二次創作小説(新・総合)

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ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜
日時: 2024/02/13 00:57
名前: 紅茶 (ID: 3OoKbooX)

はじめまして紅茶です

本作品はゲームダンガンロンパのオリジナル小説です。

この小説の舞台は希望ヶ峰学園ならぬ勝ち組ヶ丘学園です。
本作に原作のキャラクターを登場させるつもりはありませんが、紅茶の都合の勝手で出てくる可能性がありますがお許しください。

ストーリーに関してはまだまだわかりにくり部分があります(特に学級裁判です)。修正したら良い場所などコメントしてくださると嬉しいです。

ストーリー中に登場する落ち武者というキャラクターは原作で言うモノクマです。本作にモノクマが出てくることはありません。

小説は不定期更新です、遅くなったりすることはあると思います。どうかご理解ください。


episode1 士導瑠香編

登場人物紹介 >>2
prologue 〜旅立ち〜 >>1 >>7
chapter1 アンラッキーリフレイン >>8-17
chapter2 超高校級のドM伝説に栄光あれ! >>18-30
chapter3 精神暗転 >>31-41
chapter4 落ち武者式ソナタ第36楽章〜敗北 >>42-50 >>53-56
chapter5 負け組に咲く悲しみの花 >>57-68
chapter6 絆の旋律と負の不協和音の調べ >>69-78

番外編
一話>>80 二話>>81 三話>>82 四話 >>83


episode0 士導静流編

prologue 「ようこそ勝ち組ヶ丘学園」>>85-87 >>91-92
登場人物紹介 >>88-90
chapter1 ほうき星のように闇に消えて >>93-96 >>98-105 >>107-108
chapter2 負け組より生まれた漆黒の怨念 >>109-116 >>117-125
chapter3 人類史上最もロマンなのは絶対的絶望ではなく絶対的爆発 >>126-134 >>135-139
chapter4 絶望の深淵 >>140-154
chapter5 死と恋のバラード >>155-172
chapter6 「アダムが耕しイヴが紡いだ時誰が負け組だったか」 >>173-185

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.161 )
日時: 2020/05/01 23:37
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

コロシアイ学園生活残り10日



ピンポンパンポーン
「お前たちグッモーニン!朝が来ました。目覚めの時間ですよ」



俺たちのコロシアイ学園生活も気づけば10日を切っていた。その10日が俺の人生の最後になるのかもしれないってのに昨日の出来事のせいで部屋からも出れないでいた。華狗也が持ってきた朝食をたいらげ昨日に引き続き図書室から持ってきた大量の本を読んでいた。
俺が部屋から出れたのは昼過ぎのことだった。それは唐突に鳴り響いた。


ピンポンパンポーン

「死体が発見されました!一定の捜査時間の後学級裁判を開きます」


それまで何も考えず本を読んでいた俺だったが、それを聞いた瞬間本を放り投げ俺はベッドから飛び起きた。死体発見アナウンス。それは俺たちの誰かが誰かを殺した後目撃した時になるアナウンスだ。死体発見アナウンスが鳴り響いたということは。
「士導!お前も聞いただろ。今は自室待機なんていいからすぐにプラネタリウムまで来てくれ!」
俺が部屋から出た直後に俺を呼びに来ていた司翼と会い、俺と司翼は一緒にプラネタリウムまで走った。階段を上っていく途中から漂う煙たい匂いが俺の移動速度をさらに加速させる。
「士導を連れてきたぞ!」
プラネタリウムの入り口で立ち往生している他の生徒たちが俺の顔を見つめてくる。俺もそこで何かを違和感を覚えた。死体発見がアナウンスが流れたと言うことは誰かが殺されたということだ。それなのに今この場に全員いる。
「何の死体発見アナウンスだったんだ。全員いるじゃないか」
「そうなんだよ。だけどあそこを見てくれ。今落ち武者が鎮火してくれてるんだけど、その隣を」
俺は指さした方を見るとそこには白骨化しているが誰かの死体が確かにあった。でもだからこそ意味が分からない。死んだのは誰なんだよ。
しばらくして鎮火が終わりようやく俺たちもプラネタリウムの中に入れるようになった。
「待ってください。捜査するのですからこれがないと。ということで落ち武者ファイルです」
俺は慣れた手つきで落ち武者ファイルを開いた。



