二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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怪物くん 『白銀色の孤独』
日時: 2013/04/27 19:44
名前: 炎崎 獅織 (ID: mNBn7X7Y)

<お知らせ>
当スレッドにおけるNo.76~79の書き込みについて、明らかに当スレッドの内容と関係ないものと判断し、管理人様の方へ削除依頼を出して参りました。






<挨拶>
初めまして、炎崎 獅織(エンザキ・シオリ)と申します。
タイトルに「怪物くん」と書いてありますが、主人公は怪物界の王子ではありません。あしからず。

この物語の主軸となるのは、悪魔界の王子・デモキン。
ドラマ「怪物くん」を見て思った彼に関する疑問を、自分なりに考えてみました。

オリジナルキャラや、ドラマでデモキンを演じていた人、その他ジャニーズの方々が出てきたり。
公式設定も踏まえつつ、独自設定を取り込んだり。
ドラマや映画と違い、想像を元に進んでいきます。
それが無理だという方は、閲覧せずに戻る事をお勧めいたします。

荒らし、中傷コメント、チェーンメール、当スレに無関係な内容の書き込み等、
ネットマナーに反する行動は、おやめください。

駄作かつ亀更新になると思われますが、気長に見守ってやってください。


参照数1000突破記念挨拶→>>60
新年の挨拶・2013→>>74




↓↓増えて来たので、本編・番外編共々整頓しました。

—登場人物—
>>1 新キャラクター「フェイス/源太」を追加。

—本編—
<NEW!>
>>75 episode 20 幕開けの朝

<目次>
>>66


—番外編— たまに増えます。
<NEW!>
>>57 episode SS・3 『お相手のいい所を3つ上げてください』〜女性陣編〜

<目次>
>>67


—クリスマススペシャル—
>>71 1st snow 相談 ←new!
>>72 2nd snow 決まらない。 ←new!
>>73 3rd snow 渡せない。 ←new!

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Re: 怪物くん 『白銀色の孤独』 ( No.34 )
日時: 2012/05/28 20:32
名前: 炎崎 獅織 ◆3ifmt4W30k (ID: GpMpDyKr)

<コメント返信>
凛音 様

コメントありがとうございます。
私の脳内では、TOKIOの山口さんと嵐の相葉さんが、真夏の海岸で走り回っている図が展開されています。
ふたりとも、なんだかスポーツマンのイメージがあるので、今回の物語では主にアクションを担当して頂こうかなぁと、考えていたり、考えていなかったり←

次回の後編では本格的に二人を動かす予定です。
今回に限らず、また来ていただけたら幸いです。

お互いに、頑張りましょうね。

Re: 怪物くん 『白銀色の孤独』 ( No.35 )
日時: 2012/06/24 00:34
名前: 炎崎 獅織 ◆3ifmt4W30k (ID: GpMpDyKr)

<episode 8 封魔、人間界に現る(後編)>





 浜辺に打ち付ける波の音、時折吹く風の音、立ち尽くす達也と雅紀の声。聞こえるものといえば、このくらいで、逃げ惑う人々の喧噪は聞こえない。
 それもそのはず。この場に存在する生物と言えば、雅紀、達也、(厳密に言うと違うが)封魔の三者のみなのだから。 

「すげぇな、この結界。一般の人が見たら、どうなってんの?」
「僕ら二人と封魔が、その場から忽然と姿を消したように見えるはずです」
「それ、余計に大騒ぎになるんじゃ……」
「そればかりは不可避なんですよ。報告書を書いたり、後処理に走ったりするの、面倒なんだけどなぁ」

 あれこれとぼやいている雅紀だが、それを覚悟した上で結界を発動させたのだから仕方ない。再度悪魔界に連絡を入れたときに上司たち——デモキンとリュオンだ——からきっちりと許可を得たし、達也に『封魔強制送還作戦(命名:山口 達也)』への協力を依頼した所、あっさりと頷いてくれた。
 ここまで来たら、もうやるしかない。雅紀は腹をくくり、今まで達也と潜んでいた瓦礫の山の影からはい出した。

「達也さん、最初の段取り通りに頼みますよ」
「はいよ」

 達也は手を伸ばして軽い準備をしたあと、前を見据えて低く構えた。視線の先には、攻撃の手を休めて沈黙を保つ封魔がいる。

「3、2、1、スタート!」

 雅紀は合図と同時に指を鳴らし、それを号砲に見立てた達也は灼熱の砂を蹴り上げて駆け出し、封魔の方も突如攻勢に転じた。
 段取りと言えど、そう大したものではない。雅紀が空間転移の呪文を唱えている間、彼に危害が及ばないよう、達也が封魔の気をそらせておく。早い話、達也の役目は“おとり”であった。

