二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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SAO×東方 -春雪異変-【色々あった】
日時: 2016/09/17 20:37
名前: ルーミャ (ID: E1s7fLzP)

この世界は現実と幻想を結び付ける境界線ではない。

所詮は現実を模した偽物に過ぎないのだ。



全てを受け入れる。その言葉の形容はあまりにも食い違い、そして残酷であった。





※注意
原作『SAO』とは設定などが多々ズレている、または全く違う部分があります。



今回の異変も遂に終盤です。

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Re: SAO×東方 -春雪異変-【色々あった】 ( No.22 )
日時: 2016/06/18 18:25
名前: ルーミャ (ID: E1s7fLzP)

妖夢「ここから先へは通さん」
俺の前に立ちはだかったのは、霊魂を纏う一人の少女であった。
キリト「悪いけど、俺はこの先に用があるんだ。何を隠しているのか知らないけど、行かせてもらうよ」
薄き黒剣、エリュシデータを鞘から抜き、姿勢を低くして構える。対する少女も、腰に提げている一本の長刀を手元に納めると、鞘から引き抜いた。
キリト「ーーーー!!」
無意識に身体が震えてしまった。緊張で肩が強ばっている。良くは分からないが、あの刀は普通では無い何かを感じさせた。
妖夢「……」
冷めた目で俺を見詰める。しかしそれは何かを探るように見えた。やがて興が冷めたか、フッと短い息を吹くと刀を強く握り締める。
妖夢「せめてなけなしの春でも奪おうと思ったが……つまらぬ通り人よ。さぁ来い、楼観剣を深紅に染めてやる」
別に俺から血が出るわけでは無いが、どちらにせよ剣を交わす事には変わり無い。
俺はダッシュで彼女の距離を縮めると、空いている腕を狙って斬り払う。が、それを流すように刀で受け止められてしまう。
ジ……ジ……。
キリト「……!!」
一瞬、エリュシデータのプログラムが乱れるのが目に見えた。焦って刀から引き離す。
妖夢「……?」
妖夢(今のは何だ……? あの剣からブレが生じた……もし霊剣であればあれだけで斬れたはず。コイツは何者だ……?)
キリト「くっ……」
俺はこのままソードスキルを発動させる。エリュシデータがエフェクトライトに包まれる。相手の癖を探している場合では無い。さっきの緊張感といい、あの刀に触れると危うい、そう確信した。
ソードスキル『ファントム・レイブ』
片手剣による斬撃や突きを繰り出す6連撃が、少女に迫る。
妖夢「……!?」
反応よりも剣撃の方が速く、切れはしないが強い打撃を与える。
妖夢「……!!」
ギリッ、と歯を食い縛り後方へ退く。どうやら効いたようだ。
妖夢「油断した……あれほどの速さで剣を操れるなんて。ならば、私もここから本気で行かせてもらおう!」
次に彼女は短刀を鞘から抜いた。まさかとは思ったが、本当に俺と同じ二刀流とは。少女は疾風の速さで俺に迫り、長刀を横に薙払う。俺はエリュシデータで受け流す。それに従い、再びバグが起きる。
