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四章『旅2』
一話「意志」
「…ナツ、何の真似だ。」
グレイの声に色が戻る。
それは、怒りの色だ。
だが、逆に怒り狂ってるのはナツの方だ。
「自分の命、粗末にしてんじゃねえ!!」
「…!!しょうがねえんだよ!」
遂にグレイが叫ぶ。
ナツは少し、笑みを取り戻したようだ。
「…お前は生きたくねえのかよ。」
ナツの静かな言葉にグレイは言葉を飲み込む。
その様子を見て、ナツの声は低くなった。
「お前は、これで終わりたいのか?」
「…しょうがねえよ、俺の命なんて」
ナツがグレイの胸倉をつかむ。
グレイはいきなりの事に驚き、息が止まる。
「俺の命なんて、とか言うんじゃねえ。俺はお前の本当の意志を聞いてるんだよ。」
グレイは悲しそうな顔になる。
そして、遂に叫んだ。
自分の、本音を。
「決まってるよ…。 死にたくねぇに決まってんだろ!!」
その言葉にナツも、捕らえられているルーシィも、ハッピーもエルザも笑顔になる。
次の瞬間、ルーシィが男の腕に噛み付いた。
「ぐ!!!」
男の手が緩まった瞬間、ナツの拳が燃える。
「火竜の… 鉄拳!!!!」
男は高く、高く吹き飛ばされる。
その光景をグレイは唖然と眺めていた。
「…立てるか?」
「たりめーだ。怪我はねぇんだから。」
ナツの手を無視して、グレイは立ち上がる。
だが、すぐにふらついた。
「あっ………………!!!」
「おっと!んだよ、ヨロヨロじゃねぇか。」
どうしてだとナツが悩む姿を見ていたルーシィは「あ」とひらめく。
「グレイ、ギルドで何回滅龍魔法つかった?」
「…一日一回。」
コレで確定したとルーシィはため息をつく。
「…それ、魔力不足でしょ?」
ナツとグレイが顔を見合わせる。
そして。
「…お前のせいだクソ炎ぉぉぉぉぉぉぉおお!!」
「あ?喧嘩に乗るお前だろぉがああああああ!!」
いつもの殴り合いの喧嘩が始まる。
呆れ顔、いや、少し嬉しそうな顔をしたルーシィは静かに言った。
「こういうのって簡単に変わらないのねー。」
「あい!」
しばらくコレが続きますようにと、ルーシィは青い空に願った。