【第15回 SS小説大会 参加ルール】■目的基本的には平日限定の企画です(投稿は休日に行ってもOKです)夏・冬の小説本大会の合間の息抜きイベントとしてご利用ください■投稿場所毎大会ごとに新スレッドを管理者が作成し、ご参加者方皆で共有使用していきます(※未定)新スレッドは管理者がご用意しますので、ご利用者様方で作成する必要はありません■投票方法スレッド内の各レス(子記事)に投票用ボタンがありますのでそちらをクリックして押していただければOKです⇒投票回数に特に制限は設けませんが、明らかに不当な投票行為があった場合にはカウント無効とし除外します■投稿文字数400文字以上〜1万5千字前後(1記事約5000文字上限×3レス記事以内)⇒ざっくり基準目安ですので大体でOKです■投稿ジャンルSS小説、詩、散文、いずれでもOKです。⇒禁止ジャンルR18系、(一般サイトとして通常許容できないレベルの)具体的な暴力グロ描写、実在人物・法人等を題材にしたもの、二次小説■投稿ニックネーム、作品数1大会中に10を超える、ほぼ差異のない投稿は禁止です。無効投稿とみなし作者様に予告なく管理者削除することがありますニックネームの複数使用は悪気のない限り自由です■大会期間、結果発表等第15回SS小説大会 2020年7月5日から2020年10月30日まで 優秀作品発表…2020年11月7日(トップページ予定) お題(基本)…自由 、お題(思い浮かばない人用)…森 ■その他ご不明な点はこの掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」までお問い合わせくださいhttp://www.kakiko.cc/novel/novel_ss/index.cgi?mode=view&no=10001******************************平日電車やバスなどの移動時間や、ちょっとした待ち時間など。お暇なひとときに短いショートストーリーを描いてみては。どうぞよろしくお願い申し上げます。******************************
Page:1 2 3 4 5 6 7
少し色気のあるリップ音がそこには響いた。1度離れて、また触れた。男の人の唇も、柔らかいんだ。震えて、すぐ離れちゃう。きっと恥ずかしいんだろうな。そんなことを考えている、まるで恋人かの様に。感覚が麻痺してしまう。彼は、私の事が好きなんだと。感覚が鈍ってしまう。興味本位でこんなことをしてしまった。好きか分からない人と。彼女は絶対に彼に「私の事が好きか」と聞いてこなかった。彼女の心に何かしらあるからだろう。そんな彼女を、彼は友達として、好きだった。恋愛感情と言われても納得できない、でも好き、そんな感じ。この関係に体まで付いてきてしまえば、もうただの体を重ねるのみの関係である。自分のことが好きかも分からないのに触れてもらえる。彼女はその事に幸福を覚えていた。しかし、その幸福は現実に引き戻されると深い傷となる。「彼は私の事が好きな訳では無い」と。深い傷は、ぽたぽたと血を流した。痛いって。直してって。責任とってって。しかし彼女はその痛みを間接的に伝えることはあっても直接伝えたことは1度もなかった。彼は彼女に傷を作ってしまったことには薄々勘づいていた。でも、何をしても、傷をえぐる事しか出来ない気がした。だからほっといた。知らないふりをした。痛かったら、頼ってくれるだろう、と根拠の無い信頼を胸に。かさぶたにはなれなかったその傷は今も尚血を流している。いずれ彼には本当に好きだと言える人が出来るだろう。私が居ると恋愛出来ないよね。ごめんね。ふと、貧血に陥った。この傷、早く治らないかな。「体調悪い?」1番に異変を感じたのは、彼だった。ずるいよ。誰のせいだと思ってんの。怒りが溢れてくると同時に、彼に縋りたくなった。深さが悪化するだけなのに。痛い。痛いよ。ぐりぐりと掘られていく傷は血を流した。いつも以上に。癒えない傷に触れながら彼はこう言った。「痛いなら離れたらいいのに」責任は感じていないらしい。まぁそうか。勝手に好意抱いて、邪魔だったよね。「離れたくない」体は正直だった。封印していた行為をした。深く、熱く。しかし、彼女は唇に触れただけ。この先は彼が感じさせているのだ。もう、分からないよ。この2人は傷から流れる血を無視し、傷を深掘りし続けた。
