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マジカルスイーツショップ【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 198ページ)
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「あの……すみません」

よく晴れた土曜日のことです。

この日、ひとりの美心な女の人がお店にやって来ました。

眉の上で切りそろえた髪が日本人らしさを思わせ、可愛らしく、清楚なイメージを抱きます。

彼女はなぜか、顔を真っ赤にしながらぼくを見つめ、口を開きました。

「あの……好きになった人がいるんです!でも、その人はなかなか振り向いてくれなくて…お願いします。助けてください!」

突然そんなことを相談されたものですから、一瞬は戸惑いを隠せませんでしたが、ぼくはすぐにヘンリーさんを呼んできました。

この手の相談は、彼が得意中の得意ですから、きっと解決してくれるでしょう。

「それで、あなたの好きな人というのは、どんな方なんですかな」

「カイザー=ブレッドさんです」

「こりゃたまげた!」

ヘンリーさんは驚愕した後、椅子ごとひっくり返ってしまいました。

ぼくは慌てて彼に駆け寄り起こします。

「まさか…あのカイザーくんを好きになるとはのう…わしもいろいろ人生相談やお悩み相談を受けてきたが、これほど厄介なのは初めてじゃ」

カイザー=ブレッドさん、通称カイザーさんは、以前ぼくたちの前にマスター=カイザーとして現れて以来、親しくなりました。

彼は、ぼくが知る限りもっとも恋愛とは無縁の人生を送っています。

普段はぼくたちの常連客のプロレスジム、スター=レスリングジムの副会長でありパン職人ですが、常に世界中の人々の幸せを願い、たまに地球を侵略しにくる凶悪宇宙人や、悪い妖怪たちを、必殺技『太陽の拳』でやっつけるボランティアをしています。

強力無比、質実剛健、深慮深く冷静で、生真面目かつ慈悲深く、カリスマ性が高い。

心も体も人間を超越している彼に恋心を抱くとは……憧れならわかりますが……

「私、あの人に恋をしたんです!お願いします、協力してください!」

「気持ちはわかるがのう……彼を口説き落とすのは天地がひっくり返るぐらいの至難の業じゃ…はて、どうしたものか……」

彼はひげをなで、散々考えた挙句、口を開きました。

「とりあえず、彼の親友に聞いてみるかのう」

彼はそう言って、どこかへ電話をかけました。

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