このまま短刀への攻撃が迫るのかと思ったがそうでは無く、掌を返すと長刀を斬り戻した。
キリト「何……!?」
思わず鞘から、霊夢に借りた刀を引き抜く。そして斬り戻された刀を喰い止める。
キィン! 甲高い金属音が桜を揺らす。
妖夢「何だと……!?」
刀を押しつつ、少女は驚嘆した。その隙を狙い、俺は空いている胸元へとエリュシデータを強く突き出す。
妖夢「……!!」
しかし安直だったか、下から短刀を振り上げられる。バランスが崩されるのと同時に刀を強く押され、転びそうになるが、軽々とした足取りで態勢を戻した。
この間に彼女は短刀を鞘に戻すと俺への距離を縮め、下からの振り上げが殺到する。
この時、彼女の型がようやく理解出来た。どうやら俺のような多連撃を放つような型では無く、一瞬の振り上げ、振り下ろしに力を入れるような型であろう。防御からのカウンターを許さないが、それが取り柄である故に隙が大きい。俺にとってそれは安心出来る事だ。
しかし、振り下ろしなら上手く防げるのだが、下からの斬撃は受け方が曖昧になる。
ぐんと身体を大きく反らし、後ろへと下がる。これで腹部が空き、一撃を入れられる、そう思っていた。しかしそれは許さず、今度は前足を強く踏み込み、刀の降り下ろしが迫り来る。
キリト「……!!」
『悟入幻想』
瞬時に二本の刀剣を頭上に重ねる。それと同時にエフェクトライトが光り輝く。
『クロス・ブロック』
このスキルは、紅霧異変で幾度も俺を助けてくれた防御スキルである。
ガァン!!
三本の刀剣が交わる。エリュシデータからノイズが放たれ、悲鳴を上げる。
妖夢「そのまま、そのよく分からない剣を真っ二つにしてやる!」
キリト「させるか……!」
俺は力任せに刀を弾くと、新たにソードスキルを発動させる。
『ヴォーパル・ストライク』
強力な突進と共に放たれる重単発のソードスキル。彼女がバランスを崩している今、俺はこのソードスキルで確実に決めるつもりであった。
妖夢「……!!」
短刀を鞘から素早く引き抜き、空を切る。何のつもりかと思えば、少女の周りから軌跡が走る。その軌跡は俺にも繋がっていた。
『一念無量劫』
キリト「……ガハッ!」
ズバァ!! 一瞬でその軌跡は斬撃へと変わり、俺の腹部にショックが走る。予想外の事に思わずソードスキルを大きく外してしまった。
HPがジリジリと減っていくのが分かる。このままイエローゾーンにいかないか心配だが、それよりも今は戦闘である。剣を構え、相手の行動を読み取ろうとした時、俺が見た少女は目を大きく開いていた。
妖夢「な……何だ、その身体は!?」
何事かと思い、彼女が指を差している方を覗くと、腹が剣撃により、内部のポリゴンが見えていた。これに驚かれるとは意外だ。今までは全てを受け入れる等と聞かされたり、全く指摘されなかった為に何とも思わなかった。
キリト「えっと、これはポリゴンって言って電子のデータを纏めた……いわゆる情報の塊みたいな奴で……いや、違うか?」
妖夢「ポリゴン……データ……? まさか……」
少女が何かを言おうとした時、突如爆発音が聞こえた。
キリト「な、何だ……!?」
妖夢「あの方向……まさか白玉楼が!?」
何処か見覚えのある急な展開に、呆けてしまう。
少女は刀を腰の鞘に納めると、俺をチラと見て意外な言葉を掛けた。