ザ・落ち武者ファイル5


死者  白骨化しているため不明


死因  白骨化しているため不明



ある程度予想はしていたが、落ち武者ファイルには何も書かれていないな。何が捜査に必要ですだよ。今回に関しては場所や時間すらも書かれていないのにこんなものあってもなくても一緒だろ。
「一応聞いておきたいんだけど。この場合も学級裁判ってやるの?」
「もちろんですよ。死人が出ているんですから」
「だけど、見てもらえればわかる通り僕らは全員生きてるよね。君の言ってることと矛盾しているんだけど」
「あのね。何度も言いますが学級裁判とは生徒の誰かが殺人を犯せば必ずするのです。それは今回も例外ではありません。なので捜査もしてもらいますし学級裁判ももちろん行います」
殺されたのは俺たちの中の誰かではないけど、殺した犯人が俺たちの中にいる?でも殺すにしたって白骨死体の正体を知っている人物なんてこの中にいるのか。そんなこと考えても仕方ないか。
「静流君。僕は信じてるけどみんなからの君への疑いがまだ晴れたわけじゃないみたいだからさ。今回僕と一緒に行動してもらうよ」
ああそうだった。俺は内通者の容疑者として疑われているんだった。
「じゃあ早速だけど、まずは死体周辺から捜査しようか」
華狗也に言われた通り俺は白骨死体の周辺を見渡した。まずはやっぱり白骨化させる意味がわからないな。被害者の正体を明らかにさせたくないのだろうけど、俺たちの知らない人物なのならわざわざ白骨化させる理由がない。
もっと気になることもある。
「落ち武者!?」
白骨死体の隣に動かない落ち武者が倒れている。さっき俺たちと喋っていた個体とはまた別個体みたいだ。てことはあの火事の中いたってことになるけど、人を白骨化させる程強力な炎なのに落ち武者はいつもと変わらないんだな。前から思っていたけどどんな技術を使ってるんだよ。


『落ち武者』
白骨死体の傍に動かない落ち武者が倒れていた。


次に捜査しないといけないことはあの炎の原因だ。まずは何故あんなに炎が広がっただが、それはどうやら簡単に説明できそうだ。さっきから歩いているだけで滑りそうになるくらい床がツルツルしていることから油を垂らしていたのだろう。問題はどうやって発火したかだ。プラネタリウムを見渡す限り発火の原因と見れるライター等はない。


『プラネタリウムの炎』
プラネタリウムの床には油が広がっていた。発火した原因はまだ不明。

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.162 )
日時: 2020/05/05 04:51
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

炎の原因はまだ分からない。そもそも被害者が誰なのかも分からない。まるで光の見えない海を泳ぎ続けているかのようだ。だけど、信じたくないけどいるんだよな。俺たちの中に犯人が。落ち武者の話によるとこの学園にいるのはコロシアイ学園生活の参加者だけらしい。そうなると俺や華狗也が見た人影も参加者ってことになるわけだけど。これまで一切姿を見せてこなかったそいつが死体として俺たちの前に出てきた?そんな都合のいい話に片づけていいのか。
「あれ静流君?君の足元にあるそれ何?」
華狗也の声に反応して自分の足元を見てみると金色に光る鍵が落ちてあった。
「違うとは思うけど君の部屋の鍵じゃないよね」
「違うな。死体の近くにあったんだから死体が持ってたんじゃないか」
「ちょっと試したいことがあるんだ。来てもらえる?」
試したいこと?俺は今華狗也と行動を共にしないわけにはいかないわけだからついていくしかない。嫌な予感がするわけじゃないがこういう何か思いついた時に華狗也は常人には思いつかないことをしかねない。
拒否権もないので仕方なく華狗也についていくと華狗也は自分の部屋に入りそこから例の宝箱を持ち出してきた。金色の宝箱に金色の鍵。確かに一致してはいるがただでさえ開かなかった宝箱がそんな簡単に。
「開いたよ」
「開くのか…。で、中には何が?」
俺が期待を寄せながら華狗也の手が宝箱の中から出るのを待っていたが、俺の期待を裏切り中から首を出したのはまたもや鍵だった。しかし、どこに使うかは一目ですぐにわかった。鍵からぶら下がっているチャームに書かれている文字。
「校長室か。確かにあそこの鍵はまだ開いてなかったな」
「時間がないし急いで行こうか」
「ああ」

