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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*180*
「ラグ、お前は私には勝てぬ」
彼は仁王立ちになり、倒れている僕を見下ろします。
僕はやられっぱなしではいけないと、すぐさま立ち上がり、右手を高速回転させ、スクリューパンチを放ちます。
このパンチは普通の人間が打つパンチの十数倍もの回転を加え、高速で打つため、通常は当たると肉がえぐれるのですが、彼の場合えぐれるどころか、その筋肉が僕の打撃の威力を全て吸収し、お返しとばかりに跳ね返したのです。
「お前の自慢のパンチは、その程度のつまらない技だったとはな…ガッカリだ。仮にもスター=レスリングジムの?1の実力者であるお前が、この程度ならば、他の連中もたかが知れている」
彼は僕をロープへ飛ばし、反動で返ってきたところをパワースラムでマットへ叩きつけ、さらに、甲板にエルボードロップを打ち込みます。
超重量級の相手がかけるエルボードロップは、軽量級のレスラーがかけるそれとは、威力が段違い高く、しかも甲板ですから、もし僕が人間だったなら、肋骨が折れて大変なことになっていたでしょうが、幸いなことに、僕の体は宇宙強化プラスチックと呼ばれる地球上にはない、とても柔軟かつ硬度な万能プラスチックで作られていましたので、それほどダメージは負いませんでした。
「フフフ。さすがはロボットというわけか、防御力だけは人一倍のようだな」
彼は僕の足を掴み、今度はジャイアントスィングをかけます。
彼のウルトラパワーに僕はまるでハンマー投げのハンマーのように、グルグル回転させられ、彼が手を離すと、思いっきり場外まで吹き飛ばされ、落下してしまいました。
ですが、これをチャンスと思った僕は、両足のジェット噴射で空高く舞い上がると、そこからダイビングヘッドパットを、彼の脳天に浴びせました。
頭の固い人のことを石頭と呼ぶことがありますが、僕の場合は石の硬度を通りこして、ダイヤモンドヘッドと言ったところでしょうか。
上空からの不意打ちに、さすがの彼ものけ反ります。
僕は身を翻し、サマーソルトキックを彼の胸板に炸裂させますと、彼の胸が切れ、血が噴き出しました。
「カスリ傷を作ったぐらいで、いい気になるなよ、ラグ」
彼がヒップアタックを顔面に命中させますと、彼のおしりの厚みと威力に耐えきれず、僕の首がポロリと抜け落ちてしまいました。
劣勢になっては大変と慌てて首をはめ直します。
「お前の首はどうやら着脱可能なようだな」
「はい。そうでございます、ジュピター様」
「フフフ。どうやら私は貴様を舐めすぎていたらしいな。ここからはフルパワーでいく。お遊びは終わりだ」
彼はコーナーポストの最上段に上り、僕を見下ろします。
その刹那、僕の全身に嫌な予感が駆け巡りました。
「いくら高性能なロボットでも、300キロの巨体をを持ち上げることはできるかな?」
彼はバウンとコーナーからジャンプして、大の字になってそのまま落下してくる恐怖の技、ボディプレスを敢行しました。
「ウワーッ!」
巨体にプレスされた、僕の体の至るところから火花が散り始め、本格的にピンチに陥ってきました。
背中や足からも危険信号である煙が噴き出され、いかに今の単純な技から受けたダメージが深刻なものかということを、僕自身に伝えています。
「フフフフ、どうやら満身創痍のようだなあ」
彼はニヤリと残酷な笑みを浮かべ、僕に追い打ちをかけるかのように、体重を浴びせる技、セントーンを放ちます。
「…ううっ…」
立ち上がろうと力を込めますが、全身の損傷が激しく、なかなか立ち上がることができません。
そんな僕の様子を見た彼は僕の顔面にアイアンクローをかけたまま、そのまま片手だけで持ち上げます。
ここまでの仕草ならキリス様が井吹様にかけていたのと同じですが、彼はこの状態からなんと、僕を放り投げたのです!
「ここからは私の超豪快な技の数々で今まで以上の地獄を体験させてやるぞ、ランス=アームストロング」
僕の頬に一筋の冷や汗が流れ落ちました。
「ハハハハハ!お前はここで私に、健闘虚しく惨殺されるべきなんだーッ!」