Je vis 作者/知都 ◆REIE6EkrCY

2 [迷い人]



私はベッドに再び横になると、目を閉じた。
無駄に体力を使うと、寿命が縮んでしまうような気がしていた。

「あれ?部屋間違えた?」

聞きなれない声に私は目が覚めた。
重い体を起こすと、一人の男の子が見えた。

「ゴメン、起こしちゃった...か」
「あの、御免なさい。貴方は?」

彼が着ているのは間違いなく、さっきまでそこで練習していたサッカーチームのユニフォームだ。

彼は、髪の毛を掻きあげると、ドアに体重を掛けた。

「岡井 悠」
「いや、そういう事聞いたんじゃなくて何しに来たのかって言う──」

いつも人と喋らない私が結構喋ったせいか、急に咳が出てきた。

「ゴメン、部屋間違っちゃったみたいだから俺行くな。
病人に無駄に話させちゃいけねぇし。じゃぁ、また!」

サッカーのユニフォームを着た彼は何故か
私の前に突然現われた、命を再び蘇らせるヒーローみたいだった──...。