「ま、おとりでも何でもいいんだけどさ!」

 達也は衝撃波を火の玉で相殺し、封魔の注意を引きつけるように炎を繰り出した。
 一般人を完全排除した別空間を作り上げる特別な結界が張られていて、人目を気にすることなく、のびのびと能力を発揮できる。そんな安心感と開放感も手伝って、達也の炎は大きく膨れ上がった。

「おっと、危ない」

『封魔をさらに凶暴化させない為にも、強烈な刺激を与えないでください』

 僅か1分の打ち合わせの中で雅紀に釘を刺されたことを思い出し、一度炎を引っ込めた時、足首に何かが絡み付くような違和感があった。確認しようと下を向いた、次の瞬間。

「わっ……!」

 足首を掴まれたまま振り回され、建物に、見張り台に、地面に激突する。やっと拘束が解けたかと思うと、宙を舞って砂浜に墜落。立ち上がる暇もなく、今度は砂を突き破って現れた複数の黒い触手に体を縛り付けられ、身動きが取れなくなってしまった。

「何だっていうんだよ……」

 何とか頭だけを持ち上げた時、更にもう一本の触手が猛スピードで伸びてきた。その先端は鋭く尖り、達也の心臓を一直線に狙っている。
 山口 達也、絶体絶命のピンチ。
 「もはやこれまでか」と諦めかけた、その直後。

“ザンッ”

 目の前に人影が現れたかと思うと、刃物が標的を切り裂く音と、少し遅れて断末魔の叫びが聞こえた。今まで体に絡み付いていた触手が全て離れ、体も軽くなった。

「いやぁ、死ぬかと思った」
「達也さん、炎の壁を!」

 影が振り返り、達也に向かって怒鳴る。
 銀色の長剣を片手に、漆黒の鎧を纏う異形の戦士——悪魔としての本性を解放した雅紀、いや、ケルヴィルであった。

「達也さん、早くして! 封魔を悪魔界に送り返さないと!」

 ケルヴィルは鮮やかに剣を振るい、迫り来る触手を次々切り伏せていく。その度に凄まじい悲鳴が聞こえるからたまったものではない。
 案の定というべきか、触手を操って達也とケルヴィルを襲っているのは、封魔であった。

「よっしゃ、任せとけ!」

 威勢良く返事をし、達也は立ち上がった。散々体をぶつけた時の鈍い痛みが残っているが、特に問題はなさそうだ。
 一方封魔は、全身から触手を伸ばし、切られても切られても懲りずに攻撃を仕掛けてくる。ケルヴィルに集中している、今がチャンス。

「……はっ!」

 封魔に向かって手をかざし、気合いもろとも炎を繰り出した。封魔の正面、後方、右側、左側、上方と、箱をかぶせるように、炎の壁が現れた。触手攻撃も止み、炎の中で封魔がもがいているのが伝わってくる。

「雅紀、できたぞ」
「よし、大人しく戻ってもらおうか!」

 剣を片手で握りしめ、ケルヴィルは人類にとって未知の言語を呟き始めた。達也が時間稼ぎをしているときに唱えていた呪文の、仕上げの言葉だった。

『帰れ。此処は汝の居場所にあらず』

 最後のフレーズを訳したら、こんなところだろうか
 ケルヴィルが剣を砂浜に突き刺すと同時に、炎の壁が消えた。
 封魔も、消えていた。

「……終わったの?」
「強制送還、完了です。僕らも帰りましょう」
「せっかくの休みなのに、散々になったな」
「今回は残念でしたが、またご一緒しましょう。いつになるかは、分からないけど」

 ケルヴィルが指を鳴らし、自らが作り上げた結界を解除。

「わあっ!」
「のあっ?!」

 未だに続いているパニックの流れに揉まれながら、二人はなんとか駐車場までたどり着き、長い時間をかけて帰路をたどった。





——————————————————————————————
<あとがき>
アクションとは名ばかりのお話、Part2。
次回の舞台は悪魔界の予定。
……次の投稿で、この話のオマケを掲載。

Re: 怪物くん 『白銀色の孤独』 ( No.36 )
日時: 2012/06/24 00:37
名前: 炎崎 獅織 ◆3ifmt4W30k (ID: GpMpDyKr)