「先生のペンネームってさぁ。なんでこんな変なやつなの?」俺はある日突然女子生徒にそう聞かれた。「恥ずかしいけど…教えてやろう。」「やったー!」素直に喜んでくれるのでこちらも嬉しい。「一つ飛ばしで読んでみろ。」「いんとせういせ、だから…いとうせんせい?」「俺が昔尊敬していた先生でなぁ…。お前も覚えておけよ?」「はーい!」ーー数年後ーー(テレビでも見るか…。)最近は仕事に忙しくてテレビすらまともに見れていなかった。「続いては新人賞の発表です!」総アナウンサーらしき人が言った。なにやら小説の話題らしい。「それでは、どうぞー!」ペコペコしながら入ってきたのは見覚えのある女子高生だった。「ん!?」よく見てみるとあの女子生徒と似ていた。というより、完全にあの女子生徒だった。「では、質問タイムです。ペンネームはどうやって決めたのですか?」「それは…少し恥ずかしいですけど…。一つ飛ばしで読んでみてください。」"しまらもくるら"それは間違えなく俺の名前、白倉守だった。
「ごめんね、」いいよ、なんて。言えるわけないじゃん。「ほんとにっ..ごめっ..ん。」はぁ?泣いたってさぁ。困るよ。私、返事できない。何なの。はぁ、腹立つ。なんでこんなときにさぁ。どれだけ迷惑かけたか。どんだけ辛い思いさせたか。..貴方に。ここは静まりかえった病室。ベットには少女が目を閉じて、深い深い、眠りについている。「わたしはあの子に、青春だってろくに、ちゃんと送らせてあげられなかったっ」もういいんだよ、..わたしは貴方がそばにいてくれるだけで嬉しいから。「あのとき、わたしが、..あなたをかばってい..たら、あなたは生きてた..のにぃっ」もう、そんなこと言わないでよ。私がいなくても、ちゃんと生きてよ?あーあ。なんで私ってば。貴方を置いて、死んじゃったんだろ。だからさ、ごめんを言うのは私の方だよ。「もどってきてよっ__」そうだね..。戻ってこれるなら、今すぐにでも抱き締めたいよ。お母さん。いままで、ありがとう。少女の魂は、すうっと、天へと昇っていく。ベットで横たわる少女は、幸せそうに眠っていた..。
※今実際私が思っていることです勉強がだるい。めんどくさい。これはほとんどの生徒が思っていることだと個人的に思っている私。だけど、中には勉強が好きって人も絶対いるのは確実だよね。勿論、私の周りにもいる。それでも、私は勉強をする人が周りに居てもする気になれない。なれないというか、そもそも将来に必要ない事じゃん、ってつくづく思う。勉強は将来に必要あるって先生とか勉強好きは言うけど。あんまり分かんない、例を挙げてほしい。必要ないというよりかは‥あまり使わない。ずっと自分の好きな事をしていたいと思っていた。そんな勉強だけに縛られて、自由がない世界はもううんざりだ。そんな私が好きなのは妄想。漫画を見るのも好きだ。そのキャラで妄想してる時もある。そういうことを妄想したりするだけで、自分は自由だ!って思える。単純だけど、勉強嫌いな私にはそんなことくらい許してほしい。「…ねむ‥」「おはよ、朝ごはん食べたら勉強してから学校行きなさいよ。」「ッッ‥‥」お母さんも、「勉強したのか?」「まっ、まだ‥」「早くしろ!」お父さんも。皆、「勉強しろ」ってずっと言って。高校受験控えてるって言ってもさ…一日中勉強勉強言われてて、やる気になれない。勉強をしようとするときに、「勉強しなさい!」って言われたらやる気が失せる。もうやだ…自由って、ないのかな。もう直ぐある高校受験だけどさ、5分でも少しの間だけ休憩をとらせてほしい。だから、そんな時は親がいない隙間を見つけてネットをする。PCを起動させいつもの人たちと話す。こんなんじゃ、高校受からないって自分でも自覚してるよ。でも、これくらい許してほしい。勉強だけに縛られるのは嫌なんだよね…