「……一緒に来い、電脳世界の住人よ」

Re: SAO×東方 -春雪異変-【色々あった】 ( No.23 )
日時: 2016/06/19 21:07
名前: ルーミャ (ID: E1s7fLzP)

ー魔法の森ー



アリス「……」
あれからアリスは、魔理沙に簡単な治癒魔法を行い止血し、誰も使っていないであろう廃れた家へと担いだ。幸いベッドはあり、魔理沙はそこで眠っている。
アリス「…………」
これ程の好機は無い。散々自分を、魔界を貶めた相手が目の前で無防備を晒している。自分の欲しかった物がここにある。
唾液が口内で溢れ、それを飲み込む。理性と欲望が疼いている。好奇心と憎悪が再びアリスに混じり込んだ。
アリス「……ハァ……ハァ……」
胸部の中心を眺めた。直接見えないが、心臓は反復して、活気良く鼓動を続けている。
アリスは魔理沙の衣服に手をかけ、そのまま力を入れようとする。心臓が破裂しそうな勢いで鳴り響く。それは頭まで伝っていた。



ーーーー幻想郷を愛する事。



アリス「ーーーー!!」
咄嗟に神綺の言葉がフラッシュバックした。失いつつあった理性が戻り、すぐさま魔理沙から離れた。



アリス「……汚いわね。暇だし、掃除でもしようかしら」





ー白玉楼ー



霊夢「……あら、あの音に動じないなんて、貴方は耳が無いのかしら?」
ルーミア「……」
霊夢は爆音が鳴る札を使い、相手を怯ませようと試みたが、虚しくも失敗に終わった。いきなりの接戦で、二人は各々の武器を強く押し返そうとする。
霊夢「フッ!!」
相手の足を掛けようとするが、後ろへと跳躍。間合いが一瞬の休みをつくる。
再び間合いが埋まり、鍔迫り合いが始まるのかと思われた時、その思考を完全停止させた。

咲夜の能力である。今、時は止められた。しかしこの言い方は正確には誤っており、正しくは周囲の体感速度を何十分の一にも遅め、なおかつ別空間を展開していたのだ。一時的に咲夜の身体本体はこの幻想世界に移る。
霊夢「へぇ、こんな能力を隠していたのね」
咲夜「……!?」
時は遅れているはずなのに、空間は変えられているはずなのに、霊夢は平然とこちらに歩み寄る。
霊夢「まるで神様ね。目に見えない物を操れるなんて」
咲夜「貴方こそ道化ね。普通と随分外れているわ」
ナイフを異空間から取り出す。その数は数えるのさえ諦めたくなる程にあったのだ。そのナイフはばら蒔かれると、目標物のルーミアへと刃の方向が修正される。
霊夢「……」
咲夜「……時よ、戻れ」
『インフレーションスクエア』
その瞬間、ナイフはルーミアへと勢いをつけて放たれる。
ルーミア「……!」
周りを確認せず、闇へと包まれる。ナイフは闇に呑まれ、固い音だけが雨のように鳴り続けるだけであった。
咲夜「……!!」
闇が霧散された。しかし、そこにはルーミアはいない。あるのは、幾つも地面に突き刺さっているナイフだけであった。
霊夢「何処へ行った……」
何か、空から音が聞こえる。二人は照らされる月の方へ振り向くと、ルーミアがマフラーをたなびかせ、地上へと降下する。
霊夢「そこか!」
『封魔針』
紙札が巻かれた鉄針は、ルーミアの方へ狙い外さず飛んだ。
ルーミア「……『ナイトバード』」
身体が再び闇へと包まれる。しかし、名前とは裏腹に、とても鳥と呼ぶには相応しくない姿であった。
空を切る針は彼女の身体を貫く。しかし、穴が開いた闇もすぐに包まれ、元に戻る。
霊夢「……!」
相手の能力を理解し、すぐ針をにしまう。代わりに御幣(キリト曰くお祓い棒)を高々と掲げ、咲夜に指示をする。
霊夢「奴を闇から解放させるな! 何としても闇である状態を維持させて!」
咲夜「は……わ、分かったわ」
一瞬、どういう訳か理解が出来なかったが、彼女の目を見てやるべき事だけは受け取れた。腰のベルトに提げているカバーのボタンを外し、ナイフを取り出し投げる。更に能力を使い、時空を歪ませる。
『デフレーションワールド』
ナイフが過去未来へと走り回る。その為、小さいナイフでもレーザーと同じ性能を得られる。
ルーミア「……」
ボシュウ!! 姿こそ闇に隠れて見えないが、大きな穴が開いている事は確かだ。しかし、彼女自体には全く持ってダメージを与えられていない。ルーミアは遂に地面に着地しそうであった。
霊夢「……今」
『夢想封印 瞬』
速く駆け、ルーミアに向かって七色に光る御幣を撃ち抜く。その速度は人間を軽く離れていた。
ルーミア「……!!?」
暗雲の状態のルーミアには本来、物理攻撃が効かない。しかし、今は強烈な痛感と全身の麻痺が彼女を支配したのだ。無意識にも闇は消えていき、肉体を甦らせる。
霊夢「この技は博霊の巫女の奥義で、どんな物理法則をも無視して攻撃し、相手の能力を縛りあげる特殊な能力よ」
ルーミア「……!」
態勢を立て直し、大剣を構える。
霊夢「……悪いけど、十字架に上げられた貴方に今出来る事は、咎人の罪を眺めるか、無抵抗に罰を受けるかの二択しかない」
ルーミア「……っ!!」
鋭い眼光で巫女を睨む。それは従うのを反対しているという意味であった。
霊夢「良い目付きね。咲夜」
次の瞬間、ナイフがルーミアを狙い、四方八方に飛んできた。服を裂き、皮膚を貫通する。髪と同時にリボンが斬られ、月へ吸い寄せられるように舞い上がっていった。
霊夢「……残念ね、私は巫女である以上、処分するのが苦手でね。なるべく生かすことを目的として妖怪退治に励んでるのよ」
それすら聞いている様子など窺えなかった。顔をうつ向かせ、身体を一切動かさない。様子がおかしいと一歩踏んだ時ーーーー。