<episode 8 おまけ>





 海岸での騒ぎの影響を受けたのか、帰り道に利用した道路は何処も大渋滞を引き起こしていた。達也と雅紀が乗るワゴン車も巻き込まれ、流れが動き出すのをひたすら待っている所だ。
 そんな車内での会話。

「達也さん」
「ん、どうした?」

 車の行列が少しも動いてくれないので、運転手の達也はハンドルから手を離し、車のエンジンも切っていた。

「封魔に散々振り回された上に、体をあちこちぶつけてましたよね。大丈夫ですか?」
「……うわっ、ジワジワ痛くなってきた」
「あんなにぶつかったのに打ち身だけで済むなんて、マジで奇跡ですよ」
「うん、自分でもビックリしてる」
「痣だらけになること間違いないので、きちんと処置してくださいね」
「えー……」

 雅紀の予言通り、帰宅後間もなく、達也の全身に青々とした痣が浮かび上がってきた。それら全てに湿布を貼付けたため、しばらくの間「シップマン」のあだ名を頂戴することになったとか。





——————————————————————————————
<あとがき>
……特になし ←

Re: 怪物くん 『白銀色の孤独』 ( No.37 )
日時: 2012/06/24 16:55
名前: 炎崎 獅織 ◆3ifmt4W30k (ID: GpMpDyKr)

<episode 9 王子の独り言>





あれは何年前のことだったろうか。
 
10年、いや、100か200……とにかく数えるのが面倒なくらい昔のことだ。


あの事件を実際に見聞きして今もなお生き残っているのは、もう俺しかいない。
 
悪魔界の歴史の一部として知るものはいても、真実を知るのは、やはり俺だけだ。
 
 
俺は悪魔界史上、最大にして最初で最後のクーデター——Dr.マリスの一件は勘定に入れていない——の一部始終を目の当たりにし、自らの手で終止符を打った。
 
 
この一連の出来事を、自分の口で語り、心情を吐露することは出来ない。

悪魔界のすべてを背負う者としてのプライドと経験が、許してくれなかった。



『誰かに心を許し、頼ってはいけない。いつ何時、裏切られるか分からないから』



諜報部に所属するリュオンとケルヴィル。

昌宏をはじめとした、人間界の“友人”たち。

なぜか今でも縁が続いている怪物王子。
 
多少の差はあれど、この者達には格別の信頼を置いている。

極々稀に、私的なことで相談に乗ってもらうことだってある。

 
しかし、全てを明かすことは出来ない。
 
顔立ちが酷似し、互いの体調・心情の変化が伝わり合うという奇妙な絆を共有する昌宏にさえ、俺の本心は伝わっていない。
 
伝わらないようにしている、と言った方が近いかもな。


心から信頼している人物に裏切られた時の、あの全てから見放されたような喪失感を回避する為に、俺は心を閉鎖した。
 
「開けられるものなら開けてみろ」と、俺のプライドが門番のごとく居座っている。

仮に門番を退けても、扉を固く封印している“何か”があるから、結局は開かずじまいに終わる、という仕組みを作り上げた。
 
一つの世界を丸ごと背負う悪魔王子として、誰かを頼るなど、あってはならないことだ。
 
不便や寂しさを感じたことはない。
 
拠り所がなくてもやっていけることは、今までの経験から分かっている。

逆に存在しない方が、やりやすいとさえ思っていた。
 
 
何がどう転ぼうと、いずれ俺は独りになる。
 
独りになるのなら、ずっとそのままでいてやろう。
 

別に困ることなどないから、ちゃんと生きていけるから、誰も傷つかずに済むから。
 



 








そう固く決心した矢先、俺は、彼女に出逢ってしまった。





——————————————————————————————
<あとがき>
本当はepisode 5の冒頭に入れるはずだった文章。
字数の関係でカットした部分を引っ張ってきました。
さて、次回は悪魔カップルにも動いて頂きますかね。
……1日のうちに纏めて3つも更新なんて、初めてだわ。

Re: 怪物くん 『白銀色の孤独』 ( No.38 )
日時: 2012/07/01 16:33
名前: 炎崎 獅織 ◆3ifmt4W30k (ID: GpMpDyKr)