「時間がないからこのまま歩きながら話すから一回で理解してね」
俺の返事も聞かぬまま、華狗也は唐突に話し出した。
「今日の朝、僕らはいつものように食堂に集まって朝食を食べた後、君が内通者かどうかを見極めるために僕らはまた資料室で書類の山を読み漁ってたんだ。その時に宝箱がプラネタリウムに置かれていたことを思い出して僕らは全員でプラネタリウムを調査しようってことになったんだ。それが昼過ぎくらいのことだよ。それでプラネタリウムに入ったらすぐにドンっていう音がして音の正体を見つけようとしたら今度はプラネタリウムが燃え出したんだよ。どうしようもないからプラネタリウムを急いで出て、落ち武者を呼び鎮火してもらっていたら炎の隙間から今度は白骨死体が現れたんだ」
「その後は司翼が俺を呼びに来るところに繋がるわけだな。その謎の音の正体も俺がさっき現場を確認した時にはそれらしきものはなかったし後でもう一度現場を見ておいた方が良さそうだな」
「そうだね。でもまずは校長室を探そうか」
華狗也はポケットから校長室と書かれた鍵を取り出すとそのまま鍵穴に突っ込んだ。今まで開かなかった扉はガチャリという音と共にあっけなく開いた。
校長室に足を踏み入れるとそこはトロフィーや賞状が壁に並び、棚には無数の書類やファイルが並び、部屋の中央には来客用のソファと机が置かれたいたって普通の校長室が俺の目に飛び込んできた。可笑しな学園だからこそ校長室が一番まともではないと考えていたが予想が外れ逆に一番まともとは。
「いろいろ気になることはあるけど。静流君、あれ見てよ」
華狗也が指さす先にある校長先生用の机を俺も見てみる。特に変な箇所はない。俺が想像する校長の机だ。
「何も変なところはないけど」
「ネームプレートだよ」
華狗也に言われ、次はネームプレートに焦点をあてる。
「士導源?俺と同じ苗字みたいだけど」
「学園長の苗字が静流君と同じなんてそんな都合のいいことはないよね。学園長は君の親族だったと考えた方が話がまとまるんじゃないかな」
「待てよ。俺の身内の誰かが学校の校長をしているなんて言ってなかったし、そもそも士導源なんて名前の人間は少なくとも俺が知っている限りいないぞ」
「記憶を消されているんだよ。覚えてないことがあっても不思議じゃないと思うけど、試しにお父さんの名前でも言ってみてよ」
「俺の父さんの名前?ああいいぞ、俺の父さんは士導…、士導…」
思い出せない。思い出せそうなはずなのに思い出そうとすると記憶が逃げていく。さらに言えば思い出そうとすればするほど父さんの顔も思い浮かばない。
「やっぱりね。士導源、つまり勝ち組ヶ丘学園の学園長は君のお父さんってことで間違いないんじゃないかな」