咲夜「ーーーー危ない!!」



幽々子「あら……一体、何が起こっているのかしら?」
「……暴走ね。封印が解けたのよ」
幽々子「その割りには楽しそうよねぇ」
「ええ。そろそろ来るわよ、あの子が」




妖夢「……この先に、あの方が……!!」
キリト「おい、大丈夫か……!!」
長い階段を登りきり、1つの庭へ入った。しかし、その先に見た光景は……。





ーーーー紅に塗れたメイドであった。

Re: SAO×東方 -春雪異変-【色々あった】 ( No.24 )
日時: 2016/08/02 09:00
名前: ルーミャ (ID: E1s7fLzP)

俺が目の前にした光景には、血塗れのメイド、十六夜 咲夜が仰向けに倒れていた。
咲夜「……! 貴方は……あの時の」
キリト「これは……酷いな。安静にしていてくれ、傷が響くぞ」
彼女の姿はなんとも悲惨であった。ところどころに切り傷がありしかも、分かりやすく傷が開いている部分もある。その上左眼が抉られていた。
咲夜「……霊夢は、上で戦っているわ。貴方では、どうにもできない」
キリト「……そうか、霊夢は大丈夫なんだな。それなら君をどうにかしないと……」
咲夜「……大丈夫よ。この程度の怪我なら、自然には死なないわ。ただ少し、思い通りに体を動かせないけど」
なんて強がってはいるが、本心では痛くて堪らないはずである。しかし、そう分かっていても俺には出来る事は無かった。今出来る事とすれば……。
キリト「……頼む。今頼れるのは君だけだ」
妖夢「こればかりは私もどうにも出来ない。幽々子様に頼めば処置くらいは出来そうではあるがな……」
キリト「それでもいい」
即決で返事を返す。しかし、刀使いの少女は相変わらずの冷やかな目で俺を見る。
妖夢「あまり期待をするなよ。あの方は見た目の割りに厳しいお方だ」
そのまま、目の前にある立派な屋敷へと向かって行った。
咲夜「……変わった人ね。私みたいな命を拾おうなんて」
キリト「俺は、誰も見捨てるつもりなんてない。あの時から誓ったんだ」





ルーミア「……!!」
霊夢と空中で鍔迫り合いをしていたルーミアは何かの気を感じたのか、霊夢から離れると地上へと降りていく。
霊夢「あっ!? 待ちなさい!」
ルーミアに続き、霊夢も同じく急降下する。



妖夢「……魂魄 妖夢。只今戻りました」
主人の前で片膝をついて頭を伏せる。
幽々子「お帰りなさい妖夢。どうやらお客さんを連れてきたみたいね」
妖夢「はい……その者から、負傷者の治療を頼まれたのですが……」
幽々子「貴方は何時から甘くなったのかしら?」
妖夢の言う通り、許してくれる様子は無かった。しかし、隣にいるもう一人が幽々子の言葉をひっくり返した。
「貸してあげなさい。彼からの願いなら断われないわ」
幽々子「……紫」
紫と言われる女性は慈悲と共に、邪心に満ちた顔を幽々子に向ける。
紫「当然、何も無しにとは言わないわ。1つゲームをするなんてどうかしら?」