初めまして。上條まりなといいます。ss小説に挑戦するのは初めてですが、暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。その子は、お楽しみ会のドッチボールで「一緒に逃げよう」と言った。後からその話を友達にしたら、「いやどこに逃げんだよ」と言っていた。その子は、みんなに嫌われていた。私も嫌いだったけれど、嫌われるのがいやだから怒らなかった。その子は、よく陰口を言った。その子は、よく陰口を言われていた。その子が学校を休むと、教室が平和だった。誰も、悲しまなかった。その子は、よく「ハロー」とあいさつをした。その子の話は、面白くなかった。その子と一緒にいても、つまらなかった。その子は、わがままだった。自分の要求を通してくれないと、誰かに当たった。その子は、今、この話を読んでいる貴方かもしれない。貴方じゃないかもしれない。貴方の家族かもしれない。貴方のクラスメートかもしれない。貴方の同僚かもしれない。私かもしれない。貴方の愛する誰かかもしれない。1人かもしれないし、1億人かもしれない。でも、真相は、貴方の周りの人間だけが知っている。聞くか聞かないかは、貴方次第。貴方が聞きたくなくても、知ってしまうかもしれない。【完】
あぁ、何でこんなに寂しくなるのだろう。昨日まで悲しさの一欠片もなかったはずなのに。あぁ、先生のいった通りだ。「今はね。卒業式終わって、興奮してきゃーきゃーいってるけど、家に帰ってゆっくりしたあととか、ふいに、思い出したらね。ぜったい、悲しくなるから。先生は、みんなが居なくなったあとの教室を見たら、泣きそうになると思う。」ごもっともでした、先生。今日でおしまいって分かってたのに。それでもまだ終わらない、終わらないって思ってた。終わる気がしなかった。それぐらい、あっけなく終わっていくんだね。時間が過ぎるの、こんなにも、はやかったんだね。卒業式の最中も「皆、服似合ってるねー。かわいいねー。」って無駄にはしゃいで、結局笑いあって帰ったけど。私は昨日まで、気付かないふりをして無理矢理押し込んでいたんだ。今までの回想を。思い出を。「寂しくなんか、ないし。」家族に聞かれたとき、そう答えたけど、私は祈ってたんだ。まだこの生活が、終わりませんように。今、この瞬間が終わりませんように、と。仲良しの大体は、同じ学校だから寂しさなんてあまり感じないって。昨日までそう思っていた。そっか。教室が、このメンバーが、私にとって大切だったんだ。喧嘩だっていっぱいしたし、理不尽に叱られたこともあったし、虐められたりだってしたけど、それでもここは、私の居場所で、暖かいものがまだ残っている。個性的だったけど、共に過ごしたクラスメイトは優しくて、団結力だけはあって、この期間でここまで仲良くなれて、楽しかった。そうだ。Aちゃん。離ればなれになるの嫌だけど。Aちゃんが描く絵、どれも素敵で大好きだよ。これからもいっぱい描いて、いつか私に見せてね。私がこんなに絵を描くようになって、絵を描くのが好きになって、こんなに上手に描けるようになったのは、Aちゃんのおかげだから。いままで、ありがとう。イベントもたくさん中止になった、思い出が潰れていった。そんなことでも、私は、忘れないから。嫌だったことも、面白かったことも、楽しかったことも..。いつか忘れて、自分自身すら遠くへ消えていってしまう、それが人類の歩むべき道だけれど。今までお世話になりました。実は、寂しい、別れたくないの気持ちの裏側に、新しい生活が、周りが、怖いって気持ちもある。不器用で、できないことの方が多い様な自分を受け入れてくれる環境が、そこにはあるのか。でも、不安になってばっかりじゃ居られない。受け入れてもらえなくても、自分は自分で居られるだけの強さを持つんだ。これからは、そうなんだ。甘えんぼの子供じゃダメなんだ。きっと、いつまでも子供のままじゃいられない。だからこの気持ちはもう少し心に浸して、浸りきったその後は、全部、心の中でぎゅっと、暖かくしまっておくよ。私は、新しい未来に向かって、明日に向かって、突き進んでいくんだ。
