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*15*
柚々華s
ありがとうございます^^
駄文ですが…見てくださって幸いです^^
三話「仲間の為に」
時は残酷だ。
振りむかえらず進むと時は進まず、少し後ろをみれば、急激に進む。
「あと5日…なのか…。」
未だに喧騒の止まないギルド。
それすら懐かしく思えるのは、終わりを自覚しているからか。
自嘲気味に笑みを浮かべ、ネックレスを掴む。
「おーい、グレイー。」
ふよふよ飛んてきたハッピーは一枚の紙を抱えてきた。
ハッピーによると、マスターの対策が書いてあるとのこと。
ひらりとめくる。
『今日、お前は一時このギルドを出なくてはいかん。
ワシもこのことを苦しむが、お前の為だ。
お前を狙うものどもは、きっとギルドを襲撃する。
それまでにお前はイスバンに眠るといわれる神、『メモリー』
をよみがえらせにいけ。
その神は邪神だが、代償を払えばきっとお前の願いが叶う。
無事を祈ろう。
マカロフ』
その内容は単純で、重くて、切なくて。
しばらくギルドに居られないことはとても辛かった。
もしかしたら、戻れない。
そんな恐怖もあって、自然に体が震える。
すると、誰かが肩に手を回してきた。
「大丈夫だって、そんな心配そうな顔するな。」
「私たちがついて行こう。」
「いつもグレイは誰かのために戦ってくれたでしょ?それと同じよ!」
「おいらも忘れないでよね!!!」
そのとき、一つの言葉が胸に落ちた。
一人じゃないよ。
確かこの言葉は、母が死ぬ間際に言った言葉。
気高く、優しい母が涙を流して言った言葉。
「わり、…迷惑、かけるかもな。」
そう言うと、ルーシィはニコリと可愛らしい笑顔に変わる。
「もう!仲間でしょ?」
その言葉だけで十分なのに、とても暖かくなった。
剣のネックレスが揺れる。
死ぬ間際の父から貰った物だ。
確か父は、この剣に願いを託すと言っていた。
なんの願いかは、知らないが。
こうして、男女四人と猫一匹の旅が始まった。
三話・終
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