しばらくすると、4人だろうか。数人が俺達の元へと来てくれた。
紫「……貴方が、ゲームの中の人間ね?」
キリト「……!! ああ、そうだけど……それがどうした?」
紫「いえ、よくここまで来てくれました。幽々子の庭師から話は聞いています。そのメイドの治療を引き受けてあげましょう」
キリト「本当か!?」
何で俺の事を知っているのかは分からないが、それよりもメイドの治療が最優先である。
紫「ええ、勿論よ。藍、運んであげなさい」
藍「御意」
メイドを抱きかかえると、屋敷へ運んで行く。俺は半ばその様子を見送る。
キリト「ありがとう。俺じゃどうしようも出来なくて」
紫「そうでしょう。大変な事でしたね。ですが、あと少しだけ……」
ダァン!! 何かが地面を大きく叩く音が聞こえた。何が起きたのかとそちらを見やると、少女が全力疾走でこっちへと駆けてきた。俺は反射的にエリュシデータを抜剣すると、振り下ろされた大剣を受け止める。
キリト「ーーーー!?」





紫「もう一苦労、してもらうわよ?」



ー紅魔館ー

レミリア「……咲夜の霊気が弱くなっている」
パチュリー「どうするの? 助けに行くのかしら? レミリア……!」
レミリア「……」
パチュリーの言葉に返事をせず、ただ眼前の中心を見つめていた。眼は紅く、濁りがうごめく。その事に気付くとパチュリーもしばらく黙った。やがて終えたのか、レミリアは力を抜く。
パチュリー「……今度は何が視えたのかしら?」
レミリア「嫌な運命、だ……出来るならば逆らいたいモノだな」

ー一人身では届かぬ世界ー

「姉様! 私は我慢の限界です! もう始めても構わないでしょう!」
「落ち着きなさい。あと少しだけ待ってあげましょう。憐れな命を少しでも長く持っていられるように……それに話によると、もう少しで外の世界に行けるようになるはずよ。その時まで、待ってあげましょう」










「……ハッ!?」
「あ、起きた。おはようメリー、何かいい夢見れた?」
メリーと呼ばれる金髪の少女は黒髪の少女をぼんやりと見る。目の焦点が合って初めて言葉を返す。
メリー「んん……もう夕方よ蓮子。そうね、ちょっと向こう側の世界を……て、何よこの資料」
蓮子「昔の日本についての調べものよ。これでも掘り出しモノがあるかもだしね」
メリー「ふーん……あれ?」
ある一枚の資料を見つけて、手にする。
メリー「蓮子。この、人の顔が沢山乗っている資料は一体何なの? 沢山バツ印とか付いてるみたいだけど」
蓮子「ん? どれどれ……あー、確かこれ、あれよ。かなーり前に合った事件、【SAO事件】。どこかのゲーム制作者が起こしたテロで、なんでもVR内で死ぬとリアルでも死ぬって。しっかし馬鹿よねー、こんなテロの起こし方しなくてもいいのに。色んな危険性があるからVRゲームが廃止されたんだっけ? 私もちょっとやってみたかったけどなー、仕方ないわよね」
メリー「……」
何度も記憶と写真を照らし合わせる。しかし、何度行っても顔が一致していたのだ。
メリー「何で……? あそこはそんな世界じゃ、じゃあ私が見ていた境界って……?」
メリーが見た男の名前は、桐ヶ谷 和人。今、幻想郷で生きているキリトの事であった。

Re: SAO×東方 -春雪異変-【色々あった】 ( No.25 )
日時: 2016/10/11 02:01
名前: ルーミャ (ID: E1s7fLzP)