『学園長』
名前は士導源。思い出せないことから父である可能性が高い。



どういうことだ。学園長が俺の父?じゃあ父さんが俺をこんなコロシアイに参加させたっていうのか。黒幕は俺の父さんなのか。それとも苗字が一緒の全くの別人なのか。士導源、お前は誰なんだ。
「だめだ。何も思い出せない。混乱するばっかりだ」
「君の父さんかどうか確かめたいけど、ゆっくりしている時間もないからそっちのファイルが入っている棚を二人で探そうか。僕のせいで考え込んでるみたいだけど切り替えれる?」
「馬鹿にするな。父さんのことも気になるけど今はこのコロシアイを乗り切ることが先だ。ファイルだな俺は右から見ていく」
「じゃあ僕は左からだね」

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.163 )
日時: 2020/05/06 01:12
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

早速俺は棚から大量のファイルと書類を取り出し、選別を始めた。こんな大量の本を全て読んでいては学級裁判までに間に合わない。だから、読む本を選別する。キーワードは「勝ち組ヶ丘学園」。とは言ってもほとんどが勝ち組ヶ丘学園に関するものであり、選別が意味を成していなかった。
「勝ち組ヶ丘学園」だと大半が該当する。かと言って「士導源」や「落ち武者」で探してみても今度は全くヒットしない。欲しい情報が全てヒットするキーワード、つまり「勝ち組ヶ丘学園」も「士導源」も「落ち武者」も全てを含んでいるそんな都合のいいキーワードがあれば。
超高校級の負け組。ふとその言葉が俺の脳を横切った。華狗也の話では非人道的な組織らしいけど、俺たちにコロシアイをさせている張本人かもしれない連中。俺は「超高校級の負け組」をキーワードにもう一度ファイルと書類の山に立ち向かった。するとすぐにそれはヒットした。
「超高校級の負け組」の文字が書かれている書類。俺はホッチキスで止められたその書類に目を通した。
華狗也の言ってた通りこの世界には超高校級の負け組という組織が存在しているらしい。主な運動については書かれていないが、至る所に非人道的だとか常人には考えられないとか書かれている。俺が気になるのはその二つよりも何回も使われている言葉。
絶望。
具体的とも抽象的ともとれる言葉だからこそ、超高校級の負け組がしたことの重さが伝わっているようで伝わらない。
俺は超高校級の負け組についてまとめられた書類を一枚、また一枚めくっていく。そこで目にしたのは学園生活の文字だった。
「超高校級の負け組を更生する…だって?」
コロシアイがどうやったら超高校級の負け組を更生するっていうんだ。俺はまた一枚書類をめくる。
また、勝ち組ヶ丘学園名簿だ。だけど、今回の名簿は今までの名簿とは圧倒的に違う。俺の名前もあるし、それに何より18人目の高校生についての記述がある。
名簿の一番上にある名前を俺は知らない。名簿にはこう書いてあった。
超高校級の秘書。天岸死恋(あまぎししれん)。
俺たちの中に潜んでいた18人目の高校生にして、俺たちにコロシアイをさせている黒幕。
「どうしたの?天岸のことを見つけたの?」
「ああ。そうなんだよ。俺たちの中にいる18人目の高校生…って何でお前」
「僕の方も手掛かりになりそうなものがあったよ。例えばこことかね」
俺の疑問を払いのけ華狗也は書類を指さした。
「当初から学園生活をするつもりだったみたいだね。この書類にコロシアイのことが書かれてないことから考えると何かトラブルがあってコロシアイをすることになったんだろうね。そんなことをするのは負け組以外に考えられないから、このコロシアイ学園生活には負け組が関与していると思った方がよさそうだよ」
「だけど落ち武者は言ってたんだ。学園内にいるのはコロシアイの参加者だけだって。負け組が関与しているなら一体どうやって」
「なぁに簡単なことさ。僕らの中に負け組の人間がいるんだよ。少なくとも一人は内通者として僕らの中にいるらしいしさ」
華狗也の言葉がグッと胸に刺さる。天岸が死んだ以上負け組候補に挙がるのは俺たちの中の誰かだ。想像したくない現実から目を背けていたが、やっぱり俺たちの中にいるんだよな。だとしたら怪しいのって。
「まだいろいろ気になる単語がたくさんあるけど、これくらいにしておこうか。生きていれば校長室にはまた来れるんだし、今は学級裁判に集中しないと」
「そうだな。とりあえずもう一度プラネタリウムに戻ろうか。見落としていることがあるかもしれない」
俺は天岸死恋の記述がある書類をポケットに入れると、立ち上がり校長室をあとにした。



