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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*29*
ぼくはとりあえず彼に『元気モリモリチョコレートバー』を手渡しました。
このチョコレートバーは食べるとどんなに元気のない人でも元気ハツラツになり、普段の10倍の力を発揮することができるのです。
まるでポパイのほうれん草ですね。
「ま、騙されたと思って食ってみるか」
彼は豪快にチョコレートバーにかじりつきました。
「うまえ!こんなうめぇもの初めて食った!」
ヘンリーさんのお菓子を始めて食べた人はみんな同じリアクションをするのですが、彼の場合はそのリアクションも格別で、空中に30センチ以上飛び上がったかと思うと、ストンと着地し、ぼくの腕を取ってワルツを踊り始めます。
ここでツッコミを入れてはせっかくいい気分になっている彼の気持ちを台無しにしてしまうので、ぼくは彼にされるがままになっていました。
しばらくして効果が途切れると彼はため息をつきました。
「お菓子食ったぐらいで、こんなリアクション取っていたら絶対また被害にあっちまう」
そんな彼のついさっきまでの暴走ぶりと今の深刻そうな表情のギャップがおかしかったので、ぼくはついうっかりクスクスと笑ってしまいました。
「何がおかしいんだよ?」
彼が少しムッとした顔で言うので、ぼくはとりあえず謝ります。
「他にはどんな奴があるんだ?」
彼はお店の中を探索し、自分が面白いと思うお菓子を見つけてぼくのところへ持ってきました。
「これくれ!」
彼が持ってきたのは、どんなに音痴な人でもこのガムを噛めばウグイスのような綺麗な声で歌えるという『ウグイスガム』でした。
…このガムを見たとたん、久しぶりにぼくも歌を歌いたくなってきました。