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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*48*
ぼくたちはお店の奥にあるミニ道場で一騎打ちをすることになった。
「それでは始めましょうか」
彼は着ている中国服を脱ぎ、引き締まった肉体を露わにする。
「ぼくは自分が男であることに誇りを持っています。女の子扱いされるのは何より大嫌いなので、覚えていてください」
彼が鋭い眼力でぼくたちを睨む。
どうやら彼は過去に相当酷い扱いをされてきたようだ。
「では、行きますよ。アチョー!」
開始の合図と共に、いきなり正拳がぼくの顔に炸裂する。
彼はオレンジ色の三つ編みを外から入ってくる風になびかせ、綺麗な顔に似合わない不敵な笑みを浮かべる。
正直、顔が顔だけに、怖い。
「風水林拳!」
風のようにぼくの攻撃を受け流し、水のように美しく、林のようにしなやかに拳を放つ、李くん。あっという間にぼくは劣勢に追い込まれた。
「あなたの実力はこんなものでしょうね。さっさと蹴りをつけてあげます。回鍋肉拳、餃子拳、焼飯拳、酢豚拳、麺拳!」
拳の名前は適当かもしれないけど、威力抜群の拳を連続で食らい、ぼくは吹き飛ばされてしまった。
けれど、ここで諦めるわけにはいかない。
京くんのために、彼の空腹を満たすために、ぼくはこの勝負、決して屈伏するわけにはいかない!
「うおおおおおおお!」
ぼくは傍にあった棒を持ち、彼に速攻を仕掛ける。
不意の武器を使った攻撃に彼は対応できず、そのまま倒れてしまった。
「フッ…ぼくの負けです。約束ですから彼のために腕によりをかけて作ってあげますよ。ただし、ぼくが作ったことは秘密にしてくださいね」
「うん!ありがとう」
ぼくたちはお互いの健闘を讃えて、がっちりと握手を交わした。
☆
「…このうどん最高…!」
空腹だったこともあってか、京くんはこころよくうどんを食べてくれた。
彼も満足したし、これにて一件落着だね!