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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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僕は今、故郷イタリアのとレヴィの泉前に設置された特設リングで、敵と対峙している。
対戦相手は金星神こと、緑色の四方八方にツンツンした髪型に同様の色をした瞳が特徴のセラロ。
「マルコ、きみは僕が怖くないの?」
「いいえ。怖くないです」
ゴングが鳴ると同時に僕は手刀を敵に叩き込む。
「僕自身はあんまり戦いたく無いんだけどなぁ……自らの手を汚さずに敵を始末するのが好きだからね」
「僕はあなたの好き嫌いがどうであろうと、あなたを倒すだけです!」
すると彼は口の端をあげて、冷酷な笑みを浮かべた。
「僕に勝つ?それは無理だよ。きみは絶対僕には勝てないよ」
爽やかな声で彼はそう告げ、僕の手刀を掴み、たぐり寄せるると、なんとそこから一瞬で僕に卍固めをかけた。
全身の骨が軋む物凄い威力…これは、僕もかなり痛い…
「きみはバカだね」
「酷い言い方ですね」
「きみは敵と真正面から闘うのが好きなようだね。悪くはないとは思うけど、僕は好きじゃない」
彼のボーイソプラノのような美しい声に僕はこれまでにない恐怖を感じる。
少し高くて優しくて爽やかな声だけど、本心は悪魔のような冷酷さがこもったその声は、さらに僕に語りかける。
「僕たちは、きみたちの星に住んでいる動物たちを救いにきたんだ。邪魔をしないでもらえるかな?」
「お断りします。あなたたちは動物を救う代わりに人間を滅ぼす気でしょう?」
「そうだよ。これが僕たちの出した結論。だけど、これはきみたちの招いた結果なんだ。きみたちの進歩があまりにも遅いからね。きみたちの仲間の星野くんの口癖じゃないけど、自業自得だよ」
「そんなの、勝手ですよ。神様なんですから、もう少し、僕たち人間の成長を見守っあげてください!」
僕は渾身の力で卍固めをはずし、飛び蹴りを食らわせ昏倒させた。
「…なかなかやるね。じゃあ、僕はそんなきみに敬意を表して、ほんの少しだけだけど、本気を出してあげる」
今回登場のセラロはレイRさんのオリキャラをもとに創作しました。
ご応募ありがとございました。ちなみに声のイメージは声優の代永翼さんです。