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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*80*
あたしたちは、仲間としてさらにディナーくんを加えた合計13人で討伐の旅へ出発した。
けれど、正直、きつい。
並みの体力しかないあたしたちはもうはや根をあげそうになっていた。
あたしたち(特にあたし)の怨敵である白河たちはどこに隠れているのかしらと思いながら、大きなビルの広場に出た。戦うには十分なスペースがある。
戦隊ヒーロー物では、こんなところでよく戦闘が行われるような…なんて思っていたら、上空から5つの影が落下してきた。
ひとりは白河、そして残りの4人は新手の妖怪。
「みなさん二度目ですが、一応はじめまして。僕は白河恋。陰陽師です。みなさんの仲間になる予定だったんですが、お饅頭100個で買収されてしまいましてね、すみません」
顔はイケメンだけど、心は最低の白河。
饅頭100個とか、どんだけ安上がりなのよ。
「貴様ら、よくもおっちゃんたちをモノに変えやがったな!」
「ご心配なく。あなた方の仲間も数人変化させてあげますから。『印』!」
しまったと思う間もなく、アップル君→リンゴ、清水くん→ペットボトル、ディナーくん→食器、白鴎くん→白いコップに姿を変えられた。
「僕の力の前ではあなた方は無力。諦めたほうが賢明ですよ」
するとその時、彼の右側からプチッと何かが潰れる音がした。
「諦めるのは、きみのほうだよ」
アシュランくんが虚空から巨大な黄金の腕を出現させ、巨大な拳で敵妖怪を圧殺していた。
名も知らぬ敵は無残にも爆散する。グロすぎる。スプラッターみたいだ。
「そうそう。アシュランくんの言う通り」
いつの間にかマルコくんが女の妖怪の顔を掴み、信じられないほど、まるでガムのように引き伸ばしたかと思うと、彼女の体を団子でも作るかのごとく丸めて、巨大な球体にしたかと思ったら、その球体を人差し指一本でクルクルと回しはじめ、薄く薄くしていき、どこから取り出したのが具材をトッピングし、魔法で出した窯の中に入れて待つこと10秒。
「はいっ!妖怪ピザの完成っ!」
女の妖怪はピザにされてしまった。
なるほど、これがピザ=ヒューマン。
どことなくユーモラスに見えるけど、やっていることは凄まじく残酷だ。
残り敵は白河合わせて3人。
けれど、あたしにはなぜか、後ろのふたりの妖怪が哀れに見えた。