キリト「……どういうつもりだ!」
ギリギリと剣同士が擦り合っている中、なんとか黄金色の長髪をした女を睨みつける。しかし彼女は何事も無いように俺に命じる。
紫「簡単な話よ。その飢えた妖怪を殺せばいいの。そうすれば貴方も、そして彼女も救われる」
キリト「さっきから意味が分からないな……! 何でわざわざこんな事をするのか理由を聞いているんだ!」
紫「私が貴方を救ったのだから、貴方の存在価値を測る権利はある」
キリト「……何!? それは一体……」
紫「油断してて良いのかしら? このままだとやられちゃうわよ?」
あの言葉が本当なら、彼女は確実にあのトラブルに関わっていた、そういう事になる。しかし、これ以上は喋りそうには見えないし、こっちだって耳を傾けている余裕は無い。何にせよ今やらなければいけない事はーーーー。
キリト「悪く思わないでくれよ……!」
エリュシデータを強く押し、彼女を退けさせる。その隙を見て俺はバックステップして距離を置かせた。
ルーミア「……!!」
少女は反動でやや後ろへよろめくが、再び距離を塞ごうと突っ込んで来た。
キリト「同じ手は通用しない!」
大剣を振りかぶって上段で斬りかってくるが、冷静に身体を寄せて回避する。大剣は見事に空振り、地面に突き刺さる。俺はその好機を逃さずに横一文字と黒剣を薙払った。
ルーミア「……」
これに対して少女は、柄を握ったまま跳んで、身体を空中に放り斬撃を避ける。少女を捉えられなかったエリュシデータは大剣の腹にぶつかり、振動が僅かに俺の身体を伝った。
身のこなし方が普通じゃない……!
大剣を引き抜いて地面に着地すると再び間が開く。
キリト「ウオオオォォォ!!」
次に動いたのは俺の方であった。少女が振り返る時には既に目の前まで迫っていた。
『ソニックリープ』
この攻撃は絶対に当たる、そう踏んでいたのだが何という反射神経なのだろうか。身体を捻られ、エリュシデータは少女を掠める。
キリト「なにっ……!?」
ルーミア「……」
嫌な予感がした。急に身体が冷え始め、精気が削ぎ落とされるような感じであった。見れば少女が握っている大剣はさっきまでの銀色と違い、黒ずんだ緋色に染まっていた。もしこれをまともに受ければ無事では済まないであろう。ソードスキルによる硬直が俺の身体を支配するが、どうにかして逃げようと懸命にもがく。その様子を嘲笑うかのように少女はゆっくりとテイクバックをしてーーーー。








霊夢「ッ……何処行ったあの妖怪!」
その頃霊夢は地上に降りてルーミアを追っていた。
霊夢「いた……ん? あれは……キリト!? どうしてアイツがこんな所に!?」
そこにいたのは、ルーミアと接戦をしているキリトの姿であった。
霊夢「どっちにしろ今はキリトに応戦しないと……」
紫「待ちなさい」
紫の言葉が霊夢の動きを止める。
霊夢「……まだ誰かいたのね」
紫「今はゲーム中よ。勝手に邪魔をするなら、博麗の巫女でも容赦しないわ」
霊夢「あら、私を知っているなんて光栄だわ。知っているからには今後はお賽銭をくれるわよね?」
紫「……ええ、貴方の事はよく知ってるわ。失敗作の巫女、博麗霊夢の事を」
霊夢「……あ? ……気が変わったわ。アンタ絶対に立てない身体にしてやる」
紫「立てない身体? ふふ、そう言わずに殺しに来なさい。いえ、殺しなさい」
霊夢「気色悪い事言うわね……自殺願望は他所でやってくれないかしら」
紫「ゲームが遊びで済んでしまったら面白くないでしょ?」
次には、四方八方の空間から、割れ目が開いた。そこから覗くのは、鋭利な光であった。
霊夢「……これがアンタの言うゲーム? いいわ乗ってあげる。そして絶対にアンタを殺す」
紫「いい目ね。やってみなさい」