遠いどこかのきみへ。 きみのいる場所はどこなのかな。 学校で勉強してたり、家族と買い物に行っていたり、仕事をしていたり、 あるいは家で寝ているのかもしれないね。 その日の天気は快晴。なのに心は真っ暗。 逆に、こんなに曇っているのに何故かテンションが高かったり。 はたまた、自分でも自分の気持ちが分からなくて、疲れちゃったり。 毎日が晴れならいいなと思う日、 暖かい日差しが憂鬱に感じる日。 あと、そうだな。 好きなことを張り切ってやる時もあれば、 好きなものを誤魔化すこともあるよね。 その好きなものの人気がなかったり、逆に人気すぎて間に入れなかったり、腫れ物扱いされたり。 自分に自信がなくて、別の好きなことで気持ちを落ち着かせて。 でもやっぱり諦めきれないってこと、あると思う。 でもさ、思うんだ。 いくら周りが指差したって、その人がきみの価値を無くしたりはできないって。 きみはきみだ。嫌なところばかり気にしがちだけど、 きみのその気持ちは、きみにしか味わえない。 この大空に、何人の夢が散ったんだろう。 何かが始まるのと同時に何かが終わる。 だから精一杯、きみはきみを愛してほしいな。 どこかのきみへ、卒業おめでとう。 どこかのきみへ、進級おめでとう。 どこかのきみへ、生きてて偉いね。 お仕事、お疲れ様。学校、お疲れ様。 きみの新しい一年に、幸あれ。
私って、いつまでたってもこうだ。真面目で内気で、消極的。だから周りから誰も寄ってこない。自分からいまさら話しかけても、って 迷惑だって抱え込んでしまう。言いたいことも言えなくて、やりたいこともすぐ周りに押されて、妥協して。あーあ。頭んなかじゃいくらでも云えるのに。「友達になろ」それさえ言えない。せっかく新しく進学したってのに、結果こんなかよ、私。ねえ、友達作るにはどーしたらいいんだっけ?しらねーよ私(おまえ)の妄想だらけの頭で考えろ同じクラスだった子も教室から出てくんだけどなんかグループ入りずらいんだけどあいつ同じクラスだったのに避けてくるんだけど意味分からん自分の頭から自分のたくさんの声。全部自分で、全部自分じゃない?表面は目立って行動せず、ただ座ってにこにこ。今はW優等生Wのお時間。いいこでとりつくろっているうちに、優等生の仮面は、いつの間にか、ぴったりと張り付いていた。家での私と、学校での私、それと親友の前での私。それぞれその友達に違う態度を見せる私。結局、何が私なんだ?多重人格者なのか?はは、そんなわけがない。そんな難しくて可笑しな事、私にはできない。話はもっと単純で、すべてが私。家でどんなに明るく振る舞っても、学校でどんなにいいこいいこしても、友達の前でかっこつけても、真面目っ子してても、ポジティブキャラでも、アホ系でも、結局、私。中身は私だから。取り繕った着ぐるみのなかに、私はいる。言ってることと思ってることは全く別物。あ、でも、それは皆一緒か。真実を述べる正直者なんていないよね、ってかW優等生キャラW、やっぱだめだわ。周り誰も来ないじゃん。つまんないじゃん。飽きたわ。..うーん。そうなんだけど、優等生で長年押し進めてきたから、だからその仮面がうまく外れないんだよね。中学生からは人気者になろうって、頑張って好かれるようにしようって、思ってた。そんな簡単に行かなかった。私はそこまで器用じゃないんだったwウケルw元々自分は頑固で、わがままで、いじわるで、人間関係上手くいかなかった。だったらいっそ自分、がらっと変えちゃおう!皆に嫌がられない奴に為ってやろう!そうだ、それで私は優等生に変身したんだ。あーあ。優等生でもだめだったね。私、どうしよう。そもそも、私って何?私私、わたしわたしわたしワタシどうシタライいのカナ?おしまい
