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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*100*
「話し合い?」
ボクは彼女の口から放たれた、意外な言葉に驚きを隠せなかった。
なぜなら、銀河太陽系8神といえば、会長たちから武力行使の連中しかいないと聞かされていたから。
こうして話し合いで解決しようという穏健派がいるとというのは、ボクにとっては信じられなく、また平和的に解決できるかもしれない、という希望が生まれた嬉しい知らせだった。
ボクは科の次女に笑顔を見せて、再び口を開く。
「あなた方はどうして地球人を滅ぼそうとしているのですか?」
すると彼女は伏し目がちになり、悲しげな表情で言った。
「人間が傲慢だからです。
この惑星には人間だけでなく、他の生き物も数多く生きているはずです。
それなのに、人間だけが威張り、他の生物を殺戮したりしている。この現状、おかしいと思いませんか?」
「確かにあなたの言うことは一理ありますが、人間の中にも絶滅の危機に瀕した動物たちを保護し、なんとか野生に返そうと一生懸命な人たちもいます」
ボクはよく、テレビなどで目にする動物保護を仕事にしている人たちのことを思い出しながら語る。
「ですが、大半の人間はペットとして飼った動物を無責任に放置したり、虐待して殺してしまうケースもあります。
それにあなた方は同じ種族同士でも意見の違いから戦争などをして、殺し合いを続けているではありませんか。
私たちは何千年もの間、静観をし続けていましたが、もう限界なのです。
実はあなたがたの愚かな行いのせいで、他の惑星まで低く見られてしまっているのです。
そしてその責任は、私たち太陽系の神が取らなくてはならないのです。
太陽神、カイザーを除く、我々の出した結論。
それは―人類を滅ぼし、この星を緑の惑星として再生させること。
わたくしの考えはこれぐらいでは、まだ揺るぎませんわ。
それでは、1か月後に。うふふふっ」
彼女は美しい顔で笑うと、ピンクの霧となって姿を消した。
『今度の相手は只者ではない。今度ばかりは、五体満足では済まないということを覚えておきたまえ』。
カイザーさんの言葉が、ボクの脳裏で何度も繰り返し響いた。