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魔天使マテリアル×妖怪ナビ・ルナカキコ
作者: ルル  (総ページ数: 447ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル 妖界ナビ・ルナ 
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最終章〜時と鼓動〜
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サーヤ達は、目の前に広がっていた光景に、ただ立ち尽くしていることしか出来なかった。
「そんな・・・・」
「ひどいです・・・・」
「嘘だろ・・・・」
全員が、口々につぶやいた。

空はまがまがしい黒。
逃げ惑う人たち。
その人の流れの中に、サーヤ達は立ち尽くしていた。
「たすけてくれえええ!」
「きゃああああ!」
そんな悲鳴を聞いている間にも、怪我をする人や、悪魔に精気を吸われて倒れていく人たちが増えてゆく。
震えが止まらなかった。
一目で確信した。
魔王がこの世界に降り立ってしまったのだと。
それは、マテリアルではないルナ、タイ、ゆのり、霧亜でもわかったようだった。
「もう・・・・ダメだよ・・・こんな・・・・っ」
ルナが、今のも泣き出しそうな声でつぶやく。でもそれは、逃げてゆく人々の悲鳴で消えてしまう。
本当はいますぐに でも、魔王に殴りかかりたい。
でも、そんなことをすれば、他の悪魔達が後ろから襲ってきてしまうだろう。
一体一体倒していくしかないのだ。
そんな現実に、マテリアル達は呆然とせざるを得なかった。
そのとき。
「サーヤぁ!」
「日守!」
聞き覚えのある、二人の声。
声のしたほうに目を向けると、案の定そこには。
「千晶ちゃん、宇佐見くん!」
「サーヤ!何なの、一体!」
「東高のほうから、人が逃げてきて・・・・俺らもそれに乗せられてきたんだけど」
二人もところどころに怪我を負い、意気が切れている。
「二人共・・・・」
やめてほしかった。
自分のなかに、こんなひどいことをする魔王の血が流れているなんて、思いたくもなかった。

そして。

・・・・・決心した。

「二人とも、逃げて。今すぐに。出来るだけ遠く、逃げて。」
「え、ど、どうして・・・・」
意味が解らないといった風に、二人が訊いて来た。
「・・・・魔王が来た。
・・・・僕らの最大の敵・・・。いずれ世界ごと闇に覆われるはずだ。
僕らはそれを止める。それに巻き込まれる前に、佐川たちは非難しろ」
レイヤが簡単に説明してくれる。
「そうだよ、千晶ちゃん。危ないの。
もちろん、私たちだって無事とは限らない。でも、守れるのは私たちだけ・・・・。だから行かないといけないんだよ」
「サーヤ・・・、まさか、死ぬかもって言ってるの?」
「・・・・」
千晶の言葉を肯定するように、サーヤはだまった。
すると、千晶が怒ったような表情をしたかと思うと。
パンッ!!!

千晶の手が、サーヤの頬を思い切りたたいた。
「!?っ」
サーヤが頬を押さえ、千晶のほうを見ると。
「許さないから!死んだら許さないから!戻ってこなかったらっ・・・・と、友達やめるからね!!」
千晶の目から、涙がたくさん溢れ出してきた。
「日守。おれも、佐川と同じだ。死ぬって考えるのは、最初から負けるって考えるのと同じだぜ」
「二人共・・・・・」
千晶と宇佐見の思いやりに、サーヤは心が温かくなった。
「千晶ちゃん。約束する。千晶ちゃんと友達やめるなんて、嫌だもん。

宇佐見君。・・・・簡単には、負けないから。絶対勝って、帰ってくる。・・・・・二人とも、ありがとう」
「サーヤ・・・」
まだ何か言いたそうな千晶は、そこでぐっと飲み込んで。
「帰ってきたら、全部話してもらうからね!」
そう叫んで、目をこすりながら走っていった。

「千晶ちゃん・・・・・」
サーヤも、目頭が熱くなってくる。
「紗綾さん。時間がありません」
「オレたちは絶対帰ってこれる!中学生組リーダーとして、保障するぜ!」
沈んだサーヤの気持ちを気遣って、徹平が明るく言ってくれた。
「徹平さん・・・・・ありがとうございます!」
サーヤは笑っていった。
「行きましょう。魔王を倒しに。・・・・戦いを終わらせに!」

そう叫んだ。
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最終章突入!時間と鼓動は、あとで意味がわかる・・・・はず!

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