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*22*
ナツが敵を縄で強く縛った。
うめき声を上げる男の顔が、エルザの足で潰される。
「…女王様?」
「かもな…。」
ルーシィの一言に、グレイも同感した。
男の一人が、泣くように叫ぶ。
「か、勘弁してくれ!俺達はその黒髪を攫えって言われただけだ!!」
エルザは考えるように顎に手を置く。
「どうやら、闇ギルドにグレイの事が知れ渡っている様だな。」
「これじゃ、敵が増えたも同然ね……。」
グレイを狙う者が増えたとなると旅も難航になる。
悩んでいると、また一人の男が、叫んだ。
「く、黒髪が身に着けている護符でもいいんだ!くれねぇか?」
「?俺は護符なんて…。」
グレイは身に着けているものを探す。
中心にあるネックレス。
きっとこれが護符だろうと自覚した。
だが。
「…親の形見をあげる馬鹿が何処に居るよ。」
「そうか…。なら!」
一人が、縄を切り、ルーシィの両手を片手でふさぎ、もう片手は
ルーシィの首にナイフをつきつける。
「きゃ…!!!」
「ルーシィ!」
男は汚い笑みを浮かべた。
「黒髪、護符をよこせ。それか、死ね!!」
「なっ…。」
男の目は憤怒や怒りをともしている。
「俺の家族は、お前の一族により、殺された。生贄と言われてな!!」
その一言で、グレイは自分の足元が崩れる感じがした。
男はお構いなしに、言葉を紡ぎ続ける。
「俺は、復讐するために入ったんだ、ここに。
運よくお前に会えた。
さぁ黒髪!死ぬか、その護符を渡すかだ!」
ナツとエルザはグレイを見ている。
グレイは汗一つかかず、氷のナイフを造りだした。
「「「「グレイ!!!」」」」
ナツ、ハッピー、ルーシィ、エルザが叫ぶ。
グレイは無表情で、男を見据えた。
「俺が、死ねばいいのか?」
「ああ!死ね!」
「ルーシィは放せ。護符はやれねぇけど、俺の命なんて捨ててやる。」
こんな命、いらないのだから。
グレイがナイフを自分の首につけた。
「あははははあああああ!!!死ねぇ!黒髪ぃぃ!!」
ナイフが振り落とされる。
同時に、燃える音もした。
三話・終
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