『超高校級の負け組』
非人道的な行為や絶望的な行為を繰り返す集団。コロシアイ学園生活に関与している可能性が高い。


『18人の参加者』
学園生活は当初18人で行われる予定だった。


『天岸死恋のプロフィール』
天岸死恋(あまぎししれん)。超高校級の秘書。18人目の高校生としてコロシアイ学園生活に参加していた。




ープラネタリウムー
「さっきのお前の話だと、プラネタリウムに入った直後に謎の音がしたんだよな?」
「そうだよ。その時は暗くてあまりよく見えなかったけど、あの音は何かの落下音だったんじゃないかな」
華狗也はそう言うが俺がさっきプラネタリウムを見渡した時も今改めて見渡しても謎の音の正体になりそうなものはない。強いていうなら死体の傍に落ちている落ち武者だけど、なぜ落ち武者が使われたんだ。
「落下音のことだけど、ここのプラネタリウムって壁や椅子が動く仕組みになってるんだよね。確か落ち武者は宙吊りになっている瞬間もあるってそのタイミングなら物を落とせるって考えたんだけど、問題は何を落としたのかだよね」
「その音ってもっと具体的にどんな感じなんだ?大きい音とか鈍い音とか音にもいろいろあるだろ」
「宝箱の鍵を見つけた時、僕はそれが落ちてきたんだと思ったんだけど、鍵が落ちたような小さな音ではなかったよ」
「一回落ち武者を起こして同じような音が鳴るか実験してみるか」
そう言って俺は落ち武者を起こして、それを押した。ドンっという音がプラネタリウムに反復していく。
「これだよ。確かこんな音だった。きっと犯人は落ち武者を倒したんだ」
音の正体が分かっても犯人はなぜ落ち武者を倒したのかはまでは分からないか。何の音か分かっただけでも収穫があったと前向きにとらえよう。まだ謎は残ってるんだ。1つの謎が解けたからって喜んでいる場合じゃない。

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.164 )
日時: 2020/05/06 23:47
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

そう言えば、炎が広がった原因となった油を犯人はどこから調達したんだ?落ち武者から配られた殺人用具の中には油なんてなかったはずだ。となると油は犯人がどこかからプラネタリウムに運んだわけだけど、この学園内で油を調達できる場所なんて…、いやあるにはあるか。だけどそれならそれで別の問題もあるが。それにこのプラネタリウムは壁や椅子が動くって話もあったけど、本当に動いたのか?謎の音の正体が落下音ってことになったのは華狗也の推理なわけだけど、何か引っかかるんだよな。音は扉を開けた直後に響いたらしい。だとしたらその時壁や椅子は普段とは異なる位置にあったってことだけど今は普通に捜査できているわけだから元に戻ってるってことだよな。犯人はいつ戻したんだ。プラネタリウムに入った時も華狗也は違和感があったなんて言ってなかったし、その後俺が最初に入った時も確か椅子の位置は前にプラネタリウムに来た時と変わらなかったはずだ。犯人はいつプラネタリウムを普段と同じように戻したんだ?


