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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*79*
「バードン様、スリープマン様、お願いします。あなた様おふたりの力を我々にかしてくださいませんか」
トリニティさんは偉大なオリジンふたりに深々と頭を下げる。
「うん。よかろ」
「いいでしょう、トリニティ。お前さんたちのために、最高の弟子を仲間に加えてやりましょう」
彼らが指を鳴らすと、白い職人服に赤のスカーフを着た金髪で緑の瞳の可愛らしい子と、インドのサリー風の服に身を包んだ赤い瞳の子が現れた。
「彼の名はマルコ。わっしの弟子です。『ピザ=ヒューマン』という面白い上に強力な力の持ち主です。きっと大きな力になるでしょう」
茶色のコートのおじいさん、バードンさんが金髪の子を紹介した。
余談だが、マルコくんはイタリア出身で地元では有名なピザ職人なんだって。
意外や意外、スター=レスリングジムの人たちは手に職を持っている人が多い。
それにしても、彼の能力の名前がピザ=ヒューマン。名前からして聞くだに恐ろしい能力に違いない。
そんなことをあたしが考えていると、赤のパジャマを着た白いひげのおじいさん、スリープマンがもうひとりの少年を紹介した。
「この子はアシュラン。能力名はミラクルハンド。とてつもなく早く、そして強い。彼がいればどんな妖怪だろうと手も足もでないじゃろ」
へえ…ふたりとも見た目は女々しくて頼りなさそうだけど、実力者らしい。
「それじゃあ、わっしらはこれで」
「お前さんがたの旅を遠くで見守っておるぞ」
そう言ったかと思うと、ふたりは消えてしまった。
多分彼らもヘンリーさんと同じ魔法使いなんだろう。
帰ったのは残念だけど、味方が増えたし、嬉しいことだよね。
☆
「お呼びでしょうか、ジャドウ様」
「うむ。お前達、よく来てくれた」
知らない間にあたしたちの司令塔になったジャドウは、自分が最も信頼する部下5人を世界各国から集めたらしい。
「久しぶりだな、死天王の諸君。さっそくだが、フードを取って彼女たちに自己紹介したまえ」
すると奴らが一斉にフードを脱いだ。
「私は死天王のひとり、ファイラン。あの子たちを燃やし尽くしてあげる!」
ドラゴンの羽の生えた女は少し興奮気味に言った。
「俺は目黒怨。悪魔だ」
口数の少ない、左目がスコープになっている青い顔の男はどうやら悪魔らしい。
ライフルのようなものを持っているあたり、スナイパーなのだろう。
「俺は宇宙?1の殺し屋、HN。超人キャンディー反応を持つものは全て抹殺する!!」
全身金と銀色の豪華なメタリックボディのサイボーグ、HNはレーザーガンの銃口をあたしに向け、引き金を引いた。
光線が発射され、床に穴が開く。
「な、何よ、あんた!」
「超人キャンディー反応アリ…イレイス!!イレイス!イレイス!」
光線銃をあたし目がけて撃ちまくり、満足すると、動かなくなった。
なによ、この危険男は。
「おやおや、相変わらずのようですね、HNの暴走っぷりは」
金色の甲冑に身を包んだ吸血鬼、ナルシーは不敵な笑みを浮かべる。
物腰は紳士のようだけど、実力はあるのかしら。
ルックスもいいし、この中ではかなりマシな部類ね。
最後の男はフードを取らず、美しい音色でギターを奏でるだけだ。
「……私が出る幕もない。今は他の4人で十分」
深みのあるいい声が聞こえたかと思うと、最後の5人目はどこかに行ってしまった。
「まあ、リンお嬢さん、気にしないことですなあ。
奴は俺が最も信頼している奴の中でも、1番信用している男だから、問題はない。さて、残りのお前達、4人に指示を与える。白河恋と協力し奴らを完璧に殺れ」
ジャドウの単純明快な指示を受けた4人は、あたしたちの本拠地から飛んでいき、見えなくなっていった。
「この俺の最終目的は、あのお方を復活させることにある…フフフフフフ……」
彼は謎の言葉を告げ、ワイングラスに赤ワインを並々と注ぎ、満足そうに目を細めながら美味そうに飲み干した。