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■些細な嘘から始まった ■【遂に完結!】
作者: 碧  (総ページ数: 77ページ)
関連タグ: 殺人 複雑  
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【 第十二話 】最終と呼ばれたそれは。

光と、一斗。ごめん、きっと二人は今から寿樹さんに殺される。だって、そんな音がしたから。 二人はもう、終わった。
だけど、私は生き延びる。絶対に。絶対に死なない。
私は、光の家をすぐに出た。裏口から。皆にばれない様に。
そして、病院に向かった。走れ、はしれ。 目の前が、涙でぐちゃぐちゃ。周りの人からの視線が痛い。だけど、走った。意識が遠くなるくらい走った。
前に、坂本病院が見えた。 もう、すぐ。
ドアの前に立つ。 病院は、あいていた。ドアを思いっきり開けて、病院にはいる。 患者と看護師がこちらを見る。そして、一人の看護師が私に聞いた。
「あら、どうしたの、お嬢ちゃん?」
私は、それを無視した。 そんな問いに答えたくない。
廊下を走る。「こら、走っちゃダメよ!」
そんな声は無視。聞くな、私。こんな時だけ、イイコ面をするな。
看護師が見えなくなる頃、私はふと立ち止まる。日子さんは、どこにいるの? この病院は、広い。 探せるのだろうか? だけど、探すしかない。
私は、一階から部屋を覗いて行く。 一百一号室、いない。一百二号室、いない。 ……いない、いない、いない。
そして、四階。 八百一号室にはいる。 ……いなかった。
だけど、そこには手紙が置いてあった。 青いバラを添えて。
私は、手紙を開けて、読んだ。
「ご苦労様でした。 今は何時? もう、終わりですね。 本当に、可哀想です」
それをみるなり、私は八百一号室からでて、廊下にあった時計をみた。 十一時五十三分。あと、一時間七分。
だけど、この病院は、九百室もある。 一時間で足りるだろうか。
でも、考える暇はない。 私は、すべての部屋をめぐる。
そして、九百室目。 部屋のドアを開けた。 そこには、手紙があった。また、青いバラを添えて。
私は、手紙を開く。
「ご苦労さま。 でも、無駄。 今は何時?」
時計を確認。十二時半。あと、三十分。
無理だ。 病院には、いなかったのだ。 日子さんは。
でも、この手紙は、きっと日子さんが書いたものだ。なら、まだ病院にいるはずだ。
ていうか、その前に。 私は、この台本の主人公のはず。 なら、主人公が死ぬのはありえない。 最後の一分で、見つかって、 私が改竄して、私は、生きられる。そうしないと、おかしい。
私は、走った。 体がぶつかった花瓶が割れた。水やガラスが飛び散る。 花が無残に床に叩きつけられた。
でも、知らない。私は、走る。
十二時五十五分。 日子さんは、……いない。
ダメだった。 あと、五分。 探そうとしても、もうダメだ、と心が決めつけていた。

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