<episode 10 乱れ>





「デモキン様、インクが!」

 この声で我に返り、手元を見る。紙に押し付けられたペン先は一点にとどまり、にじみ出るインクが書面を黒々と染め上げていた。

「あっ!」

 咄嗟にペンを持ち上げたが、もう遅い。すでに紙上の4分の1程が闇に沈んでいる。

「デモリーナ、この資料の原本は、きちんと取ってあるんだろうな」
「えぇ、もちろん……」
「新たに複製して持ってこい。黒染めの方は、メモ用紙にすればよかろう」

 命を受けたデモリーナが退出すると、執務室に残るはデモキン独り。
 椅子から立ち上がって室内をうろついた後、机のある方を振り返ってみた。
 机上の左右では、大小様々なサイズの書類が大きな山を作っている。下から上がってきた報告書と、それに関する資料の束。その内容は、どれも封魔の被害についてだった。
 休暇で人間界の訪れていたケルヴィルからの報告を皮切りに、まるで申し合わせたかのように、次から次へと封魔がらみの問題が浮上してきていた。悪魔界だけでなく、人間界にもポツポツ出現するようになている。
 長年敵対関係にあった怪物界から何の音沙汰もないのは、不幸中の幸いだった。怪物くんこと怪物王子——デモキンは未だにバカ王子と呼んでいる——の取りなしもあり、今では穏やかな関係を築き上げていた。

「封魔が怪物界に出現し、大損害をもたらせば……国交断絶間違い無し、だな」

 自国の中で大問題を抱え、そこに他国との国交問題が加われば、さすがのデモキンも対処しきれる自信がない。悪魔界のことをよく思っていない者は、少なくないのだ。

「それは、仕方のないことだが」

 まずは、自国内を安定させることが最優先。デモキンは再び報告書と資料の束を手にした。

「……封印の縛りが、緩んでいる……」

 強大な封魔を封印する力が弱まっている、という報告。

「なぜだ。この箇所なら、つい最近封印をさらに強めたではないか……この、俺の手で……」

 資料の方に目を落とす。デモキン本人の手で封印術を強めたのはいいものの、1週間も経たないうちに、その魔力が大きく低下、すでに消えかけているという数値が記載されていた。

「なぜだ、なぜこうなる……!」

 報告書を次々取り替えてチェックしてみると、ほぼ似たような内容が続いた。古くから存在する封印の術式の殆どが力を失いつつあり、既に封印が消えている場所もあるという。

「……なぜだっ!」

 紙束を机に叩き付け、気がつけば、岩で出来た部屋の壁を殴りつけていた。

「俺の魔力に、穴があるとでも言いたいのか……!」

 岩壁を、ただ殴り続ける。素手で、ひたすら殴った。
 分からないことが多すぎた。自らの手で施した封印が、次々綻びては消えていく。別世界へ出現しないように作り上げた対策も、無力化しつつある。一体何が原因なのか、何が問題なのか。

「それに……なぜ、“あれ”を思い出す?!」

 遥か昔、彼が経験した、最も忌まわしい事件。この期に及んで、なぜ思い出してしまうのか。思い出したせいで、資料一枚がペンのインクで真っ黒になってしまった。

「なぜだ……なぜなんだ!」

 何もかもが、乱れ始めている。
 封印も、デモキンの心も。

「デモキン様?!」

 自分の名を呼ぶ、かけがえのない存在にも気付けない。

「なぜっ……!」

 ふわり。
 優しく、ほんのり甘いぬくもりが全身に広がっていく。

「デモキン様……」

 真正面から抱きしめられていると気付くのに、10秒を要した。
 彼を抱きしめているのは、資料の新しいコピーを持って戻ってきた、デモリーナだった。

「自らを傷つけるようなことは、しないで……」

 このとき、はじめて拳の痛みに気付くことが出来た。壁を殴りつけていた手は、皮膚が裂け、血も滲んでいた。

「デモリーナ……」

 離れようと思ったが、思い直してとどまった。
 気がつけば、デモキンもまた、彼女を抱きしめていた。

「しばらく、このままで」

 何気なく呟いたデモキンの言葉に、デモリーナは黙って従った。
 心を通わせ、静かに寄り添うことができる人物。そんな彼女がそばにいてくれることが、とても嬉しい。今のデモキンに、悪魔王子としてのためらいやプライドは無かった。
 乱れはじめた心を、そっと沈めてくれる暖かさ。
 全身で感じられる時間が、その暖かさを与えてくれるデモリーナが、愛おしくてたまらない。

『ずっと、この時間が続いて欲しい』

 そう、願わずにはいられなかった。 
 この願いが、いとも容易く破壊されることを、そのときがすぐに訪れることを、知っていても。





——————————————————————————————
<あとがき>
デモキンとデモリーナって、本当にお似合いカップルだと思う。
今更ながら、怪物くんの映画公開直前特番をDVDで鑑賞。
眠りについているデモリーナに、そっと寄り添うデモキン。
……恋路の結末を知っている身として、泣きそうになりました。


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