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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*58*
「連れてきたぞ」
しばらくして、不動さんが戻ってきました。
彼と同時に入ってきたのは、黒髪、黒目に白装束を着た、神主さんを思わせる男の人です。
もしかすると、この人がアイゼンさんでしょうか。
「左様。私が天王寺愛染。恋愛を司る神である。そなたが私に助けを求めた女性だな」
彼は主に女の人を見て質問しました。
「は、はい。あなたが最後の希望です。お願します。あたしの恋愛を実らせてください」
「よかろう。では諸君、行くぞ」
そう言って彼が指を鳴らすと、ぼくたちは街中へワープしていました。
「私の能力のひとつ、ワープだ。便利であろう。はっはっはっはっは!」
豪快に笑いだす愛染さん。
もしかすると彼は意外と大雑把な性格なのかもしれないと思っていますと、彼はどこからか巨大な弓を取り出し、背中の弓筒に手を伸ばし、ハートの形をした矢先の弓を取り出し、弓を射ました。
高速で放たれた弓は歩いていた男性に当たります。
すると、当たった男性の目がハートに代わり、同じく道を歩いていた女性と恋に落ちてしまいました。
「見たかね。これが私の持つ『愛の矢』の威力なのだよ。私はこの矢で今までどんな恋愛も叶えてきた。私が動けば、そなたたちの愛も叶うであろう」
その言葉を聞いて、もしかして真帆さんにぼくの思いが通じたのは、彼が手助けしてくれたからなのかなと思いました。
すると彼はぼくの心を読んだかのように、
「左様。そなたの恋愛は私の力で成し遂げることができた」
と彼は当たり前のように言いましたが、ぼくにとっては感謝の気持ちでいっぱいです。
「ありがとうございます。愛染さん」
「いや、なんの。恋愛の神として当然のことをしたまで」
彼は少し照れくさそうにしましたが、次の瞬間、真剣な表情になりました。
「どうやら、お嬢さん、そなたの獲物が来たようだ」
彼はたまたまぼくたちの方向に向かってくるカイザーさんに愛の矢を放ちます。
ですが、彼はその矢の存在に気付いたのか、サッと避けてしまいます。
「なかなかあるな、さすがは不動の友だけのことはある。私も腕がうなるぞ!」
彼は喜びに目を輝かせ、なんと腕を6本に増やし、合計3つの弓で弓矢を発射しました。
「これならさすがのあの男も逃れられまい」
ですがカイザーさんは次々に飛んでくる矢を弾いたり避けたりして、1本も命中しません。
この現状を見た彼は、少し自信をなくしたようにしょぼんとした顔で、
「聞き忘れたんだが、あやつはお前や私と同類のものか?」
「……ああ、そうだ」
「なら聞くわけがない!これは地球人用なのだ。お前たち専用に矢を合わせねば!」
そう言ったかと思うと、彼は超特大の弓矢をセットしました。大きさだけなら間違いなく、ギネス級でしょう。
「さあ、今度こそ、そなたの恋愛、叶うがよい!!」
矢は真っ直ぐ軌道を描きカイザーさんに向かって飛んでいきます。
果たしてうまく命中するのでしょうか。