『プラネタリウムの違和感』
プラネタリウムの壁や椅子が動いていたとは現場の状況からは考えにくい。



『華狗也の証言』
プラネタリウムに入った直後に謎の音がした。その後、しばらくしてから火事になって全員が締め出された。その間俺以外の全員は基本一緒にいた。



ピンポンパンポーン

「自分が知らないことでも、他人からしたら常識であることだってあります。自分の見ている景色も他人からしたら別の景色に見えているかもしれません。つまり、自分の知っていることが全てではないということです。例えそれが意図的なものだとしても。お前たち準備はできましたか?これより学級裁判を開きます。今行っている作業をやめ食堂横の赤い扉の前に集合してください」
もう時間らしい。まだ今回の事件に関しては不透明なことばかりだけど、後は学級裁判で明らかにするしかない。
「行こうか静流君」
「もうちょっとだけ付き合ってくれないか。確認したいことがあるんだ」
「確認したいこと?」
俺は食堂に向かいながら華狗也に事情を説明した。俺の確認したいこととは犯行に使われた油は食堂から持ってきたんじゃないかどうか明らかにしたいことだ。殺人用具の中に油がないとなると考えられるのは食堂だけだ。
「あ、確かにあるね」
食堂の厨房で華狗也が入るやすぐにそれを発見した。棚に大量に積まれた油、これが犯行に使われたかどうかはまだ謎だけど油自体は俺たちが手にできるものであることは確かみたいだ。


『床にしかれた油』
プラネタリウムの床には油がしかれていた。その油は食堂から持っていかれたものだと考えられる。


油が食堂にあるのは分かったけど、それをいつ犯人がプラネタリウムに運んだっていうんだ。まだ捜査中ならそれも考えながら捜査するんだけど、もう学級裁判が始まってしまう。一つ一つの手掛かりの繋がりもまだ分からないままだし。不透明な事件の割に考える時間が少なすぎる。
「考えすぎはよくないよ。頭を真っ白にした方が解ける謎もあるんだからさ。希望を持って進もうよ。そして乗り越えよう」
俺と華狗也は厨房の油をもとに戻し、その場を後にした。
「ってあれ黒薔薇さん?」
食堂に戻ってきた俺たちとちょうど入れ替わりになる形で黒薔薇が食堂の扉を開け中に一歩踏み込んだところで足をとめた。
「お前たちこんなところで何してる?もう時間だぞ」
「黒薔薇こそどうして食堂に?」
「時間になっているにも関わらず一向に扉の前に来ないお前たちを探してたんだよ。余計な手を煩わせるな行くぞ」
黒薔薇に連れられ食堂を出ると扉の前にはもう全員が集合していた。そのまま何も言わず俺たちは裁判場への扉を開いた。
随分と人数も減ったものだ。最初の学級裁判の時と比べて人数は半分以下になっている。裁判場へのエレベーターも狭いと感じていたのにもうそんな風に感じない。もうこれ以上エレベーターを広く感じたくはない。しかし、それは叶わぬ夢なのかもしれない。


今回の被害者は白骨死体として俺たちの目の前に現れた。校長室の書類から考えるとあの死体は天岸死恋だろう。


一度も話したことがない。


それどころか一度も会ったことすらない。


天岸死恋はコロシアイ学園生活の参加者だったみたいだけど、本当に黒幕なのか?

黒幕だとしてもそうじゃなかったとしてもどうして彼女は殺されたんだ。

そんな素性も知らない彼女を殺した犯人が俺たちの中にいる!



謎と謎に包まれた犯行。だとしても俺たちは進まなければならない。


希望と絶望の入り混じった灰色の学級裁判が幕を開ける!!




コトダマ一覧
『落ち武者』
『プラネタリウムの炎』
『学園長』
『超高校級の負け組』
『18人の参加者』
『天岸死恋のプロフィール』
『プラネタリウムの違和感』
『華狗也の証言』
『床にしかれた油』

Re: ダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜 ( No.165 )
日時: 2020/05/07 05:13
名前: 紅茶 ◆VvOwwpM9GA (ID: 6Q1uGoC5)

学 級 裁 判 開廷!!