妖夢「……幽々子様」
幽々子「何かしら、妖夢」
妖夢「何故いきなり西行妖を再び咲かそうとするのですか」
幽々子「……何故、ね。もう一度あの満開した桜を見たい、それじゃあ駄目かしら?」
妖夢「……幽々子様はあの男が来てから私に春集めを命令した。あの男と西行妖の関係性が全く持って感じられません」
幽々子「……桜の木には何が埋まっているか、分かるかしら」
妖夢「いきなりですか……死体。桜は良く死体の怨念を養分に育つと聞きます」
幽々子「ええ、そうよ……これで妖夢も分かったんじゃないかしら」
妖夢「話が見えません。もっと分かりやすくお願い出来ませんか」
幽々子「んもぅ、妖夢の意地悪……まぁ、そうね。簡潔に言えば……」






幽々子「再び境界を割るために沢山の春を一ヶ所に集中させなければいけない……かしらね」

Re: SAO×東方 -春雪異変-【色々あった】 ( No.26 )
日時: 2016/12/25 20:20
名前: ルーミャ (ID: 1PrAEpZb)

一瞬の出来事であった。
何処からか割れた音が聞こえた。その瞬間だけ俺の目前が黒く染まり、気付けば俺は後方に立っていた。後から、鈍い打撃音と衝撃が俺に伝わってきた。
ルーミア「なに……」
お互い驚愕した。そうならずにはいられなかった。
空間に大きなヒビが入っていた。
キリト「どういう事だ……!」
少し気を緩め過ぎた。殺気を感じてすぐに構える。少女は既に駆けていた。
きっと生半可な力では勝てないだろう。慎重に戦わなければならない。俺はさっきの衝撃を頭から拭い、そしてもうひとつの武器を引き抜く。
その刀は質素な銀色であった。まるで俺の剣を、もしくは少女の大剣を相反するかのように白く輝いていた。
少女は片手で大剣を振り下ろす。俺は刀剣を交差に組む。
『クロス・ブロック』
三本の剣が交じり合う。今までとは、かつてないほどの衝撃が全体に広がった。
キリト「……!!」
耐えかねたのか、二本の刀剣は曲線を描いて弾かれる。大剣は俺の胸元を浅く切り込んだ。
キリト「……ッ」
一瞬だが目の端でHPバーが減っていくのが見えた。どのくらい減ったかは分からない。今、俺の身体が動いているのが生きている証拠だ。HPなんて関係無い、それほどに緊迫していた。
どうにか一矢報いおうと右手を前に出す。しかし、下からの斬撃に弾き返されてしまった。
俺は歯を食い縛り、崩れたバランスを無理矢理戻す。左足は後ろに下がり、砂利が飛び散っていく。
もう後には戻れなかった。勝機はこの接戦でしか臨めない。
次は刀を薙ぐ。これも当然のように防がれる。俺は一時の好機の為に、幾数と剣を振る。
彼女に余裕が出来たのか、走り回る銀刀をかわし、大剣を振り下ろす。
ここだ、心の中で俺は叫んでいた。
エリュシデータを大剣に掠め、軌道を逸らす。
素早く刀を引き戻すと、水色のエフェクトライトを発す。
四連撃ソードスキル『バーチカル・スクエア』
少ないモーションで刀を振り下ろす。続いて、上下に刀を走らせると、最後に上段斬りを決める。
刀によって作られた線から、鮮血が噴き上がる。しかし、そんな事をモノとせず大剣を構え直した。
キリト「くっ……!!」
既に相手は斬りかかろうとしていた。もしここで止めてしまえばスキルディレイで動けず、斬撃を直に受けHPが0になるはずだ。それだけはどうしても避けなければいけない。だからこそ、ある可能性に賭けた。





