Je vis 作者/知都 ◆REIE6EkrCY

3 [ヒーローの会話]



私のヒーローはすぐに私の前から居なくなった。

ちょっぴり寂しくて、寂しさを紛らわそうとベッドの掛け布団に身を埋めた。

「雅、離せよッ。駄目なんだ、雅は寝てなくちゃ」

さっきの男の子の声がする。
私は思わず体を起こしてしまった。

「嫌だ!悠に行って欲しくないぃ!」
「駄目だって行ってるだろ。寝とけって!」

多分、彼の足音だろう。

走り去る誰かの足音がして、その後から泣き声が追いかけて来た。


また、私のヒーローが迷い込んできてくれないかな。

だって、生きる事さえ諦めた私を生き返らせてくれた人だもん──...。