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マジカルスイーツショップ【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 198ページ)
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ぼくはガムをダークくんと一緒に噛み始めました。

ガムを噛むことなんて、ここ最近ありませんでしたから、なんとなく懐かしい気持ちになりました。

口いっぱいに広がる優しいオレンジの甘みとミントの香り、それらが絶妙なコントラストを演出して、口の中を幸せでいっぱいにしていきます。

「…うめぇ」

「………」

ぼくがガムをゆっくり味わいながら噛んでいるというのに、ダークくんはさっきから「うめぇ、うめぇ」と同じ単語を繰り返し、くちゃくちゃガムを噛み続けます。

せっかくのムードが、これじゃあ台無しです。

噛み始めてちょうど2分がたったころ、ぼくの口から綺麗なソプラノが奏でられました。

ダークくんは少し低めのバリトンボイスになりましたが、それがまた味があって外見とマッチしています。

ぼくとダークくんは合唱曲や人気の曲などを歌い、上機嫌でした。

幸い誰も他のお客さんが来なかったので、ぼくたちの歌声に気づくものはいませんでした。

ふとお店の大きな窓をみてみますと既に夕焼けが出ています。

「んじゃ、また来るな。きょうは楽しい一日をありがとな」

そう言って夕日をバックに去っていくダークくんには、昔の刑事ドラマに登場する刑事のような、なんともいえないカッコよさが溢れていました。

もしかすると、彼の扱いがよくなる日も近いかもしれません。

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