藍「お待ちください、紫様」
紫「……藍?」
この事を、紫は想定していなかった。
藍「このゲーム、私が代役で参加致しましょう」
紫「!? 待ちなさい、藍!」
藍「……その命令には、従えません」
紫「……!!」
霊夢「……アンタ、式神ね。恐らくアイツのペットだろうけど……」
藍「巫女風情がツケ上がるなよ。私と紫様はその程度の関係ではない」
霊夢「飼い主が駄目ならペットも駄目なのね。全然なってない」
藍「なってないのは貴様の方だ。橙が世話になったらしいな」
霊夢「……もしかして、あの化け猫? アイツも式神だったわね。もしかしてお仲間だったかしら?」
藍「いや、橙は私の式神だ」
霊夢「……これには流石に驚いたわ。式神が式神を使うなんて、可笑しい事もあったものね」
藍「覚悟しておけ。貴様には返しても返しきれない仇がある」
霊夢「はっ、式神は素直に主に従っておくべきよ? しゃしゃり出た事を後悔させてあげるわ」
八雲 藍は優秀な式神であった。それが故に過ちを踏んでしまった。
紫「……!!」
ナイフをを無造作に引き落とす。それと同時に霊夢は上に手を掲げた。
『封魔陣』
ナイフが結界に阻まれる。霊夢は構わずに藍へと駆ける。
藍「……」
懐から二本の短刀を取り出す。その短刀には鍔が無かった。
霊夢(匕首か……珍しい)
匕首を逆手に持つと、霊夢に斬りかかる。間一髪で斬撃をかわし御幣をぶん回すが、もう片方の匕首が御幣を受け流す。藍が匕首を切り返そうとした時、既に霊夢はしゃがんでいた。
藍「……!!」
一歩、二歩と素早く後退する。
霊夢「……流石に速いわね。でも、そんなのがいつまでも続くわけではないでしょうね? 楽しませなさいよ、ゲームなんだから。つまらないことしたら半殺しじゃ済まさないわよ」
藍「そうか、ならば騒がせてやろう。試しに一杯どうだ?」
『十二神将の宴』
名の通り、十二人の武将が現れた。





霊夢「いいわね、飲んでやるわ。一滴も残らずに」

そして、世界は一瞬だけ黒く染まった。





八雲 紫は焦っていた。藍の行動、予定よりも早い境界の崩壊。全てが予定外の事であった。このままでは計画が全て泡になる。
間違いなど有り得なかった。どこでズレた? 必死に模索する。そして、辿り着いた答えはーーーー。
紫「まさか……」




ー紅魔館ー

レミリア「……さて、そろそろ行こうか」
パチュリー「……運命が変わったのかしら?」
レミリア「さぁね、運命は決まるものじゃないわ。様々な選択肢を選んで生むものよ。私が見たものはほんの1つの結末に過ぎない。あらゆる生物は信じたモノを疑わない。迷えば何もかもが不安に見える」
パチュリー「……」
レミリア「不安に見えてしまったら、正解を望むしかない。そこに確信は無い。変わる運命には確信なんてないわ」
パチュリー「……貴女も、迷っているの?」
レミリア「……ならいいわね」

ゆっくりと重い扉を開く。その後、すぐに閉じられた。





妖夢「境界……!?」
幽々子「そうよ、大切な事なの」
妖夢「……」
妖夢は絶句した。境界の破壊、彼女にはどういう意味か、想像しようにも出来なかった。
幽々子「貴女には分からないわよね。いいのよ、理解なんて無理にしなくて。そのまま受け入れればいいの」
妖夢「何故……そんな事を……?」
幽々子「……在るべきものを、元在る処に帰す為。彼は此処にいるべきではないわ」
妖夢「私には、私には訳が解らない。あの男をそこまでして帰らせるのかが、私には理解出来ない」
幽々子「……」
彼女は黙った。口からは溢れそうになるが、抑え込む。
幽々子「……ねぇ、妖夢」
妖夢「……? 何ですか、幽々子様」



幽々子「手合わせをしましょうか」


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