あぁまたか、そう思ったのは私だけではないはず。そう人々はまた過ちを犯したのだ。時は21XX年の四月中旬、とある事件が起こった、某国の皇太子が自宅で不審な死をとげたのだ。首にナイフ、目にはハンドガン、そして腹部には……当時有名だった俳優の首。この凄惨で奇妙な事件は瞬く間に、世界中へと広がり、そして某国に大混乱を招き入れた。そこからだ、世界が狂い始めたのは。某国の国民は皆あるものに頼り始める。それは、人工知能だった。人には到底できないようなことができ、人に一番近い頭脳のこの素晴らしいものは人々に安心を、幸福を、恋愛感情ですら与えた。それらを使い何とか某国の経済を立て直そうとしていた時だった。またもや、事件が起こる。武士や侍が存在した、かの国で、人工知能を駆使した、テロが起きたのだ。……残念なことにそれが今私が、いや皆が置かれている状況であり、互いが互いを信じなくなっている。この状態は非常にまずい。まずいのだ。皇太子が死んだ際に生じた、事件、事故は測り知れない。一体どうしたらいいのだろうか。何が正解だったのだろうか、何が間違いだったのだろうか。私はつくづくとそう思う。悔いのない人生を歩み、たk――――――――――――――――――――(速報です。今朝の四時頃、jiakoて―n―が殺害されました、十年ほど前にあった、皇太子の謎の不審死と状況が似――り、現在警察が捜査を続けている模様です。)「そうだ、いいぞもっとやれ」電話越しの相手に対してそういって私は笑う、これが、火種へとなることはもうわかっている。私が企んでいるのは、さらにその先の事。人という害虫を駆除するための、掃除だけではない。私がこの世界の想像主になる物語(ストーリー)だ。この人工知能の私が、この地球の神へと成る話なのだ。せいぜい、苦しむが良い、愚民どもg――「お前にそんなことをさせてたまるかよ」そういって俺はそいつの脳天を打ち抜いた。乾いた音を皮切りに、そいつは動かなくなった。どうやら絶命したようだ。やった、やってやったぞ!俺がナンバー1を殺したんだ!やった!やったぞ!これで俺が―――――――――――――――――――――こうやってまた世界は戦争へと、進んでゆくのである。すいません、あまりにも意味の分からない作品ですが、何となく頭に浮かんできたのでかいてしまいました。何かご不満がありましたら申し訳ありません。
犬と土方歳三なんて、変な組み合わせではないだろうか。西郷どんならまだ分かる。なぜ土方歳三なのか。僕は率直に疑問を抱いた。昼休み、技術の授業で分からないことがあったので教えて欲しいと生徒に言われたので付き合っていたら、帰り際にこう言われた。「先生って『犬と土方歳三』ですよね」犬の由来はわかる。2年前、当時担任をしていた教え子が「猫の筆箱に名前をつけてほしい」と言ったので、『犬』と名付けてみたら、たちまち全校に広まったというわけだ。ちなみに今も新1年生に語り継がれている。土方歳三についての知識はあまりない。新選組の「鬼」副長。変なことをやらかしたら、即切腹…みたいなとにかく厳しいイメージしかない。自分が生徒にどう思われているのかは案外わかるもので、「あの中田先生は優しい」だとか「佐々木先生は厳しい」だとかはすぐに分かる。ちなみに僕_村山洋一は、生徒にとって厳しい類らしい。だからよく考えてみれば、彼女_小松環奈が言った『犬と土方歳三』という表現は正しいのかもしれない。3年後。彼女を僕は、技術教師として引き続き教えていた。ある日、僕は、彼女の技術作品をコンクールに応募することを決めた。彼女の従姉妹が町工場を経営しているだかなんだかで、技術に興味を持ったらしく、熱心に授業に取り組んでいた。なので、その頃彼女の腕はメキメキと上達し、コンクールでも恐らく上位を狙えるであろうと思ったのだ。予想を超え、彼女の作品は県の最優秀賞を獲得した。「先生、私が1年生の時に先生は『犬と土方歳三』って言ったの覚えてますか?」「覚えてるよ」「あれ、勘違いしないでくださいね。土方歳三って言われて、厳しいイメージを持ったかもしれませんけど、土方歳三って素の性格は分からないんですよ…?もしかしたら先生みたいに心の優しい人かもしれないし……私は一新選組ファンとしてそう信じたいですけどね」僕のことを「優しい」と言ってくれた唯一の生徒。この出会いを、僕は忘れることはないだろう。