落ち武者
「では、最初に学級裁判の簡単な説明をしておきます。学級裁判では、クロは誰か?を議論し、その結果はお前たちの投票により決定されます。ただしいクロ見つけたらクロだけがおしおき、もし誤ったらクロ以外がおしおきされ、クロだけが卒業できます」

司翼
「始まる前に確認しておきたいんだけど、今回の学級裁判もそのルールが適用されるのか?見てもらったらわかると思うけど、俺たちは全員生きてる。クロとかシロとかじゃなく俺たちがあの死体に関係あるのか?」

落ち武者
「もちろんですよ。この学園内で起きたことは全てお前たちに関係があります。今回の件だって例外ではありません。ではまずあの死体は誰のものなのかから考えることにしましょうか」

地近
「私たちの中の誰かではないってことは学園外の人間ってことになるんだよね」

士導
「いや、それはないよ。前に食堂で話したけど落ち武者によると今この学園にいるのはコロシアイの参加者だけらしいんだ」

鍵村
「だったらあの白骨死体は誰なんだ?【コロシアイの参加者は私たち17人】だった。生き残ってるのもここにいる私たち7人だけだ」



【コロシアイの参加者は私たち17人】 ← 『18人の参加者』



士導
「それがどうやら違うみたいなんだ。校長室にあった書類のよると学園生活は当初18人で行われるはずだったんだ」

地近
「待って。校長室の書類ってどういうこと?校長室は入れなかったはずだよね」

清水
「それに関してはまだ話してなかったね。実はプラネタリウムの白骨死体の傍に鍵が落ちていたんだ。結果的にその鍵は僕が前に見つけた宝箱を開けるものだったんだけど、その宝箱の中には校長室の鍵が入ってたんだ」

捕鷹
「私と鍵村は気づいたぞ。落ち武者アナウンスが流れる少し前だったから中をあんまり捜査できてはいないけどな」

鍵村
「で、士導話を続けろ。コロシアイの参加者は17人ではなく、18人だったって話だったな」

士導
「書類には参加者は18人って書いてたんだ。その名簿も一緒にまとめられてたよ。俺たち全員の名前が書かれていた名簿がな」

司翼
「俺たちの名前が書かれていた名簿もあったんだよな。だったらそこに【18人目の参加者】は何と書かれていたんだ」



【18人目の参加者】 ← 『天岸死恋のプロフィール』



士導
「18人目の参加者の正体は超高校級の秘書、天岸死恋。名簿にはそう書かれていた」

黒薔薇
「そんな名前聞いたことないな」

司翼
「だが、18人目の参加者が本当にいたのならこれで全て解決したな。あの謎の白骨死体はその天岸死恋とやらの死体ってことになるな。それに死体の傍に校長室の扉を開ける鍵が落ちていたんだろ。そんな大切なものを持っていたのだから黒幕だったってことだろ」

地近
「どういうこと?黒幕が死んでるはずなのにその学級裁判が開かれるなんて…」

清水
「簡単な話だよ。天岸死恋は黒幕じゃなかったんだ」

鍵村
「じゃあなぜ天岸は私たちの前に姿を現さなかったんだ。姿を見せなかったとしてもどうして死体として出てきたんだ。それに殺されたとしてもいつなんだ」

司翼
「いつ殺されたかもそうだが、犯人はもう決まっているはずだぞ」

黒薔薇
「犯人がもう決まっている?それは誰なんだ?」

司翼
「もちろん士導だ」

士導
「えっ…。俺が犯人?」

司翼
「そうだ。殺人時刻は昼過ぎ俺たちの目の前でプラネタリウムが火事になった時だ。だが、その時俺たちは朝からずっと一緒にいたんだ。だとしたらその時間帯に天岸を呼び、殺人ができるのは一人で部屋にいた士導だけだ」

