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三話「病と恐怖」
「おお、もうお帰りに…。気をつけてくだされ、この山は最近治らない病が流行っている…。」
長老と思しき者が忌々しく忠告した。
そして、ナツ達は村を出て行った。
エルザはグレイの頬を軽く叩く。
それと同時にグレイは自力で立った。
「…悪い、何かここに来てから俺、倒れてばっかだなぁ。」
「貧弱だからじゃね?」
何処までも喧嘩を売るナツにグレイはキれる。
「一部はお前のせいだからな!!」
「まだ魔力不足のこと怒ってんのかよ!!」
二人の言い争いはエルザの機嫌を悪くさせた。
そんな繰り返しをしていると、ルーシィがよろける。
「あっ……!!」
「!大丈夫か、ルーシィ。」
エルザがルーシィの背中を押さえ、倒れるのを防ぐ。
ルーシィは意識が飛んでいるのか、目の焦点が定まっていない。
「…しょうがない、私がルーシィを運ぼう。」
「ああ、頼む。もうすぐで山の近くの町につく。そこで泊まろう。」
「…………っ…!!」
「エルザ?」
しばらく歩けばエルザにも異常が見られてきた。
汗の量が半端じゃない。
「…俺の肩に腕まわせ。」
「すまないっ…。」
グレイはエルザの腕を自分の肩にまわし、腕を掴む。
ルーシィはナツが代わりに運ぶことになった。
しばらくし、ハッピーも倒れこむ。
ナツの肩の上で「もう駄目」と気絶した。
「やべぇな…。グレイ、急ぐぞ。」
「ああ。」
―山の近くの町、『ローゼリア』―
とある宿に入り、ルーシィ、ハッピー、エルザを横たわらせた。
ナツはイスに座る。
グレイはベッドに横たわっている3人の顔色を見た。
息が荒く、顔色がとても悪い。
「…ナツ、俺は医者呼んでくる。3人を見ていてくれ。」
「………おぅ。」
グレイは走る、ナツの状態に気づかずに。
「はぁ、はぁ…。」
タッタッタと走る。
だが、薄々グレイは気づく。
(誰か、つけてやがる…。)
また違う闇ギルドか、と脳内で策をはりめぐらせた。
(人前で魔法使えば運悪く誰かに当たるかもしれねぇ…。なら、路地裏に入れば!)
グレイは曲がり、路地裏の奥深くまで行った。
「…いい加減にやめろよ。」
グレイは後ろを振り向く。
そこにいたのは。
「!!!!!」
「久しぶりだね、雪山以来だ。」
金髪の青年。
元が黒髪だったのか、毛先は黒い。
「あ…ぅぁ…。」
恐怖が思い出させる。
抵抗できない恐怖が。
屈辱が。
グレイの体を恐怖へと陥れた。
「―――――――!!!」
「おっと…。」
グレイはがむしゃらに氷の造型魔法をルドに向ける。
だが魔力不足の為、足の力が抜ける。
「さて…」
「!!」
倒れているグレイにまたがるルド。
ルドは黒い笑みを浮かべた。
「君はこの姿が本当に似合ってるな。」
「……!」
「そういえばさぁ、君のお母さん。」
ピタリとグレイは動きを止める。
ルドの言葉を待つ、その時間は短いのか、長いのか。
「僕の、姉なんだよね。」
「………へぁ…?」
「で、君は僕と僕の姉…癒の 子供なの。」
何なんだ、何を言っているんだこの男は。
母とコイツの子供?父じゃなくて。
だって身内同士…
知 ら な い 方 が 良 か っ た
「……あ?」
何時の間にか周りには誰も居ない。
グレイは必死に足を立たせる。
「………行かねぇと、」
仲間が待っている。
その言葉を糧に、グレイは恐怖を押さえつけながら走り出した。