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*28*
医者を呼んで、ナツ達がいる部屋に入る。
「おい、ナ―」
そこから、言葉を失った。
いつもの笑顔のナツはそこにはいない。
苦しさに耐え続けるような辛い表情。
「ナ、ナツ…。」
「ぁ…、グレイ、医者きたんだな。」
辛そうな顔でも笑顔にするナツを見て、グレイは苦しくなった。
医者がナツも危ないと考え、4人の容態を調べる。
そして、グレイを部屋から出て行くよう伝えた。
「………。」
グレイは片足の膝を抱え込む。
体が震えているのは、何故だろう。
ガチャリ、とドアが開く。
顔を上げるとそこには暗い顔の医者が立っていた。
「失礼、服をあげてもらえませんか?」
グレイは言われたとおり、服を上に持ち上げる。
医者は肌、爪、首を触り、「もう結構です」と安堵のため息をついた。
「…お気の毒ですが…」
ドクン、ドクンと心臓の音が五月蠅い。
「貴方の仲間は 腐病という病にかかりました。
このまま貴方の仲間は腐ってしまいます。」
世界が死んだように見えた。
医者がグレイを気遣い、出て行く。
するといきなりグレイの隣に、ルドが現れた。
「あーあ、仲間、そろそろ死んじゃうかもね。」
「うるさい。」
「君のせいだね、古龍の魔法なんて持ってたから。」
「ウルサイウルサイウルサイうるさいうるさいうるさいうるさい!!」
気が狂いそうなほど叫ぶ。
ルドはにこりと微笑を浮かべた。
「しょうがないよ、東洋の一族の血を続けるためにも。」
「あ、…………ははは…。」
グレイは涙を流す、笑いながら。
「馬鹿じゃねぇの!?お前等!!近親相姦、近親相姦、笑えてくる!そんなに一族を断ちたくねぇのかよ!!!」
グレイの叫びにも笑いながら聞く。
それの繰り返しでついにグレイは泣き崩れた。
ルドは、手をさしのべる。
「治せるよ?」
「えっ…。」
希望の言葉に聞こえた。
本当は、真っ黒な言葉なのに。
「君の古龍の血を使えば、ね。」
辛いなら、助けてあげる。
その言葉を信じたくて。信じなくてはいけなくて。
「俺を連れてくなり、好きにしろ…。」
ルドは優しく笑う。
それとは対照的にグレイは涙で濡れた目で冷たく呟いた。
「じゃあ、よろしく♪」
グレイは、俯いて、ボソリと喋った。
「大好きだ、皆。」
こんなくだらない旅に付き合ってくれて、ありがとな。