掴んで、夜の待ち合わせを取り付けた。



夜風の吹くベランダは、俺の家の2階にあった。こんな時間に家に来るなんて、やっぱり清羅は不思議な奴だ。けれど、そのことも併せて今から全てを話すと彼女は言う。ベランダからの景色に満足げな表情を見せる清羅は、この前の練習の時に見えた陰りなど一切感じさせなかった。

「佐久間君、私ね、こう見えてゲームするの。」
「…は?」

ツインテールが風に揺れる。振り返って作り笑いの様な微笑みを浮かべる清羅は、続けてRPGが好きだと告白した。…って何の話だ、これ。

「最近そのシリーズの新作が出たんだけど、キャラクターが結構入れ変わってて前のシリーズが懐かしく思えて…。前のシリーズのやりこみ要素をやってたんだ、あの時。」
「…あの時?」

聞き返そうと思ったわけでもなく、呟く。そして、彼女は耳を疑うような事を俺に告げた。


「その世界がここ…って言ったら、信じないよね?」


また、清羅は俺を混乱させる。




 2に出てくる真帝国学園。そこの佐久間君を引き抜いてパーティーに入れていた時だった。GKは源田君、フィールドプレイヤーは円堂君と鬼道君、佐久間君でレベルアップさせようとサッカーバトルをしていると、突然落下する感覚に襲われ、目の前に変な女の子がいた。猫耳があって、一瞬思考が完全に停止した。何してるんだろう、この子。

『…ゲーム、大好きなんだね。』

女の子が口を開く。無表情だけど、怒ってるのかもしれない。

『何事も、深入りはダメだって覚えておいて。』
『あの、話が見えない…』
『ゲームに対する思いが強すぎるの。悪いけど、調節のためにこれからその世界で大人しくしててもらえる?調節が終わったら迎えに行くから。』

やっぱり怒ってる!!

『…っていうか誰!?その世界って私の世界!?ゲームするなってこと!!??』
『私は林檎、二次元と貴方達の世界を管理するのが役目なの。これからゲームの世界に行ってもらう。適当にやり過ごしておいて、騒いで私を疲れさせないでってこと。記憶を消す時に手間かかるから。』

分かった?、という言葉は耳を通りぬけていた。ゲームの世界?イナイレってこと?二次元は二次元、それを管理するって何?
問答無用、と言わんばかりに林檎って女の子はペンダントから光を放って、私をイナイレの世界に放置していった。そして私は声にならない悲鳴を上げた。
———その場所が、重々しい帝国学園の前だったから…。

「以上。つまり私は帝国学園が好きだからサッカー部の皆の事を知ってた。鬼道君が今日の試合でけがをすることも。」

あの練習の時の言葉、理解してくれたらしい。だから、と聞こえるか聞こえないかの声の大きさで呟いていた。運命はひどい…違う、今となれば責めるべきは脚本の人とかだって思うけど、あの時は本当に帝国の一員の気分だったから……。
今は11時55分頃。もうすぐ林檎が迎えに来る。生ぬるい夜風に当たる事さえ心地よく感じてしまう。遠くに、鮮明に見える鉄塔。本当に視力が良いことに感謝しないと。

「…清羅は、もう戻ってこられないんだろう?」
「信じてくれるとは思わなかった。」
「お前の眼を見れば、本当か嘘か位見分けられる。」

佐久間君へ視線を移す。私は悪戯っぽい笑みを浮かべてるんだろうな。私の悪い癖。悲しい時、無意識のうちに浮かべている…。

「ありがとう、」

涙声だった。佐久間君の悲しそうな表情を見たら、涙が止まらない。

「本当、清羅って変だ。」
「迷惑だったね。」
「そんな事は無い。」

即答した佐久間君。
「迷惑なんかじゃない、それが俺や鬼道達を楽しませたりなごませたりしてたからな。」
「…本当?」
「本当だ。」
「お世辞とか嘘とかいらないからね?」
「これは俺の本心だ。」

何も言えなかった。真っ直ぐな佐久間君の目が、言葉に嘘はないと語っている。涙が止めどなく溢れ、私は俯いた。
彼は感情を持っている、普通の人だった。
彼は単なるキャラクターだと言えないような、立派な人だった。
彼は私を気にかけてくれる、優しい人だった。
彼はこの世界で最初に出来た—————大事な大事な仲間だった。


『どうかしたのか?こんなところで腰を抜かして。』

忘れない、彼が私を忘れようと、林檎がなんと言おうと、私は彼を、この世界での生活を忘れない。

「佐久間君っ…」

わがまま1つ位叶えたって良い…かな。


泣きたい気分だから。

佐久間君に抱きついて、温もりに埋もれて、思いっきり泣かせて・・・。




清羅は光の粒に包まれて消えてしまった。行かないでほしい、とは最後まで言えなかった。

……気持ちは、届いただろうか。

「…あいつの事だ、またひょっこり帰ってきそうだな。」

忘れないさ、俺だって。大事な仲間、だからな・・・・・・・。



「…記憶が消せないなんて、まさかそんなに強い繋がりを短期間で…?」

?誰かの声が聞こえた気がする。振り返っても、誰も見つけられなかったけど。






「…」

あれ、何したんだっけ。
泣きたくて泣きたくて佐久間君に抱きついて、林檎が迎えに来て、消える直前…。
そっと最後に彼が触れた部分へ右手をのばす。瞬間、全てを思い出し久々に帰ってきた部屋の中で思わず叫んだ。




「バッ……バカーーーっ!!!!!!////」

忘れない、忘れたくても絶対に無理。







私のファーストキスを奪った佐久間君なんか、(ゲームの中で)皇帝ペンギン1号を打たせまくってやる!


*おわり*


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