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フェアリーテイル ―雪国の氷―  完結
作者: ハヤチ  (総ページ数: 65ページ)
関連タグ: FAIRYTAIL グレイ・フルバスター 二次創作 微グロ 
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*29*


「…うぅ……」

ナツは目を覚ます。
先ほどまで感じていた疲労感は嘘のようだ。
辺りを見わたすと、医者に掴みかかっているエルザが見えた。
それをなだめるルーシィ。
何が起こっているのか把握しきれない。

「ナツ!起きたか!寝ている暇はないぞ!」
「は………?」

何が、とナツは問う。
エルザは悔しそうに、言った。

「グレイが、あの雪山の時の金髪に連れ去られた…!!」
「……………!!!!」

衝撃を受ける。
医者が言うには、グレイの血を多量の水で薄めて使うと、ナツ達の体は治ったと言う。
そのとき、グレイが金髪と宿を出るのをみた、という事らしい。

「…俺達、何日寝てたんだ?」


「一週間…だそうだ…。」

足場が無くなる気分になった。

「じゃ、じゃあギルドの皆は!!」
「先ほど伝書鳩が届いた。」

ナツに紙を渡す。
ミラの字だろう、綺麗な字で書かれていた。

『5日経ったけど異常なし。もしかしたらばれているかも…。』

ナツは壁に拳を叩きつける。
悔しさと怒りが混ぜ合わされて、気持ち悪い。

「いかねぇと!!」
「ナツ…、もう一週間も」
「アイツを放っとくのかよ!!俺は行くぞ!」

ナツの言葉にルーシィとハッピーも頷く。

「ナツの言う通り!グレイは私たちの仲間よ!」
「あい!オイラだって、グレイを助けたいんだ!」

エルザはため息をつく。
そして、綺麗な緋色の髪をゆらした。

「ならば、行こう。仲間の下へ!!」
「「「おお!!」」」

仲間を助けるべく、まずはあいつ等の居場所を見つけないと。
ナツは、自慢の鼻で、グレイのにおいのする方向へ走り出した。


―馬車内―

「大丈夫?」
「うるさい。」

グレイはうるさいの一点張りで、何も話そうとしない。
だが、それでもルドは笑いグレイの縄をきつくした。

「あぐっ!!」

苦しげな声が漏れる。
ルドは、笑みをさらに濃くした。

「やだなぁ、僕の加虐心を増やさないでよ。」
「うああっ!!!」

ギリギリと縄が締まる。
グレイは苦しく身をよじった。

「あーもう、もっと虐めたいなぁ。そうだ!爪でも剥がす?」
「ひっ……」

脅威じみた発言にグレイは後ずさりする。
その反応にルドは大笑いした。

「あははは!!やらないよ、道具もないしね。」
「…!ふっう……。」

泣くのを堪えて、グレイは目をつぶった。
苦しい縄を外したがるが、無駄に終わる。
ルドはまだ強く締め付けてくる。









ゴキッ



「っア”ああああ”あああああ!!!」
「あ、やっちった。」

脱臼する音だ。
グレイは堪えていた涙を一気に流す。





もうやだ。苦しい…。

痛みに耐え切れず、グレイは気絶した。

三話・終

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