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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*161*
奴の服が弾け飛ぶと、クソガキは、金色の豪華な服を身にまとった姿になっていた。
「これが、私の真の姿。実は今までの名前は偽名で、本名はサターンと言います。ですが、悪魔ではありませんよ。神なのです」
優雅にお辞儀をすると、不敵な笑みを浮かべる。
「この姿になったのは…カイザーさんと闘ったときが最後でしたねぇ。今から数千年前になりますが…あなたは私を真の姿にしたことだけでも、名誉なことだと思いますよ」
俺は奴を冷静に観察する。
言動から察するに先ほどまでの動揺が完全に消失し、自信に水戸溢れているようだ。
奴は一体、どんな戦闘方法で攻めてくるのだろうか。
「この姿になったからには、手抜きはいたしません。では、行きます」
言うなり、奴はトラースキックを放った。
その速さに避けることもできず、モロに食らってしまう。
「グッ…!」
「オホホ。効くでしょう。お次はこうですよ」
ロープワークを利用した鋭いドロップキックを食らい、俺はダウンする。
倒れたところを奴は容赦なく滅多蹴りにする。
今の得意攻撃は、蹴り技か。
俺は冷静にそう分析し、奴の蹴りを受け止め、足を取り、ダウンさせると、すかさずマウントを奪い、掌底を打つ。
「なんですか、その攻撃は?ちっとも痛くありませんよ」
俺は無言で、ひたすら掌底を奴の顔面に張り続ける。
すると、次第に奴の顔が腫れあがってきた。
「…ホギャッ…!ホギャッ…!」
この技はパンチほどの威力はないが、その分命中率は高い。弱い攻撃だからといって慢心してかかると、痛い目にあう。
「塵も積もれば山となる。何発も食らえば、かなりのダメージだろう」
「ここまで私を追い詰めるとは、予想外でした。ですが、これで終わりです。食らいなさい、私の必殺技を!『サタン・インフェルノ』!」
奴は俺をキックで上空へ打ち上げ、自分も舞い上がり、俺の腹を踏み台にして、さらに舞い上がる。
リングへ落下した俺は激痛を覚えるが、奴はそんなことはお構いなく、遥か上空からまるでミサイルのように急速落下し、強烈なヘッドパットを俺の脳天へ炸裂させた。
頭部に激しい痛みを感じたと思った瞬間、気が遠くなった。
☆
俺は奴に負けるわけにはいかないと気力で意識を取り戻し、立ち上がった。だが、まだ意識がもうろうとしている。
「これで最後です!」
奴がフライングクロスチョップを放つ。
当たる、と思ったその刹那、青いスカーフがどこからか飛んできて、奴の目を覆う。
視界を覆われた奴は、標準をあやまり、ロープへ激突した。
と、ここで俺はそのスカーフを拾い上げる。
このスカーフは、メープルがいつも身につけているものだ!
まさかスカーフが意思を持ち、俺を助けたというのか…?
「偶然は二度起きませんよ!」
気が付くと、奴がブランチャーを繰り出し、俺に迫ってくる。
そのとき、テンガロンハットが円盤のように飛んできて、奴の腹を裂いた。
あれは…ロディのものだ!
「な、なんですか、この現象は?」
奴は俺にタックルを仕掛けてくる。ここは受け止めるしかない。
すると、今度はどこからか、ハチが現れ奴の耳元で羽ばたく。
その音に気を取られ、奴のスピードが減速する。
隙を逃さず、俺はクソガキをダブルアームスープレックスで投げた。
ハニーが、友達であるハチを呼び出し、チャンスを与えてくれたのか。
「これでも食らいなさい!」
奴は俺を捕らえ、コーナーポストへ投げるが、あわや激突と思われた直前、紫の軍服が緩衝材となり、激突を免れてくれた。
その軍服は、カーネルが試合開始直後に脱ぎ捨てたものだった。
みんな敗れ、重傷を負わされながらも、俺を陰ながら応援してくれるのか!
「こんなのは偶然、ただの偶然です!そんなこと、ありえない!!」
「この世には常識や自然現象を超えた力がある…その力を俺たちの間では、友情と呼ぶ!受けてみるがいい、お前に敗れた俺の仲間たちの必殺技の数々を!!」