士導
「それは違う!俺は本当に部屋にいたんだ!」

捕鷹
「だが、私たちにはアリバイがある。私たちには殺人は不可能なはずだ」

鍵村
「ちなみに、私たちはトイレに行くときも二人で行ったんだ。途中で誰かが一人になるタイミングはなかった」

清水
「まぁまぁ、現状士導君が怪しいのは確かだけど、明確な根拠がない以上決めつけるのもよくないんじゃないかな」

司翼
「明確な根拠?根拠などなくてもアリバイがないだけで十分だ。例えば、犯行の時間帯があの時間帯とは違わないなら犯人は士導で決まっている」

清水
「そもそも被害者の死因が何かもわかってないのに殺されたのが昼過ぎだなんて決めれないはずだよ」

鍵村
「知っているかのような口ぶりで話すようだけど。じゃあ聞かせてみろ。あの炎は実は死因じゃなかったって証拠をだ」

清水
「被害者は白骨死体として僕たちの前に現れたのは事実だけど、死体を白骨化させるには相当燃やさないとそうはならないはずなんだ。火事になったのは僕らがプラネタリウムを開けてからのことだ。それから死体発見アナウンスを聞いて、落ち武者が鎮火している時間はあったけど人間を白骨化させる程の時間じゃなかったはずだ」

捕鷹
「天岸とやらがかなりの細身で、白骨化するのに時間がかからなかったとしてもか?」

清水
「その可能性もあるだろうね。だけど現場にはもう一つ証拠が残されていたんだよ。それは鍵だ。例の宝箱を開けるための鍵が死体の傍に落ちていたって話だけど、人間を白骨化させる程燃えていたなら鍵だって溶けるなり、変形するなりしていたはずだよ。だけど鍵は綺麗な形をしていたし、宝箱を開ける時も問題なく使えたんだ」

地近
「確かにその理論だとあの炎が死因になったってことはないんだろうけど、白骨化してたってことはプラネタリウムを開けた時以外にも別の時間に燃やされていたんだよね。結局それっていつなの?」

司翼
「いやあの炎で死体が白骨化した可能性もまだあるぞ。事件の発端となったプラネタリウムを開けた時のことを思い出してみろ。プラネタリウムを開けた後謎の音がしたよな。まずはあれが何の音だったかを明確にする必要がある。それができれば見えてくるんだよ」

黒薔薇
「あの時のドンっという音は何かの落下音のようだったな」

司翼
「黒薔薇の言う通りあれは落下音だったと考えられる。では何が落下したか。それは天岸本人だよ。天岸の死体が俺たちがプラネタリウムに入るタイミングで天井から落ちてきたんだよ。その時既に何日も前から飲まず食わずの状態で身体が衰弱していた。そこにさらに天井から落とされたら地面にぶつかった衝撃で血が飛び散るよな。ただでさえ衰弱している体。そこから血が失われたとすると体に残っているものはほぼない。そういう状況ならばあの炎で白骨化させることも可能なはずだ」

地近
「天井から落ちてくるってそんなことができるの?プラネタリウムの天井は椅子にのぼった程度なら全然天井に届かないんだよ。そんなのどうやって天井に人間を置いておくの?」

司翼
「プラネタリウムには特別な仕掛けがあったんだよ。落ち武者もわざわざ俺たちに説明してきただろう。あのプラネタリウムは壁や椅子が動くんだよ。動いている時宙吊りになっている瞬間もあるらしいぞ」

捕鷹
「その瞬間で止めておけば天岸が天井に宙吊りになっている状況を作れるってことか。だけどお前の推理が正しかったとしても衰弱している人間が動かないとも思えない」

司翼
「犯人はそこであるものを使ったんだ。それは落ち武者だ。現場に落ち武者が落ちていただろ。落ち武者を使い天岸を固定しておいたんだ。衰弱しているうえに宙吊りで固定されたら流石に動けないはずだ。現場に落ち武者が落ちていたことを考えると【固定するのに使ったのは落ち武者】で間違いないだろうな」



【固定するのに使ったのは落ち武者】 ← 『落ち武者』


士導
「それは違うぞ!」


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